株式会社サンウェルズ 代表取締役社長 苗代亮達

他と違うことをする。それが成功の鍵。

株式会社サンウェルズ 代表取締役社長 苗代亮達(なわしろりょうたつ)

■プロフィール

1973年7月20日 石川県生まれ。2001年に株式会社アイテムを起業。2006年、株式会社ケア・コミュニケーションズ(現:株式会社サンウェルズ)創立し、介護施設の運営を開始。その後2011年介護施設運営会社2社を吸収合併し現在の株式会社サンウェルズへ商号変更、代表取締役社長に就任。2018年に現在運営の軸となる『PDハウス』事業を開始。

従業員1人の小さな会社から上場を果たした株式会社サンウェルズ。その代表である苗代亮達氏は、高校中退からの大学受験を成功させるも腎臓病に罹り、大学中退を迫られた過去を持ちます。しかし、そこから新しい介護のあり方を確立した経緯と介護業界の最先端を伺いました。

高校時代は地元・石川県でサークル活動に明け暮れていました。やんちゃで、勉強もせず、3年の時に高校を中退し、いろいろな仕事を経験しました。18歳か19歳の時に「大学に行きたい」と思うようになり、大検(大学入学資格検定)を取得するため、通信制の高校に通いました。大検を取得した後は、予備校に入り、なんとか埼玉県の大学に入学できました。しかし、入学してすぐ腎臓病に罹ってしまい、治療のため長期で入院することになりました。大学休学の費用もかなり高額だったので、入ったばかりの大学を中退することにしました。高校中退、大学中退と面白い経歴になりましたね(笑)。度重なる入退院と治療を繰り返し、25歳の時に専門家の治療を受け、今ではほとんど症状はありません。手術で摘出したので、腎臓は6割程度しか機能していませんが、ゴルフ、キックボクシング、マリンスポーツなども楽しみ、なんの問題も無く生活しています。

■周りに迷惑をかけたくなくて起業

25歳まで腎臓病の影響で社会に出ることはできませんでした。病気のことで周りに迷惑をかけたくなかったので、起業して、1人で細々と働くことにしました。どんな分野で起業するかを考えたとき、病気や障害を持つ高齢の方に、自分の長い入院経験が役に立つのではないかと思い、介護を選びました。また、日本には2000年4月に介護保険ができ、介護認定を受けた方のご自宅に手すり設置などのバリアフリー工事を行うと、国が9割負担してくれるようになりました。しかし、工事の上限金額は20万円と少額なので、小さい規模の工事しかできないとの問題もありました。「手すりをつけるくらいなら自分でもできる」と思い、バリアフリー専門の工務店を創業しました。4〜5万円の小さな仕事ばかりを相手にしていられない普通の建築屋さんと差別化するため、小さな工事でも一生懸命やるように心がけた結果、たちまち仕事が増えていきました。そのうち1人では仕事が回らなくなり、最終的に10人くらいまで社員を雇いましたね。

■人と同じことをやっていては成功できない

事業が大きくなってきたある日、「介護施設もやってみないか」というお話をいただきました。当時の介護施設は収容所のような場所が多かったのですが、たまたま富山県で見学した古民家を利用したデイサービスがアットホームで雰囲気も良かったので、その施設を参考に石川県で初めての古民家デイサービスを開始しました。その後、デイサービスに宿泊やリハビリなど新たな要素を加えたサービスを開始しました。人と同じことをしては成功しない。だから、人がやっていないことが何かを常に考えていました。その時に施設の利用者様の中にパーキンソン病の方が30名ほどいたのですが、どの方も施設に入ると病状が悪化することに疑問を抱きました。そこでパーキンソン病に特化した施設を思い付き、地元で建ててみたら、とても大きな反響がありました。自分が闘病した病気が、腎臓の専門医と出会い回復したことから専門医の重要性を強く意識していました。脳神経内科の専門医が訪問診療してくれるパーキンソン病に特化した施設が国内外になく、世界的に認められる可能性があるなと思い、専門のドクターと一緒にサービスを考え、論文も書いていただきました。さらに、職業として介護業界は不人気の業界なので、上場してブランド力を上げれば、業界を盛り上げることもできます。規模を大きくするためには採用が重要ですが、介護業界は不人気なので人材が集まりにくい。だからこそ、上場して、営業や利益管理まで徹底することで、事業自体を底上げ式に強くすることを意識しています。

■なぜ介護業界には特化型施設が少ないのか?

2000年に介護保険ができた頃は、高齢化も進み、施設を作れば集客しなくても人が入ってくる状況でした。しかし、最近になり、競争が厳しくなって、倒産する会社まで出てくるようになりました。以前のような状況からこれまでやってきた企業は、差別化の仕方や採用方法が分からず、業界全体としてビジネス面で出遅れているのが業界の現状です。当社の施設運営の方針としては国内で一般の介護施設に入っているパーキンソン病の方は約4万人もいるので、他の病気に特化した施設は今まだ考えてないですね。会社の体制も整えて、出店数も増やしてはいますが、1店舗建てるにも億単位の費用がかかり、60〜70人近い従業員が必要になるので、まずはパーキンソン病の方に一生懸命向き合っていこうと思っています。よりクオリティの高いサービスを届けるため、施設では『ホロメディスン』という3D遠隔治療を可能にする実証実験を始め、多くの人が手軽で正確な診療を受けられるようなサービスづくりに取り組んでいます。

■大学生へのメッセージ

最近の学生は非常に優秀な人が多いように感じます。それこそ情報がたくさんあるので、知識も得やすいはず。これからはそういった知識を活かして、世界でチャレンジしていってほしいと思いますね。あとは、どんどん稼いでいってほしいですね。「車も服も安くていい」みたいな人が少し増えてきているので、欲を抑えずに、それでいて迷惑をかけずに成功していってほしいと思います。

学生新聞オンライン2023年月日取材 立教大学4年 須藤覚斗

武蔵野大学4年 西山流生 / 国際基督教大学1年 渡邊和花 / 立教大学4年 須藤覚斗
 

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