株式会社AOKIホールディングス 代表取締役社長 青木 彰宏

多くの人に「心地よさを感じさせる服装」を提案していきたい

株式会社AOKIホールディングス 代表取締役社長 青木 彰宏(あおき あきひろ)

■プロフィール

1970年、東京都生まれ。紳士服チェーン、AOKIの創業者である青木拡憲(あおきひろのり)氏の次男として生まれる。成城大学経済学部卒業後、1994年アオキインターナショナル(現AOKIホールディングス)入社。2003年オリヒカ事業創業。2010年から現職。

ファッションだけでなく、時代の変化に応じて常に新たな事業を創出するAOKIホールディングス。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャルサポーター(ビジネス・フォーマル)としても活動。東京2020大会の日本代表選手団公式服装(開会式用・式典用)も担当した。そんなAOKIホールディングスは今、どのような価値創造を目指しているのか。青木社長にお話をお聞きした。

 大学時代は興味を持ったことをとことんやっていました。いろいろなところに旅をしましたし、AOKIの店舗でアルバイトもしていました。
 当時は、店舗スタッフとして一から学ぶことはもちろん、全国の店舗を回り、皆さんがどんな視点で仕事をしているのかを知ることが凄く勉強になり、楽しかったです。商品開発研修へも同行させてもらい、ニューヨークを訪れたこともありました。海外での様子を垣間見ることで、日本の未来を想像することが自分にとって大きなワクワクでした。
 大学生の頃は、明確な目標はありませんでしたが、今までにない新しいものを生み出したい、という思いをずっと持っていました。大学卒業後は、それまでの経験からファッション業界、AOKIの業態に強く関心を持ち、そのまま入社しました。

■印象的だった 新規事業の立ち上げ

 入社後は、すぐに大阪の店舗で勤務をすることになりました。その後も新店のオープン準備や副店長など、若いうちから多くのことを経験させてもらいました。一番印象に残っているのは24歳のときに、 キッズ事業の立ち上げメンバーとなったことです。開業までのリサーチからビジネスプランの作成、店舗作りからマネジメントまで、何もない状態からつくりあげることの大 変さとやりがいを感じました。特にリサーチは時間と手間がかかり、新規事業を立ち上げる難しさを思い知りました。
 1990年代後半、紳士服 市場全体は飽和状態となっていました。そこで、スーツとは別の業態で企業を拡大させ、社員の活躍の場を広げる必要があると考え、多角化経営をスタートさせました。私が担当したキッズ事業もその一つです。そして同時期に現在も事業の柱となるブライダル事業やエンターテイメント事業も新しく始めました。

■みんなで「協力」することの重要性を学ぶ

 店舗でのマネジメントを担当していた際は、売上などの目標を設定し、スタッフと役割を決め、綿密なコミュニケーションを大切にしながら運営をしていました。特に、私がマネジメントで心掛けていたのは、店舗スタッフ全員に協力してもらうことです。年齢やキャリアに関係なく、同じ土俵に立って全員を巻き込んでいくのです。全員が同じベクトルを向いて走る。それを導くのがマネジメントする側の役割だと考えています。
 私自身が弊社の代表取締役社長に就任し、会社全体の経営を始めてからも、この店舗マネジメントの経験は大いに活かされています。
 AOKIの仕事には、コミュニケーションスキルは、必要不可欠です。スーツを作るにもお客様のニーズやウォンツをヒアリングする必要がありますし、AOKIを選んでご購入いただくためにも、お客様との会話を通じ、お客様をコーディネートし、お客様に合った最高の1着を届けなければなりません。そこで重要になるのは、やはりコミュニケーション。AOKIでは、お客様に心地よいと思っていただけるコミュニケーションスキルを持っている方と一緒に仕事をしたいと考えます。

■周りにも心地よさを感じさせることが大切

 近年、服装の自由化という言葉もよく耳にしますが、どれだけニューノーマルな時代となっても、やはり社会人として服装が周りに与える影響は考えるべきだと私自身思っています。弊社は、東京2020大会の日本代表選手団が着用する公式服装を担当させていただいたのですが、とにかくお一人おひとりに合ったスーツを直接スタッフが採寸して提供することにこだわりました。
 確かに、現代はAIを使って簡単にその人に合ったサイズを測定できる時代でもありますが、我々はスタッフが対面で約1600人の皆さまを採寸し、お一人おひとりのご要望を丁寧にヒアリングしながらご提供しました。それは、その方が一番輝くスタイルへの徹底的な追求、そして開会式でそれを見た視聴者に与える影響、その重要性を加味した上での我々の答えでした。スーツは200年ほど続く歴史あるスタイルです。どんなに時代が変化しても周囲の人にも心地よさを感じさせる服装を提案し続けたいです。

■message

先行き不透明な時代だからこそチャンスが溢れています。しかし、チャンスは自分で探すものです。まずはそのチャンスを見つけ出すためにもチャレンジし続けてください。失敗は挑戦した人間にしか起こりません。失敗してもめげずにリカバリーし、たくさんの経験を通して多くの可能性を広げてください。

 学生新聞2021年10月号 慶應義塾大学 2年 伊東美優

明治大学3年 山本真人/日本大学4年 辻内海成/慶應義塾大学2年 伊東美優

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