auじぶん銀行株式会社 代表取締役社長 石月貴史

自分の幸せとは何かを早くに明確化し、その実現に向けて努力を

auじぶん銀行株式会社 代表取締役社長 石月貴史(いしづき たかし)

■プロフィール
1990年KDDI(旧第二電電株式会社)入社、新規事業統括本部新規ビジネス推進本部事業開発部長、auフィナンシャルサービス代表取締役社長、auカブコム証券代表取締役社長などを経て2022年8月auじぶん銀行代表取締役社長に就任。

2008年にKDDIと三菱UFJ銀行の共同出資により設立されたネット専業銀行である「auじぶん銀行」。主にスマホ向けのフルバンキングサービスを提供し、前例にないサービスを先駆けて提供している。「大切なのは主体性を持って自ら行動することだ」と語る石月貴史社長から大学生へのメッセージとともに、創業についてのお話を伺った。

■とことんチャレンジする、無鉄砲だった大学生時代

学生時代は今しかできないことを、無鉄砲に、なんでもやろうという思いをもって、自由に過ごしていました。アルバイトは家庭教師や引っ越し屋さん、バーテンダーなど様々なことをやりましたね。お金貯まったらどこかへ行くというスタイルで、当時トム・クルーズ主演の映画『トップガン』が流行っていた影響から、「実際にミラマー海軍基地に行きたい」という思いに駆り立てられてサンディエゴに2ヶ月間滞在したりもしました。現地で仲良くなった人とレンタカー借りてラスベガス行ったりして、かなりエンジョイしていましたね(笑)。一方、就業に際しては、人々を豊かにするサービスや事業を行う会社に入りたいというかねてからの思いもあり、相当真剣に考え、第二電電株式会社(現KDDI株式会社)に入社しました。人々の生活に欠かせないコミュニケーションの土台となる通信ですが、当時はまだ料金がかなり高く問題意識がありました。日本の通話料を安くする会社に入ることで、人々を豊かにできるのではないかというシンプルに思いました。

■コーポレート部門からau PAYカード事業の立ち上げを経て、auじぶん銀行の代表へ

入社時は広報部に入り、その後、財務部に異動して、いわゆるコーポレート部門で長い間、働いていました。2000年を越え、すでに携帯電話は1人一台持つ時代が到来し、事業部門ではないものの、自分なりに会社の次の成長機会がどこかを考えていた頃、三菱UFJ銀行(当時はUFJ銀行)の担当の方と「KDDIと一緒にインターネットバンクをつくる」という話題で盛り上がり、事業を検討する場をアレンジしました。これが、auじぶん銀行(当時はじぶん銀行)設立のきっかけであり、私が金融に関わるきっかけとなりました。
アレンジを契機にauじぶん銀行に出向、創業より6年間働いた後、KDDIに帰任、通信事業に重畳する金融事業の検討がミッションでした。その中で生まれたのがau PAY構想です。構想の実現にはクレジットカード会社が必要であり、auフィナンシャルサービスを設立することとなりました。おおげさでなく、A4用紙1枚からビジネスを考えました。そして、銀行創業の経験から、その会社に対して一番思い入れのある人間が経営すべきと考え、自分が一番であると確信し、社長に自ら手を上げました。今思えば、無鉄砲極まりなく、よくぞ許してもらえたとも思います。auフィナンシャルサービスは創業より6年弱経営し、軌道に乗ったところで後進へバトンタッチしました。その後、auカブコム証券の社長を経て、現在に至ります。新卒の時は、よもや金融関係の会社の社長になるとは考えてもいなかったので、本当に巡り合わせですね。

■auじぶん銀行の創業について

低廉な手数料だけでなく、手のひらで持ち歩く銀行をコンセプトにしたネットバンクは、間違いなくauじぶん銀行が日本初です。しかも、iPhoneやスマホが普及する前のガラケー時代から、先駆けて考えていたことは今思い返しても先見の明があったと感じます。広告拠点としてauショップを活用した点も、口座獲得において他のネットバンクと比べ、圧倒的に有利だったと思います。

■auじぶん銀行の魅力

「手のひらの中の銀行」といった前例がないものを先駆けて提供してきたところが、auじぶん銀行の一番の魅力だと思います。また、KDDI、MUFGという強力なバックボーンを持ち、auフィナンシャルグループとして傘下に多様な金融機能を提供するグループ会社があることも魅力です。そのため、ユーザーはその他のサービスとセットで利用することで、様々なメリットを享受できることができます。

■社長の仕事は方向を定め、環境を整えること

会社には成長のステージがあります。創業期は、社長の構想している、やりたいことを追求し、社員に具現化してもらう、そして事業がスケールしたなら、次のステージは、社長だけでなく、社員のアイデア、みんなの力を集積し、新しい成長軌道を摸索する時期になります。auじぶん銀行は、今、その段階にあたるのかなと思っています。その段階においては、会社が進む方向を定めること、社員が気持ちよくアウトプットできるようその環境を整えること、これが社長の今一番大切な役割だと思っています。

■一緒に働きたいのは、会社のパーパスに共鳴し、行動できる人

どんなに能力が高くて、自分1人でやれる仕事は限られます。なので、一人で全てをやることが素晴らしいとは思いません。ビジネスにおいても、色々な得意技を持つ各々会社を上手く組み合わせて一つの素晴らしいサービスに昇華させる時代となっています。
このような時代だからこそ、一緒に働きたいのは、会社のパーパスに共鳴し、行動できる方です。言い換えると、同じ志のもと、自分の能力をパーパスにシンクロさせられる人、主体性を持って行動できる人と働きたいと思います。

■大学生へメッセージ

自分の幸せとは何かを早くに明確化してそれに向けて、真っ直ぐ努力をしてください。
私が考えた「幸せ」は人々の生活を豊かにすることだったのですが、主体性をもってそれを実現することを自分の仕事とすることができたのは、このうえない幸せです。今、このポジションにあるのもぶれずに自分の「幸せ」を追求したからだと思っています。みなさんも、是非、自分が「幸せだ」と感じられるものを見つけ、実現に向けて歩んで頂けたらと思います。

学生新聞オンライン2022年10月19日取材 川村学園女子大学 4年 岡﨑美諭

中央学院大学 4年 田根颯人 / 川村学園女子大学4年 岡﨑美諭 / 慶應義塾大学3年 伊東美優 / 日本女子大学4年 神田理苑 / 法政大学1年 佐伯桜優 / 法政大学3年 鈴木悠介

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