俳優 青木柚 映画『NEW GROUP』
自分を見失わず柔軟に。見たことのない衝撃作への挑戦。

俳優 青木柚(あおきゆず)
■プロフィール
2001年生まれ、神奈川県出身。16年に『14の夜』(足立紳監督)で映画デビュー。21年に『うみべの女の子』(W主演/ウエダアツシ監督)で毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞にノミネート、23年『まなみ100%』(W主演/川北ゆめき監督)で MOOSICAWARD ベストアクター賞を受賞。近年の主な出演作に映画『港に灯がともる』(安達もじり監督)、『天使の集まる島』(主演/堀井綾香監督)、『秒速5センチメートル』(奥山由之監督)、ドラマ NHK 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」、「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS)、舞台「ピーターとアリス」など。待機作に映画『ブルーロック』(瀧悠輔監督)、『マジカル・シークレット・ツアー』(天野千尋監督)、『さとこはいつも』(沖田修一監督)がある。
数々の話題作に出演し、独自の存在感を放つ俳優・青木柚さん。今回、「組体操」が襲い来るという斬新な映画『NEW GROUP』で海外帰りの高校生・優を演じた。強烈な世界観の中で自分を見失わずに立つキャラクターをいかに演じたのか。過酷な撮影の裏側や俳優としての信念、そして大学生へのメッセージを伺った。
最初にこの作品のオファーをいただいて脚本を読んだときは、「これをどうやって映像化するんだ」という驚きが一番大きかったです。理解はできても、この特異な出来事を本当に生身の自分を通して表現するのかと、まずはびっくりしました。でも、物語自体にはすごくストレートなメッセージ性が詰まっていて、さらに、そのメッセージを「組体操が襲ってくる」という斬新な方法で表現するという試みに感銘を受け、ぜひ参加したいと強く感じました。普段から、オリジナル作品に出演できることには、重きを置いています。また、監督が育ってきた環境の中で感じたものが作品に投影されていると聞いて心を動かされましたし、加えて、山田杏奈さんが主演というのも大きかったです。山田さんとは初めての共演だったので、この斬新な世界観の中でぜひご一緒できたら嬉しいなという気持ちで、今回のお話をお受けしました。
■想像を超えた「組体操」の恐怖と感動
実際に完成した映画を見たときの率直な感想は、「想像をはるかに超えてきた」というものでした。撮影中は過酷な場面も多々あり、たとえば、日本体育大学の皆さんをはじめ、生徒役の方々が寒い中で組体操をし、僕たちがそれを止めるというシーンが続いたことがあります。現場で人間ピラミッドや組体操を目の当たりにしたときの感覚は、「恐ろしい」でした。想像以上の迫力があり、日体大の体操部の方々の完璧な統率力には、ただただ圧倒されました。組体操が、本当に一つの生き物のように襲ってくる感覚があったんです。皆さんが作品のメッセージを深く汲み取り、全身で表現してくださっているのを間近で感じて、恐怖と同時に感動してしまいました。あの気迫があったからこそ、僕たちもこの世界観に強く引き込まれたのだと思います。また、「人は怖がっている表情を見たら怖がる」と監督から聞いていたので、僕たちも自然と鬼気迫る表情になっていたのかなと思います。
■心身をすり減らす現場と、監督との対話
撮影中は、心身ともにすり減らすシーンも多々ありました。物語が進むにつれて、味方は僕と山田さん演じる愛の2人だけになり、みんながどんどん集団に取り込まれていくんです。夜の学校という独特の閉鎖的な環境や組体操が襲ってくるという設定だったこともあり、今までに感じたことのない怖さがありました。組体操の方々は、監督のこだわり抜いた演出もあって、現場には独特な空気が立ち込めていました。ピエール瀧さんが登場する校長室のシーンも非常に衝撃的でした。僕と山田さんはどのシーンも真剣に頑張っていたのですが、あの空間だけは謎の時間がずっと流れていました。もちろん、しっかり怖かったですね。僕が演じた優は、作中で詳しいバックボーンは描かれません。ただ、監督に「描かれない部分だけれど教えてほしい」と伝え、優が海外から転校してきてどんな暮らしをしてきたのかを共有していただきました。それをあえて表には出さず、自分の中で解釈しながら演じていました。愛の家庭環境について触れるシーンなどでは、「優がそんなに軽々しく共感していいのだろうか」と、監督とすごく話し合いました。最終的には、オリジナル作品における監督の信念や言葉を信じ、それに従うことが一番良いと思って演じきりました。


■自分自身の時間を大切に生きていく
優は、集団に染まらない象徴です。1人だけ制服も違いますし、海外に留学していた転校生でもある。そして、自分の芯を持とうとする人です。僕自身、「すべて自分で考えろ」とまでは言いませんが、なるべく自分の心を見失わないようにしようという気持ちは強いので、そういった思考の仕方は優に近いのかもしれません。
振り返ってみると、僕の学生時代も少し独特だった気がします。小中学生の頃は昼休みに外でドッジボールをするような活発な少年だったのですが、高校に入ると急に、教室の端っこで男子数人でくだらない話をしているような生徒になりました。誰とでも話すし、みんなと一緒にいるのも好きだけど、自分の時間を何よりも大切にしたい時期だったんです。友達からの誘いを断ってすぐに家に帰り、電車の中から外の景色を眺めながら、進路や将来について黄昏れる時間を長く過ごしていました。色々悩みながら、自分の居場所や生き方を模索していたのだと思います。一人になる時間を大切にする感覚は、今でも変わっていません。
■監督を信頼し、柔軟に作品に向き合う
俳優として仕事をする上で大切にしているのは、「自分の考えが絶対だと思わないこと」です。自分が演じる役柄のことは自分が一番知っていると思いがちですが、自分のことを全部知らないように、役のことも一番近い距離にいても意外と知らない部分があると思うんです。だからこそ、なるべく柔軟な頭で現場にいるようにしています。
プライベートでは、いつか地方のミニシアターに行ってみたいですね。映画愛に溢れている場所が多いので、旅行も兼ねてそこで自分の作品や色々な映画を観る時間は、きっと良い刺激になるだろうなと想像しています。
■大学生へのメッセージ
学生さんは凄いなと、卒業してつくづく思っています。一つの環境の中で自分らしさを保ち続けることは、決して簡単なことではありません。学生時代という限られた時間の中で、友人関係に悩み、目標や夢について考えることは、非常に実りある経験であると同時に、数多くの息苦しさを伴うものでもあるだろうなと。時には心が塞ぎ込んだり、周囲の環境に流されそうになったりすることもあるかもしれません。
そんなときは、少しだけ自分を俯瞰してみてほしいです。「今の自分、案外面白いかも」と、ネガティブな感情や塞ぎ込みそうな状況を、一瞬でもポジティブに変換できる時間があったら、この先もっと楽しい日々が待っていると思います。心が不健康にならない程度に、正直な自分の気持ちや芯を見失わずに過ごしてください。
学生新聞オンライン2026年5月16日取材 慶應義塾大学4年 山本唯那
映画『NEW GROUP』

映画『NEW GROUP』
6月12日(金)全国公開
原案・監督:下津優太
脚本:下津優太 佐原百子
出演:山田杏奈
青木柚
駒井蓮 木下暖日 佐々木ありさ ロジャース歌乃
細井じゅん 松本亮 足立智充 坂倉なつこ 清水崇 前野朋哉
ピエール瀧
主題歌:藤原さくら「new world」Tiny Jungle Records
特別協力:日本体育大学
配給:KADOKAWA
制作プロダクション:ジェミナイフィルムズ
製作:KADOKAWA シネマサンシャイン ムービーウォーカー
©︎2026映画「NEW GROUP」製作委員会
https://newgroup-movie.jp/
公式X:@newgroup_movie
公式TikTok:@newgroup_movie

慶應義塾大学4年 山本唯那/東京薬科大学4年 庄司春菜


この記事へのコメントはありません。