株式会社まんだらけ 代表取締役社長 田中幹教

「好き」を持つ人たちに商品や楽しさを提供し続けていく

株式会社まんだらけ 代表取締役社長 田中幹教(たなかよしゆき)

■プロフィール

生年月日:1979年2月10日生まれ。
出身地 :北海道 様似町(さまに ちょう)
2001年3月まんだらけ入社、Web制作部長(取締役兼務)として社内PCのメンテナンス、店舗ネット環境のインフラ整備、POSシステムやネット通販システムの開発など、まんだらけの根幹に関わる業務を推進している。2020年12月副社長就任を経て、2023年3月に現職に就任。

漫画やアニメ・特撮のグッズから懐かしの看板まで幅広く誰かの「好き」を提供する株式会社まんだらけ。近年、アニメや漫画などのカルチャーが世界的に人気を集める中、代表取締役社長である田中幹教様に まんだらけ独自のサービスや考え方についてお話をお伺いした。

■インターネットに魅せられた学生生活

大学生のときに幾つかアルバイトをしており、その一つが古本屋でした。当時はインターネットが普及し始めたばかりで、ホームページを1つ作るのにも苦労した時代でした。その古本屋でカタログをページに乗っけて電話で注文を受けるといった「通信販売」の仕事を経験しました。他にも大学内のアルバイトでPC設備の管理やSE業務も行っていましたね。この2つのアルバイトが、人生に大きく影響したかなと感じていますね。
また、個人でパソコンを自作したり、ホームページを作成した事もあり、パソコン周りは強かったですね。大学で単位が危なかったときもありましたが、教授のPCをメンテナンスしたりしてうまく単位を取っていました。

■就職氷河期にたどり着いた先が「まんだらけ」だった

当時は就職氷河期と呼ばれた時代で、新卒学生には厳しい時代でした……。自分も何回も採用面接に落ちましたね。最終的に大学生活で培ったパソコンのスキルを生かして何社かに逆オファーを出す形で就活して、そこで出会ったのがまんだらけでした。当時のまんだらけは創業約10年の会社で、会社としての体制が整っていない状態でした。
面接を受けてから二ヶ月経ったとき、急に「採用だから明後日から来てくれ」と言われ、「なんてファンキーな会社なんだ!」と感じました(笑)

■ホームページづくりから経営まで幅広くサポート

入社後はweb制作部に配属されてホームページの制作からスタートしました。ホームページを作ると言っても一人では作ることができません。コンテンツを作る人、商品に詳しい人など色んな人と関わって制作していました。
その後、社内でインターネットの導入が必要になり、たまたま自分が詳しかったことから、社内のパソコンメンテナンスや他の社員のPCでの作業を手伝ったり、店舗のネット環境のインフラ整備もやったりするようになりました。そこで信頼されて、店舗の運営や会社の経営の部分の相談を受けるようになっていきましたね。
色んなところで仕事をさせていただけたこと、そこで信頼をしてもらえたことが、今の立場に繋がったのではないでしょうか。

■国内や海外のお客様のためにアップデートをし続ける

まんだらけでは早くからオンライン販売を行っていましたが、現在は大きく改良しています。たとえば、前は、在庫数の把握や受注数の把握がされていない状態でしたが、在庫管理の基幹システムを改良し、常に在庫数が表示されて、在庫切れで販売できない状態を解消しました。
他にはECサイトの英語や中国語といった多言語展開をすすめました。現在のまんだらけの売上のうち、約50%は海外での売上となっています。以前は海外販売を考えていませんでしたが、様々な国の人から「ぜひ売ってほしい」と声がかかり海外での販売もスタートしました。そのため色んな国の人が商品を手に入れられるように多言語対応には力を入れています。
また商品を届けるための「輸送」の部分にも注力しています。
配送業者とのデータ連携はもちろんのこと、商品が多くなっても従業員の負担にならないように自動化できる部分は自動化して効率を上げています。海外の輸送では世界情勢に左右されるので毎月システムはアップデートを続けています。

■買えなくても魅力がある大オークション

まんだらけ独自の事業として「大オークション」というネットオークションを展開しています。YouTubeもない時代にストリーミング配信をしながらスタートしました。
大オークションでは生配信をしながら商品を紹介し、興味のある方に落札してもらう形式になります。ネット上だと手を上げる必要がないので、匿名性を保ちつつ落札できるのが売りです。
それに加えて毎月発行しているオークションの「カタログ誌」が強みです。
「カタログ誌」は商品が記載されている冊子なのですが、毎月テーマや商品によって特集を組んでいます。もしオークションで商品を買えなかったとしても、「こういう商品があったんだ!」という歴史資料としてカタログに価値が生まれるので、楽しさが生まれます。

■新しいものだけでなく、古くて懐かしいものまで

まんだらけでは、新しいものだけではなく、古くて懐かしいものも商品として取り扱っていますね。具体的にはブリキのおもちゃや昔のカルピスの看板といったものです。そのような商品はご年配の方々が生前整理として売りに来る場合があります。それを価値が分かる人へ繋げていく事も、まんだらけとしてのひとつの事業と考えています。

■相場の中で一番高く買い取って信頼を得る

まんだらけではコレクションを売る方に満足してもらうため「相場の中で一番高く買い取る」ことを心がけています。
売る方の中にはコレクションの価値がわかる人に届いてほしいという思いがある人がいます。そこで相場の中で一番高く買い取ることで「価値」がわかる会社だという信頼を得られます。そういった買い取り実績を積み重ねることが、まんだらけに売ってもらえる理由だと考えています。

■なにか夢中になれるものを持っている人と一緒に

新卒や中途採用関係なく「なにか好きになれるもの」を持っている人と一緒に働きたいですね。なにか好きなものを持っていれば、「好き」という強みにもなりますし、いろんなモノも好きになることができると思います。色んな「好き」が集まって新しい事業も生まれてくるのでそこは求めていきたいですね。

■これからもまんだらけ独自の商品やサービスを展開し続ける

これからも漫画やアニメの商品だけでなく、お客様や従業員の声からどんどん好きなものを提供していけるように商品やサービスを拡大していきたいですね。実際にお客様からの声や従業員の声で自作シールやドールの展開も始まったので、誰かの「好き」を満たせるようにしていきます。
それと以前ほどではありませんが、オタクはマイノリティな存在として嫌われている風潮がまだあります。その人達が交流して楽しめる場やサービスを提供していければと思います。

■どんなことでも、小さいことでも経験は将来につながる

経験というものは後々に生きてくると身を持って感じているので、大学の勉強はもちろん、色んな社会経験をできるのであれば経験してほしいです。小さいことでも将来の仕事に影響するかもしれないので、何事にも挑戦してほしいですね。あとはきっちりと計画を立てると破綻することが多いので、「今」を大切に過ごして将来に繋げていってほしいと思います。

学生新聞オンライン取材2023年5月8日取材 武蔵野大学4年 西山流生

成蹊大学3年    角田迅斗 / 日本大学4年 和田真帆 / 武蔵野大学4年 西山流生

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