株式会社Robot Consulting 代表取締役会長 横山英俊
『ロボット弁護士で法律をもっと身近に』

株式会社Robot Consulting 代表取締役会長 横山英俊(よこやまひでとし)
■プロフィール
リーガルテックを主に扱うAIサービスを開発、提供する株式会社Robot Consultingを2020年に設立。ファウンダーとして代表取締役会長に就任。
AIを活用して誰もが無償で利用できる法律相談の実現を目指しているのが株式会社Robot Consultingである。現代のAI時代にAI×法律に目を付けた、代表取締役会長の横山英俊さんは「法律に支配されていない人間はいない」と言う。今回そんな横山さんに、起業に至った背景からロボット弁護士の魅力、今後の展望までを伺った。
■投資を通して磨いた先見性
高校卒業後は大学進学が一般的かもしれませんが、私の場合は都市の規模も経済的にも日本で一番大きく活発な東京に行って一旗揚げたいと思っていました。高校卒業時のバイトは、その上京資金を貯めるためでした。そして上京後、株式投資で有名なトレーダーに出会い投資家の道が開けました。株式投資の銘柄は、例えばITや自動車、医療、不動産などありとあらゆるものがありますが、銘柄の上がり下がりというのは時代のトレンドや経済的な先行き、景気などに左右されます。新たなトレンドを見る目が重要ですが、IT産業が今とは全く違うまがまがしいものと認識されていた20年前から、家庭の固定電話が携帯電話やスマートフォンに代わって、一家に一台パソコンがあるなど、時代の変化を見てきました。そういった実体験や投資を通じて時代の先を読む先見性や経済的な感性を磨けたと思います。
■着目した士業のDX化
社労士業務や弁護士業務は、今も紙文化が残っています。特に弁護資料や証拠書類、訴状も紙で行っていて、ファックスで裁判所に送って、送くられてきます。だからファックスを置いている事務所がほとんどでDX化が進んでいません。少し前にはコロナ給付金が遅れたという問題がありましたが、あれも行政インフラのDX化が進んでいない結果だと思っています。起業するにあたって、まずそこをDX化するのが良いのではと考えたのとAIの会社はいっぱいあるのに、リーガル系はまだ少ないというところに目を付けました。また、生きていくうえで法律に支配されていない人間はいません。例えば労働基準法の中で働いているように、誰もが法律というルールに則って生きているわけです。つまり、法律を知らないということは、それだけ不利になるということです。だからこそAIを掛け合わせることによって、法律をもっと身近で利用しやすいものにしたいという想いがありました。
■24時間無償で法律アドバイスができるロボット弁護士
あるデータによると、日本では10人相談したい者がいても弁護士に相談に行ったことがある人は1人ぐらいしかいません。ということは9人が泣き寝入りの状態です。その理由は、弁護士に相談したくてもどこの事務所に行ったらいいか分からない、弁護士費用は高額であるなど、さまざまなハードルがあるからだと思います。そこで私たちはAIでチャットボットを介して法律家を繋ぐというものを開発しています。弁護士に直接会って相談するのは、色々気が重くなりますし、電話がストレスに感じるデジタル時代に直接嫌なことを話すよりも、携帯ひとつでいつでも気軽に相談できて法律家を繋ぐことができたら、弁護士と会わなくても訴訟が進みます。基本的には弁護士がチャットで返してくれることはあっても、我々のようにLLM(大規模言語モデル)の技術を活用したAIとの対話によって、その人に適切な法律家を繋ぐサービスというのはほとんどないので他社とは違う強みです。
相談内容は人それぞれですが、若年層と中年層の悩みは違ってきます。今の弁護士会は、過払い金請求や離婚など中年層の悩みを中心としたビジネスモデルが多いと思います。しかし、パソコンやスマートフォンに慣れたデジタル世代の若い人たちは、ネットやSNS上でのトラブルを抱えている傾向にあるので、ボット型のロボット弁護士ならば24時間無償で気軽に利用できることで、新しいマーケットが開拓出来るのではないかと思います。
■今後の展望
会社の展望としては、日本のリーガルテックスタートアップ企業でありながらグローバルに市場を拡大していくことです。将来的にロボット弁護士は、世界各国の法律を学習させて各国の言語に対応可能なサービスとしての展開を目指しているので、世界最大のリーガルテック国である米国市場への挑戦を皮切りに日本のスタートアップ企業のグローバル展開を盛り上げていけたら良いなと思っています。
■大学生のメッセージ
これからの時代は、人間関係が希薄になるので人間らしい生き方を追求していくべきだと感じています。AIが進めば進むほど、人間生き方の需要が高まってくるので「人間とは」というのをもう一度問い詰める時代なのかなと思います。勉強だけして、大学に行けば生涯的に幸せという指数にはあたらなくなってきています。多くの大学生を必要として、多くの優秀な人を必要とした大企業の時代がありましたが、それが全部AIに代わるとなったときにAIの方が優秀で、AIの方がコスパが良くて大企業で代替できるとなったら、「人間は何が出来ますか?」というのを多く考えなければいけないなと思います。自分自身はAIが進むなかで一緒に働きたい人材として、やはり“素直な人”と働きたいなと思います。
学生新聞オンライン2024年12月6日取材 東洋大学2年 越山凛乃

法政大学4年 島田大輝 / 東洋大学2年 越山凛乃 / 立教大学4年 須藤覚斗
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