株式会社大創産業 代表取締役副社長 朴洪植

100円で世界を変え、生活インフラを支える。

株式会社大創産業 代表取締役副社長 朴洪植 (ぱくほんしく)

■プロフィール
サントリー食品アジア(Suntory Beverage & Food Asia)のCEOなどを歴任
アジア地域におけるサントリーの飲料事業を統括
2022年大創産業 入社

100円ショップの代名詞「ダイソー」を展開し、世界26カ国へ進出する株式会社大創産業。サントリーホールディングス株式会社で財務や海外事業を歴任し、現在は同社の副社長として経営の舵を取る朴洪植氏に、100円という価格を守り抜く独自のビジネスモデルや自身のキャリアの歩み、そして学生へのメッセージを伺った。

学生時代、私はスポーツに明け暮れる毎日を過ごしていました。専攻は経済でしたが、心血を注いでいたのはハンドボール部での活動です。当時の生活を振り返ると、決して余裕のあるものではありませんでした。仕送りはありましたが、部活動を続けながら生活費を補うためには、自ら稼ぐ必要があったのです。部活動との両立を考え、当時比較的時給の良かった家庭教師のアルバイトに励んでいました。
卒業後の進路については、当初、恩師の紹介でアジア経済研究所への道も検討していました。しかし、行政改革の影響を受け、急遽民間企業への就職活動へと切り替えることになりました。手当たり次第に電話をかける中で縁があったのがサントリーでした。特定の業界に強いこだわりがあったわけではありません。ただ、サントリーという会社の明るい雰囲気に惹かれ、「この会社なら楽しく働けそうだ」と感じたことが入社の決め手となりました。

■「学び」は社会に出てからが本番

サントリーに入社した当初は、自分がどのような仕事に就くのか想像もつきませんでした。配属先は財務経理。大学時代に学んだ知識以上に、入社後に学ぶことの方が圧倒的に多くありました。簿記の知識から、株式や債券、資金運用の実務まで、現場で必要とされる知識を必死に吸収しました。当時を苦労だと思ったことは一度もありません。むしろ新しい知識が自分の武器になっていく過程は非常に楽しく、気づけば10年という月日があっという間に過ぎていきました。
そんな私が、創業50年を超える大創産業への入社を決めたのは、ある相談がきっかけでした。「財務管理、経営企画、海外事業の経験を併せ持つ人材を探している」と。当時の大創産業は、すでに日本を代表する小売業でありながら、さらなるグローバル展開を見据えていました。サントリー時代の半分の期間、海外事業に携わっていたので、挑戦してみないかとお声がけいただいたのです。そうして実際に社員の方々と会ってみると、前向きなエネルギーに満ちており、サントリーに入社を決めた時と同じような感覚を味わいました。
流通業界では、少ない商品数でいかに高い利益率を確保するかが重視されがちです。しかし、大創産業は異なります。商品数を増やし、圧倒的なボリュームでお客様にワクワク感を提供する。そんな独自の魅力を持つこの会社に、私は「日本発のグローバル小売ブランドになり得るポテンシャル」を感じました。

■100円の品質を支える圧倒的な「数」の力

多くの方から「なぜ100円でやっていけるのか」という質問をいただきます。その答えは、長年デフレの時代を生き抜き、積み上げてきた独自の仕組みにあります。現在、国内の店舗数は約5,000店舗に迫っており、この規模を活かした大量発注こそが、コストを抑えながら品質を維持する最大の武器です。
かつては「安かろう悪かろう」と言われた時代もありましたが、私たちはその常識を打ち破るため、品質管理に徹底的にこだわってきました。広告宣伝費などのマーケティング費用は最小限に抑え、その分を商品開発と品質向上に投資しています。毎月1,600アイテム種類以上の新商品を生み出せること自体が、最大のマーケティングなのです。
「他社との差別化は?」と聞かれれば、それは圧倒的な商品数だと答えます。皆さんもダイソーに足を運んだ際、目的の商品が見つからなかったとしても、別の商品を手に取って購入してしまった経験があるのではないでしょうか。例えばハサミ一つをとっても、他社が数種類しか置いていないところを、ダイソーでは何倍ものバリエーションを取り揃えます。選べる楽しさ、そして手に取った時の驚き。これこそが、大創産業がお客様に提供し続けている価値なのです。
また、昨今の物価高の中にあっても、私たちは100円という価値の提供に強いこだわりを持ち続けています。今後はさらに工夫を重ねながら、100円で提供できる商品の幅を広げ、より多くのお客様の日常を支えていきたいと考えています。

■成長の鍵を握る「素直さ」という資質

私が一緒に働きたいと考えるのは「素直な人」です。長いキャリアの中で多くの人を見てきましたが、素直な人ほど成長が早いと感じています。周囲のアドバイスを柔軟に吸収できるだけでなく、教える側も「この人のために」という気持ちになります。
それに加えて、常に学び続ける姿勢も重要です。勉強しすぎて困ることはありません。大創産業の社員にも、この素直さと向上心を持つ人が多いと感じています。
私たちの目標は、ダイソーを含む3つのブランドを世界中に広げ、人々の生活を支えるインフラとなることです。現在は26カ国に展開していますが、今後もさらなる成長を目指していきます。どの国に行っても、そこにダイソーがあり、人々の生活を支えている。そんな未来の実現に本気で取り組んでいます。

■大学生へのメッセージ

「将来何をしたいか」という目標を持つことは大切です。しかし、入社してすぐに自分のやりたいことができるとは限りません。まずは与えられた環境で、目の前の仕事に全力で取り組んでみてください。その経験は必ず将来につながります。
物事を長期的な視点で捉え、今この瞬間に全力を尽くすこと。その積み重ねが、皆さんを思いもよらない場所へと導いてくれるはずです。

学生新聞オンライン2026年4月22日取材 青山学院大学2年 松山絢美/情報経営イノベーション専門職大学 2 年 山田千遥/武蔵野美術大学 2 年 石井生成/早稲田大学 3 年 中澤京平

法政大学2年 渡辺碧羽/東京都立大学4年 坂倉彩月/早稲田大学3年 中澤京平/東京女子大学3年 浮田梨紗/武蔵野美術大学2年 石井生成/青山学院大学2年 松山絢美/情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥/京都芸術大学1年 猪本玲菜

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