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Archive for 運営スタッフ

吉田昂史

株式会社Progmat 代表取締役 齊藤達哉

新しい金融インフラをつくる挑戦と変革 株式会社Progmat 代表取締役 Founder and CEO 齊藤達哉 (さいとうたつや)三菱UFJ信託銀行株式会社 Adviser一般社団法人日本セキュリティトークン協会 理事 ■プロフィール2010年、三菱UFJ信託銀行に入社。法人営業、業務企画、IT企画を経て、2016年にFinTech推進室設立、1人目の専任担当として三菱UFJ信託銀行のデジタル戦略を企画・推進。“シリアルイントレプレナー(連続社内起業家)”として、情報銀行基盤「Dprime」、デジタル証券基盤「Progmat」、ステーブルコイン基盤「Progmat Coin」、機能型NFT基盤「Progmat UT」、数多くの組織が入会する「デジタルアセット共創コンソーシアム」等を立ち上げる。2022年、複数の金融機関や取引所、ソフトウェア企業の出資による、デジタルアセット基盤事業の独立会社化を発表し、2023年10月創業より代表就任。特許登録8件。 金融は社会の仕組みを支え、人々の生活を豊かにする。そんな想いから、より多くの人が安心して利用できる仕組みづくりを通じて、新たな可能性・金融インフラの提供に取り組む株式会社Progmat。今回、同社の代表取締役Founder and CEOである齊藤達哉さんに、Progmatの活躍と大学生が持つべき心構えについて伺った。 ◾️証券とお金を繋ぐ新しい金融インフラ 私たちProgmatは、新しい形の金融のインフラを提供しています。事業内容は大きく二つあります。一つ目はみなさんが投資可能な資産の新しい市場を創る事業です。具体的には、これまで機関投資家しか取引できなかった非上場証券や資産そのものをトークン化(ブロックチェーン上のデータとして移転可能な形にすること)し、個人でも少額からアクセスできる仕組みを提供しています。二つ目は送金や決済の新しいネットワークを創る事業です。日本円や米ドルをトークン化することで、特に海外送金において発生する様々な問題を解決し、国境を越えた資金移動をスムーズにできます。従来の海外送金は複数の銀行を経由するために手数料が高額で不透明だったり、送金完了までに数日を要したりすることが一般的でした。しかし、Progmatが提供するインフラを活用することで、多様な地域との送金を即時かつ低コストで実現します。 Progmatは、国内で唯一、資産やお金をトークン化するプラットフォームをどちらも提供しています。このような独自のポジションを築くことができた背景には、ブロックチェーン技術と信託法を融合させている点があります。私の信託銀行員時代に、社内の専門家の皆さんにアクセスできる関係性と知見を得て、それをブロックチェーン技術と組み合わせることで、競合他社が容易に真似できないユニークなサービスを作り上げることができました。特許を8つとれたのも、信託とブロックチェーンを結びつける取り組みは世間一般では希少だからです。実際、この分野では日本国内はもちろん、世界的に見ても同じことをしている企業はごく少数しか存在していません。私たちは、資産とお金の流れをより自由にし、社会全体の取引を活発化させるインフラを提供しています。こうしたProgmatが提供するユニークな金融インフラが実現した背景には、私自身の予測できなかったキャリアの道筋が深く関係しています。 ◾️予測不可能だからこそ面白い人生  今振り返ってみれば、私のキャリアは先が見えない状態で始まったものでした。私は青森県青森市で生まれ育ち、大学は東北大学の経済学部で過ごしました。学生時代は特に真面目なタイプではなかったです。就職活動では幅広く業界を見ましたが、金融業界特有の、民間サービスと公共インフラの中間のような独自のポジションに惹かれました。三菱UFJ信託銀行に入社後、当時希望していた法人営業も若手のうちに経験できましたが、キャリア的な失敗や意図しないバックオフィス部門への異動もありました。非常に戸惑い、正直なところ退職を考えたことも1度ではないのですが、私は時々の上司からもらった「転ぶことはある。立ち上がるかどうかは自分次第」「捲土重来」の言葉で奮起。部長直下でエンジニアと二人三脚で取り組んだ立て直しプロジェクトが、その後の大きな転機になりました。結果として生産性を劇的に上げられたことで、部署内外からの評価を得ることができました。この成功体験がきっかけで新設されるIT企画部署に呼んでいただき、「FinTech推進室」の立ち上げを企画することになります。唯一の専任担当者として数々の新規事業に挑戦し、その一つが、現在のProgmat事業です。  キャリアを通じて私が学んだ最も重要なことは、「目の前のことに全力で取り組む姿勢」です。キャリアプランは、描いた通りに進まないことが多く、予測できない出来事や異動、変化が必ず起こります。しかし、その予期せぬ状況に遭遇したときにこそ、自分の可能性を広げるチャンスがあります。入社当時は、まさかブロックチェーンを駆使するスタートアップの代表をやるとは想像もしていませんでした。しかし、常に目の前の課題に誠実に取り組んだ結果として、新しい事業の立ち上げや独立のチャンスが訪れました。人生に偶然はつきものです。キャリアの中で訪れる偶然を前向きに受け入れる姿勢こそが、自分の可能性を広げる最大の鍵だと実感しています。思い通りにならないことがあったとしても、それをチャンスに変えられるかどうかは自分次第です。その時々の環境で精一杯努力することで、新たな未来を切り拓くことができるのだと思います。 ◾️大学生へのメッセージ 大学生の皆さんに伝えたいことは二つあります。一つ目は「計画的偶発性理論」です。人生は予測がつきませんが、だからこそ変化が起きやすい環境に身を置くことで、予期せぬ素晴らしいチャンスに巡り合うことができます。迷ったら常に変化が多い選択をすることをおすすめします。私自身もキャリアの中で、最初は想像もしなかったバックオフィスの仕事を任されました。最初は落胆しましたが、それが結果的に次の大きなチャンスに繋がりました。自分では選ばないような出来事も、前向きに取り組むことで大きな転機になりうるのです。二つ目は、スティーブ・ジョブズが語った「コネクティング・ザ・ドッツ」です。これは今やっていることの意味が、その瞬間には分からなくても、後になって必ず意味を持つという考え方です。私も学生時代や社会人になってから経験した数々の困難や予期せぬ出来事が、後から振り返ると現在の成功の土台になっています。例えば、IT企画の仕事やFinTech推進室の立ち上げなど、一見関係のないような経験も後に全て繋がっているのです。皆さんも、目の前の小さな挑戦を決して無駄だと思わず、一つ一つ全力で取り組んでください。それが未来を形作る重要なピースになることを信じて進んでほしいと思います。 学生新聞オンライン2025年2月14日取材 東京大学 4年 吉田昂史 中央大学 3年 向井来幸/京都芸術大学 1年 猪本玲菜/東京薬科大学 2年 庄司春菜/城西国際大学 1年 渡部優理絵/東京大学 4年 吉田昂史

イベント・企業紹介

Surface ソーシャル動画コンテスト

2025年3月14日(金)、日本マイクロソフト株式会社品川オフィスで最終選考会としてプレゼンテーションが行われた。このコンテストは、大学生の創造性を存分に発揮する場として企画されました。最終選考まで残った大学生が最新の Surface と Copilot を活用し、学生生活にどのように役立つかをプレゼンしました。優勝者、審査員、主催者に感想を伺った。 ■優勝者 東京理科大学3年 山口莉玖 もともとSurfaceの学生アンバサダーをしていたこともあり、Surfaceの魅力をもっと多くの人に伝えたいという気持ちで、今回のコンテストに応募しました。動画制作は初めての挑戦で、撮影から編集まで分からないことも多く、何度も試行錯誤しました。けれども、実際の学生生活や学びのシーンでSurfaceがどれだけ役に立っているか、自分の言葉で素直に表現できたことが評価されたのだと思います。発表当日は緊張もありましたが、こうして結果に繋がって本当に嬉しいです。何よりも、自分の想いを形にして伝える経験は、自信にも繋がりました。大学生のうちは、いろんなことに挑戦できる貴重な時期です。少しでもやってみたいと思ったら、ぜひその気持ちを大切にして、一歩踏み出してみてください。 ■審査員 株式会社インプレス こどもとIT 編集部/編集長 神谷加代私は普段、Webコンテンツの制作を行っています。そのため、今回のSurface ソーシャル動画コンテストでは、まず「誰に何を伝えたいのか」という点をしっかり考えているかどうかを重視して拝見しました。いくら完成度が高くても、視聴者の心をつかむ工夫がなければ内容が埋もれてしまいます。さらに、動画自体にストーリー性があるかどうかもポイントだと思います。クリエイティブに作品を作り上げるためには、普段から新しいことに興味を持ち、同じことを繰り返さない姿勢が必要だと感じます。前例通りに進めるのではなく、人と違うアプローチを試してみることも大切です。今の若い世代には主体性が求められると言われますが、それよりも思いきって“あえて人と違うこと”をやってみる勇気がほしいですね。成功や失敗を気にせず、「まずはやってみる」姿勢こそが、魅力ある動画コンテンツを生み出す原動力になるのではないでしょうか。 株式会社AOI Pro. エンタテインメントコンテンツプロデュース部 クリエイティブプロデューサー 芝村至ソーシャル動画はあくまでも広告だと思います。だからこそ、私は作品をできるだけフラットに見て、そこから生まれる疑問や感想を深掘りするようにしています。評価基準というものはもちろん大切ですが、もう少し感覚的な部分も意識して見ています。今回の動画を拝見して特に驚いたのは、単に映像を制作するだけでなく、「なぜその表現に至ったのか」という具体的な理由づけが明確だったことです。ただ、皆さんがロジックや情報を十分に活用している一方で、もっと感性を前面に押し出した作品があってもいいのではないかと感じました。理路整然としていても、目を引く工夫やユーモア、人間臭さのようなものが加わると、ぐっと印象に残りやすくなります。情報があふれる時代だからこそ、想像を働かせてみることが大事だと考えています。しっかり下調べをした上で、そこに自分の感性をどう融合させるか。その姿勢がこれからのソーシャル動画には求められると思います。 ■主催 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 コンシューマー事業本部 デバイス戦略本部 本部長 當野喬之今回の「Surfaceソーシャル動画コンテスト」は、学生の皆さんがどのようにSurfaceやCopilotを捉え、日々の生活や学びに取り入れているのかを知ることを目的に開催しました。実際に応募いただいた作品からは、それぞれの想いや工夫がひしひしと伝わってきて、私たちにとっても新鮮な学びが多くありました。特にファイナリスト3名の発表は、ユーモアや独自性が光っており、学生だからこそ語れるリアルな声を改めて感じることができました。マイクロソフトは「地球上のすべての個人と組織が、より多くを達成できるようにする」というパーパスを掲げて活動しています。だからこそ、若い世代の発信に耳を傾け、共に可能性を広げていきたいと考えています。今回のコンテストで得た気づきは、今後の学生向けマーケティング施策やプロダクト改善にも活かしていきたいと思います。 学生新聞オンライン2025年3月14日取材 明治大学大学院2年酒井躍 / 立教大学4年 須藤覚斗

学生新聞インターン

動画クリエイター kemio

人生をもっと自由に。焦らず、自分らしく生きていけばいい 動画クリエイター kemio(けみお) ■プロフィール1995年生まれ。高校時代、6秒動画アプリVineで注目を集める。2016年に海外に拠点を移し、YouTube配信を本格的にスタート。クリエイター、モデル、俳優など幅広い分野で活躍している。本作で初めて吹替作品に挑戦。 ◆自分らしく生きるために意識していることは 以前から「今いる環境にとらわれず、必ず道はある」と考える意識が強かったと思います。昔から「言葉にしたことはすべて叶えられる人になりたい」と思っていました。エンターテインメントの世界に憧れ、当時流行していた動画共有サービス「Vine」への動画投稿が多くの人に知ってもらうきっかけになりました。日本では一度の失敗が重く受け止められがちですが、アメリカに来て「もっと自由に楽しめばいい」と考えるようになりました。私には「どうにでもなる」という考え方と、積み重ねた経験からくる自信があります。そして何より大切なのは、自分の考えを相手に汲み取ってもらうのではなく、自分から発信していくことです。 ◆映画について教えてください もともとウィキッドの大ファンで、英語版のキャラクター像が自分の中にできあがっており、日本語で演じることに苦労しました。映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、違いを受け入れながら成長する大切さを教えてくれる作品です。観る人それぞれが迷いや葛藤と向き合うことで、勇気をもらえると思います。 ◆学生へメッセージをお願いします 今の学生たちは変化の速い時代を生きています。SNSの影響で他人と比べたり、将来に不安を感じたりするかもしれません。でも、焦らなくて大丈夫。人生はどうにでもなるし、自分で切り開くものなのです。私自身、演技の仕事を増やしたいと考えていたときに「ウィキッド」のお話をいただきました。皆さんもぜひ夢は口に出してみてくださいね。 ◆取材を終えて 気さくで話しやすかったkemioさん。自分らしく、好きなことを楽しむ姿が本当に素敵で、私もそんなふうに生きたいと感じました。「人生はどうにでもなる」という言葉に、深く考えがちな私の肩の力を抜くきっかけになった気がします。 学生新聞2025年4月号 国際基督教大学2年 若生真衣 映画『ウィキッドふたりの魔女』 2025年3月7日(金)より全国公開中配給元:東宝東和ⒸUniversal Studios.All Rights Reserved. カメラマン 下田航輔

DX・WEBマーケティング

西日本電信電話株式会社 執行役員 デジタル革新本部長 デジタル革新本部...

つなぐ力にDXの革新を。NTT西日本が描く未来とは 西日本電信電話株式会社 執行役員 デジタル革新本部長デジタル革新本部 デジタル改革推進部長(兼務)  小田 孝和(おだ よしかず) プロフィール1994年日本電信電話株式会社(NTT)入社。1999年に西日本電信電話株式会社(NTT西日本)勤務となり、西日本エリアのフレッツ網の立ち上げ・NW設備のマイグレーション等に従事。2019年ネットワーク部企画部門長を経て、2022年執行役員デジタル改革推進部長に就任(現職)。2024年より開発・技術系組織を統括するデジタル革新本部長に就任し現在に至る。 DXの力で社会を支える通信インフラの未来とは——。デジタル技術を活用し、地域の課題解決や業務の効率化を進めるNTT西日本。その取り組みや今後の展望について、デジタル改革推進部長の小田孝和氏にお話を伺った。 大学時代は、情報システムやITを専門で学んでいました。研究室のワークステーションで学生がパソコンやサーバーが使えるよう、私はシステム・ネットワークの環境整備や管理を担当させてもらっていました。雑用も多かったのですが、自分が設計構築したネットワークを他の学生が使ってくれて、感謝されたのがとても嬉しかったです。この経験から自分の手で通信の仕組みをつくり、社会を支えるインフラを提供していきたいと考え、当社に入社しました。入社当時は、ちょうどインターネットが普及し始めた頃で、携帯電話もこれから登場するといった時期でした。インターネットは大学機関などに属する一部の限られた人々が利用するもので、一般家庭にはまだ普及していなかったんです。当時のインターネット環境は通信速度が非常に遅く、ホームページ1ページを開くのに4〜5分かかるような時代でしたね。私は入社後、主に通信環境・ネットワークをより高速にしていくこと、光ファイバーをインターネットにアクセスする回線に用いること等、インターネットのブロードバンド化に関する開発導入を担当していました。 ■多くの人々の頑張りが支えた黎明期のネット環境 今は当たり前のようにインターネットがつながりますが、当時はまだまだ黎明期で、なかなか簡単にネットワーク機器同士が繋がらなかった時代でした。開発しているメーカーのエンジニアに「ここ直してほしい、ここ変えてほしい」などと議論を重ねながら調整し、お客様に使ってもらえるよう実際のフィールドに導入していくことが仕事でした。導入し多くの皆さんが使ってくれるようになった後も、故障やトラブルなど予想外の問題が起きるものです。その対処にも苦労しましたね。また、通信設備を苦労しながら構築しても、台風や地震などの災害が起きれば、壊れることもあります。「壊れたら直す」の繰り返しで苦労も多かったです。でも、すべての地域に安定的にインフラを届けることは、私たちの使命でもあるので、大変でも使命感をもってやりとげる仲間たちが一杯います。そんな仲間たちの頑張りがあってこそ、皆さんが当たり前に使える現在のネットワーク環境が実現できていると思っています。 ■DXは目的ではなく手段である 現在私が所属するデジタル改革推進部では、DXやAIなどの技術を社内に展開して、業務をサポートする社内システムを開発し、業務を効率化する仕掛け作りを行なっています。私は、DXとは目的ではなく手段だと思っています。例えば、業務の効率化という目的を果たすためには、組織や人が変っていくことが重要です。そのため、組織や業務の仕組みを変えるための道具としてDXを活用する必要があるのです。一つの例えになりますが、Aという組織とBという組織があって、その仕組みをDXで変えようとしたとき、両方の組織の役割分担を見直さなければならない場合もあります。その際には各組織の立場を超えて、俯瞰的に第三者の目線としてみる必要もあります。その観点でデジタル改革推進部の果たすべき役割は大きいと思います。現在、NTT西日本グループでは、通信事業を始めとする業務に約5万人以上の人が携わっています。通信設備を構築する人、故障を直す人、お客様から回線の申し込みを受けたら、その注文を処理する人など、職種はさまざまです。そのような皆さんが効率的に仕事を行えるようにオペレーションシステムを導入し、DXの色々な仕掛けを入れていきます。DXを進めることで、例えば今まで1000人かかってやっていた業務が100人で出来るようになり、生まれたリソースを活用して「人間にしかできない付加価値のある仕事」をやってもらうことが可能になります。こうした営みを継続することがとても大事です。 ■人口減少をはじめ、社会課題をDXの力でどう解決するか 我々、NTT西日本グループは様々な地域に通信環境を提供しています。そして、その各地域には社員・パートナーの皆さんがいて、それらの方々は通信環境を整備・提供するだけでなく、地域のお客様のDXをサポート・手助けすることも行っています。DXを進めるには通信でつながっている事が大事です。あらゆるものがデジタル化により通信で「つながる」ことが、より大きな価値を生み出します。だからこそ、地域の皆さんのDXを支え、それに寄り添っていくことは私たちの大きな使命だと思います。その営みが、地域の様々な社会課題を解決することにもつながっていきます。例えば、労働人口の減少をDXやAIによって補うこともできます。インフラの維持が難しくなってきている過疎地域等では、自動運転のバスを導入していくといった仕掛け作りも、各自治体の方と協力して進めています。これに限らず、DXやAIでできることは幅広く、あらゆる場面で社会や人々を支えていくことになります。 また、通信事業は私たちのメインの事業になりますので、そこを強みや接点にしながら、ICT導入のサポートを行ったり、我々のサービスを使ってもらうのはもちろんのこと、お客様のDXを進めるためのコンサルティングを行っています。地域・業種・組織等が異なるさまざまな方々がインターネットを中心とした通信でつながることにより、デジタル化のメリットや影響・効果が更に大きくなります。そのサイクルを回すことがとても重要だと思っています。今後注目すべき技術は、やはりAIです。現在、AIがものすごいスピードで広がっています。世の中も大きく変わってきています。これまでも、インターネットが登場し、ガラケーがスマホになり、技術の進化で仕事のやり方や世の中の価値観も、ここ10年20年で大きく変わりました。同じく、今後の10年20年も、ものすごいスピードで世の中が変わっていくと思います。なので、やはり新しいものはどんどん取り入れて、自分たちが変化していかないといけないと思います。ダーウィンの進化論のように「強いものよりも変化していけるものが生き残る」と思いますね。 今は変化の時代なので、自分たちも変わっていくし、自分たちが変わることによって進化したノウハウなどを地域や社会に還元することで、一緒になって変わっていきたいですね。 ■大学生へのメッセージ 今、生成AIやインターネット検索などを使えば、「調べると簡単に答えがでる時代」です。でも、そこに決して満足せずに、「その答えは本当なのか?」という想いを持ち、その裏側にある本質を是非探求してほしいな、と思いますね。やはり「苦労した時の経験こそ、現在の自分の成長や力に繋がっている」と経験上思うので、学生の皆さんにもどんどんいろんな苦労を自ら買って出て、さまざまな経験をしてほしいですね。あとは、好奇心と成長欲求は持ちつづけて、いろんな壁にぶち当たって成長していってほしいです。私がよく言っているのは「いくつになっても日々成長! 年を取っても昨日より今日! 今日より明日!」です。そういう意識で日々私も過ごしています。若い皆さんは成長度合いが大きいと思うので、今を大切にどんどん挑戦してほしいです。 学生新聞オンライン2025年2月21日取材 中央大学3年 向井来幸

学生新聞インターン

株式会社リコー 代表取締役会長 山下良則

「作業」の効率化を追求し、創造性のある「仕事」をする 株式会社リコー 代表取締役会長 山下良則(やましたよしのり) ■プロフィール 1980年、リコー入社。フランス工場や中国工場の立ち上げをはじめ、英国生産会社の管理部長、米国生産会社の社長を務め、リコーのグローバル化を牽引。2017年に代表取締役社長執行役員・CEOに就任し、多様な社員の活躍を促す社内改革を推進。2023年、代表取締役会長に就任。 リコーはオフィス機器の製造販売で知られているが、近年は顧客の業務DXを支援するデジタルサービスの提供に力を入れている。その根底に流れている思想は、「作業」の効率化により、いかにして人が創造性のある「仕事」をするかだ。山下良則会長にリコーの強みや働くことへの意識について伺った。 学生時代は卓球とアルバイトに精を出していました。もちろん授業には出席をしていましたが、「学校以外で学べること」の重要性に気づき、アルバイトなどの学業以外の活動にも力を入れました。大学では経営工学分野を専攻していたのですが、その頃は高度成長期であり、理系学生は電気メーカーに就職するのが大半でした。そういった中にあって、収益性・将来性・安定性の3つを軸にデータを集め、企業分析を行いました。その結果、収益性と将来性の2つが圧倒的に高かったのがリコーだったので、入社を決めました。 ■人は「作業」ではなく「仕事」をするべき 入社後、さまざまな土地で仕事をしてきましたが、特に印象に残っているのは7年間に及んだイギリス駐在です。当時は三六協定もなく、働けるだけ働くことが当然とされていました。私自身も管理部長として身を粉にしながら毎日働いていました。しかし、その中にあってこれだけ仕事をしていても本当に成果として結びついているのか、と疑問に思うようになりました。「仕事」という言葉は、業務内容や作業といった意味でひとくくりに使われていますが、私は機械で代替できる業務は「作業」、創造をもたらす業務を「仕事」と分けて考えています。作業が続くと非常に退屈ですし、なによりも仕事に対する価値を感じなくなってしまいます。作業を一生懸命にしたとしても、競合他社や世界相手に勝てる保証はありません。それならば作業を何かしらの手段を使って効率化し、効率化できた分、人間が本来やるべき仕事をするべきだと気づいたのです。そのほうがたくさんの経験が得られますし、人の幸せにつながるのではないかと考えています。 ■働く人の創造性のある仕事を支援 当社では1977年からオフィスオートメーション(OA)という考え方を提唱し始めました。OAとは、事務作業の機械化の意味なのですが、我々は47年以上も前から「作業」を効率化しようとしていました。それを体現するために、コピー機やワードプロセッサー、ファクシミリといった事務作業を効率化するためのハードウェアを開発し、世の中の“はたらく”を支え、進化させてきました。また、リコーは2020年にOAメーカーからデジタルサービスの会社に変革することを宣言。ハードウェアだけでなく、オフィスロボティクスのためのRPAといったソフトウェアの活用やAI技術の開発、他社との提携やオープンイノベーションなども積極的に行っています。また、文字や画像はデジタル化されましたが、まだ完全にデジタル化されていないものがあります。それは人間の感覚です。うれしいといった感情や肌に当たって痛いなどの感覚をとらえてデータ化していきます。そして認識技術・AI技術によって行動や思考を体系化し、ワークフローと結びつけることにより、創造力を最大限に発揮させられると信じています。 ■自律型人材が活躍できる環境づくり 最後に人事制度についてお話をさせていただきます。リコーでは2022年度から国内約3万人の従業員に対し、リコー式と呼ばれる独自のジョブ型人事制度を導入しました(リコージャパンは2023年度から導入)。この制度は、デジタルサービスの会社への変革に向けて、当事者意識を持って能動的に実力を磨き、チャレンジする、自律型人材が活躍できる環境づくりを目的としたものです。欧米で見られるジョブ型ではポジションごとに給与がつけられますが、異動などでポジションが変わると給与も変わるといったことが起きてしまいます。対して、リコー式ジョブ型人事制度では、グループグレード設計にして、同一グレード内でポジションが変わるような異動が起きても給与は変わらないようにすることで、適所適材による機動的な登用を実現しました。このように欧米のジョブ型をそのまま導入するのではなく、自社に最適な制度にカスタマイズすることで、社員自身が自らの成長のために自律的なキャリア設計を描くことができるようになります。また、ジョブディスクリプションに応じた公平で納得感のある評価も行えるようになりました。社員の成長と会社の成長は同軸だと考えています。しかし、人が人を評価するのは非常に難しいことです。評価する人自身も成長していかなければ評価される側も頑張ろうとは思いません。そのためにも評価する側のトレーニングも欠かせません。 ■message 人間は逆境に立たされたときに大きく成長をします。当社もコロナ禍でプリンティング事業が大打撃を受け、赤字になってしまいました。そのような中にあって、イギリスからコロナ対策の医療用シェルターの開設に必要なネットワーク構築の支援を依頼されました。もちろん赤字の中での苦しさはありましたが、コロナが終息に向かい始めた頃に、世界中からこのネットワーク製品の受注が舞い込み、利益を生み出すことができました。このように逆境の中でも、利他の精神で行動し続ければ、何かしらの成果となって成長するものです。皆さんもぜひそのような成長を目指してほしいと思います。 学生新聞2025年4月号 武蔵野大学4年 西山流生 武蔵野大学4年 西山流生/城西国際大学1 年 渡部優理絵

学生新聞インターン

エレガント・マナースクール 学院長 平林都

エレガント・マナースクール 学院長 平林都(ひらばやし みやこ) 「形なくしては心は伝わりにくい」という信念を掲げ、接遇を通じて笑顔と信頼を届ける“伝説のマナー講師”平林都さん。年間200件を超える研修を手掛ける平林さんに、就活で役立つ第一印象の磨き方など、企業面接に臨む際に、ぜひ知っておきたいマナーについて伺った。 ◾️第一印象を良くするには何が必要ですか  第一印象は3秒で決まると言われています。そのため、見た目や態度に気を配ることが大切です。  ポイントは『見る』『聞く』『確認』の3つです。  『見る』では、清潔感のある身だしなみや明るい表情が重要です。前髪で顔を隠すのではなく、額の一部を見せるようにします。また、スーツにしわが寄っているのではなく、折り目正しいという語源が示すように、ズボンの折り目を付けることで、手をかけているという印象が見えます。“わが社に入りたいのだな”という意欲が感じられることでしょう。日頃から服装や髪型を整え、自然な笑顔を心がけます。  『聞く』は、自信を表す言葉遣いがポイントです。「ありがとうございます」を明るいトーンで伝えるだけでも印象が良くなります。また、相手の話を聞く姿勢が大切で、誠実さや共感を示すことが好印象につながります。  『確認』では、相手の話をしっかりと聞き、適切な相槌を打つことが重要です。「おっしゃる通りです」などといった丁寧なリアクションを心がけてください。これらを意識するだけで、面接官に好印象を与えることができます。 ◾️面接での身だしなみで注意すべき点は何ですか  顔の『額縁』を意識しましょう。額、眉、耳が見えることで、明るくシャープな印象を与えられます。前髪で顔を隠すのは避けましょう。また、健康的な見た目も重要です。体調不良は清潔感を損なうため、十分な睡眠や食事を心がけ、万全な体調で面接に臨みましょう。 ◾️笑顔を意識することがなぜ大切なのですか  笑顔は親しみやすさを伝える大切な要素です。面接において、笑顔は安心感と親しみやすさを伝える最大の武器です。上の歯4本と下の歯4本を見せる笑顔を意識してください。自然な笑顔を身に付けるには練習が必要です。たとえば、口元を固定しながら「おはようございます」と発声する練習を繰り返すことで、笑顔が習慣化されます。 ◾️正しい言葉遣いを身につけるための方法は  語尾を上げる練習を積み重ねることが効果的です。「ありがとうございます」を、語尾を上げて明るいトーンで伝えるだけで、元気で好印象を与えられます。また、「ございます」「いたします」など丁寧な表現を使うことで信頼感が増します。鏡の前で練習したり、家族や友人との会話で意識してみてください。身だしなみ、言葉遣い、笑顔といった「形」を整えるだけで自信が生まれてくるものです。 学生新聞2025年4月号 津田塾大学2年 石松果林 慶應義塾大学3年 松坂侑咲/津田塾大学2年 石松果林/東京経済大学1年 望月虎輝

加藤眞優花

女優 安倍乙

どの道に歩むにしろ、正解にするのは自分次第 女優 安倍乙(あべおと) ■プロフィール2000年1月18日生まれ、大阪府出身。2017年より秋元 康プロデュース「劇団4ドル50セント」の劇団員として活動。ABEMA『真冬のオオカミくんには騙されない』に出演後、グラビアで人気を博し、2023年にはテレビ朝日系『仮面ライダーガッチャード』に銀杏蓮華役でレギュラー出演を果たす。現在は雑誌『美的』のレギュラーモデルも務める。 さまざまな役柄を巧みに演じ分けるその演技力や登場人物の心情を見事に体現する表現力で、多くの視聴者を魅了する女優の安倍乙さん。誰をも惹きつける演技の秘訣と、出演するドラマ「きみは面倒な婚約者」にて花澤優衣を演じる上で意識した点や伝えたい思いを伺いました。 私が舞台に立つようになったのは、姉の存在が大きいです。姉は大学で舞台芸術学科を専攻していたのですが、彼女の様子をそばで見ているうちに、演じることに憧れを抱きました。「劇団4ドル50セント」のオーディションに合格し、高校三年生の時に上京しましたが、不安よりも自由を感じる気持ちのほうが大きかったです。東京の大学に進学したものの、稽古と重なり、大学にはあまり通えませんでした。当時は、お芝居の道に進みたいという想いと、就職した方が良いよなという想いで葛藤することもありました。でもやっぱり、自分がやっていて楽しいことをするべきだと思い、芸能の道一本に絞ったのです。  お芝居にやりがいを感じる瞬間は、見てくださった方々の反応を直に知れる点です。視聴者の方から、ここが良かったと生の声を聞いたり、SNS等でコメントをいただいたりすると、すごく嬉しく、やりがいを感じます。もうひとつのお芝居の魅力は、別人になれることですかね。もちろん難しさもありますが、それを超えた役者ならではのやりがいや楽しさがあります! 時には、朝から夜まで何日も撮影が続くので、リフレッシュもかねて早寝早起きを徹底したり、帰ってきたら早めにお風呂に入ったりするようにしています。現場の雰囲気もそれぞれの撮影によって変わりますね。仮面ライダーの撮影のように長時間一緒にいるとキャストもスタッフも家族のような雰囲気になるし、シリアスな役を演じる時には現場でも少し静かめに過ごすことも多いです。どんな役を演じるかで、現場での過ごし方も変えるように意識しています。 ■テレビ朝日&TELASA 恋愛ドラマシリーズ「きみは面倒な婚約者」注目ポイント 「きみは面倒な婚約者」という作品では、ぜひモノローグの表情に注目していただけたらと思います。登場人物たちの内面に秘める想いと顔の表情が異なるため、それぞれの葛藤を感じてもらえたら嬉しいです。他にも表情の違いで雰囲気を切り替えている箇所もあり、シリアスな部分とコミカルな場面は、舞台で鍛えられた表情演出を意識しながら演じています。 ■花澤優衣と安倍乙 今回のドラマへの出演が決まった時は素直に嬉しかったです。花澤優衣は、私が今まで挑戦したことのない、あざと女子で前髪がぱっつんのキャラクターです。新しいヘアスタイルに挑戦できるのも楽しいし、あざとい女の子を演じるのもとてもワクワクしました。 しっかりしているようでドジっ子。そんな花澤優衣の性格は、私と少し似ているなと思います。演じる上で気をつけたことは、明るくてあざといキャラなので、私生活でも日常的に明るい感じでふるまったり、友達に上目遣いなどのあざとさのコツを聞いたりしました。また、花澤優衣というキャラクターは、何事にも諦めない性格が印象的です。芯が強く、フラれても前向きに捉えて切り替えていくキャラクターなので、きっと今恋している人も参考にできるのではと思います。そして、背中を押すキャラクターだなと感じます。恋敵は嫌われやすいですが、花澤優衣は嫌われつつも誰かの背中を推してくれるキャラクターです。最初は、「なんだこの子は!」と思われるかもしれませんが、きっと最後には視聴者の方にも「いい子だな」と思っていただけるのではないかと思います。 ■今後の展望 お芝居がたくさんできたらいいなと思っています。今までは、明るいキャラクターを演じることが多かったので、ぜひ真逆のキャラクターにもチャレンジできればと思います。あとは、どの役を演じるのであれ、感動と共感を与えられる役者になりたいです。「こんなふうになりたい!」と誰かに思ってもらえるような役者になれたらと思います。 ■大学生へのメッセージ 「自分の人生の選択を正解にしていく」。このことを軸に活動することが大事だと思います。私も大学に通い続けるか、女優の道に進むのかかなり悩みました。自分の進みたい道に踏み切れないときは、リスクを考えずに、とにかく自分の心にしたがってほしいと思います。どんな選択も自分次第だと思います。その選択を正解にするのは自分です。また、大学生という時期は、失敗してもまだやり直せることを念頭において考え込みすぎず、チャレンジしてほしいです。 学生新聞オンライン2025年2月26日取材 大妻中野高等学校3年 加藤真優花 ☆テレビ朝日&TELASA 恋愛ドラマシリーズ☆ きみは面倒な婚約者「きみは面倒な婚約者 ダイヤ」TELASA:2025年3月3日(月)ひる12時~配信中 「きみは面倒な婚約者  プラチナ編」地上波:2025年3月28日(金)深夜1時30分~放送予定(関東ローカル) 津田塾大学2年 石松果林/大妻中野高等学校3年 加藤眞優花 カメラマン:下田航輔

イベント・企業紹介

インフルエンサーズEXPO 2025SS

株式会社M CLOUD(本社:東京都渋谷区、代表取締役 CEO:南美沙)は、2025年3月13日(木)に10回目となる「Influencer’s EXPO 2025 SS」を開催しました。今回のイベントには、ALLIE、ロート製薬株式会社、株式会社プロラボホールディングス、株式会社 SUNGRAN、生活の木、株式会社メディプロデュース、株式会社サンギ、株式会社ゴンチャ ジャパン、チョーヤ梅酒株式会社など多くの企業が協賛していました。 Influencer’s EXPOとは、InstagramやTikTokなどのSNSで人気のインフルエンサーが来場するイベントです。SNS世代に大きな影響力を持つ厳選された300名以上(マイクロインフルエンサーやトップ・ミドルインフルエンサー)を完全招待制で案内しています。本イベントは「インフルエンサー」という言葉のイメージや価値を確固たるものにしたいという思いから2019年に発足されました。M CLOUDの考える「インフルエンサー」は、フォロワーが多いことだけではなく、職種や発信内容を問わず、世の中に対して有益な情報を発信し、影響を与える人たちのことを指します。 イベント会場では人気商品や新商品をいち早く体験できるなど、最新トレンドをチェックすることができます。企業ブースでは、インフルエンサーに商品の良さを説明、体感してもらえる場になっています。 次回は初の大阪開催「Influencer’s EXPO in OMO7大阪 by 星野リゾート」が2025年5月29日(木)に決定しています。ぜひインフルエンサーのみなさま、足を運んでみてはいかがでしょうか。 株式会社MCLOUD 代表取締役 南美沙 モデル、女優、インフルエンサーとして映画、雑誌や様々な広告に出演した後に起業。キャスティングサービス「キャストドン」の提供をはじめ、日本最大級のインフルエンサーイベント「インフルエンサーズEXPO」の主催を務めるなど多岐にわたり活躍をしている。 https://mcld.jp/ <当日の会場の様子> 学生新聞オンライン2025年3月13日取材 学生新聞編集部

イベント・企業紹介

「BENI BITES(ベニバイツ)」お披露目イベント

~日本のさつまいもを世界のスーパーヒーローに~手が汚れない。持ち運びやすい。新発想の干し芋バー BENI BITESで革命を起こす! 干し芋の新たな可能性を切り開く「BENI BITES(ベニバイツ)」が全国発売しました。2025年2月7日、東京都港区のBROOKS GREENLIT CAFEで開催されたお披露目イベントには、驚くほど多くの来場者が詰めかけ、注目の高さが伺えた。ブランド誕生の背景や開発のこだわり、そして今後の展望について、BENI BITESを運営している株式会社morning boost代表の神宮司希望さんに話を伺った。 株式会社 morning boost 代表取締役兼 CEO 神宮司希望(じんぐうじのぞみ) ■プロフィール鹿児島県生まれ。大学卒業後、航空会社に入社。世界中のさまざまな食とふれあう中で、食文化の多様性に魅了され、2013年 朝食卵料理専門店「eggcellent」をオープン。2018年にプラントベース&グルテンフリースイーツ「UPBEET!Tokyo」、2024年 プラントベース&グルテンフリースナック「BENI BITES」をリリース。ミッションは「日本の食の素晴らしさを通じて、世界中の皆さまに健康と笑顔をお届けすること」。東京都女性ベンチャー成長促進事業 「APT WOMEN」 第8期生。経済産業省×JETRO 「J-Star X Food Frontiers USA」第1期生。農林水産省フードテック官民協議会『食スタートアップ未来会議』メンバー。 ■干し芋バーの誕生した経緯 私は鹿児島で育ち、幼い頃から干し芋に親しんできました。干し芋は昔からある伝統的なおやつですが、手にくっつきやすく、外で食べるには少し不便な点がありました。カバンの中に入れて持ち運ぶのが不便だったり、食べた後にパソコンを触るとベタついてしまったりと、日常生活の中で使いづらい場面も多かったのです。そこで、もっと手軽に、どこでも食べやすい形にできないかと考えたのが干し芋バーの始まりです。従来の干し芋の良さを活かしつつ、スティック状にすることで、持ち運びやすく、衛生的に食べられるようにしました。これなら忙しい現代のライフスタイルにも溶け込み、さらに世界中の人々にも受け入れていただけると考えております。 ■干し芋バーのこだわり 市場にはすでに多くの干し芋製品が存在していますが、「干し芋バー」は独自の特長があり差別化を図ることができます。美味しい干し芋バーにするために、鹿児島・桜島の溶岩で長時間かけて焼き芋にした「南九州産の良質なべにはるか」を丁寧に干し芋にし、独自の製法で甘さと栄養を閉じ込めバーに仕上げました。商品の嬉しいポイントとしては、プラントベース、グルテンフリー、低GI、良質な食物繊維が豊富で腸活によいことに加えて、一般的な干し芋はそのままの形状で販売されますが、「干し芋バー」はスティックバー状に加工されており、手を汚さずにワンハンドで手軽に食べることができる仕様になっております。また、パッケージデザインにもこだわり、若い世代や海外の消費者にも受け入れられやすいスタイリッシュでインパクトのあるデザインを採用しました。単なる食品としてではなく、ライフスタイルの一部として取り入れられることを目指しています。そのため、細部にまで工夫を凝らし、現代の消費者のニーズに応える商品に仕上げました。 ■カラダにも健康にも嬉しい 干し芋は美味しいだけでなく健康にもいいと、幅広い年代に古くから親しまれてきた日本が誇るスーパーフードです。「干し芋バー」はカラダにも環境にも配慮した商品として開発されました。その理由として、さつまいもは食物繊維やビタミンなどが豊富に含まれていますが、干し芋にすると食物繊維はさつまいもの約2.7倍!カリウムやカルシウムなど他の栄養素も増えます。食物繊維が豊富で腸内環境の改善も期待できるため、健康を意識する方にもおすすめです。また、干し芋の原料となるさつまいもは、少ない水で手を加えずに栽培することが可能であり、CO2の吸収力が高いため、環境配慮の農作物です。                            近年、健康志向やサステナブルな消費に関心を持つ人が増えていますが、「干し芋バー」はまさにそうした時代のニーズに応える商品だと考えています。 ■さつまいもを世界のスーパーヒーローに 私のミッションは、干し芋バーを通じて、この素晴らしいさつまいもの魅力を国内外に発信し、「さつまいもを世界のスーパーヒーローに」することです。この度の「干し芋バー」はその第一弾アイテムとして開発してきました。今後は、さつまいもを使ったさまざまな商品を展開し、日本の農産物の魅力を世界中に伝えていきたいです。 学生新聞オンライン2025年2月7日取材 津田塾大学2年 石松果林

学生新聞インターン

CBcloud株式会社 代表取締役CEO 松本隆一

「ドライバーの価値を上げる」というぶれない軸 CBcloud株式会社 代表取締役CEO 松本隆一(まつもとりゅういち) ■プロフィール1988年生まれ、沖縄県出身。高校時代に独学でプログラミングを修得。高校卒業後、航空保安大学校を経て国土交通省に入省。航空管制官として羽田空港に勤務。2013年に退省、他界した義父の運送業を継ぎ、配送ドライバーを経験。同年CBcloud株式会社を設立。 2024年問題を筆頭に、物流業界には多くの課題がある。それらの課題をテクノロジーを駆使して解決しているのがCBcloud株式会社だ。同社はピックゴーやスマリューというサービスを提供しており、登録する個人事業主のドライバー数は6万人と日本一の登録数を誇る。今回は同社を率いる松本隆一氏に学生時代の話や社長になるまでの経緯、大学生へのメッセージをお伺いした。 高校時代はゲームが好きすぎて、夜中までゲームをし、授業中は寝て、放課後に野球をするという生活を送っていました。そんな中、塾の恩師から「ゲームを“やらされている”うちはまだまだだ。自分でゲームを作って人を幸せにするくらいになりなさい」と言われ、衝撃を受けました。それまで「作る」という発想がなかったのですが、この言葉をきっかけにエンジニアリングに興味を持ち始めました。  ちょうどその頃、実家が塾を起業していて、オンデマンド授業システムを作ることになりました。座席についてIDとパスワードを入力すると、受講している授業を受けられる仕組みです。これは恩師の一言で始めたエンジニアリングで、人に価値提供できたいい経験になりました。  その後、大学受験のタイミングでエンジニアリングの道に進むことも少し考えましたが、最終的には小さい頃から持っている航空への興味が強く、航空管制官を目指して航空保安大学校へ進学しました。 ■義父の思いを引き継いで 航空管制官時代に現在の妻と出会いました。付き合っていく中で、妻の父が運送業をやっていることを知りました。彼の営んでいた運送業が、いまのCBcloudの前身に当たります。  義父はもともと国道沿いの新古車販売業をしていました。多店舗展開していない車屋は、基本的には地域密着型のビジネスのため、売上の上限がすぐに見えてしまいます。そこでアイデアマンだった義父は、冷凍軽貨物車を開発・販売し始めました。20~30年前はどこのメーカーも冷凍軽貨物車を作っていなかったため、この車は飛ぶように売れました。 しかし、次第に義父は物流業界の闇に直面します。彼は定期点検で戻ってくるドライバーたちの話を聞くうちに、その裏側にある厳しい実情を知るようになりました。物流業界は多重下請け構造になっており、最終的に仕事を請け負うのは個人事業主のドライバーたちです。仕事の依頼を一度断ると次の仕事が回ってこなくなるなど、彼らの社会的地位は決して高くありませんでした。そんな話を聞くうちに、義父は「冷凍軽貨物車を売ることで、結果的に人を不幸にしてしまったのではないか」と考えるようになったのです。  普通の車屋さんであれば車を売って儲かれば終わりですが、義父が違ったのは、困っているドライバーたちと向き合い始めたことです。具体的には、自社の車を買ってくれた人に対して、仕事を確保し、割り振るという、運送事業を始めたのです。これを聞いた時に私はただただ感動しました。誰かの困り事を解決して、さらにそれをビジネスにしていることがかっこいいなと思ったのです。そこに共感し、航空管制官を辞めて義父の事業を手伝うことを決めました。  私が手伝い始めた当初、運送業界は本当にアナログな世界でした。義父のもとには、配送依頼の電話が朝夜問わず電話でかかってきて、受けた依頼を、自分がつながっている個人事業主のドライバーに電話で依頼する形で対応していました。これだと義父が24時間対応しなければならず、事業も拡大しません。そこで私たちは、お客さんから来た依頼が全部自動でドライバーさんに流れるような仕組みを作ることにしました。しかし、この仕組みづくりを始めたタイミングに、義父が亡くなってしまいました。その後、彼の想いを引き継いで私が社長になり、今のCBcloudが立ち上がったのです。 ■ぶれない軸があれば、失敗しても成功できる 創業以来、大切にしてきたのが「ドライバーさんの価値を上げる」という軸です。  たとえば、以前某EC事業者さんが日本で物流事業を始める時、弊社に声がかかりました。当時、社員が10名のときに100億円もの案件のオファーをもらい、非常に魅力的ではありました。しかし、この案件を受けるとドライバーさんをただ派遣するだけになってしまい、彼らの価値向上につながらないと感じたため、お断りしました。  普通の会社は、お金を落としてくれる人のために何をするかを考えます。しかし、弊社はドライバーの皆さんの支援を最優先に考え、彼らのために何ができるかを一貫して追求してきました。ピックゴーではドライバーさんに仕事を正当な対価で提供できる仕組みを、スマリューでは仕事を遂行する上で生産性を上げられるシステムを提供してきました。これが結果的に個人事業主のドライバーさん6万人の登録につながり、紹介できるドライバーが多いという弊社の強みにつながっているのだと感じています。  「軸をちゃんと持つ」ということは、一緒に働く人に求める条件でもあります。ぶれない軸さえ持っていれば、たとえ失敗をしても最終的に成功できると考えています。これは仕事でも人生でも大事なことです。  弊社では、今後もドライバーさんの価値を高めつづけ社会的地位向上に努めていきたいです。今は「自分はドライバーだ」と胸を張って言える人は少ないです。私たちの仕事にゴールがあるとしたら、ドライバーさんたちの親友や子供が「自分もドライバーという職業を目指す」と言い出したときに、自信を持って背中を押せることです。また、物流業界に限定せず、地方人材などのポテンシャル発掘にも力を入れていきたいと考えています。 ■大学生へのメッセージ 興味があることだけでなく、興味がないことにも積極的に挑戦してほしいと思います。  僕自身の例を挙げると、飲み会に誘われたら基本的に全部行きます。なぜかというと、どんな場でも新しい出会いや気づきがあるからです。大人になると、つい「あの人がいると楽しくなさそう」「この話題になりそうだから面白くない」と決めつけがちですが、実際にそうなるかどうかはやってみないとわかりません。結局のところ、場の面白さは自分次第。自分が楽しもうとすれば、どんな環境でも価値ある時間に変えられます。  人は、自分の過去の経験をもとに判断しがちです。しかし、それでは新たに得られる経験の幅も連鎖的に狭くなってしまいます。僕自身も、37年間生きてきましたが、自身の経験のみで判断してはいけないなと感じています。  ぜひ、与えられた機会にすべてトライしてください。興味の有無に関係なく、一歩踏み出してみることで、新しい世界が広がります。経験は、あなたの未来を形作る大きな財産です。 学生新聞オンライン2025年2月21日取材 法政大学4年    鈴木悠介 法政大学4年    鈴木悠介/東洋大学2年 越山凛乃

コラム

テリー伊藤 コラムVol.47 戸塚トツカーナモールが凄すぎる

鎌倉への帰路、普段なら寄り道はしないが、中華料理が突然食べたくなり戸塚に向かうことに。以前にも来た駅前のショピングセンター『トツカーナモール』へ。いつもなら和食を選ぶが今日は中華と決めている。とは言っても初めて入る店、それもモールにあるお店「華林菜館」、余り期待はしていなかった。しかし、店内に入ってみると、店員さんも料理人も全て中国人でやる気満々、びっくりの美味しさだった。天津麺、回鍋肉、酸辣湯全てが旨い。それも大衆料金。横浜中華街の名店にも引けを取らない味なのだ。帰り際、レジの横を見ると若き植木等さんと黒沢年男さんの写真が飾ってあった。昔の「華林」の店内での撮影と思われる。さすが植木さん、安くても美味しいお店を知っていた。大満足でお店を出たが、お腹いっぱいになりモール内を徘徊すると、とんでもない事に気付く。人生の全てがここで手に入る仕組みになっていた。 B1FはTOKYU PLAZで食料品。ファーストフードが網羅され、更に工務店、カルチャースクール、ベビーパーク、ダンススタジオ二つを設置。保健相談窓口も開設され、地下鉄入口もある。1Fには大衆的飲食店が30店舗以上軒を連ねる。と思えば靴修理、合鍵作成店、宝飾店、処方箋薬局、横浜銀行と凄い事になっている。2Fは宝くじ売り場、補聴器センター、歯科医院、りそな銀行、メンズカジュアル洋品店、女性が好むレストランから牛丼吉野家まで飲食店多数。凄いのはパチンコ屋さんまで。都心ではパチンコ屋さんはモールには入らないが、恐らくこの場所の開発以前からこの地で営業していた関係で優先的に許可が下りたのでは。歯科医院、スマートフォン修理店。最後に介護施設の紹介所も。バラエティーに富んでいる。 3FはJR戸塚駅改札に続く道とバスターミナルに行ける玄関となる。正面らしく3つの大手銀行が並ぶ中、女性の集客に力を入れているのか美容関係であるネイル、エクステ、リラクゼーション、整体マッサージ、寝具、ドラッグストアーなど、女性の興味を引くショップが良い位置を占めている。4Fはユニクロを始め都内には無さそうなファション店多数。新鮮で面白いため私も思わずセーターを2枚購入。呉服店、パソコン教室、英会話教室、更に眼科、またまた歯科医院、産婦人科医院も揃う。5Fにも眼科、人工透析院とヘルスケアも完璧。 トツカーナで産まれ、学んで、綺麗になって、オシャレして、美味しい物食べて、太って、ダイエットして、恋して、貯金して、家を探して、病気になって、老人ホーム探し、まさに「ゆりかごから墓場まで」全て手に入るとんでもないモールなのだ。トツカーナという名前もいい。2025年はトツカーナ詣で始まった。 テリー伊藤(演出家) 1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」LALALA USAでコラム連載中https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

学生新聞インターン

モデル・タレント 山口厚子

夢を叶える力は、自分を信じること モデル・タレント 山口厚子(やまぐち あつこ) ■プロフィール1996年4月16日生まれ。福岡県出身。現在モデル・インフルエンサーとして東京を拠点に活動中。また地元福岡県八女市の”八女市茶のくに親善大使”として活動中。過去に『踊る!さんま御殿‼︎』『今夜くらべてみました』に出演。札幌コレクション2023でランウェイデビュー。写真集制作やバスツアーを企画・実行するなど活躍は多岐にわたる。 「自分を信じて、夢を叶えるために努力を続ける」。そんな信念を持ち、モデル・タレントとして活躍する山口厚子さん。福岡で育ち、一度は就職するも、再び夢を追い東京へ。独立し、試行錯誤を繰り返しながらも、SNSを活用し多彩な活動を展開。挑戦し続ける彼女の軌跡と、大学生へのメッセージを伺った。 小学校6年生のとき、外見にコンプレックスを持っていました。地黒で眉毛も濃く、周りと違うことに悩んでいたんです。でも、ある日叔母が『長谷川純ちゃんに雰囲気が似てる』と言ってくれて、どんなモデルさんなんだろうと本屋で雑誌を探しました。表紙で輝いている姿にすごく感動して『私もモデルになりたい!』と興味を持ちました。長谷川潤さんのナチュラルでヘルシーな姿を見た時、衝撃が走ったのを今でも鮮明に覚えています。自分がコンプレックスだと思っていたことが唯一無二の個性なんだと気づかせてくれたのです。その後、地元のフリーマーケットで偶然参加したオーディションでグランプリを獲得し、事務所に所属することになりました。自分が選ばれるとは思ってもおらず、「まさか私が?」と信じられない気持ちでした。何が起きているのか分からないまま、驚きと戸惑い、そして少しの喜びが入り混じっていました。しかし、所属当初はアイドルの候補生としての活動が中心で、「私が目指したいのはアイドルではなくモデルだ」と強く感じるようになりました。そして中学2年生のとき、モデル部門のレッスンを受ける決意を固めたのです。 ■挫折を経験しながらも夢を諦めなかった理由 地元・福岡の事務所でレッスンを受けながら、モデルのオーディションに挑戦していました。でも、なかなか受からなくて……。自分の実力不足を痛感しましたし、学業優先の家庭だったこともあり、芸能一本で進むのは厳しいと感じました。東京の短大進学後は、学業と両立しながらエキストラの仕事にも挑戦しました。現場の空気に触れ、「やっぱりこの世界が好きだ」と再確認しました。しかし、卒業後は一度地元に戻り、和菓子店に就職しました。「親孝行のために地元に残ることが幸せ」と考えていたのですが、心のどこかで芸能への未練があったのです。目が覚めたのは、妹に言われた「やればいいじゃん」という一言です。3連休を使って東京に行き、かつての業界関係者と話すうちに「私の居場所はここだ」と確信しました。帰りの新幹線で涙を流しながら、両親に「東京で頑張りたい」と伝えたのです。 ■仕事をする上で楽しい3つのこと 仕事をする上で、私には3つの楽しみがあります。1つ目は「撮影」です。撮影の現場では、多くの人と協力して一つの作品を作り上げます。ヘアメイクさん、カメラマンさん、スタイリストさんなど、さまざまなプロフェッショナルと一緒に仕事をするのがとても楽しいです。チームとして一つの目標に向かい、形にしていく過程がやりがいになっています。2つ目は「形に残ること」です。自分が出演した広告や映像作品が世の中に出て、それを見た人がクスッと笑ってくれたり、ちょっとでも気持ちが明るくなったりすることを願っています。映像作品などで演じた役が視聴者の印象に残ると、とても嬉しくなります。3つ目は「反響」です。SNSを通じて、ファンの皆さんがリアクションをくれることが本当に励みになっています。仕事を通して誰かの心に残ること、応援してもらえることが、次の仕事へのモチベーションにつながっています。 ■夢を叶えるために大切なこと 「願い続ければ夢は叶う」と信じています。私にとって、夢を叶えるために最も大切なことは「行動し続けること」です。例えば、ランウェイを歩くという夢は、26歳でようやく叶いました。14年間諦めずに願い続けたからこそ実現したんです。大切なのは、目標を口に出すこと。自分だけで抱え込まず、誰かに話すことで「やらなきゃ」という意識が生まれます。 不安を乗り越える方法については、「向き合うことが大事」と思います。久しぶりの演技仕事で、台本を3パターン覚えなきゃいけないことがありました。不安でしたが、先輩に相談すると『あなたに依頼が来た時点で自信を持っていい』と言われました。その言葉を受けて、とにかく練習し続けた結果、自信を持って現場に挑めました。 また、このとき気づいたのは、不安にとらわれることは、自分に仕事を任せてくれた人への信頼を裏切ることになりかねないということです。誰かが私を必要として声をかけてくれた以上、その期待に応える努力をすることが大事だと強く思いました。 これからの目標は、より幅広い分野で活動しながら、さらに多くの人とつながっていくことです。地元・福岡での活動を増やし、地域の魅力を発信する仕事にも力を入れたいと思っています。また、いつか妹と一緒にランウェイを歩く機会があれば嬉しいです。さらに、SNSを通じて、より多くの人にポジティブなメッセージを届けたいと考えています。私の活動を見て、「挑戦するのって楽しい」と思ってもらえたら、それ以上の喜びはありません。 ■大学生へのメッセージ 大学時代は人生の土台を築く大切な時間です。遊ぶのも、学ぶのも、自分次第。だからこそ、1日1日を大切に過ごしてほしいと思います。特に、周りと比べるのではなく「昨日の自分より成長すること」を意識してほしいですね。また、「生涯の友人を見つけてほしい」と思います。私が結婚式をした際、参列してくれたのは、大学時代の友人が8割を占めていました。大人になってから友達を作るのは難しいからこそ、大学時代に築く友情は貴重です。楽しいことだけでなく、お互いの弱さも見せ合える関係が、一番の財産になると思います。挑戦を続ける私の姿が、皆さんの背中を押せたら嬉しいです。 学生新聞オンライン2025年3月12日取材 津田塾大学2年 石松果林 カメラマン:下田航輔

イベント・企業紹介

「大人の休日倶楽部」プレス発表会

東日本旅客鉄道株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:喜㔟陽一)は、3月12日(水)に、東京ステーションホテルにて「大人の休日倶楽部」のプレス発表会を開催。ゲストには、同サービスの新メインキャストに就任した竹野内豊さんを招き、出演した新CMの撮影秘話や、「大人」「休日」をテーマにトークを行いました。「大人の休日倶楽部」は、50歳からの旅と暮らしを応援する、会員向けサービス。2005年にサービスを開始し、以降20年にわたり俳優の吉永小百合さんに計71本のCMに出演してもらいました。竹野内さんを起用した新たな広告は『大人はみんな、旅の途中。』をキャッチコピーに展開していきます。 ■「大人の休日倶楽部」の概要「大人の休日倶楽部」は、50歳以上の方々を対象としたJR東日本の有料会員制サービスです。会員は「大人の休日倶楽部ミドル(満50歳以上)」と「大人の休日倶楽部ジパング(満65歳以上)」の2つのカテゴリーに分かれ、会員限定きっぷ・割引きっぷの提供や会員限定イベント・キャンペーン、カルチャースクール「趣味の会」など、様々な種類の特典を受けることができます。2005年のサービス開始以来、50歳からの旅と暮らしを応援し、多くの会員に愛されてきました。 ■竹野内豊さんメインキャストに選ばれた時は、嬉しさと共に特別な使命感も感じました。20年にわたり、吉永さんやスタッフさんが思い出を織り交ぜながら丁寧に作り上げてきたCMだったので、そのバトンパスを私がしっかりと受け継ぎ、素敵なCMを作ろうと思いました。 完成したCMをみた時は、ゆったりと大切な人と過ごせる時間の大切に気づきました。とくに、「これからどうする?」という言葉に対し、「まだ決めてない」と返答するシーンは印象的です。撮影地の美しい福島の景気は、自然が豊かで四季折々を感じられるような場所でした。幼い頃から自然に出かけるのが好きだったので、撮影を忘れて満喫しました。このような景色や伝統は多くの人々が守り続けたからこそ、今に続いているものだと感じ、改めて日本を誇らしく感じました。 子供の頃に思い描いていた大人は、意のままに問題を解決できるイメージを持っていましたが、いざ自分が大人になると、なかなかその通りにはいかず、幾度と苦しみを超えてきました。しかし、沢山の出会いのおかげで、その障壁を乗り越える選択肢が増えたような気もします。これから先は、仕事以外の面でまだ経験できていないことに挑戦し人生を豊かにできたらなと思います。 このCMを見てくださった皆さんが新たな旅に出て、日本の良さを再認識し、日本の伝統を守っていただけたらなと思います。 ■吉永小百合さんビデオメッセージ私は2005年から20年間、大人の休日倶楽部のキャストを務めてまいりました。東北や北海道、北陸などを旅し、地元の方々との交流はかけがえのない思い出です。震災後の復興を願いながらの旅も心に残っています。この度、竹野内豊さんが後を継がれるということで、私もとても楽しみにしています。皆様、これからも素敵な旅をお楽しみください。 カメラマン:下田航輔

人事

SOMPOひまわり生命保険株式会社 執行役員 CHRO(人財開発部長)野田...

保険会社が学生たちに求めること。それは、一生懸命さと誠実さ。 SOMPOひまわり生命保険株式会社 執行役員 CHRO(人財開発部長)野田美智子(のだみちこ) ■プロフィールSOMPOひまわり生命保険株式会社名古屋支社に営業事務として中途入社。東京本社に転勤してからは主に社内業務改革を担当。管理職として、システム、内部監査、営業、広報とさまざまな業務に従事し、2023年から現職。 日々、お客さまの健康を支え続けているSOMPOひまわり生命保険株式会社。同社の人財開発部長である野田美智子さんは、「実は人財開発部長就任前には、人事の経験はなかった」と語る。しかし様々な職種を経験したからこそ、運用できる健康経営と社内キャリア制度を生み出し、独自の人財育成を行っている。現在に至るまでの経緯や今後にかける想いを聞いた。 短大での2年間は、アルバイト漬けでした。お金を稼ぐことを目的にしていたのではなく、様々な職場・職種を経験したいという好奇心が大きかったです。授業がある時間帯以外は、飲食店・イベントスタッフ・塾などで働いていました。その中で、様々な職種の人たちとの人間関係を構築できたことは、今でもいい思い出です。しかし、事務系の業務をしたことがなかったため、事務職に憧れを抱いていました。そのため就職活動では業界や業種ではなく、一般事務の就職先を選んでいました。 ■商社から生命保険会社への転身(転職) 就職活動をしていたある日、電車から、名古屋鉄道関連の商社の広告が窓から見えました。どういう仕事をしているかは知らずに、何となくその会社に惹かれてエントリーをしたところ、無事に事務職として入社することができました。仕事はとても楽しかったのですが、雇用形態は契約社員でした。ゆくゆくは正社員になりたいと考えていたので、転職をしようと思っていました。当時は各生命保険会社が事業を拡大していた上、保険会社に対して良いイメージをもっていたこともあり、生命保険会社に就職しようと考えました。その中でも、ご縁のあったSOMPOひまわり生命保険株式会社に入社を決めました。 ■多職種の経験を経て、人財開発部長に任命される 入社当時は、営業店で事務対応を行っていましたが、しばらくして他の営業店の事務指導を担うようになりました。また、事務処理全般の仕組みを見直す業務に携わった経験を活かし、システム部門に異動したり、社内ルールの妥当性や機能を確認する内部監査を担ったりしました。その後は再び営業店に異動し、今度は営業を担うなど、学生時代と同じように様々な職種を経験しました。それら経験のなかで、人との繋がりや部門ごとの課題を直に感じる機会が多くありました。そうした経験があって人事部門への移動、CHROに任命されたと考えています。 ■社内も社外も健康に 当社の魅力は、社内・社外ともに健康応援を実現できている点だと考えています。たとえば、現在、お客さまにご提供しているのが、「健康☆チャレンジ!制度」という取り組みです。これは、保険の一定期間内に禁煙に成功したり、血圧・BMIといった健康状態に関わる数値が改善された場合に、その後の保険料が割安になる仕組みです。また契約日に遡って保険料差額相当額を「健康チャレンジ祝金」としてお受け取りいただけるという、今までにないサービスです。2020年4月に開始して以来、4年間で約2万人がチャレンジに成功しています。社内に対しては、禁煙セミナー、ハイキング、健康にまつわるイベント等を開催しての健康推進や、ワクチンの予防接種費用を一部補助するなど、日常的な部分から社員の健康を支えています。このような健康応援を続けた結果、8年連続で健康経営優良法人2024(大規模法人部門)ホワイト500に選ばれています。 ■社員の未来を支える:「ひまわりMYパーパスキャリア制度」 当社のキャリア制度として、「ひまわりMYパーパスキャリア制度」というものがあります。この制度は2024年4月からスタートしたもので、他部署にチャレンジができる「他部署チャレンジコース」、社員のスキル・実績・経験・思考に基づいて他部署からスカウトがくる「スカウトコース」、課長や支社長といった管理職を目指す「マネジメントチャレンジコース」、自部署にて自身のビジョンを目指す「自部署チャレンジコース」、ジョブローテーション制度の「一般コース」の5つがあります。社員は、自分自身の人生の目的や働く意義である「MYパーパス」に沿ったコースを選択し、希望を出すことができます。どのコースでも、社員のMYパーパスに関しては、とても強く意識をしています。他部署にチャレンジしたい人に対しては、MYパーパスを叶えるためにその部署で何ができるかをヒアリングし、現在の部署にとどまる希望を出した社員には、なんとなく留まるのではなく、何をしたいかを提示してもらいます。MYパーパスを意識させることで、自律的にキャリアを考えてもらえますし、MYパーパスに沿った部署で働くことができれば、社員自身のパフォーマンスや会社の生産性が大きく上がると考えています。この制度を円滑に進めるため、人財開発部長として、企画の立案や社内調整、課題の共有だけでなく、制度全体のサポート、調整等の黒子としての役割も担っています。また、現在は、他部署チャレンジで異動した社員が、異動先の業務やチームに慣れるための研修制度も作成しています。他にも先ほどの健康経営の仕組みづくりや人財採用の最終面接官、給与の支払い確認など人が関わる業務の多くに携わっています。このように多様な業務に関われるのは、過去の事務職の経験が大きく活きているかもしれません。今後の目標としては、人事制度をより安定させていきたいと考えています。具体的な施策はまだ検討中ですが、障がい者の方を含めたすべての社員がもっと働き甲斐を得られるようにしたいという想いがあります。また、がんなどの大きな病気に罹ったとしても、治療と並行して働ける仕組みを整えたりもしているので、どんな人・どんな状態でも安心して働くことができる会社にしたいです。それと並行して、お客さまに対して「健康」を還元できるようにしたいですね。 ■パーパスの達成には、一生懸命さと誠実さ 当社のパーパス「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」を達成するためにも、採用活動には力を入れています。採用活動を行う中で、特に学生たちに求めているのは、すべてに一生懸命、かつ誠実であることです。保険会社は、新聞のように目に見える製品を提供しているわけではありません。そのためお客さまからどれだけ信用を得られるかがカギとなってきます。自らお客さまのニーズを探して有益な情報を提供したり、パーパスの実現ために自ら課題を見つけて改善したりする人でないと、一緒に働くことは難しいと思います。常に、自分と他者に対して何ができるかを考えられる人にぜひきてほしいと思います。その一生懸命さと誠実さを見極めるため、最終面接では、学生に対して苦労を乗り越えた経験を聞くようにしています。苦労を乗り越えた話にはリアリティがあり、その人の考え方や人柄が伝わってきます。実際に経験した話であれば、深掘りをしても具体的なエピソードや論理的な説明が返ってくるので、その人の本質を見抜く点で非常に重宝しています。 ■パーパス実現へ向けて、失敗から成功へ、共に成長する仲間へ 私自身が就活をしていた時は、かなりいいかげんにやっていました(笑)。しかし、今の仕事はとても楽しいですし、やりがいを感じています。ただ、「過去にこういうことをやっていたら違う人生だったかも?」と考えることもありますが、だからといって後悔もしていません。何が正解かはわかりませんが、学生時代は人生の一部であり、あっという間に過ぎ去ってしまうのです。その一瞬を全力で楽しんでほしいと思います。また、当社の健康経営はまだまだ発展途上です。失敗・失敗・成功を繰り返して成長をし続けているので、くじけず一緒にパーパスに向かってくれる学生の方たちは、ぜひ当社にエントリーをしてください! 学生新聞オンライン2024年11月20日取材 武蔵野大学4年 西山流生

学生新聞インターン

株式会社ハイデイ日高 代表取締役社長 青野敬成

『いくつになっても夢と情熱を持ち続けて』 株式会社ハイデイ日高 代表取締役社長 青野敬成(あおのひろしげ) ■プロフィール1974年生まれ、愛媛県出身。らーめん日高でのアルバイトを経て、1999年にハイデイ日高に入社。店長、スーパーバイザー、エリアマネージャーなどを経て、2017年に執行役員、2019年に取締役執行役員営業管理部長・情報システム室長。2022年5月に代表取締役社長に就任。 美味しい料理を低価格で提供し、ハッピーな1日(ハイデイ)を過ごしてもらうことを目標にする株式会社ハイデイ日高。(主な業態:日高屋、焼鳥日高など)代表取締役社→社長の青野敬成さんは、キャッシュレス決済導入を提案→キャッシュレス決済を導入するなど新しいことに挑戦し続けている。そんな青野さんに、会社の魅力や低価格で提供できる理由などを伺った。 ■入社の決め手はアルバイトの6年間で実感した会社の成長 学生時代一番思い出に残っているのはアルバイトです。最初に始めたアルバイトが『ラーメン日高』という弊社の17番目に出来た店でした。他にもバイトをしたのですが、ラーメン日高のバイトを6年間続けられたのは、仕事はきついけれど、こちらが呼び込まなくてもお客様が食べに来てくれるからです。お客様を呼び込みにいかないといけないバイトも多くある中で、働いていたラーメン屋にはお腹がすいたら自然とお客様が来てくれる。それぐらいありがたいことはないなと感じました。私が就職活動していた時代は、入社が決まっても研修中に会社が潰れる→運営困難になることもありました。何を信用すれば良いのか分からない中、選んだのが株式会社ハイデイ日高でした。選んだ決め手はアルバイトをし始めた当時は20店舗しかなかったのが60店舗に増えるという会社の成長を、アルバイトとして働いた6年間で知っていたからです。会社がどんどん潰れていく→事業を縮小していく中でも、この会社なら10年は潰れずに成長するだろう→今後も成長し続けるだろうと思っていました。 ■今も生きている“現場”での経験 入社して1年で店長を務め、エリアマネージャーや部長など順調に経験していきました。その後、社長に就任するうえでターニングポイントとなったのが、店長として現場に戻ったことだと思います。それまでは店長たちに指示を出す“会社側の人間”でしたが、現場にはお客様から吸い上げた問題や働いている従業員の意見があります。“会社”と“現場”の間にいるのが店長なので、もう一度店長として戻って見てみると景色が違って見えました。その経験をしたことが良かったなと今でも思います。社長に就任して、現場の従業員に配ったのが、赤と青の意思表示カードです。100人くらいが集まる会議で「これについてどう思いますか、賛成の人は手を挙げてください」と言っても全然挙げてくれません。でも、意思表示カードを使って「賛成の人は赤、反対の人は青を挙げてくだい」と言うと挙げてくれます。皆さん意思表示をしないことが意思表示だと思っているのですが、一人一人意思を示してほしいので会議や研修がある時は必ず持っているようにと伝えています。また意思表示をすることで、以前よりしっかり話を聞くようになってくれたのではないかなと思います。 ■様々なお客様に来てもらうために、新しいことに挑戦し続ける ハイデイ日高は老若男女、様々なお客様がご利用していただけるお店です。その魅力のひとつは、『食べて飲める店』であるところです。だいたいのお店は、食べるのがメインのお店と、飲むのがメインのお店に分かれていますが、弊社は、昼は定食やラーメンで、夜は「ちょい飲み」と題してアルコールが安く飲めるなど、どちらの側面からも楽しむことが出来ます。食べて飲める店というと、おやじ臭いイメージがありましたが、2019年に店内では原則禁煙、喫煙ルームの設置のルールが出来ました。これがターニングポイントになり子供や女性、家族連れが来るように→女性や家族連れがご来店されるようになりました。他にも女性が→でもお代わりしやすいように、タッチパネルの導入など新しいことに挑戦しましたが、やはり今までやっていたことを変えるのは思っているよりも過酷です。特に2019年のキャッシュレス決済の導入は、システムを変えなければならない点で、非常に難しいことでした。キャッシュレスは私が役員会で提案したのですが、慎重論が多く、最初は反対を受けました。しかし、これから時代は変わってキャッシュレスを利用する人が増える中、その人達がうちを利用しなくなると思い、慎重派の人たちに対して何度もプレゼンをしたり、一方的な意見だけではなくお金の調達に取り組んだりして、実現させました。 ■ハイデイ日高が追求し続ける“お得感” 日高屋が手ごろな価格で提供できる理由は、まず餃子や麺などを自社で製造しているからです。麺など、よそで作ったものを仕入れている場合、原料が高くなれば全商品が値上げになります。でも、弊社は→しかし、弊社では多少肉や野菜などが値上げしても→値上がりしても、全体でコントロールすることが出来ます。また、我々→弊社は新しく工場を作らず、既存の行田工場のみで製造することで、コスト削減をしています。そこで問題が起きてしまうと日高屋が全てダメになってしまうので、ある意味リスクでもありますが、結局お得感がないとお客さんに喜でもらえません。ハイデイ日高→日高屋グループは他社よりも最低ライン→トルを安く、「1円でも安くできないか」というところを常に追求しています。ビールは同じメーカーならどこで飲んでも味は同じです。特にうちは→弊社はビールの原価率が高いですが、一杯350円で提供しています。他と比べても相当安く→お値打ち価格で、「350円なら!」とお得感を感じてくれるから飲んでくれるのだと思っています。 ■時代を読む力を持つことが大切 世の中はどんどん変わっていきますから、時代をどう読むのかが非常に大事だと思います。予想もしないキャッシュレスが始まり、貯めたポイントでご飯を食べるという時代になってきました。しかし、飲食店のアプリを作り、うち→弊社だけで使えるポイントを発行してもお金はかかるし、実際飲食店のアプリを持っていてもアプリを見てその店に行こうと思う人より、たまたま行ってたまたま使う人がほとんどだと思います。それよりも楽天ポイントやdポイントなど、どこでも使えるものを上手く融合していかないと、これからはダメだと思っています。日高屋では去年の8月に楽天ポイント導入しました。うちの売り上げの半分以上→弊社の売上の約半分以上はは、楽天ポイントかdポイントを持っているお客様なので、お客様の利便性はアップしたと思います。店舗展開としては現在、宇都宮や木更津→前橋など北関東を中心に広げているのですが、特にロードサイドに注目しています。郊外に店舗を広げていく時にお客様が「なんでこんなに安いの」「何でもっと早く来てくれなかったの」と言っていただくと、今後は関東だけでなくもっと広げていきたいと思います。日高屋を利用できない地域の方にもカップラーメンを作り、コンビニで買える取り組みを導入→トルするなど、日高屋という屋号を広げて、現在は業界2位から業界ナンバーワンになれるように、これからやっていこう→力を入れていこうと夢を描いています。 ■大学生へのメッセージ 皆さん、ぜひ、将来の夢を語れるような会社に入ってください。よく、弊社の神田会長は「夢は見るものではなくて語るもの」と言います。語らないと夢は実現できないし、語るは責任を持つということです。夢はずっと見続けられます。いつでも夢を大切にして、語っていってほしいなと思います。あとは情熱です。「情熱に勝る能力なし」とも言いますが、どんなに頭が良くてもどんなに資格を持っていても、生かせなければ意味がありません。ただ語るだけの評論家にならず、情熱をもって“実行”が出来るようになってください。そのためには実行するためには逆算をすることが大切です。人生100年時代ですから、いくつになっても情熱を持っていれば色んなことが出来るはずです。 学生新聞オンライン2024年12月5日取材 東洋大学2年 越山凛乃

丸山実友

株式会社カインズ 代表取締役会長 土屋裕雅

“Kindness(カインドネス)”が創る明るい社会 株式会社カインズ 代表取締役会長 土屋裕雅(つちやひろまさ) ■プロフィール1966年生まれ。早稲田大学商学部卒業後、1990年、野村證券入社。1996年にいせや(現・ベイシア)入社、1998年、カインズ入社。2002年に代表取締役社長に就任。社長就任6年目の2007年にはSPA(製造小売り)宣言を行い、オリジナル商品の開発へ舵を切る大変革を断行。カインズをホームセンター業界トップ企業に成長させた。2019年3月、会長に就任。 ホームセンター業界を牽引するカインズ。“Kindness”を大切にし、常にお客様に寄り添った商品をお届けしている。カインズの社長を経て、2019年には会長に就任し、現在は、カインズやワークマンなど複数の企業で構成されるベイシアグループの実質的なトップを務める土屋裕雅氏。そんな土屋氏に、会長就任するまでの道のりやカインズの魅力について伺った。 大学生時代は狂言研究会に所属し、活動に力を入れていました。学生サークルであるにも関わらずプロの狂言師に教えていただくという、とても贅沢な経験をさせていただきましたね。この経験があり、今でも狂言を続けています。また、アメリカに渡り、様々な地域の大学を巡る旅も経験しました。そんな楽しい大学生活を送っていました。 ■遠心力でグループを成長させる 大学卒業後、野村證券に就職しました。野村證券では6年間働き、最初の3年間は営業職をやっていました。様々な人に出会って自分1人で計画を作って実行するという経験は、今の仕事にとても活きていると思います。そして後半の3年間は、IPO(未上場の企業が株式を新規公開して上場すること)を担当する部署で働きました。かなり忙しかったのですが、3年間で6、7社ほど上場させることができました。しかし、IPOの担当は担当企業の応援団のようになって働くのですが、実際上場が決まると、関係が切れてしまうんですよね。せっかく関係性を築いても上場後は何の関係性もなくなることに、少し虚しさを感じてしまいました。また、良い会社は上場後からすごく伸びていくんですよ。そんな会社を複数見て、「自分も事業会社で働いてみたい」という気持ちが芽生えました。ちょうど、そんなことを思っていた時に、父が創業し経営していたベイシアグループから、「そろそろ帰ってきて働かないか」という話があり、転職を決意しました。2002年からは17年間カインズの社長を務めましたが、カインズ以外の他のグループ会社についてはほとんど何も知りませんでした。2019年には、カインズの会長となりました。そして会長になると同時に、同じベイシアグループ内の会社も更に強くするため他の会社についても様々な形で関与するようになり、グループ全体が成長していく形を作ろうと決意しました。私は、ベイシアグループのそれぞれの会社が、求心力ではなく、遠心力で伸びていける状態を作りたいと考えています。お客様がどのようにしたら喜んでくれるのか、それぞれの会社で考え、追及していく経営を理想としています。その中で、私が会長としてやるべきことは、未来のことを見据えて今から種を仕込むということだと思うんです。新しいことを始めてそれが実を結ぶのには3、4年はかかります。だからこそ、常に先を見据えて、何を仕込むべきか、仕込むには何をしたらいいかなどを考えるようにしています。 ■「Kindness」の折り返し カインズは、オリジナル商品の開発に力を入れています。ホームセンターは多様な商品を取り扱っていますが、ナショナルブランドの商品を扱っているだけでは、どこも売っているものは同じになってしまうので、差別化が難しいんです。2000年以降アパレル業界を中心に、商品企画から設計、品質管理、物流からプロモーション、販売といった一連の流れを一貫して自社で行うSPA企業が増えてきました。それを見て「ホームセンターでもSPAができるのではないか」と思い、スタートしました。特に印象に残っている商品は、菜箸ですね。置いた時に転がらず、台に箸先がつかない菜箸を開発し、日本、そして海外でもグッドデザイン賞を受賞しました。良いデザイン、くらしをラクに楽しくするデザインは、海を超えるのだと感じました。カインズの魅力は、親切心をもった人が多いことですね。カインズという社名も”Kindness”という言葉からきているので、働いている方も感じの良い人が多いです。これは私たちのグループらしい特徴であると思います。商品を開発する際もお客様のことを第一に考えています。そして接客する時も、お客様軸で考えることを常に大事にしています。しかし、「これは”Kindness”な行動だ」と私たちが思っているだけではダメなんです。その行動がお客さんに”Kindness”だと感じていただけて初めて、”Kindness”であると言えるのです。私はそれを「Kindnessの折り返し」と呼んでいます。このように、親切心を大切にしている会社ですので、マインドの良い人と共に働きたいです。入社する時に、すごいスキルをすでに持っているという人はほとんどいません。スキルよりも、課題に対して積極的に取り組んでみようとする、オープンマインドで周りの人と共にやり遂げようとする、そういう姿勢が大切だと思います。 ■商業を通して社会の発展に貢献する 私は、どんな企業も、社会貢献につながらなければ必要とされないと思っています。そして時代と共に、社会から必要とされるものは変わってきます。全国にホームセンターがまだなかった時代のことです。カインズは静岡県に初出店しました。当時、静岡はとても物価が高かったのですが、カインズが出店したことで物価が下がった、と言ってもらえました。物価が下がることは、地域の人にとって嬉しいことです。このようにかつては、出店そのものが社会貢献につながったと思います。現在は、商品をより安く提供することに加え、生活の改善につながる価値ある商品をお届けすることで、社会に貢献しています。そのほかにも「くみまち構想」に取り組んでいます。これは、地域の皆さんと協力し、地域の皆さんが主役の、未来の「まちのくらし」を共に創っていく取り組みです。一例として防災があります。カインズが取り扱う商品には防災用品が多いので、平時からそうした商品を販売し、有事の際に備えていただいています。そして万が一災害が起きた時には、その地域を守るために店舗を避難所として使っていただくのです。時代と共に変わっていくニーズに対応しながら、今後も社会貢献につながる事業を行っていきたいです。 ■大学生へのメッセージ 学生の頃にやっていたこと、考えたこと、影響を受けたことで人生は大きく変わります。自分と向き合い、世の中と向き合う時間を大切にしてほしいです。学生だからこそできる貴重な機会だと思うので、是非その時間を存分に活用してください。 2025年2月28日取材 国際基督教大学2年 丸山実友 国際基督教大学2年 丸山実友 / 大妻中野高等学校3年 加藤眞優花 / 第一薬科大学附属高等学校2年 畠田瑠

丸山実友

俳優 橋本愛

誰かの生きる活力となる作品を届けたい 俳優 橋本愛(はしもとあい) ■プロフィール俳優。2010年の映画『告白』に出演し、注目を浴びる。2012年の映画『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。現在、NHK大河ドラマ『べらぼう』に出演中。独自の感性を生かしてファッション、書評、コラムなどの連載を持ち、幅広く活躍中。 ◆作品の見どころを教えてください 映画『早乙女カナコの場合は』は、さまざまな悩みを持った女の子たちの葛藤が描かれており、多くの人が共感できる作品となっています。私自身、20歳前後のときは、自分らしさよりもこの業界に馴染むことにすごく努力をしていて、ありのまま生きるという意味も分かりませんでした。カナコが自意識でがんじがらめになってしまうところは、過去の自分と重なりました。また、この映画はフェミニズムが核にある気がしています。男社会での女性の生き方や、男らしさや女らしさなどといったジェンダーロールとどう向き合っていくのか。その葛藤が今の大学生にも共感してもらえたら嬉しいです。 ◆仕事のやりがいについてお聞かせください さまざまな人の人生を知ることができるところです。俳優をしていなかったら一人分の人生しか経験できませんが、演じることでいろいろな人生を知ることができます。何人分もの人生が自分の身体の中に入っているのは、お得であるなと感じます。そして、それが自分自身を成長させてくれる存在となっています。また、作品は社会全体に大きな影響を与える力を持っています。作品を見てくださった方の人生や考え方に影響を与えられることに、大きな喜びを感じます。私が関わった作品がムーブメントを起こし、世の中に変化を与えることができたとき、俳優としてすごくやりがいを感じます。 ◆学生へのメッセージを 大学生は子どもと大人の狭間でさまざまな悩みを抱えている時期だと思います。この作品には、同じるように葛藤しながら生きる人々たちの姿が描かれています。「これは自分の話だ、自分の人生が映画になっている」と思ってくれたら嬉しいです。 学生新聞2025年4月号 国際基督教大学2年 丸山実友 映画『早乙女カナコの場合は』 出演:橋本愛 中川大志 山田杏奈 臼田あさ美 中村蒼監督:矢崎仁司原作:柚木麻子『早稲女、女、男』(祥伝社文庫刊)配給:日活/KDDI3月14日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開中(C)2015 柚木麻子/祥伝社(C)2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会 慶應義塾大学3年 山本彩央里/国際基督教大学2年 丸山実友 カメラマン 下田航輔

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独立行政法人都市再生機構(UR都市機構) 理事長 石田優

まちを変え、人の暮らしと未来を創る 独立行政法人都市再生機構(UR都市機構) 理事長 石田優 (いしだまさる) ■プロフィール昭和37年 5月2日生 京都府出身 62歳昭和61年3月 東京大学法学部 卒業昭和61年4月 建設省 入省平成30年7月 国土交通省住宅局長令和4年6月  復興庁事務次官令和5年11月 東京海上日動火災保険株式会社顧問令和6年4月  独立行政法人都市再生機構理事長(現在) 賃貸住宅や都市再生、復興を担い「街に、ルネッサンス」を理念とするUR都市機構。理事長・石田優氏は「社会課題を、超えていく」の視点で、文化や人のつながりを活かした都市づくりを推進する。昭和40年代の住宅ストック活用や無印良品とのコラボなど、新たな住まいの価値を創出する彼に、まちづくりへの想いと未来のビジョンを聞いた。 大学1、2年生の頃は、けっこう自由に活動していましたね。東京大学に入学し、生協の理事として活動していたのですが、特に思い出深いのが、4大学共催で行ったスケートフェスティバルの企画・運営です。氷上ディスコやフィギュアスケートの実演、肉まんやカイロの販売など、幅広く企画を手掛け、イベントは大盛況でした。当時はSNSがない時代だったため、広報のビラ配りや立て看板、立て看板への手書きの告知なども自ら作成しました。「やりたいことをやろう」という精神で、仲間と共に試行錯誤しながら取り組んだ経験は、今でも心に残っています。 ■形に残る仕事がしたい 3年生からは進路を考え始めました。父が京都で中小企業を経営していたので、家業を継ぐ選択肢もありました。でも、「形に残る仕事がしたい」という想いが強く、国家公務員の道を選びました。そして建設省(現・国土交通省)に入省し、住宅や都市開発、復興といったまちづくりに携わることになりました。国土交通省の仕事は、制度を作ることが中心です。自分が直接建物を建てるわけではありませんが、社会の仕組みを整えることで、多くの人の暮らしを支えることができます。URに入ったきっかけは、国土交通省を退官後、東京海上日動に在籍していた時に、UR前理事長の退任に伴う公募の話が出ていたので、URに応募させていただきました。URはまちの基盤や構想を考えることから携わります。自分がまちづくりに直接携わっているという実感を持つことができ、「形に残る仕事」という、当初自分が抱いていた想いは、今のURにも繋がっています。 ■まち全体から考える 現在、URでは賃貸住宅、都市再生、復興の3つの事業を柱としています。特に特徴的なのは、「準公共の団体でありながら独立採算制」という点です。URは自分たちで経営を成立させる仕組みになっています。だからこそ、民間企業のような柔軟な経営が求められますし、同時に社会的な責任も負っています。賃貸住宅事業では、約70万戸の住宅ストックを活用し、高齢者や外国人など多様な住民が安心して暮らせる環境を整備しています。団地内に福祉施設を誘致したり、コミュニティ維持のためのイベントを企画したりなど、「住む」だけではない価値を提供しています。また、都市再生の分野では、単にビルを建てるのではなく、「まち全体の構想から関わる」ことを重視しています。大阪市うめきた地区では、大阪府・市・民間企業と連携し、コンセプト作りから携わってきたプロジェクトもが概成しました。復興に関しても、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの被災地の再生に取り組んできました。復興は、ただ建物を再建すれば終わりではありません。住民が戻り、活気が生まれるためには、地域の産業や文化をどう守るかが重要です。 ■街にルネッサンス――今後のまちづくりは URのロゴには「街にルネッサンス」という言葉が刻まれています。これは、単なる再開発ではなく、社会問題を超えて新たな価値を創造するという理念を表しています。たとえば、日本のオフィスビルは、情報化に伴うハードや多様な働き方への対応についてもまだまだ改善の余地があります。AIが発展する一方で、人と人がリアルに交流できる空間が求められています。ビル街の外部動線を公園で繋いだり、オフィスに緑を取り入れたりすることで、新しいアイデアが生まれやすくなるなど、自然とコミュニケーションが生まれる場づくりが重要だと考えています。それはビル単体で完結するのではなく、まち全体で考える必要があります。さらに、賃貸住宅のストック活用も重要な課題です。新築の供給が減る中、昭和40年代からの住宅ストックをいかに活用するかが問われています。無印良品とコラボし、ふすまや畳の部屋を現代のライフスタイルに合わせてリノベーションするプロジェクトも進めています。また、大学とも連携して、学生から新しい住まい方のアイデアを募る取り組みも行っています。たとえば、UR賃貸住宅をフィールドに九州工業大学の学生による「住戸リノベーションコンペ」や、ペットと暮らせる住宅やドッグランのある団地など、実際のニーズに即したアイデアを形にしています。URが目指すのは、地域の特性に応じた持続可能なまちづくりです。その実現のために求められるのは、「自分の考えを持ちつつ、他者と協力できる人材」です。自分の情熱を持ちつつも、人の意見を理解する力が重要です。社会課題は複雑で、正解は一つではありません。だからこそ、多彩な視点を持ち、横のつながりを大切にできる人と一緒に働きたいですね。 ■大学生へのメッセージ 今の時代に求められるスキルは変わってきていると伝えたいです。社会情勢が混沌として、正解がない問題に向き合う力が求められるようになっています。そのためには、情熱を持ちつつも、相手の意見を理解するエンパシーが大事です。人と人とのつながりを大切にしながら、社会課題の解決に挑んで欲しいですね。まちづくりにかける情熱を持ちながら、未来を担う若者の活躍を心から期待しています。 学生新聞オンライン2025年1月21日取材 日本大学4年 鈴木準希 日本大学4年 鈴木準希

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ミュージシャン・シンガーソングライター  みるきーうぇい 伊集院香織

音楽から映画へ 広がる表現の舞台 ミュージシャン・シンガーソングライター  みるきーうぇい 伊集院香織(いじゅういんかおり) ■プロフィールみるきーうぇいのギターボーカル。自身の実体験を曲にした「カセットテープとカッターナイフ」のMVが話題となり、YouTubeの再生数が50万再生を超え、異例のオリコンインディーズチャート5位を記録。関西最大の音楽コンテストeo Music Try2017で審査員特別賞を受賞するなど精力的に活動中。 学生時代に孤立した経験や、音楽に救われた体験を楽曲に込める伊集院香織さん。バンド活動と弾き語りの二つのスタイルで言葉とメロディーの両方でメッセージを伝え、様々な方を勇気づけています。音楽だけでなく小説執筆にも挑戦し、言葉の力を大切にする伊集院さんに音楽への想いや、映画出演についてお話を伺いました。 ■音楽が逃げ場だった学生時代 幼少期からピアノを習っていて、漠然と音楽が好きでした。小学生の頃からなんとなく学校に馴染めていないなと感じるようになり、中学生になったときにははっきりといじめを認識するようになりました。クラスでは孤立していましたが、友達がいたブラスバンド部だけが唯一の居場所で、部活の仲間だけは優しくしてくれたんです。以来、音楽は人生における私の逃げ場であり、救いでもありました。ブラスバンド部ではフルートを担当しながら、J-POPのブラスバンドアレンジなどを演奏する中で、ぼんやりと、演奏するなど音楽に携わる仕事がしたいなと思うようになったのです。中学3年生のクラスに、誰とでも仲良く話せるタイプの男の子がいたのですが、音楽の授業の歌のテストで私の歌を聞いて「天使の歌声やな」と褒めてくれたことがありました。その子が「いじゅ(伊集院さんのあだ名)はいつか音楽作れるようになるんかなあ。それで有名になったりしたらすごいなあ」と言ってくれたことが、ずっと心に残っています。「音楽を仕事にするなんて絶対に無理、有名になるなんてもっと無理」という固定概念があったのですが、そのときに初めて音楽を仕事にしたいと思っていいのかなと考えるようになりました。 ■自己表現の広がりとスタイル 高校生になると、同い年の仲間と組んで、バンド活動を始めました。しかし、大学に進学したタイミングで、みんなの環境がガラッと変わり、メンバーが抜けてしまって。そして、19歳のとき、「もう一人でやるしかない」と思い、弾き語りを始めました。「若いときに結果を出さないといけない」と、焦っていたんでしょうね。このとき、中学生の頃に受けたいじめをテーマにした曲を作りました。乗り越えるのが難しいトラウマは誰にでもあるのかなと思いますが、自分の中で整理できていないうちは、芸術に昇華させるのが難しいときもあります。私の場合は、その後、ライブハウスで出会った人や、対バンしたミュージシャンたちの優しさに触れられたおかげで、「あぁ、私がいじめられていたのは、あの環境が特殊だっただけなんだ」と思えたことが大きかったです。その結果、いじめは過去の記憶となり、曲づくりに活かせたのだと思います。バンドでの活動時は、会場全体で盛り上がるパフォーマンスを重視しています。一方の弾き語りでは、お客さんが歌詞に没頭して聴いてくれて、しんみりと泣いてくれたりするので、落ち着きを意識しています。今後も、バンドと弾き語りの二つのスタイルでやっていこうと思っています。 いつも、私の音楽で人を救いたいという気持ちがあります。けれども、人それぞれの環境や事情があるので、みんなを完全に救うというのは難しいと思っています。だから、理論的な解決をするのではなく、せめて私の音楽を聴くことで、トラウマや問題をうやむやにできないかなと思っています。救うまではいかない音楽も、時には人間には必要だと思うので。私が小説を書きたいと思ったきっかけは、山田詠美さんという小説家の作品でした。山田さんの小説で、自分のトラウマが救われた感覚がありました。小説は言葉だけの世界なのに、こんなにも人を救うことができるんだととても衝撃を受けたのです。中学生のときに自分も小説を書いてみたいと思ったのですが、経験も少なく、読書量も少なかったこともあって何を書けばいいのかわからず、一行書いて止まってしまっていました。その後、読書量が増えてきた頃に、音楽を始めました。そして、作詞作曲という形なら、小説を書きたい気持ちと音楽をやりたい気持ちの両方を消化できるのではないかと気づきました。20代後半でようやく小説も書けるようになり、自分の書きたいものが見つかってきて今のスタイルが生まれました。 ■映画『ボールド アズ、君。』出演が決まったとき 映画『ボールド アズ、君。』に出演することになったのは、岡本崇監督からの「主演をお願いしたいです」というLINEがきっかけでした。「やったー! 出ます!」と返信し、出演に至ります。撮影中も監督と女優というよりはバンドマン同士として、フランクに接していただきました。岡本監督ご自身もバンド活動をしているということもあり、私のバンド活動を理解した上で撮影スケジュールを組んでくださったのはありがたかったです。演じた南條珠は、私の半分分身のような感じで重なる部分が多くありました。“推し”(後藤まりこさん演じるバンドのボーカル)と映画館の支配人の二人が神様で、それ以外の世界は珠にとってはあまり面白くないもので、推しが生きがいというところが近いです。自分が仕事も恋愛もダメダメで、絶望してしまって、生きるか死ぬかという状態だった時に、後藤まりこさんの「4がつ6日」という曲を狂ったようにリピートして聴いていて、その曲がすごく好きでライブを見に行ったら、ライブも素晴らしかったです。ライブ後に後藤さんがお客さんにハグをしていて、自分もハグをしてもらった時に、「生きててよかった、頑張って生きよう」と思ったので、命の恩人です。脚本を読んで、「(自分にとって“神様”という関係性)そのままだな」と思って、自分の気持ちを投影しようと思いました。 映画の見所は、何と言ってもライブシーンです。実際のお客さんもたくさん来ていただいての撮影だったので、生の臨場感が伝わると思います。ぜひ劇場でご覧ください。 ■今後の目標 今よりもさらに自分の音楽を聴いてくれる人を増やして、Spotify O-EASTや日比谷野音のような会場でワンマンライブがしたいです。もっと大きな夢を言えば、武道館や大阪城ホールのようなホールでライブをしたいです。 映画の出演についても、バンド活動のスケジュールを理解していただけるチームであれば出てみたいなと思います。特に、今回の岡本監督の作品であればまたぜひ出たいです! ■大学生へのメッセージ 私は10代の頃「若いうちにチャンスを掴んで成功しないとダメだ」と焦っていました。でも、今思えば、そんなに焦る必要はなかったなと思います。自分を奮い立たせることは素敵なことだと思うのですが、あまり自分を責めすぎないでほしいです。とはいえ、私がバンドを始めたときとは音楽の広まり方が変わってきて、今は好きなことにのめり込んだりっていうのが自分の仕事になったりもする時代です。皆さんにもぜひ好きなことにのめり込む経験を体験してみてほしいと思います。 学生新聞オンライン2025年2月10日取材 城西国際大学1年 渡部優理絵 映画『ボールド アズ、君。』 出演:伊集院香織(みるきーうぇい) 後藤まりこ刄田綴色(東京事変) 津田寛治監督・脚本・音楽・編集:岡本崇製作:コココロ制作 配給:Cinemago3月29日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開 公式サイト: https://kokokoromovie.com/boldaskimi/公式X:https://x.com/kokokoromovie公式インスタグラム:https://x.com/kokokoromovie公式Facebook:https://www.facebook.com/boldaskimi公式TikTok: https://www.tiktok.com/@boldaskimi

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NOSE SHOP株式会社 代表取締役 中森友喜

鼻で世界を知る、新しい体験を。 NOSE SHOP株式会社 代表取締役 中森友喜(なかもり とものぶ) ■プロフィール日本初のニッチフレグランス専門店「NOSE SHOP(ノーズショップ)」の代表取締役。取り扱う香水のセレクトと、ストーリーの翻訳を手掛け、その取扱品種の幅広さと翻訳量は日本随一を誇る。ポッドキャスト番組「香りと言葉のラジオ『NOSE knows』」でパーソナリティを務めるなど、日本の香水市場拡大を目指し、多岐にわたって活動する。 「日本における香りの文化を変えたい」。そんな想いから日本ではまだ馴染みのなかったニッチフレグランスを手掛ける「NOSE SHOP」。その代表である中森友喜さんは、“香りを通じて人生を豊かにする”という新たな価値観を提案する。 「何もしてなかった」。これが学生時代の僕のすべてです(笑)。授業にはほとんど出ず、軽音サークルで友達とお酒を飲んだり、バイトをしていただけでした。目標なんてまるでなくて、ただ流されるように生きていましたね。転機が訪れたのは大学3年生のときでした。父が亡くなり、経営していた会社を手放すことになったんです。そのとき初めて「自分自身で生きていかなきゃいけない」と気づいたのですが、正直言って、すぐには行動できませんでした。気持ちばかり焦って、実際にはどうしていいかわからないまま、日々を過ごしていました。ただ、その際、心に引っかかっていたのが、父の言葉でした。父はお酒を飲みながら、よく僕に仕事の話をしてくれました。「仕事って大変だぞ」なんて話は、よく聞きました。でも、愚痴を言いながらも、どこか楽しそうに見えたんです。その姿が、今思うと自分の生き方を考えるきっかけになっていたんだと思います。 ■国税局で見た「会社のリアル」 大学を卒業するころには、ようやく「働かなきゃ」と思えるようになりました。でも、普通の民間企業には就職できる気がしなかったんです。それで、試験の点数さえ取れれば入れる国家公務員を選びました。国税局で法人税調査を担当した経験は、今の自分を作る大きな財産になったと思います。いろんな会社の財務状況を実際に見て、どの会社が強いのか、どこがダメなのか、実際の数字で学べる。経営者と直接話をして、「どうしてこうなったんですか?」と突っ込むこともできました。その中で、経営の面白さと難しさを肌で感じることができましたね。 ■日本でも可能性を広めたいと思った「香り」という文化 国税局で3年間働いた後は、もっと現場でビジネスを学びたいと思ってベンチャー企業に転職しました。そこでファッションやコスメの世界に触れる機会を得ることができました。その後、会社を設立しアパレルやコスメの事業を手がけている中で気が付いたのは、「香り」が持つ無限の可能性について。香水はただの商品ではなく、香りは人の記憶や感情に深く影響を与える、特別な力を持つものです。香水の文化の中心地ともいえるヨーロッパでは、香りは生活の一部として根づいていて、ニッチフレグランスと呼ばれる、香りやビジュアル、ストーリーにこれまでにない革新性をもつ独創的な香水も、多くの人々に親しまれていました。その一方で、日本では香水に対する文化や市場の成熟度がまだ低く、香りを楽しむという価値観自体が十分に浸透していないことを痛感しました。この「香水砂漠」ともいわれる日本で、香りが持つ可能性をもっと広められないか、そんな挑戦心が芽生えたのです。 ■香りを気軽に自由に楽しむ「NOSE SHOP」をオープン 香水の新たな文化を日本に根づかせるため、2017年にNOSE SHOPをオープンしました。最初のステップは、世界中からニッチフレグランスブランドを日本に輸入し、販売することでした。しかし、これはなかなか簡単な道ではありませんでした。まず、海外の香水ブランドからすると、日本は「香水が売れない国」という固定観念が強く、日本の百貨店や商業施設からも「香水は売れないから」と、取引を断られることが多々ありました。それでも諦めず、「ニッチフレグランスの魅力を日本で広めたい」という熱意を伝え、少しずつ信頼を得て、輸入や販売のルートを築いていったのです。また、日本には香水に対する消極的なイメージがあります。「香りが強すぎると迷惑」「香水は特別な日のもの」という考え方が根づいているんですよね。そのため、ただ輸入して販売するだけではなく、香りをもっと身近に楽しむ文化を作るためのアプローチが必要で、店舗のデザインやカジュアルな接客スタイル、さらには香水ガチャ®︎のような遊び心を取り入れたコンテンツなど、あらゆるアイデアを駆使して「香りって楽しいんだ」ということを伝えようと努力しています。日本ではまだ広く知られていないニッチフレグランスを専門に扱うセレクトショップですが、今では全国に12店舗(2025年2月末現在)を展開し、1,150種類以上の香水を取り扱うことができるようになりました。 ■香りで人生を豊かに 僕が目指しているのは、香りがもっと日常に根付く社会です。天気の話をするみたいに「今日の香り、いい感じだね」って言い合えるようになったら素敵だと思いませんか? 香りには、記憶や感情を豊かにしてくれる力があります。だからこそ、香りを通じて人生をより豊かに、面白くする提案をしていきたいですね。 ■大学生へのメッセージ 学生時代は、自由に動ける貴重な時間だと思います。僕自身、だらだら過ごしていた期間が長かったですが、それも結果的には自分を見つめる時間になりました。やりたいことが見つからなくても、焦らなくて大丈夫です。いろいろ試しているうちに、きっと道が見えてきます。そして、学生という肩書を存分に活かしてください。僕も今大学院に通い直していて改めて思いますが、「学生です」というだけで、いろんな人に会いやすくなります。人生に無駄な時間なんてないので、ぜひ自分のペースで楽しみながら進んでみてください! 学生新聞オンライン2024年12月18日 法政大学4年 島田大輝