株式会社はるやまホールディングス 取締役会長 治山正史

ビジネスウェア業界のチャレンジャーとして、歴史に名を残す!

株式会社はるやまホールディングス 取締役会長 治山正史(はるやままさし)

■プロフィール
1964年岡山県生まれ。89年立教大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。94年ニューヨーク駐在から帰国後、家業のはるやま商事(現・(株)はるやまホールディングス)に入社。2003年社長に就任。「はるやま」「P.S.FA」「フォーエル」などビジネスウェアを中心としたアパレルチェーンを全国に展開。

ビジネスウェア業界の最大手の1つであるはるやま。その特徴は、とにかくチャレンジャーであり続けることだ。これまでも業界を超えた企業とのコラボで、人々の想像を超えるたくさんの挑戦を行ってきた。そんな、好奇心とチャレンジ精神旺盛な治山正史会長にお話を伺った。

小学生の頃、卒業アルバムに「ノーベル賞を取りたい」と書きました。この夢のきっかけは、「正しい歴史」という意味を持つ「正史」という名前をつけてもらったことです。幼い頃から「歴史に名前を残せ。虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」と言われてきました。
様々な夢を抱きながら大学生になり、「歴史に残る映画を製作したい」と考え、映画サークルで所属し活動していました。また、仕送りがなかったため、スタジアムでのアルバイト、交通量調査、ゴルフキャディー、レストラン勤務、お茶の訪問販売など、数多くのアルバイトをこなしていました。ネタ集めや好奇心を満たすために、興味を持ったことには何でも挑戦するように意識していたと思います。
そんな中、先輩社会人が授業をしてくれる社会人授業で、伊藤忠商事の方が商社マンの面白さやポジティブな側面についてお話ししてくれる機会がありました。その中で、海外に大きな雇用を生み出し、工場を作ってきたというお話がありました。そんな「自分の生きた証」を残せるような仕事に携われるのだと知り、幼いころからの夢でもある「歴史に名を残そう」と決意し、伊藤忠商事に入社しました。

■歴史に名を残すには

伊藤忠商事でこのまま働き続けるつもりでしたが、時間軸で考えた時にふと、名を残すためには実家に戻る方が早いのではないかと考えるようになりました。ちょうど、家業であるはるやまが上場を目指している時期で、父からの要望もあり会社を辞め、はるやまに入社しました。入社後は、上場プロジェクトの一員となりました。そのプロジェクトを通じて会社の隅々まで知ることができたのは、とてもラッキーだったと思います。
その後、前社長である父の退任を機に、社長に就任しました。この経験で学んだのは、No.1とNo.2の差は、新入社員と副社長の差よりも大きいということです。それまでの実務経験から、社長職をこなせると思っていましたが、実際に就任してみると、自分のハンコ一つで会社の未来が左右されるという責任の重さを実感しました。

■ビジネスウェア業界でのチャレンジャーとなる

ビジネスウェア業界は差別化が重要です。皆さんも他のスーツメーカーとの違いがわからないように、はるやまに入社してすぐの僕もわかりませんでした。そこで、他社が行っていなかったビジネスシューズの販売を、靴メーカーと共同で始めました。さらに、レディーススーツの販売も雑誌とコラボレーションして展開し、業界に新しい風を吹き込みました。そのほか、足袋屋とコラボし、体が疲れない靴を開発するなど、世の中にないものをどんどん生み出すことを意識しました。また、北京オリンピックでは、オフィシャルパートナーとして着心地の良さやシワになりにくさをを追求した式典用・渡航用ウェアを提供するなど、革新的な取り組みを行いました。
衣食住の中で、食は添加物がないものなど体にいいもの、住は、枕やベッド、マットレスなど、体によいものがあります。しかし、「衣」に関しては、健康や体に良いかどうかで選ぶことはあまりありません。私が衣料は食と住と同じくらい大切だと考えるようになったのは、東日本大震災がきっかけでした。多くの店舗が被災し、それまで見た目でお客様の幸せに貢献したい思っていましたが、本当に大切なのは命や健康だと気づいたのです。
そこから、健康を軸に3つの宣言をしました。
1、体にいいものをつくる。2、健康ステーションをつくる。3、スタッフの健康を実現する。
これに基づいて、新商品の開発や健康をサポートする製品を店内に配置する取り組みを進めています。
これからも業界を越えてコラボレーションを行い、スピード感を持って挑戦を続けていきたいと考えています。特に、「健康」と「服」を結びつけ、さらに介護の現場で必要とされる服や、体に良い服を展開していきたいと考えています。
僕個人としては、これまで繰り返し伝えてきたように、自分の生きた軌跡を残したいと考えています。一気に世の中を変えるような大きな改革でなく、ワイシャツやスーツの固定概念を一つひとつ変えることで、新たな常識を生み出していきたいと思っています。
これからのはるやまのチャレンジのために、明るく元気な人と働きたいです。元気な人は、まわりを元気にすることもできます。そして、好奇心を持ち続け、自分をブラッシュアップし続けるような人は魅力的です。チャレンジできる環境なので、起業したい人にもおすすめだと思います。

■大学生へのメッセージ

僕が言いたいことは4つあります。1つ目は、「学生時代に親友を作れ!」ということです。たった一人でいいから、何でも相談できる、自分以上に相手のことを思いやれる人を見つけることをお勧めします。
2つ目は、「尊敬できる人を作れ!」ということです。歴史上の人物でもどんな人でもよいです。見つけることで自分が何をやりたいのか、どんな人になりたいのかが分かるようになってきます。
3つ目は、「チャレンジしよう!」です。学生時代はお金はないけど時間はあり、社会人は時間はないけどお金があります。だから、時間の許す限り、背負えるリスクは負って好奇心に蓋をしないように、どんどんチャレンジしてください。
最後は、「折れない心を培う!」ことです。ほぼ60年間生きてきて分かったことは、大抵のことは、心が折れなければ、なんとかなります。だからこそ、若いうちにたくさんのチャレンジをして、折れない心を培ってほしいです。

学生新聞オンライン2024年10月16日取材 慶應義塾大学3年 山本彩央里

慶應義塾大学3年 山本彩央里/東洋大学2年 越山凛乃/城西国際大学1年 渡部優理絵/武蔵野大学4年 西山流生

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