ブラックロック・ジャパン株式会社 代表取締役会長 有田浩之
社会に貢献されるのではなく、貢献する人になりなさい。

ブラックロック・ジャパン株式会社 代表取締役会長 有田浩之(ありたひろゆき)
■プロフィール
1987年一橋大学経済学部卒業、日本興業銀行に入行。1999年ブラックロック(NY)入社。米国債、モーゲージ債運用のポートフォリオマネジャー。2001年に帰国後は一貫してブラックロックの日本市場におけるビジネス全般を統括。日本投資顧問業協会副会長、投資信託協会理事、金融審議会専門委員、資産運用フォーラム共同議長等を歴任。
世界最大の資産運用会社であるブラックロックの日本法人、ブラックロック・ジャパン。銀行員としてキャリアをスタートした後、長年にわたりブラックロック日本法人の成長をけん引してきた有田浩之氏が、産業を興す金融の機能や日本経済への貢献について自身の展望を語る。
■学生時代について教えてください
一橋大学在学中は、ラグビー部に所属し、ラグビー一色の学生生活でした。そんな中、ゼミでは国際経済学を学び、産業を支える産業金融という分野に興味を持ち始めました。お金を預金という形で集め、産業界に投資し、効率よく経済を回して、次々と産業を興していく。この役割を果たしていたのが、当時の日本興業銀行だったため、そこで自分も仕事をしたいと考えたのです。例えば、少し街並みに目を向けてみると、鉄道が問題なく走行し、道路が整えられ、ビルが崩れることなく建っています。これらはすべて、それぞれの専門家が研究を重ねて計算し、計画を立て、その通り実行するからであり、いろいろな人が助け合ってこの世の中は成り立っていることを象徴しています。その中の目に見えない機能として、金融があるのです。
■日本興業銀行(現・みずほ銀行)からブラックロック・ジャパンに転職した理由は何ですか
日本興業銀行では運用の業務を行っており、それを通じて知り合った米ブラックロックのCEOから入社するよう誘われた事がきっかけでした。私自身も、日本の経済が戦後、成熟するに従い、産業界にお金を融通するという仕組みの中心が、銀行から運用会社にシフトしていくと感じていました。銀行を経ることなく、預金者や機関投資家が運用会社などを通じて直接産業界に投資することが、今後より重要になると考えたのです。当時ブラックロックは日本では無名の会社だったため、興銀から運用の世界へ飛び込むという決断は周囲から驚かれました。事実、その決断が27年間のキャリアをつくった最大の実績といわれることが多いのですが、私自身はそうは思いません。その一つの決断よりも、現在までの運や険しい失敗の繰り返しである過程こそが私の誇りです。
■ブラックロック・ジャパンの飛躍のきっかけや他社にはない魅力とは
ブラックロック・ジャパンは、日本円に換算すると2000兆円を超えるお金をグローバルに運用する、世界最大級の運用会社であるブラックロックの日本法人です。国内資産中心の日本の運用会社とは異なり、海外の株や債券運用に強みがあります。最近ではオルタナティブ等の非伝統的で幅広い運用商品を携えて、お客様の運用ニーズを正しく理解し、それらに応えられるよう努めています。特に、私たちが扱う金融商品は問われる責任も大きい反面、目に見えるものではないため、お客様との信頼関係は欠かせません。信頼を獲得するためには、社員が扱っている金融商品を社員自身の親や兄弟に勧められるか、誠実な気持ちをもってお客様と接しているかなどが重要です。
■どんな人と一緒に働きたいと考えますか
先ほども少し取り上げましたが、現在までの社会は一人の力ではなく、たくさんの役割や専門性を持つ人たちが力を合わせて作り上げてきました。企業内においても、それぞれの専門性を尊重し合うことが重要であるため、チームワークを大切にする人に魅力を感じます。運用の世界においては、自分が運用しているポートフォリオである株を買うか買わないかジャッジする上で、自分一人の経験や知識では賄えない部分が多くあります。今まさに起こっている様々な世界情勢の事象における、それぞれの専門家の方の意見を効率よく吸収して、正しいジャッジを導く必要があるのです。すべての専門性が結びついて一つのチームを構成していることを忘れてはいけません。
また、国が豊かになったがために、ハングリー精神に欠ける若者や学生が多いようにも感じます。その一方で私は、何でも吸収してやろうと一生懸命勉強し、昨日より今日の自分の方が知識も経験も上回っていることを目指す人を求めます。うちの社員にも必ず言っていることですが、世の中には、2パターンの人しかいません。組織や社会に貢献する人と、組織や社会に貢献してもらう人です。厳しいようですが、学生の方々は社会に貢献してもらっている立場です。学校を作ってくれた人や社会の存在があったために、今の学校生活が成り立っているからです。ですが、これから社会に出た後、学校などといった環境を作る社会の側の人間にならなければなりません。自分が今まで育てられた環境に感謝し、それに対して恩返しをするという意識のある人と一緒に働きたいと考えています。その中で、今後も企業として、国内の経済が安定的に成長することに、貢献し続けられたらと思います。
■学生へのメッセージ
サークル活動やアルバイト、就活など、どんなことでもとにかく一生懸命経験を重ねてください。時間を無駄にせず、今できることには何でも積極的に取り組み、自身の力となるよう吸収していってほしいと思います。そういった一つ一つの経験で得た知識は、若いうちでは理解できないこともたくさんあるはずです。そこで、数えきれないほどの星が浮かぶ星空から、それらの星と星を線でつないで星座を生み出した、原始の人々の思考をぜひ想像してみてほしいのです。彼らは、遥か上空に無数にある星をただの光と思わず、いったい何だろうと考えました。最初は一点一点ばらばらに見えていても、日々集中して見続けることで、様々な星座を底知れぬ想像力で作り上げたのです。現時点では分からないことも同じで、経験を多く重ね、自身で想像力を働かせながら日々「なぜ」を意識することで、無数の点が平面の図へ、さらには立体になり、自分の力で深く理解できるようになることでしょう。
学生新聞オンライン2026年2月12日取材 獨協大学1年 中津亜結梨

法政大学4年 島田大輝/獨協大学1年 中津亜結梨/情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥


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