丸大食品株式会社 取締役 ハムソー事業部長 池田 知功
人とのつながりがキャリアを広げていく力になる

丸大食品株式会社 取締役 ハムソー事業部長 池田 知功 (いけだともかつ)
■プロフィール
1971年生まれ、神奈川県横浜市出身。早稲田大学人間科学部卒業後、1995年丸大食品に入社、入社後は食肉事業の営業、購買でキャリアを重ねる。2018年執行役員原料部長に就任後、食肉事業本部長、経営戦略室長を経て、2023年に上席執行役員ハムソー事業部長に就任。2025年より現職。
大学時代は研究に没頭していたものの、偶然のきっかけから食品業界へ進んだと語るのが、丸大食品株式会社・取締役の池田知功氏。その後営業や原料購買、経営戦略などを経験し、現在は事業責任者として組織を統括している。その経験から人とのつながりを大切にしながら歩んできたキャリアや、会社の魅力、仕事への思い、そして今後の展望について話を伺った。
大学在学時、ある授業を受けて大きな衝撃を受けました。それは『ゆらぐ地球環境』という本を題材にした「環境論」の授業でした。その講師であった教授のもとで、オゾンホール拡大や地球温暖化の問題についてもっと学びたいと思いました。無事にそのゼミに入ることができましたが、当時の研究室の方針で「男は山に籠って植物生態学の研究」と言われ、大学院生の手伝いをしながら渓流沿いの林の調査・研究に没頭する日々となりました。研究にまい進する中、気づけば就職活動の時期に。調査活動に集中していたため、特別な準備はできていませんでした。当時はハガキで会社資料を取り寄せるなど、手探りの就職活動でした。いろいろな企業を受けましたが、就職氷河期と準備不足もあり、なかなか結果にはつながりませんでした。食品業界に絞って面接を受け始めた頃、友人に偶然教えてもらった丸大食品の会社説明会に応募し、運よく内定をいただきました。
引き続き他企業も受けてみたいと考えていましたが、教授に相談したところ、「丸大食品は大きくて良い会社だ。贅沢を言わず早く卒論に取りかかりなさい!」と背中を押され、就職を決めました。友人と教授が丸大食品での現在につないでくれた形です。
■現在のポジションに至るまでのキャリア
新卒で入社後、食肉事業の営業部に配属されました。約8年間、営業として働いた後、本社で食肉の原料購買に長く携わりました。海外との商談が多く英語を使う機会が増えましたが、当初はほとんど話せませんでした。直接自分の言葉で伝えたい、外国の方とも深くつながりたいとの思いから英語を学び直しました。様々な国の人々との接点は、その後の私の価値感に大きな影響を与えました。
その後、経営戦略室の室長を2年間務めました。サステナビリティへの取り組みを開示する中でCO2(温室効果ガス)削減の方針が示された際には、大学時代に培った論理的思考や地球温暖化に関する知識が活きたと感じています。
現在はハム・ソーセージ事業の責任者として、生産・営業・マーケティング・物流の4部門を統括し、全体が円滑に機能するようマネジメントしています。
■会社の魅力
30年間働いてきて感じる会社の良さは、人柄の良い社員が多く、努力がきちんと評価される、人を大切にする企業風土があることです。実際、仕事に打ち込んで着実にキャリアを伸ばしている社員が多く、手応えとやりがいを感じられる職場だと思います。
また、女性も働きやすい体制が整っており、育児休業も取得しやすいのが特徴です。なかには、5人のお子さんを育てながら活躍している社員もいます。
この会社の最大の魅力は、自社の商品を通じて多くのお客様に直接喜んでいただけることです。イベントで「ここのソーセージは美味しい。いつも買っています」とお声がけいただいた時には、本当にうれしくなります。
■差別化と飛躍のきっかけ
当社は総合食品メーカーとして品揃えの幅広さが強みです。丸大食品グループ全体の売上規模は約2,400億円で、ハム・ソーセージに加え、レトルトなどの調理加工食品、食肉、飲料・デザートや梅干など、様々な商品を展開しています。スーパーやコンビニなどで必ずと言っていいほど、当社グループが作った商品に出会うことができます。食品業界は差別化が難しい分野ですが、そのなかでも「丸大らしさ」を大切にし、企業メッセージ「わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。」を忘れずに商品づくりに向き合っています。
当社が飛躍できた要因は大きく2つあります。
1つ目は、燻製屋熟成ウインナー、スンドゥブ、チキンハンバーグ、魚肉ソーセージなどのロングセラー商品の存在です。新商品は春と秋に発表しますが、100品出して1品残るかどうかという厳しい世界ですので、ロングセラー商品の存在は大きな強みになります。
2つ目は、認知度の向上です。お客様に知っていただくことを重視し、昔はTVCMで有名でしたが、最近はSNSやメディアを通じて商品の魅力を発信しています。ユニークな取り組みでは、魚肉ソーセージのキャラクター「フィッシュマンブラザーズ」があります。15年前に誕生し、一度は姿を消しましたが、近年復活し、商品パッケージに登場しています。ぜひ店頭で探してみてください(笑)。
■求める人物像と働くうえで大切なこと
当社のモットーは企業メッセージにも表現されている通り「明るく元気」です。そのため、コミュニケーション力があり、前向きで明るい人と一緒に働きたいと考えています。また、チームで仕事を進めるため、協調性があり助け合いができる人も重要だと思っています。
これからはAIの時代であり、ホワイトカラーの在り方も変わっていくと思います。現場でもAIを活用しながら働く“現場×デジタル”人材(いわゆるライトブルーカラー)が求められるとも言われています。そのような変化の激しい時代ですが、夢を持って行動できる人は魅力的です。『何かを実現したい』という思いを持つことが働くうえで大切だと考えています。
■今後の展望と目標
今後の目標は、社名を聞いたら商品名がすぐ出てくるくらいに、会社の知名度を高めていくことです。そして、社員が「この会社で働いてよかった」と思える企業にもっとしていきたいと考えています。
食品業界は、コツコツとものづくりを続ける真面目な業界である一方、昭和的な文化が残る部分もあります。そのため当社では、近年、オフィスカジュアルを導入するなど、よりフラットで自由な社風づくりに取り組んでいます。
■大学生へのメッセージ
学生のうちにしかできない経験を、ぜひ大切にしてほしいと思います。学校、サークル、アルバイトを通して、たくさんの人と出会えます。そうした出会いが人脈となり、やがて将来につながっていきます。
社会に出てから大事になるのは、やはり“人とのつながり”です。人と関わることで視野が広がり、思いがけない仕事・キャリアに結び付くこともあります。
それから、失敗を恐れずにいろいろ挑戦してほしいと思います。学生のうちは挑戦できる場が多く、その経験は必ず自分の成長の糧になります。自分から一歩踏み出すことで、新しい価値観や可能性に気づけるはずです。
ぜひ、学生生活を思いきり楽しんで、充実した生活を過ごしてほしいです!
学生新聞オンライン2026年4月14日取材 実践女子大学2年 土屋栞菜

京都芸術大学1年 猪本玲菜/情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥/実践女子大学2年 土屋栞菜


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