ジオテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 杉原 博茂
「位置情報と人流データ」で、「XR世界の創造」を目指す
ジオテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 杉原 博茂(すぎはら ひろしげ)
■プロフィール
日本オラクルで企業時価総額を 2.3倍の1 兆 3,000 億円達成に導き、日本ヒューレット・パッカード合同会社では業績V字回復など、IT業界のリーダーとして実績を残す。日・米・グローバル経営とデジタル・トランスフォーメーションに精通。
2021年6月に当社へ入社、代表取締役社長 CEOに就任。
同年12月より東北大学グリーン未来創造機構 特任教授(客員)も務める。
大学時代のアメリカ留学で起業家になる夢を抱いてからの軌跡や、日米のデジタル企業の変革を起こしてきた杉原博茂社長が、“ラストフロンティア“と呼ぶ位置情報と人流データで描く未来とは。企業変革における具体的施策まで幅広く伺った。
高校時代はラグビーと軽音楽部に所属していて、大学時代は父親から「アメリカ留学してこい」と言われ、渡米しました。国連職員などのグローバル人材になってほしい、その一番の近道としてアメリカを見て来てほしいとの願いがあったようですね。
実際に行ったアメリカで待ち構えていたのは、自分のアイデンティティとの直面です。一体、君はどこの誰で、どこから来たのか?という事。また、自分は本当に何がやりたいのかという事。同じ年代の異国人と学生生活を送る中で、サラリーマンになると思い込んでいた自分の価値観がガラッと変わり、大きく2つの気づきを得ました。
1つ目は、海外で勝つためにはまず日本を知ること。母国のことを何も語れないと、中途半端な人間になるなと思ったのです。異国人に自分のアイデンティティは日本人だと言える人間でなければ勝てないとね。
2つ目は、食物連鎖の頂点は起業家であること。アメリカでは政治家を選ぶのは市民であり、弁護士や医者をクライアントとして使うのは起業家でした。自分で会社を作った方が良いという帰結の下、卒業証明は要らないと感じて大学を中退しました。
帰国後は、資金を得つつ起業の勉強ができる会社を探し、電話通信機器・OA機器販売商社のフォーバルに入社しました。デジタル技術の走りであるコンピュータの台頭をアメリカの大学で学び、日本でも通信革命が起こると感じていたからです。
大きなターニングポイントは、フォーバルが日本で最短で上場した際、責任者としてアメリカでの会社設立に携わった時ですね。何百回も失敗を重ねて、会社設立・販売店網構築・テクノロジーの輸出ができたことは大きな経験になりました。その次に働いたのが、EMCという基幹系のデータを貯めるストレージ会社です。通信とはA地点からB地点にデータを渡すことだと合点しました。その後、日本HPを経て、アメリカの大手データベース会社である日本オラクル社長CEOに就任しました。
そして、2021年からジオテクノロジーズに参加しました。同社は日系企業ですが、まだまだ夢も希望もあるから、全く新しい会社に再生して大きく成長させてほしいとの声を頂き、賛同しました。
■「NFTアート」と「XR世界」の潜在的可能性
デジタル業界に長くいる中で見えてきた、今後大きく伸びるラストフロンティアは「位置情報と人流データ・デジタル地図」です。これを唯一持っている日本企業が当社であり、あと数年で上場する準備をしています。日本国内だけでなく世界展開を進めており、今年から世界7か国でその事業を始めています。
昨年、メタバース事業部を新設し、デジタル地図を扱う業界初の位置情報を持つNFTアートを世界に向けて販売し、即日完売しました。NFTアートとは、ズバリ「エモーション」です。個人にとっての宝は、100人100通りです。当社は、従来において現実世界でしか手に入らなかったトレーディングカードやペナントのようなお宝をデジタルデータにして「エモーショナルな心に響くもの」を提供します。その先に僕らが目指すのは、「XR:バーチャルとリアルの融合」です。簡単に言うと、メタバース世界と現実世界をブリッジして行き来できる世界観を意味します。
今のメタバースはゲームなので宙に浮いていて、現実には無い世界です。そこに人、モノ、車、建物がどこにあるかという位置情報を持つ現実世界の景色を生き写すことで、人の流れがわかるバーチャル世界を創る。モニターにはみなさんのアバターが入り、六義園の桜を見に行きたくなれば行くことができる。さらには、ニューヨークにいても六義園に行くことができる。足の悪い人が日光に行きたいと言えば行くことができるのです。このように、バーチャルとリアルの融合は、遠隔医療・物流・金融など様々な業界業種で活用できると考えています。
■「杉原式」企業変革で組織力強化へ
当社の企業変革に向けた施策としては、主に4つあります。
1つ目は「フラットな組織作り」です。フラットを求めるのは、階層が多すぎると効率が悪いからです。例えば、以前僕がいた企業は世界32万人もの社員がいて、一人の出張に12人の稟議書を通じて決裁をとります。これではスピード経営ができません。フラットにすることで、タレントのある有能な人を見いだすことができます。
2つ目が「抜擢人事」です。「絶対この人はまだ若く、役員は無理だろう」という人を役員に抜擢しています。若くとも、抜擢することで、その役割を実行し成果をあげることができるようになるのです。また、社員にやりたいことを聞き、個人が得意な分野ややりたいポジションに配置することで互いにwin-winな関係づくりをしています。
3つ目が「業界初のTCE(トータル・カスタマー・エクスペリエンス)事業部の新設」です。中立的な立場でお客様の所に足を運び、弊社との関係上における良い経験・悪い経験を聞き改善することで、顧客体験・満足度向上を目指す部隊です。
4つ目が「社内憲法GT PRINCIPLESの策定」です。例えば、第1条の“Love Our Customers”は、お客様を愛するがためにダメなことはダメだと言うこと。つまり、お客様が間違った方向に進んだ時はそれを正すことができるほどの関係性を構築する事が真の愛であることを示しています。その他全10条を掲げる当社が求む人材は、「クレイジーでも失敗を糧にしてめげない人」です。つまり、正解のない現代で、固定概念に囚われずアドベンチャーのような冒険がしたい人や常に面白い事を考えている人、現実と仮想を股にかけて仕事がしたい人と一緒に仕事がしたいですね。さらに言えば、何事にも食ってかかるような「アニマルスピリット」を持つ人がいい。滅多にいないかもしれませんけどね(笑)。
■大学生へのメッセージ
現在、インターン募集中なので是非ご連絡ください!メタバース・位置情報・デジタル地図やNFTの世界に興味がある人はぜひ。あとは、トリマをダウンロードしてください。一見、単なるポイ活アプリですが、ここから得られる人流データは世のため人のためになるし、今後必ず良いことがあります。どうぞよろしくお願いいたします!
<インターンお問合せ先 recruit_newgrad@geot.jp>
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学生新聞オンライン2023年3月27日取材 専修大学3年 竹村結
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