株式会社クリーマ 代表取締役社長/クリエイティブディレクター 丸林 耕太郎

世の中の最大多数の人を幸せに!熱い思いが生み出す事業の形

株式会社クリーマ  代表取締役社長/クリエイティブディレクター
丸林 耕太郎(まるばやし こうたろう)

■プロフィール

1979年・横浜生まれ。慶應義塾大学卒業後、セプテーニホールディングスを経て2009年に現在の株式会社クリーマを創業。日本及びアジア最大のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」、クリエイターの祭典「ハンドメイドインジャパンフェス」を運営。「愛ある事業で、人を、世の中を、元気にすること」を目指す。趣味はDJとプロレス鑑賞。

日本最大級のハンドメイドマーケットプレイスCreema(クリーマ)。創業者の丸林社長は「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立したい」と語る。その背景には自身がミュージシャンとして活動する中で感じていた社会への疑問や、クリエイターに対する熱い思いがあった。

子供の頃からずっと、「たくさんの人をハッピーにできる仕事ってなんだろう」と考えていました。最初はスポーツでテニスを。15歳頃からは音楽活動をスタートし、大学生のときにはプロとしてDJや音楽制作などに取り組んでいました。そんな頃に転機が訪れ、経営者を目指すことになります。大学生は「未来に投資をする期間」だと考えていて、10年、20年後の自分をつくる為に、今何ができるかを意識して行動していましたね。

■プロのミュージシャンとしての葛藤

中学生くらいの頃から「世の中の最大多数の人をハッピーにできる仕事がしたい」という思いがありました。音楽の世界に入ったのは、音楽が大好きで、そこからたくさんの元気をもらっていたことに加えて、市場規模の大きい業界で活躍すれば多くの人にポジティブな影響を与えられると思ったからです。学生時代のうちから結果を出そうと活動して、ありがたいことに仕事もたくさんいただいていたのですが、その一方で「やりたいこと」と「やらなければならないこと」のギャップに悩まされるようになりました。そんな時、主催したイベントでスポンサーをしてくださっていた著名経営者の方と出会い、「世の中の最大多数の人をハッピーにする手段として、音楽で勝負したい」という思いを語ると、「それなら君は経営者か政治家に向いているよ」と言われたんです。その時は真意が聞けず、「なぜそう言ってくれたんだろう」と1か月ほど考えた結果、一人の音楽プレイヤーとして活動するよりも、経営者になって色々な事業を立ち上げていくことができれば、圧倒的に多くの人をハッピーにできる可能性があるという結論に至りました。それを機に今まで抱えていた音楽の仕事を全て終わらせて、経営者としてのプランを立て始めました。

■実力をつける為、一番苦手意識のある会社に入社

まずは会社での実務経験が必要だと思い、就職活動を始めました。面接では「経営者になるので3年で辞めます」と断言して、大手企業を含む十数社から内定をいただきました。最終的に就職したのはその中でも当時は小さかったインターネット広告代理店です。テレアポで徹底的に営業する、社員100人ほどのベンチャー企業で、個人的には一番苦手意識のあった会社でした。なぜそこを選んだかと言うと“強くなること”が必要だと考えていたからです。音楽活動で培ったクリエイティビティや企画力には確固たる自信がありましたが、競争の激しいビジネス業界で勝ち抜いてく力が自分には明らかに欠如していると感じていました。そのために何が必要なのか考え、「苦手なことで結果を出すこと」という結論に至りました。

■才能が埋もれないフラットな場所を

どんな新規事業を立ち上げるか考えた時に、50個ほどあったアイディアの一つが今のCreemaでした。音楽をやっていた時代、才能があっても評価されず諦めていく人たちを見て、能力が数値化されない曖昧な世界をどうにか改善できないかと考えていました。クリエイター達が誰かに気を使って好かれようと努力しなくても、自分たちの作品を世に出して、世界の誰かが評価してくれるような場所が作れないかと思ったのです。そんな中、C to Cという仕組みを思いつき、Creemaを創設するに至ります。

■想いや信念を曲げない

創業当時はブランド信仰が今よりも強く、クリエイター作品を買うというのはかなりニッチな概念だったので、2,3年はサービスが伸びないまま苦戦していました。競合企業が30社以上も参入してきて、正直もう無理かもしれない思ったことは何度もありましたが、諦めずに続けていたら3年目の終わり頃から成長が始まり、「誰より深く考え、誰より徹底的に実行する」ことを続けていたら、6〜7年くらいで他社に大きな差をつけており、巨大企業を始めとするほぼ全ての企業が撤退していました。広告をたくさん打ったりプロモーションに力を入れたりすることに依存せず、とにかくいいサービスを作ることに注力し続けたことが功を奏したのではないかと思います。当時も今も変わらず“クリエイターファースト”という信念を大切にしながら、才能あるクリエイターが正当に評価されるサービスを目指しています。

■クリエイターの夢を応援

今後は“クリーマ経済圏”を拡大していくと共に、売り買い以外のことでもクリエイターの力になれるサービスを展開していきたいです。自分の作品で食べていくことだけでなく、例えば「海外で個展を開きたい」だったり、「移住してアトリエ作りたい」といった、クリエイターの夢や想いは多岐にわたります。そういった課題や願いに応えていくことで総合的にクリエイター活動をサポートしていきたいですね。

■どんな人と働きたい?

「どんな友達が好きか」とあまり変わらないと思います。価値観が合わず、必要最低限の会話しかしない関係だと、創造性やイノベーションは起きなくなってしまうので。能力やスキルも大切ですが、「人として好きだな」と思う人と一緒に働きたいですね。フィーリングな部分もありますが、具体的には「根が純粋で、誠実で、一生懸命に生きている人」です。あとは、「やると決めたら、最後までやりきる」習慣や覚悟がある人かな。

■大学生へのメッセージ

大学生として就職活動する期間は、自分の将来設計を考える最大のチャンスだと思って取り組んで欲しいです。その中で親や世間の声に耳を傾けることも大切ですが、自分はどうなりたいのかというビジョンを持ち、そうなるには何をすべきか逆算して考えることが重要です。就職活動は他人と比較しやすく大変な時期だと思いますが、自分の人生をどうしていきたいかを突き詰める良い期間なので、ぜひ頑張ってほしいですね。

学生新聞WEB2021年2月15日取材 東洋大学 2年  伊佐茜音

国際基督教大学 4年 鈴木菜桜 / 東洋大学 2年 伊佐茜音 / 明治学院大学3年 菅井七海

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