俳優 / 冒険家 / アースデイ・エバンジェリスト 塩谷 瞬

環境の捉え方次第で、自分の人生は変えられる


俳優 / 冒険家 / アースデイ・エバンジェリスト 塩谷 瞬(Shun Shioya)

■プロフィール
1982年 石川県金沢出身。15才の時、自分の波瀾万丈な人生経験を生かせる職業は俳優ではないかと考え上京。『忍風戦隊ハリケンジャー』で主演デビュー、主演映画 『パッチギ!』にて日本アカデミー賞新人俳優賞など各賞を受賞。カンヌ映画祭にてBest film awardを受賞。2024年LAで行われたJapan Film Festivalにて最優秀作品賞を受賞。IMMA Asia film festivalにて優秀俳優賞を受賞。
最新作『 国境なき男たち』韓国ドラマ『酒王』ネパール映画『スッカマノ』が公開予定。
プロデューサーを務めた映画『ソーゾク』が公開中。
GARA『Global Gift Gala TOKYO』を主催。世界200か国旅を始動、アフリカや東ティモールなどで海外支援活動や、環境活動、世界の子どもたちへの「夢の授業」を行っている。

「夢は必ず叶う。」そう真っ直ぐに語る塩谷瞬さんの人生は、決して平坦なものではなかった。
家庭環境への葛藤、不登校、自分自身への劣等感。
数々の逆境を経験しながらも、人との出会いを力に変え、俳優として、映画プロデューサーとして、そして世界を旅しながら社会貢献活動を続ける表現者として歩み続けている。
『忍風戦隊ハリケンジャー』でヒーローを演じた彼が伝えたいのは、「どんな過去も未来を輝かせる力になる」ということ。
夢を追い続ける原動力について話を伺った。

■逆境が自分を強くする

小学校高学年の時の担任の先生との出会いが、僕の人生が変わる大きなきっかけでした。

それまでの僕はセンシティブな子で、両親がいないという家庭環境もあり、学校に行けない時期がありました。学校へ行かなかった時間は、教育番組を熱心に見たり、自分の好きなことを自由に選択して学んだりして、エネルギーを蓄える時間になっていました。元々物作りが大好きで、世の中で使えるようなものを想像して工作していました。それを近所の人達にプレゼントすると喜んでくれて、ご飯を食べさせてもらうことも多かったです。

一人で自由に過ごす時間がある一方で、周囲と繋がろうとも意識していたと思います。父の転勤の影響で引越しをするなどの環境の変化が多かったのですが、そんな僕を心配して、家へ何度も足を運んでくれた先生や助けてくれた周りの人の存在に救われました。なぜ僕のためにこんなに良くしてくれるのかと、社会の温かさについて考えるようになりました。5、6年生の時の恩師はとても自由な授業をする先生で、久しぶりに登校した僕を、クラスで一番の秀才だった子と一緒にリーダーに指名して、授業を進行させる役割を与えてくれました。その時から授業が面白くなり、表現する楽しさを感じました。先生が何度も丁寧に僕に向き合ってくれたり、愛情を注いでくれた経験が僕の原点になっています。

小学6年生の時、自転車に夢中になり、毎日50キロ走るようになりました。通っていた自転車屋さんに勧められてレースに出場したところ、初めての大会で1位になることができました。それまでの僕は、自分は周りの人より恵まれていないのではないかという悩みがあったんです。しかし、自転車との出会いが世界を変えてくれました。自転車を漕ぎながら人生について考える時間が好きで、そうして走り続ける中で、何かをやり遂げれば現状は突破できるということを体感しました。

育つ環境によって人生は決まってしまうと考える人も多いかもしれません。でも僕は、その環境をネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるか、その選択肢ひとつでその後の人生はいくらでも変わるということを学びました。僕はネガティブな出来事を決して悪いことだとは思っていません。むしろ、逆境に直面するからこそ、自分が乗り越えるべき壁や向き合うべき課題が明確に見えてくるのだと思います。その壁を一つひとつ乗り越えるたびに、人は確実に強くなれます。強くなれば、人生の自由度も上がります。そうすると、次に困難が訪れても恐れずに挑戦できるようになり、物事を解決するスピードもどんどん早くなっていきます。たとえ自分に何もなくても、どんなに小さなことでも、人を幸せにすることはできるということを伝えたいです。

■自分にしかできない表現を

15歳の頃に受けたオーディションで特別賞を頂いたことが、芸能界に入るきっかけでした。当時の僕は、家庭環境や学歴に対してコンプレックスがあり、裕福でなければできない仕事があると思い込み、人生の選択肢を狭めていました。
そんな僕が一番惹かれたのが、表現の世界でした。もちろん周りを見渡せば歌やルックスで僕より秀でている人はいくらでもいます。自分は何で勝負できるだろうと考えていた時、初めて自分で借りた作品、映画『タクシードライバー』で主人公が自分の人生を取り戻し、一人の人間の為に人生を捧げる姿に鳥肌が立ち、『このようなこと』を世界に向けて表現していいんだと衝撃を受けたことを思い出しました。僕にしか歩んできていない波瀾万丈な経験や人生を表現することが、俳優に活かせるのではないか。そう確信した僕は、社会を変えたい、自分の魂をこれに捧げようと決意し上京しました。

■夢を諦めないことの大切さ

何より大切にしているのは、感謝と恩返しです。僕は、人は人でしか変えられないと信じています。一人で孤独に苦しんでいる時、友達が大丈夫だよと抱きしめてくれるだけで救われる。そんな光景をたくさん見てきたからこそ、僕の表現のベースには常にその想いがあります。僕が1番の天命だと思っていることは、最初にいただいた役が、「ハリケンジャー」でのヒーロー(ハリケンレッド)だったことです。苦しい時に多くの人に助けられてきた僕が、今度は地球と平和を守る主役を演じる。このために僕は、これまで辛い経験をしてきたのだと感じました。痛みを知っているからこそ、人の苦しみに寄り添うことができます。
僕は、社会に対して自分の意見を持ち、そのエネルギーで新しいことを始めたいという想いから独立しました。世界を2周し、震災支援やコミュニティ作りなど、自分がやりたい社会活動に全力で取り組んでいます。信念を持って行動すれば必ず形になり、人はついてきてくれるものです。今、夢を追いかけている皆さんに伝えたいのは、絶対に自分を信じて諦めないでほしいということです。夢を叶えるコツは、ステップを明確にすることです。ノートを用意して、自分の長所や短所、直面している壁をすべて書き出してみてください。それを一つひとつ因数分解して解決策を見つけていけば、必ずゴールへの道筋が見えてきます。強い熱意があれば、有言実行は可能です。僕は、子供の頃から偉人の言葉を自分の手帳に書き留めています。その言葉が自分の中で浸透し、行動へと変わっていくからです。
そして今年は世界3周目の旅に出ます。事業を少し整理して、配信も始めるなど、新しいことに挑戦することが、人生の楽しみであり、進化への鍵になると思っています。
今年は主演映画の公開もあります。そして映画の制作を国内、海外で展開していきます。自社でIPを持ち世界に展開することを目標に地球に還元できる芸術の形を創造していきます。

■大学生へのメッセージ

自分を知ることの大切さ
ノートに自分歴史や、長所と短所を書き出してみてください。そして、一見マイナスに見える自分のネガティブな部分こそが、実は自分を輝かせるための最高の素材であり、ダイヤの原石だということを伝えたいです。
苦しんだ経験は必ず全てがプラスに変わります。だから、自分のダメな部分も否定せず愛してあげてください。自分を愛し、しっかりと目標を定めて一歩ずつ進んでいけば、道は必ず開けます。
『夢は必ず叶う』 そう信じて生き抜いてみてください。

学生新聞オンライン2026年3月26日取材 東京都立大学3年 坂倉彩月

獨協大学3年 深山琴美/東京都立大学3年 坂倉彩月

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