自由民主党 衆議院議員 (広島6 区/福山市) 小林史明

この国のルールを、私たちの時代に合ったものに。

自由民主党 衆議院議員 (広島6 区/福山市) 小林史明(こばやし ふみあき)

■プロフィール
自由民主党新しい資本主義実行本部事務局長。
現在はスタートアップ政策、労働市場の構造改革、競争政策、政治のダイバーシティを推進している。第1-2 次岸田内閣ではデジタル副大臣兼内閣府副大臣を務め、デジタル臨時行政調査会を創設。アナログ規制の一括法改正に向けた計画を提言した。菅内閣では内閣府大臣補佐官として、ワクチン接種促進事業を統括した。広島県福山市出身。

新卒で就職した民間企業で働く中で直面した「古い規制」。自分たちが、昔の人が作ったルールで生きていることに気づいて、「自分はルールを変える側になろう」と決意し、政治家へと転身した、小林史明衆議院議員。初当選以来12 年、初志貫徹、時代に合わなくなったルールを変えることに注力されている。
現在の業務内容や政治家になった経緯や想い、学生へのメッセージについてお話を伺った。

私は、幼い頃から「ものづくり」をとても面白いと感じていました。地元の福山市は製造業が盛んで、実家も漁網メーカーですし、モノづくりの会社がたくさん身近にあったからかもしれません。幼稚園の頃は、駅前にあったもみじ饅頭を作る機械を、一日2 時間見ることが日課でした(笑)。「ものをつくるときに、最後に素材がすごく価値を生み出す」と感じ、大学は、上智大学理工学部化学科に進学しました。でも学生時代は、野球とスノーボードに没頭していました。

大学卒業後は、NTT ドコモに入社し、法人営業の仕事をしていました。しかし、壁にぶち当たることもありました。当時、NTT グループではやりたくても提案できない仕組みがあり、このルールのせいで、大事なお客さんを何度か失うことがありました。この経験は、非常に悔しかったですね。このルールは、NTT グループが数十年前に国内シェアで独占的な存在感を放っていた時代に作られたものでした。当時は通用したかもしれませんが、私が働いていた当時は、このルールがあるがゆえに、NTT の国際的な競争力は失われていくばかり。
正直、時代遅れのルールを今でも残しているのはおかしくないと感じ、「このままこの仕事を続けていても、時代遅れなルールに阻まれてしまうのではないか」と焦りを感じました。そこで、浮かんだのが「自分がルールを変える側に回ろう」という想いです。学生時代に1 か月選挙を手伝ったことを思い出し、選挙というプロセスを踏めば、ルールを変える側に回れると気付いて、公募で手を上げることができました。

■ルールを変えるということ

「テクノロジーの社会実装で、多様でフェアな社会を実現する」というミッションを掲げて活動しています。これは、先ほど話した悔しい体験から来ているんです。今の日本の制度は、明治維新か戦後に作られたものがベースとなっているものが多いのです。テクノロジーがこんなに進展している前提ではないし、インターネットもなかったし、社会も多様性が低く、特定の人しか知らないことやできないことがたくさんあった。つまり、技術や社会の進展に、制度が追いついていないのです。言い方を変えるとそういう時代に作ったルールを守りながら、私たちは生きている、ということです。この国がなんとなく息苦しい、成長を実感できない理由です。

しかも、戦後に作られたものは、経済も人口も右肩上がりで伸びていくことが前提です。でも今は人口減少化社会。前提も違うのです。

だから、ルールを変えて、今を生きる私たちが、意欲と能力を自由に発揮して活躍できるようにしなくてはいけない。使えるテクノロジーをちゃんと制度に落としこんで、性別とか年齢とか、住んでいるところとか、障害とか、そういう背景的なことは関係なく、どんな人でもフェアに評価される社会にしたいのです。
ルールを変えると様々な社会変化が起こります。
例えば、2020 年に行政手続きからの押印の廃止を行いました。以前は、行政からの書類にハンコを押すために多くの人が会社に行っていたという事実がありました。しかし、それはコロナ禍では現実的にできなくなったと同時に、多くの無駄を生んでいました。そこで、この現状を踏まえて、「押印」のある法律を、一回の委員会において全部一括で見直すことができました。

押印が消えると、電子契約のサービスが使えるようになり、市場規模は3年間で4倍に成長しました。たった一つの押印という言葉を消すだけで、経済成長が4倍になったのです。これと同様に、ほかにもアナログなルールがたくさんあるのではないかと気づきました。それらルールを見つけ、一気になくすことができないかと考え、岸田政権が誕生した時に、作ったのがデジタル臨時行政調査会という組織です。

■やりがいや苦労

押印の廃止をする時、様々な企業の人事部や総務部の人たちと共に改正をめざしました。関わった人からは、「自分が制度変更に関われると思っていなかったが、実際やってみると、制度は変えることができるのだと思った」と言ってもらえました。この国のルールは変わらないと多くの人に思わせてきたのは、これまでの政治と行政だったと思います。もっと政治が一般の人たちと一緒になって、法律を作り、抱えている課題を一緒に解決すれば、みんながこの国のルールは変えられるはず。ルールが自分で変えられると思ったら、面白いし、希望を持てますし、そのように思ってもらえることが、私のやりがいの一つです。

ひとつのルールには、それぞれに生まれた背景があります。だから、作った人たちに、突然「ルール変更」といってしまうと、相手も自分たちを全否定された気持ちになります。だからこそ、新しいルールを作るときは、反対しそうな人や、既存のルールの中でビジネスをしている人達と、ゆっくり話すように心がけます。なぜそのルールを作ったのか、大事なポイントは何なのかということを、対話を通じて理解することも大切です。そしてその大事なポイントは守りつつ、「社会環境が変化したからここは変えなければならないですよね」とお互いのゴールを探りつつ、コミュニケーションを取るようにしています。

納得感を得るのは簡単ではありません。しかし、そこを丁寧に解いていくと、協力も得られて、一気に改正に向けて動き出すことができます。

■人口減少化社会の国の形

この後、全力でやろうとしているのは、「国と地方のバラバラな状態を無くす」という取り組みです。「デジタル行財政改革」という言葉がメディアでも登場するようになるので、ぜひ注目してください。

人口減少による人手不足は役所も同じです。でも人口が増えていく=仕事の担い手も増えていく前提で、ずっと地方分権が進められてきて、同じ仕事が、自治体ごとにあります。役所が逼迫すると、様々な社会経済活動が滞ってしまうので、非効率になり、企業の人手不足に拍車をかけてしまいます。国がまとめてできることはまとめてやり、地域それぞれで必要なことに集中できるようにして、行政サービスのスピードやきめ細かさをあげるようにしたいのです。

■学生へのメッセージ

自分ではどうしようもないものにぶつかった時は、何とも言えない悔しさや諦めが出てきてしまうもの。ただ、自分の周りの環境は何かアクションをすれば変えられると思って生きてほしいです。そう思ってみるといろんな可能性が見えてきます。自分の努力で自分の未来を切り開けるのだと自覚してください。今までは、政治や行政が皆さんに対して、ルールを変えられないと思わせてしまっていたかもしれません。しかし、これからは、リーダーシップを持って、積極的にルールを変えていくことで社会は変わるのだということを皆さんにお見せしたいと思っています。自分たちもルールは変えられるし、自分たちの環境を変えられると思ってもらえる日本に出来るように頑張りますので、ぜひ皆さんも目の前のルールに阻まれても諦めず、積極的に道を切り開いていってほしいと思います。

学生新聞オンライン2023年10月23日取材:学習院女子大学 3 年 小川莉実

立教大学3年 須藤覚斗 / 学習院女子大学3年 小川莉実 / 津田塾大学4年 大川知 / 法政大学3年 島田大輝

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