ヒューマンホールディングス株式会社 代表取締役社長 佐藤朋也

「なりたい自分」を見つけて人生を切り開こう

ヒューマンホールディングス株式会社 代表取締役社長 佐藤朋也(さとう ともなり)

■プロフィール

1963年兵庫県生まれ。1987年関西学院大学商学部卒業後、日興証券株式会社に入社。本郷会計士事務所(現 辻・本郷税理士法人)を経て、1991年11月ザ・ヒューマン株式会社に入社。ヒューマングループ各社の取締役を歴任し2002年8月、ヒューマンホールディングス株式会社代表取締役社長就任(現任)。

「バリュープロミス:SELFing」と掲げ、自分らしい生き方のサポートを行うべく、人に寄り添ったビジネスを軸に多岐にわたる事業を成功に導いてきたヒューマンホールディングス株式会社の佐藤朋也社長。その活躍の裏には、様々な葛藤や思いがあったそうだ。父から受け継いだ会社で社長となり、今日に至るまでの半生と今後の展望を伺った。

■経験値を高めた学生時代

大学生活は勉学以外に色々な経験を積んでいく、社会人として自立する準備期間として位置づけていましたね。入学当初は受験勉強から解放されて自由な時間が増えたことで、ただ時間だけが過ぎていく日々に危機感を抱きました。そのような時に、大学の中庭で活動していたフルコンタクト空手のサークルに興味が沸き、刺激を求めて入会。外国人を英語でガイドする英会話サークルにも参加し、充実したキャンパスライフを謳歌していました。3年生に進級すると、どのゼミに入るか決めなければならない時期が訪れました。商学部でしたが会計などの科目には苦手意識があったことから、あまり数字に捉われないマーケティングを学ぶゼミを選択しました。さらに授業数が少なくなった4年生では、衆議院議員秘書のアルバイトという貴重な経験をしました。7月に選挙が行われることになり、ちょうど時期が重なる就職活動はそっちのけで手伝いをしていましたね。とはいえ1ヶ月ほど本腰を入れて就職活動に取り組み、最終的には日興証券(現SMBC日興証券)に就職を決めました。

■大手証券マンからベンチャーへ転身

証券会社に就職したのは、起業をしたいと思っていたからです。そのきっかけの1つは、サラリーマンから起業をした父の存在がありました。しかし仲が良かったかというとむしろその逆で、「早く家を出て独立したい」という思いから自分も起業しようと考えに至りました。また、ゼミで学んだマーケティングを通して、ビジネスへの関心が高まっていきました。そのような中で、証券会社への就職を選んだのは起業で成功するには営業力及び交渉力を身につける必要があると考えたからです。どこでそれを身につけられるのかを調べていくと、ノルマがあるようなシビアな環境で営業ができる会社に入ることが一番だという結論に達しました。それに当てはまるのは証券会社だろうと、そんな単純なイメージからでしたね。実際に証券マンとしてバリバリ仕事に打ち込み、毎日朝駆けをして毎月5000万円・1億円の投資信託を購入いただけるお客様を開拓したこともありました。就職してしばらくしてから、確執のあった父とひとりの人間として、親として向き合えるようになりました。そして当時、ヒューマンホールディングス株式会社の前身である、昭和60年に父が起こしたザ・ヒューマン株式会社は設立4年目。そんなベンチャー企業だからこそ学べることもあると思い、入社を決意しました。

■机上の空論といわれた働き方の大改革

2004年に社長としてジャスダックに上場した後、2007年に経営の危機があり、子会社の社長として立て直しを任されました。一方で会社として営業力の強化が急務でした。そのころの世の中は、ブラック企業やパワハラ・セクハラという言葉が使われるようになるなど少しずつ働き方に対する意識が変わり始めていました。しかし、社内でも未だに根強く「昭和のスポ根」の営業姿勢が残っていました。例えば、「何を部下に教えてきたか?」と聞いたら、「叱咤激励してきた」と言われたこともありました。まさに、「営業指導=部下を怒るのが仕事」「退職したら採用すればいい」というような認識もありました。そんな職場環境でも部下が辞めなかった時代でしたけどね。

「このままではいけない」という気持ちから、それまでの営業と指導方法、営業プロセスをすべて洗い出し、細かくデータ化する手法に見直していきました。また、できる営業マンのノウハウをデータとして抽出するなど、具体的な根拠に基づいて指導をするように変えました。これまでと全く違うアプローチに上手くいくわけがないと反発する意見もありました。しかしそれでも、ぶれずに地道に続けていくことで成果を出すことができました。

■教育の原点から世のためのビジネスを

社長になって数年がたったころから、売上1000億円、営業利益50億円企業を1つの目標に設定し、その目標に近づけていくことにやりがいを感じています。当社の強みを強化するため、教育、人材、介護などの各事業が並列していた状態を変え、教育を中心に各事業とのシナジーを意識したビジネスモデルに切り替えも行っています。そして我々の取組む教育とは何かを考えたときに、新規成長産業の人材育成に注力しました。未開拓領域の新規事業を立ち上げると人手不足に陥りやすいため、その事業に携わる人材育成に力を入れました。

すべてのステークホルダーへの提供価値と定義している「バリュープロミス:SELFing」という経営理念のもと、お客様一人ひとりのなりたい自分を発見し、なりたい自分に近づくプロセスを設計し、寄り添いサポートします。同時に仕事は、世のため、人のためになっていることが前提ですが、お客様の「SELFing」をサポートすることが、社員の内的なモチベーションを高めることにもつながると思っています。他社と比較しても、このバリュープロミスは相当作り込んでいると言う自負があります。

■messeage

理想の自分を見つけられることが出来れば、人生が充実して楽しくなると思っています。大谷翔平選手も活用したマンダラチャートを書いてみてください。中心のマス目に「なりたい自分」を書き、マンダラ模様のようにその周りのマス目には、「なりたい自分になるには、どうすればなれるのか」を書き出します。これは、わが社の社員も取り組んでおり、目標を持つことの重要性を伝えています。ビジネスで活躍し、尊敬できるような方は、明らかな目標を持っています。私自身も、そのような学生さんとぜひ一緒に働きたいですね。

学生新聞オンライン2022年5月2日取材 東洋大学4年 伊佐茜音

東洋大学4年 伊佐茜音 / 東洋大学3年 濱穂乃香 / 成蹊大学4年 岡田美波

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