株式会社おやつカンパニー 代表取締役社長 横山正志

ベビースターで、おやつに新たな価値を創造する

株式会社おやつカンパニー 代表取締役社長 横山正志(よこやまただし)

■プロフィール
1966年生、広島県出身、大学卒業後1989年株式会社(松田食品入社(その後、株式会社おやつカンパニーに社名変更)、大阪赴任勤務から東京支店、中部支店を経て営業本部長と営業畑一筋で2022年副社長就任を経て、2023年11月より四代目の代表取締役社長に就任、好きな格言「なせば成る」、経営理念 たっぷり楽しいおやつと夢の創造。

世代を問わず、多くの消費者に親しまれてきた、おやつカンパニーの「ベビースターラーメン」。今なお、そのブランドは様々な商品、企業とのコラボレーションやアジア圏のみならず、北米、豪州、欧州の海外展開を通じて影響力を広げ続けている。今回は、そのような皆に愛されるベビースターにかける熱い思いを、代表取締役社長の横山正志さんに伺った。

大学時代は、両親に授業料を払ってもらっていたものの、生活費は出来る限り自分自身で稼がなければならなかったので、奨学金とアルバイトで工面していました。主に、小麦粉や砂糖などの原料を卸す問屋で働いたり、スーパーマーケットの店頭入口に並ぶ和菓子や洋菓子を売ったりするアルバイトをしていました。店頭販売の仕事では、売った分だけ歩合制で給料を貰うことのできるシステムで、より多く売るためのセールストークなどの営業力も身につきました。

■おやつカンパニーとの運命的な出会い

就職活動の際は、生活に必要不可欠なものとして、衣食住の中でも食品または薬品の企業を志望していました。当時は就職活動にかける時間を減らしたかったので、ある会社の内定が決まっていた時点で就活を終わらせていました。しかし、大学四年の夏に、会社案内が載っている冊子のおやつカンパニー(当時松田食品)のページを見て、「ベビースターは変わる。君も変わらないか?」というキャッチコピーに不思議と惹きつけられ、急遽、面接を申し入れ内定を頂き、就職先を変えることを決意しました。

■社長になるまでの道のり

1989年に入社してからは、大阪営業所に配属され、近畿地方のあらゆる取引先へ、営業活動をしていました。その頃の弊社は、駄菓子メーカーとして安定していましたが、ここから会社として成長していくためにスナック菓子という新しい方向性に舵を取るべきかどうかを模索している段階でした。結局はスナック菓子路線で進めることになり、東京へ転勤して卸店や小売業に頻繁に商談を行いました。東京転勤後には、今なお多くのお客様に愛される「ラーメン丸」や「ドデカイラーメン」、「ラーメンおつまみ」も発売され、会社として大きく飛躍を遂げていきました。
副社長を歴任していた時の社長は3代目で、それまでの創業者による代表から一変して、食品ではない外資系出身の手島さんという方でした。私は、この手島さんから多くの事を学び、次期社長としての指名を受けました。当時の私は、確かに会社のことは大方頭には入っていましたが、経営者として、ヒト・モノ・お金の動きをどのようにすればよいかといった考えを持つことや、社長業という重要な役職を自分が引き受けるべきか悩みました。そのことを奥さんにも相談した際、「会社とは社員の人数だけでなく、その家族の生活までも背負っている。あなたが受けなくて誰にやらせるの」と背中を押してもらい、社長になる決意をしました。

■子どもも大人も楽しめるベビースターラーメン

「ベビースターラーメン」は、元々即席めんを作るときの過程で出てしまう麺のカケラをもったいないと思ったことがきっかけで生まれました。今や発売から67年の時が経ち、子どもから大人まで親子三代まで親しまれています。そうした中で、これからもベビースターが多くのお客様に楽しんでもらうには常に進化をさせていかなければなりません。そのために、私たちのベビースターが持つブランドを有効活用して、新たな味や、大人がお酒を飲むときのおつまみになるような商品も開発してきました。もちろん、同業他社においても、子どもと大人の両方が楽しむことのできる商品開発は進めているはずです。けれども、おやつカンパニーは、ベビースターという大きなブランドを持ちながらも、駄菓子や、ブタメンをはじめとしたカップ麺などおやつ産業の中でも極めて食への機会が豊富です。この充実した商品ラインナップは、弊社が他の競合企業に比べて差別化出来ている点だといえるでしょう。こうした様々な商品を開発できるのは、社員一人ひとりが常にアンテナを張り、その時々の流行やお客様の声に耳を傾けているからだと思います。このアンテナは時に他の企業や学校などとのコラボを実現させ、お客様により面白いと思っていただけるような商品を生み出すことにも繋がります。例えば、網走ビールとのコラボで生み出された「べビール」なども、その一例になります。
また、ベビースターといえば、「ベイちゃん」から「ホシオくん」へキャラクターが変わったことも記憶に新しいかと思われます。当時は海外展開の拡大を考えていた時期であり、当時の二代目松田社長は、アメリカをはじめ世界中で受容されるような変化が必要と考え、常に変化する企業として大胆にキャラクターを変更しました。30年も続けてきたベイちゃんキャラを変えることには多少の抵抗もありましたが、新たなキャラクターを育成していく事で、先人たちが創り出してきたベビースターブランドを更に引き上げていく。我々が自分たちで更に進化するキャラクターの活用にチャレンジすべきだという思いから、このような変化に踏み出していきました。

■ただ食べるだけのおやつじゃない

お菓子というものは、ただ即食で食べるだけでなく、料理の食材や、食料としても利用されうる食品であると私は考えております。実際、東日本大震災の際は、食料が不足して困っていた時に、おやつが食料代わりとして機能しました事を覚えています。私たちは、これからのおやつを食べて楽しんでもらうことに加え、生活の中の何らかの形で使ってもらえるような形にしていきたいと考えています。そうすれば、高齢化、人口減少社会の中で「新たな需要を生み出す」ことができ、決しておやつだけでない分野への展開も出来るようになるのではないかと想像を膨らませています。

■学生へのメッセージ

近年、物価高やエネルギー不足問題など、混沌とした世の中になっていますが、どのようにしてこのような状況になっているのか、自分自身で問題意識を持ち、自分で考えることが重要だと思います。これは、社会問題だけでなく、身近にあるちょっとした疑問についても、自分なりの考えを持つだけでも構いません。
他者から聞いた話やネットだけでなく、自分の目で見て、自分自身がどう考えるかの力を身に着けてください。また、一人で仕事は完結できないということもお伝えしたいです。チームで仕事をこなす上では、我を貫こうとする自分だけでなく、他者と協力し、素直に聞き入れる必要もある。そんなバランスを兼ね備えていることが、今後の社会で活躍するためには肝要だと思います。

学生新聞オンライン2026年4月23日取材 早稲田大学3年 中澤京平

武蔵野美術大学2年 石井生成/早稲田大学3年 中澤京平/かえつ有明中学校2年 狩野百福/京都芸術大学1年 猪本玲菜

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