スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 代表取締役最高経営責任者(CEO) 水口 貴文

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スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 代表取締役最高経営責任者(CEO)
水口 貴文(みなぐち たかふみ)

■プロフィール

上智大学卒。イタリア ボッコーニ大学経営学修士課程修了(MBA)。LVJ グループ株式会社 ロエベ ジャパンカンパニー プレジデント& CEO を経て、2014 年、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社入社。最高執行責任者(COO)就任。2016年 6 月より現職に就任し、日本市場をリード。

昨年、全国の店舗数が1500店を超えたスターバックス。人々の暮らしの中に溶 け込み、新しい価値を生み出してきた背景には、人を大切にする文化があった。 グローバル企業のブランド価値を高めることに手腕を発揮してきた水口CEO が、どのような姿勢でスターバックス経営に臨んでいるのか、お話を伺った。

 大学の部活は体育会系のゴルフ部に所属していました。就職を間近に控えた時、自分はどんな生き方をしたいのか、といったことを真面目に考えるようになりました。そこで自分を見つめ直すため、アメリカに旅立ったんです。滞在期間は2ヵ月でした。
 日本に帰ってきて就職を考えたのですが、日本企業はしがらみがある印象だったので、 外資系のコンサル会社に就職、自分がやりたいことを見つけたくて、夢中になって働きました。そこで思ったのは、「何かを感じたら、一歩踏み出してみる。そこから何かが学べる」ということです。

■スターバックスの社会性に共感

前の会社に勤めていたとき、そのお客さんだったスターバ ックスの前CEO、関根さんから、「うちの社長にならないか」と誘われたのがスターバックスとの縁の始まりです。
 入社を決めた理由は、スターバックスが大事にしている社会性です。
 利益はあげていかなければいけないけれど、そこにはステークホルダーがいて、お客様がいて、スタッフがいるという視点がきちんとある。そして、社会貢献が出来ること。各店舗の周辺地域に貢献活動をしていることも魅力だと感じました。
 それまでとまったく違う業界に入ることになり、人脈のネットワークがなくて大変でしたが、新しい人脈が次々とできることが楽しかったですね。

■すばらしいパートナーたちを支えるスキル

 この会社はいい人がすごく多いんです。人のために何かをすることに喜びを感じるパートナー(従業員)ばかりなので、とても空間の心地が良いですね。全国1581店舗、約4万人のパートナーが自分のことのように働いてくれています。 1店舗1店舗がそれぞれのビジョンを作っていて、思いを持って仕事をしています。このすばらしい人たちをちゃんとした方向へ導くことに対して責任を感じています。
 パートナー全員に伝えている、「スタースキル」と呼んでいるものを紹介しようと思います。①人の話をちゃんと聞く、②自分に自信を持つ、③困ったら助けを求めて聞く。
 これはコミュニケーションを円滑にする秘訣で、この3つが揃えば、コミュニケーションはきちんと回ります。

■自分を持っている人と働きたい

 私は、創業者ハワード・シ ュルツの「働く人を大切に、一緒に働いている人たちがどう感じるか?」という考え方に共感しています。パートナーのみんなを引っ張っていく者として、何か意思決定を行わなければならない時は、店舗に行き、パートナーからエネルギーをもらって決めるようにしています。仕事のエネ
ルギーをいちばんもらっているのはパートナーからです。
 私は、人間力が高い人と一緒に働きたい。例えば、自分を持っている人、考える力がある人。間違っていてもいいから自分の意見を言える、好奇心旺盛でチャレンジする人に仲間になって欲しい。特に、人として尊敬できる人や、相手のことを考えられる人がいいですね。
 商売は一人ではできないし、一人の力は小さい。チームで動いて、その力を大きくすることが大事です。働く人たちが自分の想いをこめながら、どう動けるかという環境作りが必要で、これからはそれを実現するリーダーがもっと必要とされてくるのではないでしょうか。

■ミッションをどのように実現していくか

 私たちのミッションは、毎日全国の店舗に来られる80万人のお客様に寄り添い、出来るだけ多くのお客様に元気になって帰ってもらうことです。ハッピーは人とのつながりで 生まれてくるものだと思います。もちろん、これから Our
Mission & Values の届け方は変わってきます。デジタルと融合させたサービス展開や、地域に根付いた成長を考えるべきです。また、もっと多様な人に働いて欲しいので、同じ付加価値を提供するにも方法をシンプルにしていかなくてはいけないと思っています。

■message

 今 、自分がやりたいことは何だろうと考えて、分からなかったらそれでもい い。分からない自分を責めないこと。見つからないなら、ちょっとでも自分が興味のあること、やってみたいことに一歩踏み出す。何でもいい、思いっきりやってみて、違ったと思ったら、そこから学んだことを活かしてまた次のことにチャレンジしてみる。何もせずに、踏み出さないことが一番のリスク。立ち止まらずに、やることが大事です。
 まだまだこれから何でもできる。自分は何でもできると信じきることができれば、いつでもスタートできる。変化に富んだ面白い時代に生きているのですから、リスクと捉えるのではなく、チャンスだと思って挑戦してみてください。皆さんが無限の可能性を持っていることを感じてほしいと思います。

学生新聞2020年10月号 文教大学2年 北島麗音 / 専修大学4年 石岡慶也

日本大学 2 年 酒井夏輝/文教大学 2 年 北島麗音/明治学院大学 3 年 小嶋櫻子/専修大学 4 年 石岡慶也

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