レバテック株式会社 代表執行役社長 髙橋悠人
点ではなく線で繋げる人材支援で、「日本を、IT先進国へ。」
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レバテック株式会社 代表執行役社長 髙橋悠人(たかはしゆうと)
■プロフィール
大阪大学を卒業後、2014年にレバレジーズに新卒入社。2年目に大阪支店を立ち上げ、その後、国内4支店の立ち上げや戦略策定を担う支店統括に就任。国内での業務を遂行する傍ら、インド支店でエンジニア紹介事業を立ち上げる。2019年にはレバテックITソリューション事業部部長に就任し、「レバテックフリーランス」の戦略立案や経営管理を担当。2021年より代表執行役社長を務める。
急成長中のレバレジーズのグループ会社として、「日本を、IT先進国に。」というビジョンのもと、幅広い人材サービスを展開するのがレバテック。日本のIT人材不足が課題になっている中、その難問をいかにして解消していくのか。代表執行役社長の髙橋悠人氏に、日本のITに関する現状や企業の魅力についてお話を伺った。
大学生活の中での強い原体験となったのは、大学3年生から4年時に1年間休学してアメリカのシアトルに留学したことです。初めの9ヶ月は現地の学生に混ざって勉強し、残りの3ヶ月はインターンをしていました。シアトルは、マイクロソフトやアマゾンの本社があり、そこで勤めている方々と気軽に話せる機会がありました。当時は、スティーブ・ジョブズが環境への配慮のためにトヨタの自動車を乗っていたこともあって、日本の製造業に対して強いリスペクトの眼差しが向けられていました。一方で、パソコンやアプリは日本のものが少なく、日本のITの遅れを暗に指摘されて悔しかった経験がありました。日本に戻り、大学院に進むか就職をするかで迷ったのですが、就活を1ヶ月ほどして、ベンチャー企業のレバレジーズに入ることを決めました。決め手は、アメリカのインターンを通して、手触り感を持って物事を進められる感覚が楽しいと思ったこと。また、今の日本企業は10年後どうなっているか分からない中で、自分自身で生きていけるようにしたいという就活軸があり、ベンチャーという、色々な仕事ができ、自分の力で作り上げられる環境を選びました。
■日本のIT人材についての現状と課題
レバテックでは、「日本を、IT先進国に。」というビジョンのもと、IT企業と人材を「増やし、伸ばし、繋げる」事業を行なっています。メインの事業は企業と人材を繋げること。具体的には、フリーランスの方と企業のマッチングに加えて、中途採用・新卒採用のサポートを行います。
「伸ばす」という部分は、プログラミングスクールや社会人向けにIT未経験の人が勉強できるようなプログラミングスクールの運営をしています。たとえば、パソコンの使い方がわからない方々向けにDXのコンサルティングをしたり、ソフトウェアの品質管理や品質コンサルを行うクオリティアシュアランス事業も行なったりしています。
そして、課題感の大きい「増やす」という部分は、開発組織を増やしていく取り組みです。
アメリカと日本ではITエンジニアが所属する郡が違うのが特徴的です。アメリカでは8割のエンジニアが自動車会社、ホテル会社などに直接入り、残り1割はITの開発専門の会社に入っています。ところが日本は全く逆で、自動車・ホテルのような企業に2割のエンジニアがいて、8割がITの開発専門の会社にいるんです。実はこれは、IT運用において大きな弊害になっています。なぜなら、アプリのアップデートの際にシステムの会社に依頼すると、すごく時間がかかってしまう。でも、自分達の自前で開発できるように、開発組織を増やしていく必要性があるのです。そのため「増やす」の部分は課題感が大きく、ITエンジニアがいない企業に対してチームを作り、自分達で回していけるように、力を入れようとしています。
私たちは、エンジニアのなり始めから、なり終えるまで、全てを支えるコンセプトでサービスを開発しています。エンジニアは4~5回転職することも珍しくないので、短期的な「点」での支援ではなく、長期的な「線」での支援を行なうように意識しています。
■「人」と「ロイヤリティ」での差別化を
他社の場合は、人事から求人票をいただくことが多いと思うのですが、レバテックは年間1万回ほど企業の訪問をし、現場のプロジェクトマネージャーと接するビジネスモデルになっています。つまり、「一緒に働いている人がどういう人か」を観察することも重要な要素なので、訪問することで、内部の情報を収集しながら、人材をマッチングできることは大きな強みです。
また、今の時代、サービスでの競合優位性はかなり難しくなっている中で、お客さんのロイヤリティを上げることよりも、下げないことの方が重要だと言われています。例えば、美容室に行った際に、スムーズに予約取れるか、待たされないかといった要素が大切ですよね。手間暇を無くしたり、待ち時間を減らしたりといった基本的なことをどれだけ徹底できるかが鍵になってくるので、ムダのないオペレーションを緻密に決め、繰り返すことで、ロイヤリティを大きくしていくという企業努力をしています。そして、それを支えているのは「人」です。向上心があり、挑戦することが好きな人を採用し、育成していることも根本的な強みだと思います。また、自社への採用という観点では、「信頼、知性、情熱」を持っている人たちと、ぜひ一緒に働きたいですね。仕事を任せられるという信頼と、人と円滑にコミュニケーションをとれるかの対人知性、論理的思考力。そして、何より情熱をもっている人が勝つと思うので、採用時はこの三点を大切にしています。
■大学生へのメッセージ
学生時代は、自分が学んだ環境を直接活かせる環境に行きたいと思いがちです。それは悪いことではないですが、自分が学んだことは世界の1%にも足りなくて、その周辺だけで仕事を考えることは不幸なことだと思っています。いまの大学生はSNSにも触れていると思いますが、ネット空間はオープンなようで断絶されているので、SNSでも同じものだけではなく多彩なものに触れてみたり、自分には関係ないけど面白そうなものに触れてみたりすることが重要だと思っています。私自身も大学生時代に海外に10カ国ほど行き、得た新しい発見や経験が、社会人に活きていると実感しています。社会人は会社以外のことを知る時間が少なくなってしまうので、大学生の間に自分の知らなかった世界に触れてみてください。
学生新聞オンライン2024年12月11日取材 慶應義塾大学3年 松坂侑咲
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中央大学3年 亀井義和喜 / 大妻中野高等学校3年 加藤眞優花 /
東洋大学2年 越山凛乃 / 慶應義塾大学3年 松坂侑咲
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