八村倫太郎 “二兎も三兎も追っていい” 何事にも一所懸命がかっこいい

俳優・アーティスト 八村倫太郎(はちむらりんたろう)

■プロフィール

1999年7月28日生まれ。神奈川県出身。ホリプロ主催の「Star Boys Audeition」にてWATWING(ワトウィン)のメンバーに選出され、2021年9月にトイズファクトリーよりメジャーデビュー。
個人としては同年「ホメられたい僕の妄想ごはん」(テレビ大阪)で俳優デビュー。現在ファンクラブ限定ツアーを開催中。

ダンスボーカルグループWATWINGのメンバーであり、ドラマ『君の花になる』に8LOOMのメンバーとして出演するなど俳優としても活躍している八村倫太郎さん。その活躍の裏には強い信念と積み重ねてきた努力があった。そんな彼のこれまでの生き方や今後の展望、役者とアーティスト活動の両立についての想いなど熱く語っていただいた。

幼い頃から目立ちたがり屋で真面目な性格というのは一貫しています。前に出たがるタイプで、学級委員や応援団長など、○○長というのは全部やったし短期留学にも挑戦しました。前に出ているのに学業と両立しないのはダサい、部活もしっかりやって結果出さなきゃダサいと思っていたので、何事も一生懸命やるという学生生活でした。努力することがかっこいいという気持ちがあったんだと思います。
もちろん苦労もありました。小学校で転校した時は、なかなか新しい環境に馴染めずギャップに苦しんで辛い想いをしました。でも最後は「転校してきたんだっけ?」と言われるまでになりました。そこで、頑張った分だけ周りも応えてくれるということに気づいたのかもしれません。周りに恵まれていたから、挫けずに頑張れたのだと思います。家族にもとても感謝しています。姉が僕の人生の道しるべであり、母も自分がやりたいことを肯定してくれるタイプだったので、とても支えになっていました。

■ヒーローへの憧れと見出した可能性

僕はずっとヒーローが好きでヒーローになりたかったんです。母が「倫太郎ならなれるよ」と肯定してくれていましたが、夢を見させつつも現実的な助言もしてくれました。いろいろと考える機会があり、「テレビ画面の向こうに行きたい」「キャーキャー言われたい」という気持ちもあったことから、次第に“芸能界に入らなければ!”という意識を抱くようになりました。
ただ、中学高校は部活や行事などやりたいことは責任を持って行動していたので、活動することは考えておらず、大学生になってからようやく本格的に芸能界に進むことを考えるようになりました。それまでは、憧れつつもあまり芸能に繋がることをやっていなかったので、芸事に触れてみたいと思い、大学でダンスを始めました。
いろんな挑戦ができるのは「大学生までだな」という想いもあり、自分の引き出しを増やしたくて慶應義塾大学に入ったので、大学生活では自分自身が成長することを目標にしていました。この先、芸能以外のことがやりたいと思った時にも活かせるかなと。
その一方で挑戦したのが、様々なオーディションです。当時は歌やダンスは無理でも、役者ならなんとかなるんじゃないかと思っていたんです。もちろんそんなに甘くはなく、上手くいかないことの方が多かったですけどね(笑)。この頃『キセキ-あの日のソビト-』を見て菅田将暉さんに憧れて、「自分のやりたいことを体現している人がいる」と勝手に背中を押されていました。

■自分の表現一つで見てくれる人の心が動くこと、それが至上

僕自身、最近まで音楽で明確に感動した体験がなかったんです。興奮の方が大きくて、“嫌なことを忘れさせてくれる”“楽しい存在”と思っていました。ですが、この前Vaundyさんのライブを見た時、これまで経験したことのない感情が湧き出て、気付いたら号泣していたんです。それまでは、「自分達の音楽を聴いて感動した」という声をもらうのは嬉しいけど、いまいち実感が沸きませんでした。ただ、自分が初めてよく分からない感情に襲われたことで、「ステージの上でしか届けられない、言葉に出来ない感動があるんだ」ということを身を持って理解しました。
以来、届けられる幅が広がった気がして、改めて、アーティストとしてもっと頑張りたいと自覚するようになりました。
昔、芸能界に憧れたのは「キャーキャー言われたい」「やりたいことをやりたい」といった想いからだったと思います。しかし、いろんな経験をさせていただく中で本質的な素晴らしさに気が付きました。
今は“自分の表現で誰かの心が動く”ことが大きなやりがいですし、目標です。表現が届いて相手の心が動いて、泣いたり笑ったり、元気になったり、嫌なことを忘れたり。何でもいいんです。その人の何かになってくれれば嬉しいです。
“表現”という点においては同じですが、アーティストと役者は明確に違うものだと思っています。役者は八村倫太郎ではダメで、自分ではない誰かになるから伝えられることがある。逆にアーティストは八村倫太郎でしかなくて、八村倫太郎として存在することに意味がある。役者として、アーティストとして、それぞれ届けられること全然違うんだと最近改めて気付かされました。だからこそ、両方できる機会を頂けて幸せだなと思います。

■個人の仕事に全力を尽くすことがWATWINGの活動に繋がる

『君の花になる』はWATWINGを背負ってやろうと意気込んでいました。だからこそ、8LOOMとWATWINGを比べてしまうこともあったし、自分がよく分からなくなることもありました。でも結局は、「自分がどれだけ信じているかが大事だ」と気付いたため、途中からはあまり意識しないようにしました。“グループのため”と考えすぎたら自分を縛って動けなくなってしまうので、今は目の前の活動を全力でやろうと。そもそも8LOOMの中で自分が一番知名度が低かったので、この強烈なメンバーの中でどう存在感を出そうかということに必死でした。グループのことは信頼しているメンバーに任せて、自分はとにかく頑張って、光が当たればグループも注目してもらえると信じてやっていました。それが結果として現れている実感があるので、ひとつの自信に繋がっています。
数字など目に見える評価は努力の結果としてとても分かりやすいので意識していますが、“心を動かす”という自分の目標が達成出来ていたら、結果的に数字にも影響していくと思うんですよね。だから、自分の信念を貫いて目の前のことを一生懸命頑張りたいとこの作品を通して感じました。

■“置かれた場所でどう咲くのかは自分次第”

“置かれた場所で咲きなさい”という言葉がありますが、咲くのは当たり前で自分がどう咲きたいのかを考えていたいと思っています。どこでどんな花を咲かせるのかに正解はないし、その花の見え方も見る人によって違う。役者、アーティスト、バラエティなどいろんな自分がいるけれど、自分なりに整理して向き合うことを大事にしていきたいと思っています。
どんな場所で咲くのも大切なので今後は何でもチャレンジしたいです。特に役者としてもっと挑戦していきたいという想いがあります。自分が演じるからこその味もあると思うけど、八村倫太郎としての影を残さず、作品の一部として作品に溶け込みたいという想いがあります。だから、出演した作品を見て、見た人の心が動くことが役者としての目標です。
そしてなにより、自分自身や作品を知ってもらいたいです。知られないと出来ないことがたくさんあるので、まずは知ってもらって選択肢を広げていきたいです。そのために今はいただいたものを精一杯頑張っていきます。
WATWINGとしては、開催中のファンクラブツアーで来ていただいた方に「WATWING最高!」と思ってもらえることが今の目標です。そのためにパフォーマンスに全力を注ぎ、イベントをこの上なく良いものにしていきたいです。いつか海外チャレンジしたいという想いもあるのでより一層頑張ります。

■大学生へのメッセージ

大学に行く・行かないも、何をするのも自由で、人生には選択肢がたくさんあると思います。僕も大学生になっていろんなことにチャレンジしました。何でも挑戦できるのが大学生の醍醐味なのでやりたいことを思いっきりやってほしいです。サボろうと思えばサボれるし、頑張ろうと思えば頑張れる、サボったとしてもそこから成長出来ることもある。
そんな貴重な期間なので、存分に謳歌してください。ただ大人にならないといけない時期ですし、自由は責任が伴うことを心に留めてほしいと思います。
夢や可能性が爆発するところ、大事なのは熱中することだと思います。何事も適当は良くない!是非全力で取り組んでください!

学生新聞オンライン2023年3月27日取材 上智大学4年 八木彩花

上智大学4年 八木彩花 / 慶應義塾大学3年 伊東美優

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