株式会社ニップン マーケティング本部 商品開発部 金子将太
食の常識を塗り替え、0から1を生み出す「情熱」

株式会社ニップン マーケティング本部 商品開発部 金子将太(かねこしょうた)
■プロフィール
2021年ニップン入社。プレミックスの製造を行う竜ヶ崎工場にて、製造管理業務からキャリアをスタート。
2024年より商品開発部に所属。『オーマイ 濃いあえるパスタソース』『オーマイ 和パスタ好きのためのパスタソース』『ニップン 伝説のから揚げ粉』などの商品開発を担当。
学生時代からパスタソースの大ファンだったという金子さん。工場での製造管理を経て、現在は多くの部署と連携しながら数々の新商品を生み出しています。新商品「オーマイ パスタ好きのためのたまごペペロンチーノ」の開発秘話や、0から1を作る苦労と喜び、そして未来を担う大学生への熱いメッセージを伺いました。
■ファンとしての「熱意」と、現場で培った「実現力」
私は学生時代、当社の冷凍パスタシリーズの熱烈なファンでした。特にお金のない学生にとって、手ごろな値段でボリュームがあり、何より美味しい当社の商品は、まさに日々の生活を支えてくれる「味方」のような存在。私自身が食を通じて幸せな気分になれた経験から、「自分も食に携わって、多くの人々に幸せな瞬間を届けたい」という思いが強まり、就職活動の軸となりました。
入社後、最初に配属されたのは工場の「製造管理」という職種でした。工場では、決められた日までに決められた数量を、一切の妥協なく安定して作り続ける仕組みを管理します。一見、現在担当しているクリエイティブな商品開発のクリエイティブなイメ-ジとは遠い世界に思えるかもしれませんが、実はそうではありません。製造管理を経験したことで、現場で製品を一から作ることがどれだけ大変かを知っているからこそ、現在の仕事でも実現性の高くいスケジュールを構築でき、品質を第一に考えた無理のない仕組み作りスケジュールを提案できています。現場を知る強みは、開発において大きな武器になっていると実感しています。
■データと感性で「売れる美味しさ」の根拠を作る
現在、私が所属する商品開発部の仕事は、市場調査から始まり、アイデアの具体化、味作り、工場でのスケールアップ、さらにはパッケージ開発まで、発売に至るまでのあらゆる工程に深く関わります。なかでも重要なのが、味や品質をどのように判断し、形にするかという工程です。
「美味しい」という感覚は非常に主観的で定性的なものです。しかし、それをそのまま商品化するのではなく、多くのお客様に実際に食べていただき、その評価を数値化して「定量的なデータ」として分析します。たとえ自分が美味しいと思っても、ターゲットとするお客様に受け入れられなければ、それは商品として成立しません。調査結果を細かく分析し、時には「表面的には見えない可能性」を掘り下げながら、納得のいくまで品質を追求する「品質への責任」が重い仕事だと認識しています
■妥協なき試作で実現した「たまごペペロンチーノ」の黄金比
今回、私が担当した「たまごペペロンチーノ」は、まさに妥協なき追求の結晶です。パスタにあえるだけで食べられる簡便なソースの人気が高まる中、和パスタシリーズの強みである「選ぶ楽しさ」や「独創的なテイスト」をさらに強化するために、開発がスタートしました。
外食トレンドを調査する中で辿り着いたのが、「卵とペペロンチーノ」の組み合わせでした。しかし、この味作りには非常に苦労しました。卵のまろやかさと、ペペロンチーノならではのニンニクのやみつき感、唐辛子のピリッとした辛みをすべて両立させなければなりません。試作を繰り返しても、卵が強すぎるとペペロンチーノらしいにんにくのキレが消え、ニンニクを強めると卵の繊細な風味が飛んでしまう。スケジュールが限られた中でも「絶対に妥協しない」と心に決め、研究開発の担当者と何度もやり取りし、微調整を繰り返しました。最終的に、どちらの味わいもしっかり体現できる品質に仕上がったときは、大きな手応えを感じました。
■各所のプロを束ね、ゴールへ導く「指揮者」の役割
商品開発という仕事の核心は、実は自分一人で手を動かすことではなく、一つのプロジェクトを完結させるための「指揮者」を務めることにあります。私はパッケージデザインを自ら描くわけではありませんし、すべての調査の実務を行うわけでもありません。あらゆるプロフェッショナルの方々に協力していただき、初めて一つの製品が形になります。
指揮者としての私の役割は、この商品の「ビジョン」を明確にし、それぞれのプロフェッショナルに指針を示すことです。「どんな価値を提供するのか」「どんな背景で発売するのか」。その意志が一貫性を欠くと、どんなに個々の担当者が良い仕事をしても、バラバラな製品になってしまいます。発売日という動かせないゴールから逆算し、全員が最高のパフォーマンスを発揮できるよう段取りを組み、連携を繋いでいく。多忙な部署同士の間に入り、円滑にプロジェクトを進めるコミュニケーション力こそが、開発担当者に最も必要な資質だと言えます。
■既存の認識を変え、人々の生活に驚きを届ける
これまでに先輩方が成し遂げてきた仕事には、パスタに新たな食感軸をもたらした「オーマイプレミアム もちっとおいしいスパゲッティ」など、人々の認識をガラリと変えた商品が多くあります。
私もいつか、お客様が抱いているカテゴリーへの認識を良い意味で裏切るような、新しい価値を提示したいと考えています。そのためには、日常の何気ない不満や、データの中に隠れた「お客様の本当の願い」を見つけ出す力が必要です。中長期的な視点を持ち、これからも日々自身の感覚を磨き続けていきたいです。
■大学生へのメッセージ
社会に出ると、一人で完結できる仕事はほとんどありません。だからこそ学生時代には、誰かと協力して何かを成し遂げる経験を大切にしてほしいと思います。ゼミやサークル、アルバイトなど、どんな経験でも構いません。連携によって困難を乗り越えた経験は、社会に出てから必ず活きてきます。
学生生活を楽しみながら、日々のコミュニケーションを大切にしてください。その積み重ねが、将来誰かを笑顔にする仕事のやりがいにつながるはずです。
学生新聞オンライン2026年12月19日取材 東洋大学4年 太田楓華

武蔵野大学1年 市川蓮/東洋大学4年 太田楓華


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