女優 桜田ひより
現状に満足したら女優業はやめる気持ちで挑んでいる。だからこそ、後悔がやりがいになる。
女優 桜田ひより(さくらだ ひより)
■プロフィール
2002年12月19日生まれ、千葉県出身。幼少期に芸能活動をスタート。オーディション『ミスセブンティーン 2018』のグランプリを獲得。
5歳から子役として芸能活動を始め、持ち前の美貌と演技力でモデル業から女優業まで幅広く活躍されている桜田ひよりさん。21歳という若さにも関わらず多くの作品に出演し、確実なキャリアを築いている。そんな桜田さんに、今回出演される映画『バジーノイズ』の見どころと女優業についてお話を伺った。
5歳の時、お昼の再放送ドラマをみて「私もこれに出たい!」とお母さんへ伝えたことが、芸能界に入ったきっかけです。
学生時代は学業とお仕事を両立するために、休憩時間や休日の合間をぬって、レポートなどに取り組みながら両立していました。お仕事と学業を上手く切り替えていたのが、続ける上での秘訣だったと思います。
そんな学生生活を終え、高校を卒業した時が、人生において一番の節目だったと思います。5歳からこの仕事をしていたので、常に身近にお仕事と学校がある状況でした。でも、高校卒業後は、学生という枠からはずれ、決意や覚悟をもって社会に出るという意識が芽生えました。その結果、今まで以上に、作品に集中できるようになったように思います。
特に、風間監督とご一緒させていただいたドラマ「silent」では、自分の演技のスタイルが確立できた瞬間があったので、それが俳優としてのひとつのターニングポイントになったと思います。
プライベートでは、子ども時代と同じく、スイッチの切り替えを大切にしています。オフのときはきっちり休んで体に負担をかけないことで、よりよい仕事への向き合い方ができていると思います。家では、キャンドルを灯したり、香水をつけたりして、リフレッシュしていますね。香水は私にとっては大切なルーティーンで、演じる役によって香水の銘柄を変えたりもしています。
■女優業の魅力は「誰かの人生を生きられること」
自分じゃない誰かの人生を生きられるのが、女優業の一番の魅力だと思います。自分の人生では味わえないことを役として体験できる上、作品が変わる度に他の誰かになれる環境は自分に合っているなと思います。また、作品では学生でなくなった今でも制服を着られるので制服が着られるうちに、学生役をたくさんしたいですね。
作品が完成したときは、すごくやりがいを感じます。「頑張ってよかった」と思うと同時に、「もう少しこうすればよかったな」という後悔が生まれることもあります。でも、現状に満足したら女優業は辞める気持ちで挑んでいるので、作品のたびに生まれる後悔もやりがいにつながっているんだろうなと感じます。
■映画『バジーノイズ』について ~この役を演じたときの化学反応が、楽しみだった~
今回『バジーノイズ』出演が決まってから、漫画原作を読ませていただきました。この作品は、PCで音楽を自作する男性・清澄とその音楽を密かに楽しみにしている女性・潮の物語。漫画からは音は聴こえるはずがないのに、読むと作品の中から想像する音が聴こえてくる、そんな不思議な体験をしました。私が演じる潮ちゃんには作品を通じて、すごく感情移入してしまい、私と潮ちゃんがどんな化学反応を起こすのか、川西拓実さんが演じる清澄がどんな清澄なのかを想像しながら、撮影を心待ちにしていました。
撮影現場も、とても居心地が良く、自分の持っている熱量をそのまま表現できる環境だったなと思います。風間監督は、その人に合わせて物事を伝えてくれる、気遣いが細やかな方だったので、それが作品の空気感にも現れているなと感じます。今回の作品で私が大切にしている場面で一発OKがでたとき、「自分と監督が思い描く潮ちゃんが一緒だったんだ!」と感じられて嬉しかったです。
今回の作品の見どころは、映画を観る時の自分の置かれている状況によって、捉え方や感情移入できる人物が変わる点だと思います。状況が変われば、作品への感想も変わる。何回でも繰り返し観ることができるくらい、見どころが色々なところに散りばめられています。
■役作りのため、いつでも音楽を流し続けた
音楽が大きなキーワードとなる作品だったので、役作りのため、日常に音楽を取り入れることを意識しました。いただいた音源は、日常生活で流し続けました。また、撮影中も音楽を流してもらうことで、音楽に救われた場面もあります。私だけではなく、この曲が、聴いてくれた皆さんの支えになるといいなと思います。
演じるうえで難しかったのは、神戸弁です。初挑戦だったので神戸弁を話されている方の音源を事前にもらい、演技と照らし合わせながら、発音を調整しました。慣れるまでは大変でしたが、いつしか日常会話に神戸弁が登場するほどになりました(笑)。
共演した川西さんは、実際に会ってみると想像以上に人見知りする方だったので、風間監督とも話し合い、積極的に川西さんに話かけるようにしていました(笑)。これまで周囲は大人ばかりで、相手が自然と自分に対する距離感を詰めてくれていたことを知り、自分が甘えていたんだなと痛感しました。
■学生へのメッセージ
社会人と学生の大きな違いは、自分から行動しないとチャンスが与えられなくなってくることだと思います。そのほか、時間や場所の自由が効かなかったり、自分がやりたくないことをしなければならなくなったりする時があるかもしれません。大変なことが多いからこそ、自分にとって、ちょっとした息抜きになるような好きなことを見つけて欲しいです。そのためにも、まずは目の前のキャンパスライフを楽しんでください。
学生新聞オンライン2024年2月7日取材 慶應義塾大学2年 山本彩央里
映画『バジーノイズ』
出演:川西拓実(JO1)、桜田ひより、井之脇海、栁俊太郎
原作:むつき潤 「バジーノイズ」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
監督:風間太樹 「silent」「チェリまほ」
配給:ギャガ
5月3日(金・祝)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
©むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
慶應義塾大学4年 伊東美優/慶應義塾大学 2年 松坂侑咲/慶應義塾大学 2年 山本彩央里
撮影:下田航輔
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