株式会社グローバルウェイ 取締役会長 各務正人

“使われる”のではなく、“愛される”サービスを10億人に届けたい

株式会社グローバルウェイ 取締役会長 各務正人 (かかむまさと)

■プロフィール

外資系金融機関にシステムアナリストやデリバティブトレーダーとして在籍。2001年にSOA製品のリーディングカンパニー、外資系ソフトウェア企業に入社。リージョナルマネジャーとして世界一の営業成績を達成し、2年連続で日本支社のライセンス売上50%以上に貢献。2005年に同社を退職し、株式会社グローバルウェイを設立。代表取締役に就任。

企業口コミサイト「キャリコネ」、企業のプラットフォーム構築サービス、個人の時間売買サービス「Time Ticket」など多角的な事業を展開するグローバルウェイ・グループ。創業者で現在取締役会長を務めるのが各務正人氏だ。田舎の野球少年だった同氏はアメリカの大学に進学、エンジニアやトレーダー、営業を経験したのち、現在の会社を創業している。今回はこれまでのキャリアや仕事への想いについて伺った。

■田舎の野球少年がアメリカへ

 私は小学校2年生で野球を始めて、いずれはプロ野球選手になりたいと思っていました。高校は野球の特待生として進学し、大学へも野球の推薦で入りました。ただ、私はイチロー選手と同い年で彼と何回か対戦をした経験から「自分はプロへ行くレベルではない。もっと将来を真剣に考えなきゃヤバい!」と思い始めました。私が生まれた岐阜は陶器産業が有名で父と祖父は陶器に関連する会社を経営していたのですが、昔、漠然と私も会社をやりたいと考えていたことを思い出し、実家にある野口英世の本を読みなおしました。そして「アメリカへ行ったら自分を変えることが出来るのではないか」と思い、アメリカ留学を決意しました。アメリカでは試行錯誤を繰り返して答えを導き出すことを学びました。教科書の内容をそのまま勉強することは自分で出来ることなので意味が無く、教科書の内容について「どのように思うのか?」と発展させることの重要性に気づけました。

■起業を目指し、エンジニア・トレーダー・営業を経験

 私が会社経営に興味を持った時、ちょうどマイクロソフトなどが世に出た時代だったのでITの分野で起業を考えていました。そこでお金や知識を得るためにITのレベルが高く給料の良いUBS証券へ入社し、エンジニアとしてトレーダーが使うシステム開発をやらせてもらいました。その際、トレーダーの経験も積みたいと思ったため、ドイツ証券に転職してトレーダーになりました。さらに、会社経営の経験を積むため、小さい会社に転職したいと思い、ゴールドマンサックスのお誘いも断って日本進出してきた10名ほどの小さな会社で営業をやらせてもらいました。その会社に転職したときは600万円ほどの年収でドイツ証券の半分ほどの金額だったので「お前はバカか?」と言われましたが、世界一のトップセールスをあげたとき、年収は7500万円ほどになっていました。そのお金を軍資金にして作った会社がグローバルウェイです。

■「キャリコネ」で日本を生きやすい国に変える

元々BtoBの経験を積んできたので、その経験をもとに自分たちでソフトウェアを作り、お客さんに導入するシステム開発系の仕事を始めました。最初に始めたのが、ビジネス版のミクシィです。このサービスを作った理由は、私が常々日本は欧米などに比べると、単一民族性が強く生きづらいと感じていたからです。例えば、人を褒めるのではなく、揚げ足を取る文化が強い。そうした単一民族性を打破して、日本中の人々が自由に好きなことが出来るような気づきを与えるために作ったのが、今の「キャリコネ」です。

■10億人に愛されるサービスを創る

今のキャリコネは8000万人が使用するサイトになりました。そして事業を多角化しているので大手企業・中小企業・個人から仕事をもらうことができ、会社のポートフォリオが悪くなりづらい状況にしています。そのため、今後はインドやインドネシアなど、アジア圏での横展開や関連する事業を創造したいです。また、いずれは10億人に愛されるサービスを創りたいです。重要なのは愛されることで、ただユーザーが10億いればいいというものではありません。それだけの人に「使ってよかった」と思ってもらえる事業にしたいです。これが実現できた瞬間が仕事を辞める時だと思っていますね。
他にも若手で才能がある人・努力する人を採用・育成していくことにも取り組みたいです。

■やりがいは“自己満足”

2016年の株式上場はサービスが認められた感じがして嬉しかったです。ただ、ここまで続けてこられたのは勝手な自己満足だと思っています。「俺がやらないと世の中変わらないんじゃないか」という勝手な責任感ですね。警察官が事件の現場で「俺がやらないで誰がやるんだ」という感覚と似ているように思います。この自己暗示的なもののおかげでここまで続けてこられました。

■グローバルウェイの魅力

私は合理的ではないことが嫌いなのでコロナ禍になる前から在宅勤務の体制づくりに取り組んでいました。現在は管理部門以外の96%ほどが在宅勤務で仕事をしています。他にも子供が小学校5年生になる時まで時短勤務が出来ます。また、妊娠中から医師などの指導を受けた旨の申し出をしている女性は時短勤務として働けたりします。また、7時から22時のフレキシブルタイムの間であればコアタイムが無く働けるフルフレックス制にするなど、働きやすい環境づくりを心掛けています。ただ、責任を果たして成立する事なので、社員のパフォーマンスが悪くならないように管理して運営しなきゃとは思っています。
働いている人は誠実で素直な人、仕事に妥協しない熱量の高い人が多いですし、そういう方々を求めています。そのため、「適当にやっておけばいいんだよ!」という人はダメですね。

■大学生は自分への財産を作るべき

趣味でも勉強でも何でもいいので自分が誇れるものを1つでも作ること。そして、自分の財産になる友達を作ることに挑戦してほしいです。社会人になると「仕事の役に立つか?」など打算的になっていきます。自分と似た状況にある人と一緒にいることは居心地が良いですが、お金じゃない付き合いの友達、例えばぶつかりながらも野球を一緒に頑張った仲間たちはかけがえのない存在になるのでぜひ大切にしてほしいと思います。

学生新聞オンライン2022年9月21日取材 中央学院大学4年 田根颯人

中央学院大学4年 田根颯人 / 立教大学4年 須藤覚斗

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