株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 代表取締役社長 松本 清雄
ブレずにやり続ける強さを基盤に、美と健康を届ける
株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 代表取締役社長 松本 清雄(まつもと きよお)
■プロフィール
1995年6月、マツモトキヨシ入社。その後、2005年6月、取締役商品部長等を経て2011年4月、マツモトキヨシ代表取締役社長。2013年4月、マツモトキヨシホールディングス代表取締役副社長経営企画管掌兼営業企画・商品統括管掌。2014年4月、代表取締役社長、マツモトキヨシ代表取締役会長。2021年10月、マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役社長(現任)、マツモトキヨシグループ代表取締役社長(現任)。
「マツキヨ」でお馴染みのドラッグストアグループに関する戦略策定や実行支援、経営管理を担うマツキヨココカラ&カンパニー。誰しもが一度は訪れたことがある、圧倒的知名度を誇るマツキヨの成功の秘訣とはなにか。代表取締役社長である松本清雄氏に自身の経験と会社の今後の展望についてお話を伺った。
私はあまり勉強が好きではなかったので、勉強する時間があるくらいだったら、仕事してお金をもらう方がいいなと思い、早くから働き出しました。
初めは、自動車整備の仕事をし、次にスポーツクラブで働き、1995年にマツモトキヨシに入社しました。当時は新卒以外は採用しないというような方針があり、1年間アルバイトとして働いたら社員にするとのことで当時のホームセンターで働き始めました。1年以上働いても待遇が変わらないので聞いてみたところ、既に正社員になっているものと思われていて、実際に正社員になるまでには2年近くかかりました(笑)。
社員になってからは、ドラッグストアの医薬品や日用雑貨などを担当し、副店長や店長を経験しました。その間には、化粧品担当の女性が産休を取る期間があり、メイクのセミナーに参加したこともありました。いろいろな職務を経験し役職が上がるにつれ、責任も増えていくので現場と本社との板挟みになることも多くありました。ただ、現場を経験したことで、これは上司になったらやらない方が良い、ここは変革しなければダメだなどと気づくようになりました。そして今できること、将来できるようになることを整理して考えられるようにもなりました。
そうした経験があるからこそ、変えるべきところは変えようとして今の会社があります。私が社員になった頃のマツキヨは他社と比べると時給は低く、重たい商品の品出しを少ない人数で行うため女性が働きにくい職場でした。また、休みの日も疲れが溜まって趣味の時間がなかなか取れないといった環境でしたが、そこからいろいろと改革を進め、今では週休3日を選択できる制度も導入しています。
■強さは継続する力から生まれる
マツキヨの強みは、美と健康です。この点をブレることなくやり続けることが大切です。平均寿命が伸長するなかで、美しく健康な毎日を送ることができる健康寿命を延伸することに貢献するのが当社グループの役割です。そのためには、収益性の伴った全てのステークホルダーにとって有益な会社にならなければなりません。売上の規模だけに固執すると、利益が取れなくなりバランスが悪くなってしまいます。私が社長に就いたときは、そのバランスを良くすることを意識しました。
たとえば、売上を取りに行こうとすると、新しいことをしたくなります。マツキヨも初めは薬局だけでしたが、スーパーやコンビニ、本屋や美容室、ホームセンターも作ったりしました。しかし、今は化粧品、医薬品、調剤を中心としたドラッグストアに経営資源を集中し、各種の戦略を推進しています。
それは「お客様のために同じことをやり続けるところに力強さが生まれ」、「周りの企業が他のことをやっていても流されずに自分たちの信念を貫くことが大切」という祖父松本清の教えが生きています。
■情報を集め、解析し、商品提供につなげる
小売業は同質化し、どこでも同じものが買える状況です。だからこそ我々のグループでしか購入できない商品やサービスを提供することが差別化につながります。従って、今
は生活者の皆様の一番身近な1店舗ごとに強くなくてはならないので、トップダウンではなく、ボトムアップの経営を推進しています。現場から上がってくる情報、お店が必要だと思っているものをプライベートブランド商品として商品化し、お客様に参加してもらう商品開発も行っています。9歳の女の子の夢を叶えた「matsukiyo 指にまきやすい絆創膏」という画期的な商品が発売されました。
さらに、当社はデジタル広告も強みなんです。Google さんと当社のデータを合わせて、広告をどこに出せばいいかを見出し、効果の少ないものには放映しない。また、その広告によってお客様が商品を買ったかどうかの購買データが採れるので、テレビCMを流すよりも分析しやすく、その効果もわかりやすくなっています。
これからは、買う楽しさや探す楽しさを提供して行きたいと考えています。そこから、皆さんがきれいになったとか健康になったとかいう喜びが生まれてくるといいなと思います。海外にも出店していて、海外から面白いモノを見つけて来たいとも思っています。「アジアだったらどこに行ってもマツキヨがあるよ」となるにはまだまだ時間がかかりそうですが、夢はあります。
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夢や目標を持つことが大事です。経営もそうですが、人生は目印のない海の上に出て、どこかへ向かっていく船長のようなものです。真っすぐ進んで行くかもしれないし、同じところをぐるぐると回るかもしれない。大切なのは、自分で目的地を決めることではないでしょうか。
もう一つ、感情のまま怒らないことです。怒られた人は覚えていても、怒った人はそのことを覚えていない。嫌な雰囲気のまま一緒にいるのだったら、怒らない方がいいはずです。我慢する忍耐力や人を許す力が必要です。円満な人間関係を構築するよう努力し、怒ることも怒られることもないようにしてくださいね。
学生新聞2023年10月1日発刊号 慶應義塾大学2年 松坂侑咲
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