株式会社伊勢半 代表取締役社長 澤田晴子

伝統を大切にしながらも、革新的な挑戦を続ける

株式会社伊勢半 代表取締役社長 澤田晴子(さわだはるこ)

■プロフィール
大学卒業後、商社勤務やカルチャースクールの講師などを経験したのち、経営コンサルタント会社へ入社。企業教育のコンサルタントとして約20年、百貨店などの実務教育に携わる。その後、2003年伊勢半グループに入社。新規事業部長やグループ会社の社長などを歴任し2009 年より現職。
2025年の創業200周年にむけ伝統を大切にしながらも革新的老舗としての挑戦を続ける。

「あしたは、もっと美しく。」というミッションを掲げ、さまざまな商品を開発、販売する株式会社伊勢半。現在では一般的となっているセルフ販売方式を日本の化粧品業界で初めて導入したほか、斬新なアイデアから生まれた「ヒロインメイク」はブランド誕生から継続した人気を誇っている。そんな伊勢半の魅力の根源や日々移り変わるトレンドを押さえる秘訣について澤田晴子社長にお話を伺った。


学生時代は、合唱団で歌や楽器を教えたり、バレーボールに取り組んだりと、さまざまなことに挑戦していました。 とにかく好奇心旺盛で「迷ったらやってみよう」というマインドでした。
私が大学を卒業した当時は、不景気だったうえ現在のような女性活躍推進の雰囲気もまだ浸透しておらず、企業側も堂々と「男性を採用します」という募集をかけるような時代だったので、今とは違った就活の難しさがありました。
卒業後、商社に入社して数年が経った頃、親戚の紹介で今の夫と出会いました。 夫の家は伊勢半の創業家で、私も結婚後は一時家庭へ入っていたのですが、社会と関りを持って働きたいという人一倍強い想いを持ち続けていました。幸いにも義両親からの後押しもあり伊勢半に入社し夫の仕事を手伝おうと決めました。

代々受け継がれてきた果敢に挑戦するマインド

伊勢半は1966年、日本の化粧品業界で初の試みとしてPSP(パーフェクト・セルフ・パッケージ)システムを導入しました。このシステムは個包装の化粧品をラックに陳列してセルフ方式で販売するというもので、現在では一般的な化粧品の販売方式になっています。
きっかけは私の義父にあたる先代がアメリカ視察の際に、スーパーでお客様がひとりで化粧品を選んで買っていく様子を目にしたことでした。当時の日本では今でいうところのセルフ化粧品も美容部員が商品の説明をして販売していました。場所も小間物屋と呼ばれる専門店で買うのが一般的で、スーパーは食料品や日用品を買う場所、ドラッグストアは薬を買う場所といった区分があり、化粧品の取り扱いには周囲の懸念もありました。
そんな中、お客様の中には使ってみたい色があっても、美容部員に言い出すことができず、すすめられるまま別の商品を購入してしまうことも多くあったそうです。それを知った先代はアメリカで見たセルフ方式であれば、本当に自分がほしいと思う化粧品を楽しく選べるのではないかと考え、導入してみたところ「自分で好きなものが選べて嬉しい」とお客様からの声が届くようになりました。また、美容部員が担っていた商品説明をパッケージに印刷する方法も業界全体に広まり、今日のようなセルフ市場へと大きな成長を遂げました。

若手の活躍は会社の活性に不可欠なエネルギー

めまぐるしく変化していくトレンドを敏感にキャッチし、商品開発や営業活動などに素早く取り入れるため、伊勢半ではさまざまな取り組みをしています。そのひとつが若手の活躍できる環境づくりです。
トレンドに敏感な若い社員が活躍できる環境づくりに努めていて、具体的には「社員インフルエンサー活動」などがあります。社内で選ばれた若手社員が社員インフルエンサーとして公式SNSよりもさらにユーザーに近い目線で、自社の商品や自身のライフスタイルについて発信し、伊勢半のファンを増やすべく活動しています。ほかにも営業・研究・開発、さまざまな部署で若手社員の感性や意見を取り入れる取り組みも盛んです。

■“ユニークな創造性×本物を届けるひたむきさ”がヒットを生んだ「ヒロインメイク」

また若手に限らず全社員一人ひとりが考えを巡らせ、まだ誰も挑戦したことのない難しい物事であっても果敢に取り組むことで、これまでユニークな商品や販促策も誕生しました。そのひとつが2005年に誕生し、今では伊勢半を代表するブランドである「ヒロインメイク」です。
漫画のヒロインのような美しい目もとを叶えるというコンセプトから、イメージキャラクターやストーリー、「いかなる時も完璧に美しくなくては。」といった掟など世界観を作りこみました。化粧品には珍しいこの斬新なアイデアは、当初社内でも賛否が大きく分かれました。開発過程や発売に至るまでも、これまでの化粧品にないキャラクターがプリントされたパッケージなど、その斬新さゆえに受け入れられるまで不安や苦労もありました。
しかし、根底には「泣いても落ちない」というような伊勢半らしい職人気質ともいえる強い品質へのこだわりがありました。強いインパクトがありながらも単純な受け狙いではない高い機能性を分かってもらうことで、発売すると一気にユーザーの支持を獲得することができました。今後もトレンドはさまざま移り変わるとは思いますが、常にアンテナを張り新たな商品を開発していきたいと思っています。

■大学生へのメッセージ

社会人になると、何事にも体力が必要になると思います。ひとつの物事をやり抜くためには集中力が欠かせませんし、その源として基礎体力が大切ですので、学生のうちに心身ともに健康でいられるよう体力づくりをおすすめします。次に一つひとつの物事を突き詰めて考える力を学生のうちに養っておくと良いと思います。「常に考え、そして一度決めた事はやり抜く」ことを意識して習慣にしておくと、社会に出たときに非常に役に立つと思います。日々さまざまな苦悩、葛藤があると思いますが、失敗を恐れず色々なことに挑戦してほしいと思います。

学生新聞オンライン2023年4月25日取材 中央大学 2年 前田蓮峰

中央大学2年 前田蓮峰 / 日本大学4年 石田耕司 / 中央大学3年 松島鈴音

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