株式会社Mizkan MD本部デジタルマーケティング部部長 亀山勝幸

信頼される味を時代のニーズに合わせて発信!

株式会社Mizkan MD本部デジタルマーケティング部部長 亀山 勝幸(かめやま かつゆき)

■プロフィール

1972年生まれ。神奈川県出身。法政大学経済学部卒業。1995年3月、株式会社Mizkan入社。1998年より商品企画部門において、食酢・ぽん酢・つゆなど主力カテゴリーのブランド戦略・商品開発を担当。2018年3月、デジタルマーケティング部部長に就任。広告宣伝、デジタルコミュニケーション全般を担当している。

創業1804年、江戸時代後期から続くミツカン。代表的ロングセラーブランド「味ぽん」は、入れ替わりの激しい食品業界の中で、発売から56年経った今でも成長し続けている。既存の価値をどのように新しい価値に繋げ、多くの人に届けるのか。デジタルマーケティング部の亀山部長にその秘訣を伺った。

 食品メーカーの魅力は、やはり衣食住の一つということで、多くの人に触れるものを扱っているという点ですね。自分が開発に携わった商品やCMがたくさんの食卓に届くなど、多くの人の暮らしに影響を与えられるところが面白いですね。そのような中で、私が所属するデジタルマーケティング部は、広告・宣伝・PR・広報など「コミュニケーション全般」を担当しており、商品やメニューの魅力をより多くの生活者に伝える役割を担っています。

■時代を超えて商品を届ける

 われわれミツカンは創業216年、江戸時代後期から続いている歴史ある会社なんです。江戸の屋台でお寿司が流行りだしたことをきっかけに、それに合うお酢を愛知県で作り出したことから始まっています。代表的なロングセラー商品として「味ぽん」があるのですが、発売から年が経った現在も売り上げを伸ばしています。当初はお鍋用の調味料として発売したのですが、東日本ではお鍋にぽん酢を使う文化がなく、商品を知ってもらうまでには時間がかかりました。テレビCMなどを活用しながら認知を広めているうちにようやくお鍋用の調味料として定着し、次にどんな使い方があるのかを模索し始めました「。あそこに餃子に使っている人がいる」「焼肉に使っている人もいるらしい「」サンマにもいいんじゃないか」といった形で常に新しい価値を追求し続け、今では多くのお客様に様々な使い方でご使用いただき、長く愛され続ける商品へと成長いたしました。商品の味を変えるだけではなく、どういう使い方、楽しみ方があるのかをうまく伝えていくことで、ロングセラー商品でも伸び続ける。それを可能にするのがわれわれの部署だと思っています。

■生活者ニーズに合わせた情報発信

 情報発信する際に、企業目線ではなく生活者目線で興味関心のある情報を届けることが重要だと考えています。日々の意識変化を捉えるために、オンライン上の検索データやSNSの投稿を分析することで、生活者のニーズをタイムリーに把握することもできます。例えば、2020年には「コロナ太り」や「免疫」といった検索ワードなどをもとに、Twitterでミツカン社員おすすめレシピを配信したところ、高いエンゲージメント率を獲得することができ、フォロワーも一気に増えたことがありました。今では「おうちごはん特集」としてホームページ上で一番閲覧されるコンテンツに成長しています。
 また、メディアの特徴も把握してそれに合わせた情報発信も必要と考えています。具体的には、バナー広告などのペイドメディアで認知を広げ、自社のメディアであるオウンドメディアで情報を充実させ、SNSといったアーンドメディアで生活者の方とインタラクションする。SNSはターゲット世代に該当する担当者が運営をして、世界観やコンテンツの内容を作りこんでいて、フォロワー数も順調に伸びている状況です。インタラクションとしては、インスタグラムのストーリーやTwitterのカンバセーショナルカードを使って、お客様へ質問を投げかけ、その回答や意見に沿った情報発信を行っています。双方向的なコミュニケーションをすることで、見ている方も積極的に興味を示してくれます。

■業界によって異なるデジタルとの相性

 食品業界では商品を実際に購入したり料理したりする場の多くがオフラインです。家や車といった購入頻度の低いストック型の商品は、デジタル上で調べ尽くしてから買うなど、お客様の関与度が高いのですが、食品はフロー型なのでデジタル上での関与度が低い傾向にあります。もちろんデジタル活用は重要で今後も不可欠ですが、デジタル活用自体を目的にするのではなく、オンライン・オフラインを切り離さずに、カスタマージャーニーに沿ってコミュニケーションを設計することが重要と考えています。

■message

私自身が仕事を選ぶ際には「好きなことを選ぶ」ということを強く意識しました。嫌いなことを通じて自分を成長させることは難しいと思うんですよね。自分が何を好きか、何がやりたいかという観点から仕事を選ぶと人生楽しく過ごせるのではないかと思います。また好きなことを一生懸命楽しくやっていると、自然といいご縁が向こうからやってきてくれるように感じています。

学生新聞別冊2021年4月号 国際基督教大学4年 鈴木菜桜

慶應義塾大学4年 小川淑生 / 国際基督教大学4年 鈴木菜桜 / 共立女子大学3年 北之原真奈

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