SRSホールディングス株式会社 代表取締役執行役員社長 重里政彦

現場のニーズを察して、日本一の和食レストランへ導く

SRSホールディングス株式会社 代表取締役執行役員社長 重里政彦(しげさとまさひこ)

■プロフィール

大阪府生まれ。大学卒業後、総合商社で海外勤務、M&Aなどを経験した後に2008年当社に入社。「和食さと」で食べ放題メニュー「さとしゃぶ」の発売、キッチンや店内の改革を断行し、業績回復を果たした。2017年に代表取締役執行役員社長(現職)に就任。「明るく仕事をする」をモットーに、外食・中食を地域に欠かせないインフラとすべく取り組んでいる。

父の急死によって兄が家業を継いだ際、商社で勤務をしていた重里さんは、父の飲食業界を継ぐことは全く考えていなかったという。そんな重里さんが、なぜ父の会社に関わるようになったのか。和食レストランチェーンとして大成功を収めるまでの道のりをお伺いした。

■研究職から商売の道へ

大学時代は、農学部獣医学科を選択しました。私はもともと「医者になりたい」と思っていたのですが、実は大学受験の際、父からは医学部への進学に反対されていたからです。「医学部に入ったら学費は出さない」とまで言われてしまったんですよね。(笑)
我が家の家業は、和食外食チェーンの運営です。今思えば、その頃、癌が発覚していた父にとって、そう長くはないと感じた自分の後継として仕事を手伝ってほしかったのだと思います。獣医学科で専攻した実験動物学研究室では、主にあるウイルスにより、発症させた疾患モデル動物を利用して、その疾患を解析する研究をしていました。ですが、やればやるほど研究職が自分とは肌に合わないのではないかと感じるようになりました。実験が上手くいくかどうかではなく、研究職では達成感を得られないのではと迷うようになったんです。大学6年生(獣医学科は6年制)で就職活動を始め、いろんな会社を目の当たりにしたら、もっと広い世界で学びたいという気持ち強くなりました。当時新しいブランドや商品が世界から日本へどんどん入ってきた時代ということもあり、商売に興味をそそられたんですよね。リクルーターの先輩たちの話を聞いていく上で、1番楽しそうに仕事をしていて魅力を感じたのが商社でした。

■父と兄の会社を継ぐ

商社に入ってからは、アメリカで日本のメーカーの商品を開発し、販売につなげる仕事をしていました。5年間の海外勤務を終えて帰国する直前に、自社と他の総合商社が合併することとなり、実質的には私の会社が吸収される側になりました。私がいた部署はファンドに売却されたこともあり、それまでとは違った経営が進められました。わかりやすく言えば数字至上主義という感じでしょうか。その後、さらにファンドからファンドへ売却されることが決まった39歳の時に、これを繰り返すことに抵抗があり転職を決意します。
念の為、父の死後、会社を継いだ兄にも報告しようと連絡を入れたところ、人生で初めて2人で食事をすることになりました。そこで、兄から「うちの会社を手伝ってくれないか」と言われたんですよね。外資系の製薬会社などからも誘いはあったのですが、これまで自分を育ててくれた亡き父親への感謝もあり、今まで積み重ねてきたことが少しでも会社の役に立てばと思い、家業を手伝うことに決めました。

■現場のニーズを汲み取る

当初は、商社出身ということもあり、海外戦略や仕入の部分を期待されて入社しましたが、リーマン・ショックによる打撃を受け、急遽、会社の立て直しに向き合うようになりました。
そこでまず着手したのは、自社のメインブランドである「和食さと」の改革です。同ブランドのトップに立ち、業務改革だけではなく商品開発も行いました。全店長他社員250人ほどにインタビューして現状を把握し、街中を歩き回って、世の中で支持されているお店の特徴を探しました。そこで、自社の得意なことでできることを考えた時、「さとしゃぶ」が生まれたんです。天ぷら商品のバリューアップやドリンクバーの導入など、できることは全てやってみました。
他にタッチパネルの導入も考案したところ、当初は経営層はじめ多くの社員からは大反対を受けました。社員たちからすれば、従来通り注文を受けるというやり方を大切にしたいという想いがあったのでしょう。ただ、目の前にいるお客様と対峙しているのは現場であり、私たち事業のトップではありません。そんな現場のニーズは、お客様とのコミュニケーションでしか分かりません。私は外から飲食業界に飛び込んだ立場でしたが、客観的に「現場のニーズや時代にあった要望をくみ取ることが大事」と感じたからこそ、タッチパネルの導入を実施しました。結果的に、現場の負担が減り、売上にも貢献するように。大胆な考案で会社のピンチを救うことができたのは、大きな成果だと思っています。

■お客様の数=社会貢献度

近年はコロナの影響により、お客様のライフスタイルは大きく変わったように思います。
夜21時頃までのお客様は多く戻ってきていますが、それ以降の時間帯のお客様はかなり減りましたね。大人数での宴会も減り、仕事が終わると家に帰るというスタイルが浸透しているのでしょうか。これまでは宴会の需要が高かった時代でしたが、ご家族でも楽しめるようにと、大部屋のあった多くの店舗を少人数で利用できる、半個室に改装しました。このように、時代の流れに合わせた変化が、お客様にどれだけ足を運んでもらえるかの鍵となります。よく社員にも伝えていることですが、お客様の数が社会貢献の指標になると私は考えています。お客様が楽しそうに食べている姿を見られるのは、何よりのモチベーションです。和食レストランとしてお客様に満足していただけるよう、これからは日本だけではなく、海外で、そして最終的にはアメリカでのブランド展開も目標にしています。

■大学生へのメッセージ

就職活動においては、「どこの会社の給料が高くて人気」といった情報をたくさん目にすると思いますが、給料や労働環境、福利厚生などは二の次だと私は思います。まずは自分に正直になってほしいと思います。キャリアを積むにしても、長い人生なので、自分にとって楽しいと思える仕事が良いですね。自分は何をしたらイキイキとしていられるか、学生生活で得た経験をもとに考えてみてください。楽しい仕事であれば、苦労があっても乗り越えられるものです。

学生新聞オンライン2024年1月12日取材 上智大学2年  白坂日葵

武蔵野大学4年 西山流生 / 津田塾大学4年 大川知 / 上智大学2年 白坂日葵 / 中央大学2年 亀井義和喜

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