株式会社BS日本 代表取締役社長 中山良夫
“人生のバックボーン”を築け 1つの事の継続から多様な学びを
■プロフィール
1958年生まれ。筑波大学大学院修了後、1983年に日本テレビ放送網株式会社に入社。制作、報道、スポーツの実務経験後、スポーツ・情報局スポーツセンター長、報道局次長、事業局長、取締役 執行役員を経て、2018年に株式会社BS日本の代表取締役社長に就任。
現在若年層への視聴者層拡大に注力した施策を数々行うのが、BS日テレです。その代表取締役である中山良夫社長が、自身の学生時代に築いた“人生のバックボーン”について。また、BS日テレの経営方針や、社員の方々を「BS日テレファン」と呼ぶ中山社長の会社にかける想い。そして「BS日テレファン」に向いている学生についてお伺いしました。
私は中学から大学まで、学生時代はずっとサッカーに打ち込んでいましたね。中学からサッカーを始め、高校はサッカーの強豪校に入学しました。高校ではチームのゴールキーパーを務め、国体の選手に選ばれたこともありましたよ。さらに、高校3年生の時にはアンダー18の日本代表にも選ばれるほど、サッカーは得意でもあったのです。
大学でもほとんどの時間をサッカーに費やし、年に3〜4ヶ月ほどしか授業を受けていなかったのではないでしょうか。それだけサッカーに熱中していたのです。
大学卒業後は親から就職をするように言われていたのですが、サッカーしか今までやってこなかったので、別の道からサッカーのことや人生のことを考え直したいと思い、筑波の大学院に進学することに決めました。大学院へは東京ヴェルディ1969の前身となった読売サッカークラブに所属しながら通うことになりました。クラブが学費を出してくださっていたので、伸び伸びとサッカーも学びもできた大学院生時代を過ごしました。
そして、そのような日々の中で「サッカーを卒業後は続けなくてもいいかな」と思うようになっていた矢先、読売サッカークラブの方から読売新聞に就職しないかというお誘いがあったのです。当初、新聞社は真面目な学生が就職するイメージがあると断ったところ、現在の日本テレビへ就職活動をし、入社することになりました。サッカーを続けてきたことがご縁で、日本テレビに出会うこととなったのです。
■BS日テレの視聴者拡大に向けて、アニメに注力
BSデジタル放送の主な視聴者は50代から60代の高年齢者層であるため、もっと若い世代の人にも興味を持ってもらうことで、視聴者年齢層の幅を拡大したいと思っています。若者のテレビ離れとも世間で言われている時代。テレビ局の存続のために若者の視聴者層拡大は急務と言えるでしょう。
そのために、現在は若者からの支持が高いアニメ事業に力を入れて取り組んでいます。深夜帯には現在人気のアニメを放送し、若者にBS放送を視聴してもらえるよう工夫しています。アニメの再放送は30代から40代の層からも「懐かしい」と支持があり、好評を得ていますね。また、アニメだけでなく、放送以外の事業にも着手しています。例えば、アニメ関連のイベント運営や、アニメのキャラクターの商品化です。アニメの商品はイベントでの販売やネット販売、TSUTAYAさんとの連携販売などで皆さんにお届けしています。テレビ放送のみでは、なかなか新たな視聴者層を引き込むことは難しいので、放送と放送外の両方の事業展開が必要でしょう。今後も二つの事業展開を軸に、視聴者層拡大を目指します。
■会話が増える、イキイキとした社内環境づくりを実践
BS日テレはさらに良いサービスを提供できるよう、私が代表取締役に就任してから変えたことがいくつかあります。
まず、BS日テレのオフィス環境です。以前はあまり社員同士の話し声がなく、静かなオフィスでした。しかし、社員同士が雑談をする中で生まれるアイデアは、非常に熱量があり大切なもの。そのため、机や椅子の配置を社員がコミュニケーションを取りやすい配置に変更しました。結果、今では至る所で社員の会話が生まれ、オフィスは賑やかですね。
また、絆が深まるように社員の方々を「BS日テレファン」と呼ぶようにしていています。そして「ハッピー7」というBS日テレファンを豊かに幸せにする7つの項目を立てています。その項目のうちの一つは、社員7人が集まっての食事会は、業務に関連があれば会社が負担するというものです。これは社員同士のコミュニケーションを図り、仲を深めてほしいという私の願いがこもっているのです。
その他、個人表彰やキャリアアップ、ライフワークバランスに関する項目もあります。
学生の皆さんも是非「BS日テレファン」になってみてはどうでしょうか。BS日テレは人生のバックボーンをしっかりと築いている、生き生きとした個性をお持ちの学生を求めています。根は真面目だけれど常識にとらわれすぎない学生は「BS日テレファン」に向いていると思いますよ。
■社会に出て働くということは、その道のプロになるということ
大学生は色々な経験を積んでほしいですね。体験の種類を多く増やしてほしいということではないんです。一つのことを取り組む中で色々な経験に出会い、人生のバックボーンを作ってほしいのです。
例えば、私ならばサッカー続けていた中で多くのことを学びました。ボランティアをたくさんやっている学生や、海外に留学をしたことがあるという学生はたくさんいますが、その経験から学びがなければ意味はないでしょう。
社会に出て働くということは、その道のプロになるということです。プロは厳しいですよ。学生のうちに(何度もお話しして恐縮ですが)“人生のバックボーン”を作り上げ、プロになる意識を持って社会に飛び立ってください。
学生新聞オンライン2022年4月20日取材 津田塾大学3年 佐藤心咲
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