株式会社アデランス 代表取締役社長 津村 佳宏

毛髪に悩むすべての人を幸せにしたい そのための社員ファースト

株式会社アデランス 代表取締役社長
津村 佳宏(つむら よしひろ)

1963年生まれ。広島県出身。早稲田大学人間科学部卒業。1982年3月、株式会社アデランス入社。2017年3月、代表取締役社長兼グループCEO就任(現任)。内閣府認定公認社団法人 日本毛髪科学協会 毛髪診断士認定指導講師、早稲田大学マーケティングイノベーション研究会所属、金沢工業大学 客員研究員、看護理工学会 評議員。

技術者に憧れてアデランスに入社した津村社長。毎日、懸命に技術を磨いたその先にたどりついたのは、技術と知識、そして、おもてなしの心、すべてを兼ね備えた「プロフェッショナル」になること。目標を持つことは大事、でも成長するにはもっと大切なことがあるという。それは何かを伺った。

理容師や美容師など、手に職を持った技術者に憧れていたんです。学生時代はあまり勉強しなかったので、社会に出てから頑張ろうと(笑)。そして、アデランスに入社。最初に待っていたのは、通信の理容師学校で学びながら、ヘアカットなどの技術研修。特に、パーマのロットを上手く巻くことができず、ここで自分の不器用さに初めて気がつきました。技術試験では、同期生80人中5人が不合格だったのですが、そのうちの一人が私。それはもう悔しかったですね。街中でカットモデルを探して練習させてもらう、という日々を経て迎えた追試。なんとか合格することができました。
 これがきっかけで学習意欲に火がついたんです。「技術大会で優勝するぞ」という目標を立て、毎日、技術練習に明け暮れ、なんと優勝。とにかく技術を磨きました。

本当のプロフェッショナルになる

 その後店舗に配属され、お客様の髪の毛と向き合う毎日が続きました。そこで気づいたのは、「まずはお客様のニーズを引き出さなければいけない」ということでした。自分が勧めたいものを無理に勧めてもお客様は満足してくれません。まずはお客様のお話をしっかり聞いて、お客様の悩みを解決する。そのうえでサービスを提供する。
 これを実践するためには、自分自身が本当の「プロ」になる必要がありました。お客様に寄り添う気持ち、豊富な知識、確かな技術、そして最高の商品を兼ね備えたプロフェッショナルにならなければなりません。
 ここでの気づきが「最高の商品」「最高の技術と知識」「心からのおもてなし」という、現在のアデランスの経営理念に繋がっているんです。
 こうやって根本を徹底していかないと、結局、なにごとも遠回りになってしまうんです。たとえば、見せかけだけのテクニックをいくら磨いたとしても、お客様は商品を買ってはくれません。まず技術や知識を磨き上げ、お客様のニーズに合った最高の接客をする。そうして初めて、「この人がお勧めするなら買ってみようかな」となる。

社員の幸せがお客様や社会へ連鎖する

 私が一緒に働きたいと思う社員は、前向きで「これがやりたい」ときちんと言葉にできる人です。そして、「これがやりたい」と言われたら、よほどのことがない限り、やらせます。管理職の社員にも「部下をバッターボックスに立たせなさい」と言っています。
 私や管理職の人たちが、自分の経験則だけで判断をしてはいけないのです。やってみないと何も新しいことは生まれません。それに、そうすることで社員がやりがいを感じてくれるんです。
 アデランスでは社員と社員の家族の幸せを第一に考えています。社員がやりがいを感じてくれたら家族も幸せですし、家族が幸せだと社員も幸せだからです。そして、取引先の方にもいい仕事をしていただき、家族全員で幸せになってもらう。これらが全部揃うとお互いにいい仕事ができてお客様も喜んでくれる。そうすると地域社会にも株主にも貢献できる。このように、足元から固めてみんなが笑顔になるサイクルを作ることが、一番大事なのではないかと思います。

毛髪で悩む世界中の人々を幸せにしたい
 アデランスは当初、毛髪に悩む男性向けにオーダーメイド・ウィッグ事業を始めました。しかし、病気やケガなどの理由で脱毛に悩みを抱えているお子様もいらっしゃることを知り、1978年から、オーダーメイド・ウィッグの無償提供(4歳から15歳までのお子様を対象)を始めました。技術者が実際に病室まで行き、頭の形を図り、ウィッグを製作。出来上がったら直接患者さんに届けるんです。すると、ご本人はもちろんのこと、ご家族の方々も大変喜んでくれるんですよ。
 あの笑顔を見たときに、「人様のお役に立てているなぁ」としみじみ思いましたね。こういう現場を実際に見たからこそ、「毛髪に悩む世界中の人々を幸せにしたい」とより一層強く思うようになりました。

*messege*

学生のみなさんには、目標を持って頑張ってほしいです。語学や文化を学び、世界で活躍できるグローバル人材になってください。アデランスも売上の51パーセントは海外での売上です。今後、どこの企業でもグローバル化が進んでいくでしょう。年功序列よりも能力主義、そして年齢・国籍・性別に関係なく活躍できる、ダイバーシティがさらに進んでいきます。つまり、誰でも頑張ればチャンスをつかめるようになる。頑張った学生がこれからの日本を支えていくと思います。
 頑張るにあたって、目標と同時に欲も持ってほしいです。欲がなければ成長できません。「これが上手くなりたい」とか「あれが欲しい」とか、本当になんでもいいんです。強烈な欲を持って、その欲を充足させることに貪欲になってください。

学生新聞2020年4月20日号より (慶応義塾大学4年 小川淑生)

慶応義塾大学4年 小川淑生 / 日本大学4年 藤澤歌奈/文教大学1年 北島麗音/駒澤大学3年 安齋英希

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