映画『FUJIKO』 主演 片山友希 / 企画・プロデュース・出演 MEGUMI / 原案・監督 木村太一
テンポで魅せる、人間ドラマ

映画『FUJIKO』
主演 片山友希 (かたやまゆき)
企画・プロデュース・出演 MEGUMI (めぐみ)
原案・監督 木村太一 (きむらたいち)
2026年6月5日より全国公開中の映画『FUJIKO』。木村太一監督の母の半生をもとに描かれ、名代富士そばとのコラボも話題になっている。第28回ウディネ・ファーイースト映画祭では、最高賞にあたる「ゴールデン・マルベリー賞」 を含む2冠を達成。映画祭における最高評価作品として選出された。今回は、主演の片山友希さん、企画・プロデュース・出演を務めたMEGUMIさん、監督の木村太一さんにお話を伺った。
■そもそも、お母様のお話を映画化しようと思ったのはなぜですか。
木村太一:これまではMVやCMを手掛けることが多かったので、今後映画監督として映画を作っていくにあたって、「自分が何者なのか」を紹介しなければならないタイミングでした。それも含めて作品作りを考えたとき、これまで親孝行をしたことがないなと思ったのです。映画監督してのスタート地点でもあり、母への感謝を述べようと母親の話にしました。小さい頃から聞いていた話で、本当に「こんなことが起きるんだ」と感じていたので、いつかストーリーにしたいなと思っていました。それがみなさんのおかげで実現できました。
■主演の菅波富士子を演じた中で、特に心が動いたシーンはありましたか。
片山友希:富士子を演じる中で感じたのは、特定のシーンというよりも、共演者の方々から台本以上のものをいただけたことです。赤ちゃんの重みや匂い、泣き声にすごく「ぐっ」とくるものがありました。子役の渡辺友那ちゃんの無邪気な姿や悲しい顔、ただ手をぎゅっと握ってくれるだけでも、胸にくるものがありました。また、元夫とのシーンでは、ずっとお芝居されていた諏訪珠理くんの手が震えていて、「この人よりも私がしっかりしないといけない」と思いました。共演者の方々から台本以上のものをいただき、自分自身も助けてもらい、引っ張ってもらうような経験ができました。そのような経験は、『FUJIKO』が初めてだったと思います。
■舞台挨拶で「監督と衝突した」というお話がありましたが、どのようなことで意見がぶつかったのでしょうか。
MEGUMI:私はプロデューサーなので、全体の船頭のような役割を担うべきだと思っていました。演出やセリフについて、「これってどうなのかな」と監督に投げかけることがありました。監督は、その瞬間は良いと思って作っているため、摩擦が起きることもあります。自分の中の違和感を無視せず、“作品に必要なのか、必要ではないのか”を考えながら話し合いました。私自身にも余裕がなく、途中で頓挫してしまうのではないかという不安を抱えながら話し合いを進めなければならない場面もあったので、振り返ると感情的になってしまった部分があったかもしれません。
木村:そのことに関しては、ぶつかり合いというほどではなかったと思います。意見交換に近い感覚です。ぶつかったという意味では、キャスティングが大きかったかもしれません。演出やセリフについては、MEGUMIさんがプロデューサーとして、しっかりした意見を述べているという印象でした。意見が衝突することもありましたが、結果的によいものにつながったと思います。


■実際にあったお話を描くことで、難しさや葛藤はありましたか。
木村:母親の話なので、どうしても全部入れたくなってしまうんです。最初の10稿くらいまでは、オリジナルのエピソードをリスペクトしすぎていた部分があったと思います。もちろん、リスペクトしているからこそ、「全部入れたい」という気持ちはありましたが、それが果たして映画にとって良いのかと感じる瞬間が多くありました。最初はうまくいかない部分もあり、お互い難しさを感じていたと思います。そこで、脚本家も含めてチームで考えたときに、映画を第一に考え、“映画としての嘘をつく”という意識を持ち始めてから、少しずつ改善されていったような気がしますね。脚本に関しては、MEGUMIさんと「これならいける」となったのは、クランクインの2~3週間前くらいでしたね。
■役作りで意識したことや、富士子の魅力を教えてください。
片山:役作りについては、出演が決まってから台本が完成する約8か月間、改訂されるたびに台本をいただいていました。最初にいただいた台本から、完成版は半分くらい内容がなくなっていたのですが、以前の台本を読んでいたからこそ、変更された部分についても「なぜそうなったのか」を理解することができました。正直、役作りで特別にこうしたということはあまりなく、台本を読み込む中で、富士子の言うこと、やることが理解できたことがすごく大きいです。
富士子のキャラクターの魅力は、人間の多面的な部分がしっかり描かれているところだと思います。一生懸命頑張っているけれど、いっぱいいっぱいになってしまって子供に手を挙げてしまったり、お金を手にして喜んでしまったりする。そういう多面性がちゃんとある人物なので、そういうところが魅力的だなと思いました。
■作品をPRするうえで意識したことがあれば、教えてください。
MEGUMI:自分の企画でプロデュースというのは初めてだったので、プロデューサーのワークショップに行ったり、いろいろなプロデューサーの方に聞いたりしながら進めました。作品づくりは問題が起きるものなので、その時に“いかにポジティブな未来を共有できるか”がプロデューサーの仕事だと、私が尊敬するプロデューサーの方から教えていただき、気をつけなければいけないなと思っていました。
PRについては、映画界のPRが得意な方にお話を伺いました。特に「名代富士そば」とのコラボに関しては、作品との親和性が大事だと思っていました。そこで映画を観た後、どんな行動をするのかを考えたとき、「お蕎麦が食べたくなった」という声がとても多かったので、「名代富士そば」にコラボの提案をさせていただきました。コラボ自体がニュースにもなり、富士そばさんにも喜んでいただけたかなと思いますし、私たちにとっても嬉しかったです。

■今までにMVやCMの撮影も行っていますが、それらの撮影経験が本作に活きている部分はありますか。
木村:音楽に合わせてテンポよく展開するシーンもあったため、その部分はMVのような感覚で撮影したのを覚えています。カット割りは、良い意味で少しディレクションを雑にしたり、テンポ感を重視したりした部分はあるので、そうしたところで活きています。ただ、あくまでも映画なので、メインは映画としてのディレクションで進めていました。その点はMVとは全く違います。
■この作品を通して、元気づけられたところはありましたか。
片山:『FUJIKO』は約1か月間撮影しましたが、自分自身、たくさん寝て、ご飯を食べて、全力で撮影を頑張ったなと思います。「主演は大変でしょう」と言われることも多かったのですが、そこまで大変だとは感じませんでした。たぶん、自分自身も富士子という役からエネルギーをもらっていたんだろうなと思います。
■俳優業とプロデュース業をされていますが、それぞれの向き合い方の違いについて教えてください。
MEGUMI:一番大きいのは、視野の違いですね。俳優としては、役にフォーカスして、その人をとことん掘り下げていくため、視野をどんどん狭くしていかなればなりません。一方で、プロデュース業は、全体を見ながら感情移入せずに進めていかなければならないので、視野を広く持つ必要があります。
■『FUJIKO』の最大の見どころを教えてください。
片山:私の姉が映画を観てくれたのですが、「開始1秒で引き込まれた」と言ってくれました。“オープニングからかっこいい“という映画はなかなかないと思います。監督が26年間ロンドンに住んでいるので、日本生まれ日本育ちの日本人にはない音楽の使い方になっています。賭博のシーンや富士子がカフェで働いているシーンも、全部音に合わせて動いていて。だからこそ、とてもハマりが良く、気持ちいいシーンになっているのではないでしょうか。日本映画っぽくなく、新しくて面白い作品だと思います。
MEGUMI:「生きているだけで精一杯」というセリフがありますが、混沌とした時代の中で、富士子だけでなく、“人間らしい人が人間らしいことを言っている映画”です。最近はそういった作品が意外と少なかったのかなと思います。そうした人間ドラマこそが、作品の最大の特徴です。皆さんが感情移入できる部分があり、それがこの作品の強みだと思います。
木村:一番の見どころは、テンポの速さです。個人的に、テンポよく進む映画を作りたいという意識があり、良い意味で忙しい映画にしたいと思っていました。シーン数やロケ地が多いのですが、尺が長くなく、1時間半に収まっています。しかし、常にテンポが速いわけではありません。カフェのシーンなど、遅いところは遅いという緩急があります。映画マニアの方や映画作っている方は、そういうところを見ていただけると、それもそれで面白いかもしれません。
■若者へのメッセージ
片山:人は、自分が興味を持てることほど、前向きに取り組めるものだと思います。私自身、今ゼロの状態から英語を学び直したり、2年前から韓国語を勉強したりしています。みなさんには、好きなことや今興味のあることに、没頭してほしいです。
MEGUMI:今は情報があふれていて、失敗した人が厳しく批判されている場面もたくさん目にするため、何かに挑戦することが怖くなりやすい時代だと感じます。でも、リスクを取って何かをしない限り、人は悩みもしなければ成長もしません。今回の『FUJIKO』もそうですが、失敗しても、間違えても、誰かに何かを言われても、最終的には行動した人が前に進めます。失敗を恐れる必要はありません。大人になるにつれてどんどん行動力はなくなってしまうから、今のうちに“行動する筋肉”をつけてほしいです。インスピレーションに従ってチャレンジできる人になるために、今は一番人生で動いた方がいいんじゃないかなと思います。
木村:『FUJIKO』のメッセージにも通じることですが、今はインターネット社会なので、行動ではなく、データで判断してしまいがちだと思います。自分にとって何が一番良いのかは、自分が手足を動かして得た経験からしかわからないのではないでしょうか。自分に合う合わないも、実際に行動して初めて見えてくるものだと思います。たくさん行動して、たくさんチャレンジして、自分にとって何が一番良いのかを自分自身で確かめてもらいたいです。また、今、目の前にあることにしっかり向き合い、後悔のないように頑張ってほしいです。大人になると学ぶ機会も少なくなってきます。あとで、「あの時もっとやっておけばよかったな」と思わないように。「これが本当に役に立つのかな」と思うことでも、大人になると社会に出てから思いがけないところで活きることがたくさんあります。目の前のことをしっかり吸収し、将来、社会に役に立ててもらえたらいいなと思っています。
学生新聞オンライン2026年6月6日取材 東京薬科大学4年 庄司春菜

映画『FUJIKO』
大ヒット公開中
出演:片山友希、YOU、リリー・フランキー、MEGUMI、うじきつよし、竹下景子、イッセー尾形、岸本加世子ほか
原案・監督:木村太一
脚本:我人祥太、國吉咲貴
企画・プロデュース:MEGUMI
配給:Atemo
© 2026 FUJIKO Film Partners
公式サイト:https://fujiko-movie.com/
公式X/Instagram:@fujiko_movie

城西国際大学3年 渡部優理絵/東京薬科大学4年 庄司春菜


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