サインポスト株式会社 代表取締役社長 蒲原寧 

事業とは新しい価値を創造し、社員と社会を幸せにする事

サインポスト株式会社 代表取締役社長 蒲原寧 (かんばら やすし)
 

■プロフィール

1988年、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。
最先端の技術を駆使した次期システムの構築や三菱UFJ銀行の合併に伴うシステム統合などの大型プロジェクトを手掛ける。
2007年、社会に新たな価値を創出することを目的にサインポスト株式会社を設立。
各企業様の経営・業務課題や社会問題の解決に道しるべを示し、実際に解決するIT関連ソリューションを提供。

小売業の人手不足を解決するのではと注目されている無人AIレジを開発したサインポスト。その背景には、先人からいただいた日本という豊かな国を次の世代に引き継ぐために残された人生を費やすという蒲原社長の決意があった。お客様の課題を徹底的に解決し、新たな価値を創造し続けるための姿勢、事業のあり方を伺った。

大学生活はサッカーとパチンコ、ビリヤード、そして数学の勉強に費やしました。
サッカーは監督兼キャプテンを務め、サッカーの戦法や戦術を熱心に勉強して、万年最下位のサッカー部を同率一位まで強くしました。
僕は小1から小4まで、死ぬ可能性のある病で入院していました。運動を禁止されていた分、病院の娯楽室に夜中に忍び込んで見たワールドカップに強く憧れ、運動ができるようになったらサッカーを極めようと思っていました。大学生になってそれを実現したのです。
サッカーの練習をしながら、数学の勉強にかなりの時間を費やしました。その知識が今でもとても役立っています。経営者は数学を知っていないと、見通しや予測ができません。数学がどれほど僕の役に立っているかを語ったら夜があけて朝になっても足りません。
しかし、数学の勉強自体は、将来のことを考えて行なっていたわけではありません。「こういう就職をしたいからこういう勉強をする」というのは、ある意味、危険な考えだと思っています。将来何をしているのか誰もわからないのに、現時点で「この知識は役に立たない」と判断してはいけません。

■人生は何が起こるか分からない

大学時代にはシステム関係を学んでいました。就職時は「ITシステムは単なる手段だ」と考え、その分野での就職を躊躇していました。そして、大学卒業後は、素晴らしい事業に対する融資という形で我が国に貢献しようと思い、三和銀行に就職しました。ただ、大学時代に専攻していたという理由で、三和銀行のシステム部に配属になっていました。
当初の想いとは違うものの「逃げるのは嫌だ。一流になってからシステム部をやめよう」と決意し、努力した結果、辞めることができないほどの金融IT界の有名人になってしまいました。そして、結果的に、今もシステムの仕事を行なっています。人生は本当に何が起こるかわかりません。

■豊かな我が国を後世に引き継ぐ

僕は人生で2回生死の境を彷徨ったものの、生き伸びた経験があります。以来、自分は「生かされているのだ」と思うようになりました。
銀行員として働きつつも、「生かされた貴重な人生を、くだらない私利私欲のために費やしてはいけない。この先代、先々代からいただいた豊かな国を少しでも後世に引き継ぐために役立てたい」と思うようになりました。当初は政治家になろうと考えていたのですが、自分が60歳で死ぬと考えた場合、残された時間では総理大臣になれないと思い、経済界から貢献しようと起業を目標にしました。
当初は資金もなく、経営理念だけがありました。まだ、子供も小さく、起業すれば無一文になるかもしれないという状況でした。そんな状況でも、妻の後押しや銀行時代の先輩、同僚の資金援助などがあり、事業をスタートさせることができました。

■事業とは世の中を良くする事

サインポストの経営理念は三つあります。一つは「社会に新たな価値を創出する」ということです。事業とはお客さんを幸せにすることであり、世の中を良くすることであり、新しい価値を創出するということです。そのため、必然的に他社との差別化になっています。お客さまの真の問題を徹底的に解決し、その中で世にないものがあれば作る。前人未踏の問題解決を見つけて、実現化させる。そこにまたビジネスの面白さがあるのです。
2つ目は、「お客様と社会に感謝される仕事を」です。それができない企業は、残ることはできません。
3つ目は、「社員が仕事を通じて成長するのを支援し、社員とその家族を幸せに」です。社員たちには、20歳から70歳くらいに渡る人生の一番いい所の大事な時間をうちで働いてもらうのだから、人間として、職業人として成長してもらわなければいけません。
いいお客さんといい仕事をする。いい社員を採用する。そうするといい仲間ができて、それ自体が人生の喜びになります。また、いい仕事をすると職業人としての訓練になり、社員の能力が高まる、そうすると経済的にも利益が高まり、社員に分配することができる。そして社員の家族も幸せに出来る。このような理念だけで事業を始めました。
仕事をしていて楽しいことは何かと言われれば、毎日全てが楽しいです。BBQ大会を主催し、社員やその家族の交流ができること。自筆の本を社員が読み込んでは「バイブルです」と言ってくれること。今日、大学生のみなさんとお話しすることも、全て楽しいのです。

■一緒に働きたいのは「誠実な人」

僕が一緒に働きたいのは、誠実な人です。誠実とは、表面的な性格ではなく、生まれてから今までに作りあがった性質だと思っています。誠実な人は、嘘をつかず、人のせいにしません。だから、自然と仕事ができるようになっていきます。
大学生は、ぜひしっかり勉強してください。なんでもいいから得意なことを作ってください。現在、国民の三大義務は「納税、勤労、教育」です。この中で大学生ができるのは、教育だけ、だから勉強に励みなさい。あれこれ手を出して全科目80点を目指すのではなく、一科目120点を目指してください。環境が許すなら、バイトもせず、しっかり勉強してください。もしバイトをするとしても、自分の人生に役に立つバイトを選んでほしいです。
やってはいけないことは、他人を見下すことです。自分が優位に立つ方法は2種類しかありません。一つは自分が努力して上に行くこと、もう一つは他人を下げること、二つ目は、努力しなくていいから楽ですが、それ以上は成長できません。
意外と世の中は単純なものです。ただ、単純ですが、非常に深いのです。

学生新聞オンライン2021年6月10日 青山学院大学 3年 鈴木理梨子

法政大学 2年 鈴木悠介 /横浜市立大学 4年 小熊結菜 / 青山学院大学 3年 鈴木理梨子 / 明治大学 3年 山本真人 

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