株式会社アイスタイル 代表取締役社長 COO 遠藤宗
生活者の声に寄り添いたい。そんな想いから生まれたアットコスメ
株式会社アイスタイル 代表取締役社長 COO 遠藤宗 (えんどう はじめ)
■プロフィール
(株)船井総合研究所、(株)たしろ薬品などを経て、2007年(株)コスメネクスト設立及び@cosme STORE開業とともに取締役に就任しアイスタイルグループに参画。 その後、店舗・ECの運営を行う(株)アイスタイルリテール代表取締役社長(現任)などを歴任し、アイスタイルグループの国内外のリテール事業全般を統括。2022年9月より(株)アイスタイルの代表取締役社長 COO就任。
コスメ・美容の総合サイト「アットコスメ(@cosme)」などを運営するアイスタイルの代表取締役社長 COOである遠藤宗氏。そんな遠藤氏のこれまでのキャリアや、アイスタイルに対する思いを伺った。
■最初は営業と決めていた学生時代
学生の頃は普通の学生だったと思います。何か特殊なことをしていたわけでもなく、サッカーのサークルに所属しながら家庭教師のアルバイトをしていました。私は1996年卒なのですが、当時の就活は今のように早いタイミングから始めるものではありませんでした。インターンシップも今のようにメジャーではなく、一部の外資系企業でしか行われていませんでした。当時のインターンシップは1日1万円くらい給料がもらえたので、アルバイト感覚で試験や面接は受けましたね。ただ、全般的に就職活動はさほど熱心にはやっていなかったと思います。
入社前から、最初に働く会社では営業をやりたいと思っていました。「モノやサービスを売る」ことがやりたかったんです。この先何をするにしても、ビジネスである以上、誰かに何かのサービスやモノを提供することが必要です。ならば「売る」という経験をした方がいいはずだと考えたからです。
基本的には営業ができればどこでもいいなと思って、新卒で車の営業を始めました。当時、車の営業はどん底だったので、顧客基盤もなく、自分で新規開拓する必要がありました。ただ、「昼間に飛び込みで車を売れ」と言われても、なかなか売れません。だから平日の昼間はほどほどにして、土日に集中して車に興味のある人に売ろうと決めました。
新卒で車の営業を経験した後、次は経営コンサルトに転身して、5年ほど働きました。この時、「自分はやっぱり実業をやりたい」と思い、知り合いが経営していたIT会社に転職をして、経営企画を2年ほど担当しました。その後、大学のゼミの先輩がやっている化粧品専門店に転職し、化粧品のリテーラーとして働きました。その会社にいる間に、「化粧品のリテーラーがブランド化するのは結構難しい」ということに気が付きました。単独でやるのではなく、どこかと一緒にやったらどうかと考え、アイスタイルと関係を持つようになり、アットコスメストアが生まれました。
■「生活者中心の市場の創造」のために真摯に向き合うアイスタイル
私が現在代表を務めているアイスタイルは、「生活者中心の市場の創造」というビジョンを掲げています。私はこの言葉が大好きです。
「生活者を大事にしよう」とか「お客様を第一に」という会社は数多いですが、本当に生活者を中心に、生活者の声で成り立っている会社はあまり多くありません。一方、アイスタイルは、口コミという生活者の声に真摯に向き合っている会社ですし、生活者の気持ちに寄り添っているのが最大の魅力だと思います。
もちろん、口コミの中にはステルスマーケティングのようなものが入り込んでしまうこともあります。そうした不正な口コミが入らないように、私たちは24時間365日システムと人の目で、チェックしています。
■口コミは店でいうテスターの代わりの存在
化粧品は実際に使ってみないと、肌に合うかわかりませんし、色味を見たい人も多いでしょう。それゆえ、化粧品はネットでは売れないというのが業界の通説でした。そのため、化粧品のECが本格的に始まったのは、意外と遅いのです。
今でも化粧品のマーケットが2兆5000億以上ある中で、EC化率は直近で7〜8%ほどにしか達していません。コロナの影響もあってネットでものを買うということが増えたため、一気にEC化が進んだ部分もありますが、日本は圧倒的にリアルなマーケットの方が大きいです。
ネットの口コミは店でいうテスターの代わりだと思っています。人が使った感想を、自分が使った感想に置き換えられれば、ある程度、使用した時の想像がつく。その口コミが信ぴょう性のあるものであれば、より購入の後押しとして機能するのではないかと思います。
■大学生へのメッセージ
以前働いていた船井総合研究所の創業者が、伸びる人の3大条件として、素直、プラス発想、勉強好き、の3つを挙げていて、私自身もその通りだなと思っています。中でも特に「素直」という要素が大事だと思います。凝り固まった思いではなく、いろんな人の話を聞いて吸収することを学生のうちに経験してほしいです。
誰しも「早く成功したい」と思いがちですが、いつどうなるのかなんて良くも悪くもわかりません。若いからこそいろんな人がいろんなことを教えてくれるので、それを素直に吸収することが大事なのです。きっとその後に、成功はついてくるんだと思います。
私自身も、もともとは大きいビジョンを持っていたわけではありません。ただ目の前にあるやらなければならないことや、自分がやった方がいいものに対して結果を出し、期待してくれている人に喜んでもらおうと頑張ってきただけです。
ただ、結果を出すために、多くの人から様々な話を聞き、吸収してきました。若いうちにその訓練ができてよかったと思っています。
ときには挫折することもあると思います。でも、大切なのは失敗しないことではなく、次に失敗しないように頑張ろうと思えることです。その想いを忘れず、ぜひいろんなことにチャレンジしてください。
学生新聞オンライン2022年11月10日取材 法政大学2年 佐伯桜優
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