森永乳業株式会社 マーケティング本部 冷菓事業部 PARM担当 今村友香
パルム愛を形に。ブランドの全体最適を導く指揮者として

森永乳業株式会社 マーケティング本部 冷菓事業部 PARM担当 今村友香(いまむらゆか)
■プロフィール
2011年関西学院大学(商学部)を卒業し、森永乳業に入社
東海エリアでの営業(1年)、その後、飲料のマーケティング担当(8年)、育児休業を経て2022年より冷菓のマーケティング担当。現在は「PARM」ブランドの戦略立案や商品開発などに従事。
口どけの良いチョコとアイスの一体感で、多くのファンを魅了する『PARM(パルム)』。そのマーケティングを担う今村さんは、営業の現場を経て、愛するブランドの舵取りを任される存在となった。指名買いされるブランドを目指す戦略の裏側や、多忙な中で大切にしている感性を伺った。
現在はPARM(パルム)のマーケティングを担当していますが、私自身、学生時代からマウントレーニアやパルムを毎日のように楽しむ一ファンでした。大学時代は商学部でマーケティングのゼミに所属し、産学連携のプロジェクトで化粧品メーカーのリブランディング提案に没頭していました。プロの担当者と真剣に議論を重ねる中で、マーケティングを仕事にすることへの強い興味が芽生えました。そして老若男女問わずアプローチでき、日常に小さな幸せを届けられる食品メーカーというフィールドに惹かれ、森永乳業への入社を決めました。好きな商品に携わることができれば、仕事に対して最大限の熱量を注げるのではないかと考えたからです。
■営業現場での経験をマーケティングの仕事に活かす
入社後は約1年間、名古屋で量販店向けの営業を担当しました。営業時代には、自分が売りたいと思った商品がバイヤーさんに採用されず、棚に並ばないという悔しさも味わいました。商品は、店頭に並び、お客様の手に取ってもらい初めて価値が生まれます。この時の経験は、今の私にとって大きな財産となっています。
その後、本社のマーケティング本部に異動し、飲料部門での経験を経て、現在は冷菓部門でパルムの担当をしています。営業経験を通じて培った現場視点は、今の仕事にも役立っています。例えば、現場の営業担当者が商談しやすい情報提供を常に意識しています。
■様々な関係部署を繋ぎ、ブランドの全体最適を導く指揮者
現在、私が担当しているパルムは、2025年に20周年を迎えた歴史あるブランドです。私のミッションは、パルムに関わるすべての情報を集約し、ブランド戦略を練り上げ、成長させていくことです。
具体的な業務は多岐にわたります。商品開発だけでなく、テレビCMなどの広告施策から、生産設備の投資、さらには需給管理まで携わります。マーケティング担当者は、関わるあらゆる部署と連携し、一つの「音楽」を作っていく「オーケストラの指揮者」のような役割だと考えています。
各部署にはそれぞれの立場からの主張があるので、全員が納得する答えを出すのは容易ではありません。そんなとき、私は「パルムというブランドにとっての全体最適は何か」を一番の判断軸に据えています。単なる妥協点を探るのではなく、ブランドの未来にとって最適解を導き出すため、議論をリードしていくことが私の仕事の醍醐味です。
■データの向こう側にあるお客様の心の動きを捉える
企画を立案する際、市場データや購買行動の分析は欠かせません。しかし、データ起点だけでは「熱狂」には繋がりにくいと感じます。私は、自分の足で街に出て流行を体感したり、お客様の行動を観察したり、SNS上の反応を細かくチェックしたりと、一次情報に触れることを大切にしています。
パルムは現在アイス市場で3番手の位置にあります。目指すのは、買い物中に目に留まったから選ぶ存在ではなく、家を出る前から「パルムを買いたい」と思ってもらえる、指名買いのブランドです。そのための施策として、2025年に開催したイベント「大パルム展」では、「行き過ぎたパルム愛」をテーマに掲げました。
チョコ付け体験や、パルムのチョコがとろける温度を体験できるオブジェなど、体験価値に振り切ったことで、整理券が即完売するほどの反響をいただきました。お客様と双方向でコミュニケーションを取り、ブランドへの「ロイヤリティ」を高めていく。これが、今ブランドとして大事にしていることです。
■パルムらしさを守りながら、新領域へ挑む
一方で、パルムには変えてはいけないものがあります。それは、ひとくち食べた瞬間の食感と、チョコとアイスが同時に溶けていく一体感です。どんなにトレンドを意識した新商品であっても、この「パルムらしさ」が失われては意味がありません。
研究部門とは常に「パルムの商品としてふさわしいものは何か」という議論を繰り返しています。原料高騰などの厳しい局面でも、品質へのこだわりは譲れません。一方で、夏場でもチョコを楽しんでもらうための「ジェラート」シリーズなど、新しい食シーンの開拓にも挑戦しています。守るべき資産と、攻めるべき変化。このバランスを極めることこそが、マーケティングの難しさであり、面白さなのです。
■大学生へのメッセージ
大学生活は、自分の興味にどれだけでも時間を使える貴重な時期です。ぜひ、寝食を忘れるほど熱中できることを見つけてほしいと思います。
私自身、大学のゼミに夢中になり、仲間と日々議論を重ねるほど打ち込みました。あのとき限界まで考え抜いた経験は、社会人になってからの集中力や思考力につながっています。
また、学生時代には多くの本を読みました。今は時間の制約もあり同じことはできていませんが、当時の経験が商品企画や資料作成など仕事の様々な場面で今も役立っています。
勉強でも、趣味でも構いません。自分が何に心を動かされ、何に没頭できるのかを知ることは、将来の仕事選びで大きな力になります。今しかない自由な時間を大切にし、さまざまなことに挑戦してみてください。
学生新聞オンライン2025年12月25日取材 東洋大学 4年 太田楓華

上智大学4年 今泉雄成/立教大学2年 塚本晴香/東洋大学4年 太田楓華/津田塾大学3年 山下さくら/城西国際大学2年 渡部優理絵/東京家政大学2年 篠田陽菜乃/東京女子大学2年 浮田梨紗


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