イオン株式会社 執行役 事業推進・ブランディング担当 尾島 司

「人々の笑顔」のために、常にチャレンジし続ける

イオン株式会社 執行役 事業推進・ブランディング担当 尾島 司(おじま つかさ)

■プロフィール
1986年4月、(株)三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。その後、2005年1月にリーマン・ブラザーズ証券(株)、2012年6月に野村證券(株)執行役員、2017年6月にウェルス・マネジメント(株)取締役、2020年6月に(株)大戸屋ホールディングス取締役を経て、2021年6月にイオン株式会社入社。2022年3月に同社執行役となり、事業推進・ブランディングを担当。

小売業の牽引役として進化を続けるイオン株式会社。常にお客様の笑顔を生み出すことに力を入れている。これは尾島執行役の人生観そのものであった。人々を笑顔にするという明確な目的を持ち、常に挑戦を続ける尾島さんに、その一貫した人生観や今後のイオンの展望などを伺った。

僕の人生において大事なことは、好奇心です。面白そうだと思うことは、何でもチャレンジしてきました。学生時代は格闘技、バイク、ウィンドサーフィン、スキー、オーストラリアでのスキューバダイビングやワーホリなど、新しいことに興味をもってチャレンジし続けていました。常にワクワク、ドキドキの学生時代でした。
大学卒業後は銀行に入りました。決め手は人です。反骨精神のある変人が多く、おもしろそうだと思ったのです。
19年間働いた後、投資銀行や証券会社などを経て現在に至ります。七転八倒しながらも乗り越えてこられた鍵は、やはり好奇心だと思っています。
旧約聖書の教えにあるとおり、私たちが今持っているものは神様から与えてもらったものだから感謝し、活かしていかなければいけないと思っています。与えられたチャンスやご縁を活かしきることが僕の人生観です。そのためにいろいろなことにチャレンジします。リスクなど大してありません。もちろんうまくいかないこともありますが、失敗を恐れずに躊躇なくチャレンジし続けることが大事だと思います。夢中になれることに出会って、真剣に向き合いながら考え抜くことが一番楽しいと感じています。

■お客様ニーズに合わせて進化する

銀行に勤務していたときに、イオンから銀行設立の相談を受けたのをきっかけに、イオンのアドバイザーとして数多くのM&Aや子会社の再生などに関わってきました。そして現在は、執行役として新しい事業を推進していくこと、ブランド価値を上げていくことに努めています。
イオンは従業員約56万人、子会社約300社という巨大グループであり、大変多くのご縁をいただいております。
こうした〝イオン生活圏〞のお客様を中心に、お客様目線で常にチャレンジを続けています。モール事業の牽引やイオン銀行の立ち上げ、海外での金融クレジットの推進なども同じ文脈に連なるものです。時代が変化するにつれて、お客様のニーズも変化します。
マスマーケティングが通用した1980年代とは違い、現在は価値の多様化が進む〝個の時代〞です。多様化するお客様のニーズに応え、お客様目線でどこまで対応できるかが企業の成長につながります。
イオンモールに多くの専門店が入っているのもそのためです。その時々のお客様が求めるものに合わせて変化していく、だからイオンモールは常に変化・進化していき、完成はないんです。イオンは2000年以降、売り上げ規模にして4兆5000億円相当のM&Aをやってきました。ニーズに合わせてさまざまな価値提供ができるよう、コンテンツを常に進化させています。

■ECにチャレンジする生鮮食品

コロナ禍によってECの存在が大きくなってきています。ECで成功してきたものは、高額で軽いものです。その対極にある重くて安いもの、つまり生鮮食品は最もECに向かないカテゴリーです。温度管理や需要予測も大変難しく、大手でもまだまだこれからという状況です。このような中にあって、イオンは生鮮食品のEC化にチャレンジしています。「おうちでイオン」というネットスーパーで圧倒的なポジショニングを築き、さらにイギリスのOCADO社と提携して、大規模なフルフィルメントセンターの設置や効率的な配送の仕組み作りに大きな投資をしています。こうしたチャレンジもイオンならではであり、他のネットスーパーと大きく差別化できるところではないでしょうか。

■ブランドイメージの転換

イオンは、これまでの安全・安心というブランドイメージに加え、笑顔を感じてもらえるようにしていきます。私は、これこそがイオンが目指すべき根本のテーマではないかと思っています。イオンは第一の理念として平和産業を掲げています。平和でないと笑顔がないんです。悲しみや涙に対して手を差し伸べたいと思うのは自然なことです。そこに笑顔が戻るのが生きる上で大切なことだと思っています。
つまり、技術革新が目的になって環境破壊につながっては意味がないんです。みんなが幸せになるために努力していたはずなのに、その結果が笑顔ではなく苦しみが広がっているという現状になり、SDGsが叫ばれているんです。
イオンは環境問題にいち早く取り組み、継続して木を植えています。これも笑顔に貢献するためです。結局、究極の目的は人々を笑顔にすることなのです。その軸を外してはいけないと思っています。

*message*

失敗を恐れずにたくさんチャレンジしてほしいです。自己満足ではなく、チャレンジして世界を広げていった結果、接する人を笑顔にしていける、そんな人生を歩んでいってもらいたいです。
人を笑顔にするということを喜びに変えて挑戦し続けることは、実に楽しくてワクワクする人生だと思います。そこで大切なのは、神様から与えられた自分の才能や能力を認識して、それを活かすことです。どんな分野でも何のためにやっているのかを常に考え、人々を笑顔にしていくために、自分の才能を活かしていってほしいと思っています。

学生新聞2022年10月1日発刊号 上智大学4年 八木彩花

関東鍼灸専門学校3年 竹原孔龍/上智大学4年 八木彩花

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