Square エグゼクティブディレクター 野村亮輔

スピード感ある決済システムで、中小企業の成長力を支えたい

Square エグゼクティブディレクター 野村亮輔 (のむら りょうすけ)

◾️プロフィール

NTTデータでリテール業界のDX戦略立案を担当。Apple JapanではApple Payの事業統括責任者として、ユーザー獲得や新規事業に携わる。2022年に参画したSquare株式会社の取締役として事業戦略統制を図り、決済プレーヤーとのパートナーシップ機関を管掌する。米ダートマス大学で経営学修士(MBA)、早大法卒。

誰もが販売や決済を手軽に始められるよう、商取引に必要なツールを取りそろえているSquare。同社のエグゼクティブディレクターの野村亮輔さんは、弁護士を目指して大学へと進学したが、学生時代は「大学の外での学び」こそが人生を変えたという。そんな野村さんに、今回はご自身の学生時代から事業にまつわるお話を伺った。

◾️中小企業の事業を成長させたい

 弁護士になりたいという夢があったので、大学は早稲田大学法学部へと進学しました。しかし、いざ入学してみると、大学内より大学の外で得た経験が、いまに繋がっていると感じています。

 当時から洋服が好きで、よく原宿など買い物に行っていた過程で入手したものをオンラインオークションサイトなどを利用して国内外に販売していたのですが、時に購入価格よりも高い金額で売れることがわかりました。そのような過程で、手に入りにくさや、良いものなのに知らなかった、といったギャップをうまく掴めばそれが金銭的価値となり、それを繰り返すことで規模も信頼も膨らみ商売というものが生まれるのだということを実体験で学びました。また、それまでは良い大学に入って良い会社に入ることが一般的な進路だと考えていましたが、人々が支持するファッションブランドのデザイナーが必ずしもそういう進路をとっているわけでもなく、「実は世間一般的に良いと言われるものに囚われたりこだわったりする必要がないのだ」と気が付いたのです。

 この気付きが人生の分岐点となり、弁護士を目指すことよりも世の中で自分自身が面白いことをやりたいと強く思うようになりました。就職活動も様々な業界に挑戦し、最終的にはNTTデータという会社に入社しました。入社した理由は、すでに成長した会社より、これから成長する会社で活躍する方が面白いと感じたから。また、この会社なら自分の得意な英語を生かせるのではと思ったのも理由です。

 入社して、ビジネスサービスの提案をする営業をしていく中で、「与えられた仕事こなすことより、自分で戦ってシェアを獲得する方が面白い」と感じました。そして、一つの会社にとどまらず挑戦の幅を広げていきたいと考え、Appleを経て、2022年秋からSquareに入社しました。

 Squareを選んだ理由はいくつかありますが、最大の理由は「中小企業の事業を成長させたい」という想いです。Apple在籍時、私はApple Payなど支払い側に向けたサービスを担当していました。しかし、これらのシステムは、事業者向けのイノベーションが少ないと感じていました。また、大手企業に比べて、中小企業やこれから新規で事業を始める方にとっては、決済サービスの導入は、コストへの懸念やリスクが大きく、導入をためらう会社も少なくありません。でも、決済サービスを中小企業がもっと効率よく安く導入できれば、成長する可能性はもっと高くなるはず。その手伝いをしたいと思ったことから、決済サービスを軸にさまざまな商取引に必要なツールを提供するSquareを選びました。

 Squareの事業の魅力は、キャッシュレスの決済サービスを、決済手数料のみでスムーズに受けられる点にあります。他に隠れたコストがないことも特長です。登録はオンラインで全て完結する上、最短で申し込み当日から決済が可能になります。売上金も最短で翌営業日に入金されます。スピードが速ければ速いほどに事業を早く回せるので、中小企業の方々が事業を拡大する上で、大きなアドバンテージになると思います。たとえば、中小企業の方々がポップアップストアなどを出す際、施設を作るだけで手いっぱいになってしまい、決済の準備は後手になりがちです。スピード感があるからこそ、そうした最後の局面にすぐ使える決済手段として活用できるのが、Squareの強みだと思います。

◾️これからもSquareが成長するために

 Squareは、どこまでも事業者の目線に立ったサービスでありたいと思います。弊社は大手企業ではなく中小企業を中心に展開しているので、大手とは違うニーズがあります。それに対してどこまで親身になれるか、プロダクトの値段以上の付加価値も届けるかを常に考えています。一番望んでいる在り方としては、弊社の存在がお店全体の雰囲気作りにつながることです。理想をいえば、「Squareをお店に置くとなんかかっこいいよね」と言われるようになりたいです。

 なお、Squareが求めるのは、自分の考えを持ち、さらにそれを体現したいとチャレンジできる方々です。弊社はフラットで年齢問わず発言でき、その意見を届けられるような環境です。発言内容がしっかりしていれば、その人の声は大きくなり、会社全体の大きな流れになります。そんな方が増えることが、会社として強くなる必須要素だと思います。

◾️message

 「お金持ちになりたい」などの願望があったとしても、焦らず、まずは好きなものを本気で取り組んでほしいです。アルバイトでも、遊びでも、趣味でも何でもいいのですが、やるなら本気でやることが大事だと思います。また、自分はなぜそれに打ち込むのか、何が好きなのか、それによって何を目指したいのかを常に考えながらやることで、大きな学びに繋がります。

 そして、勉強はぜひ続けてください。ただ、勉強といっても座学だけをイメージしないでほしいです。私は学生時代に服を探す中で、自分なりの商売に対する定義の発見につながる経験をしました。最後に、一般的に良いと言われている概念には囚われないこと。今後、お金の稼ぎ方や生活様式は様々な形が誕生するはずです。多様性のある社会だからこそ、人に言われたものをやるのではなく、自分の信じるものを貫いてほしいです。

学生新聞オンライン2024年1月26日取材 日本大学2年 米満光里

慶應義塾大学4年 伊東美優 / 國學院大學1年 寺西詩音 / 上智大学2年 白坂日葵 / 日本大学2年 米満光里 / 武蔵野大学4年 西山流生

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