株式会社 サカタのタネ 代表取締役社長 坂田宏

めざすのは、日本の種苗販売におけるトップシェアとグローバルな海外展開

株式会社 サカタのタネ 代表取締役社長 坂田宏 (サカタヒロシ)

■プロフィール

1974年、慶應義塾大学卒業、株式会社第一勧業銀行(現・株式会社みずほ銀行)入行。カリフォルニア大学デービス校にて農園芸、種苗について学び、1981年、坂田種苗株式会社(現・株式会社サカタのタネ)入社。国内営業を経験後、オランダ現地法人総支配人、取締役社長室長、広報宣伝部長、経営企画室長、常務取締役管理本部長などを歴任し、2007年、代表取締役社長就任

創業から110年という長い歴史を持つ、国内最大手種苗メーカーのサカタのタネ。プロの農家さんにおける支持率ナンバー1をめざし、日々品種開発を行なっている。現在は12カ国に研究開発拠点を持ち、世界23か国で事業を展開している。今回は同社の代表取締役社長の坂田宏様にお話を伺った。

学生時代は、勉学のみならず、テニスサークルの活動に力を入れていました。3、4年はゼミに入って、かなり熱心に活動していた記憶があります。当時、日本は高度経済成長の時期で、私自身が経済学部だったこともあり、企業に強い興味を持っていました。「社会を幅広く見たい」という気持ちがあったことから、様々な業種と関わり、学びが多い業界を志望し、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行しました。
祖父が当社の創業者で、父も社長を務めていたものの、当時は種苗業界を意識することはあまりありませんでしたが、金融業界にいる中で種苗業界やその将来性を知り、「面白い業種だな」と感じてサカタのタネへの入社を決断しました。しかし、私には農業や園芸の知識がなかったため、カリフォルニア大学のデービス校へ2年間留学し、英語の勉強と基本的な農業の知識を学びました。
入社後は、農場や国内営業、海外営業、ヨーロッパ支社の立ち上げ、管理部門など、幅広い部署を経験しました。社長に就任してからもその経験がいきています。大変なことはたくさんありましたが、苦労と思うことはほとんどなかったですね。

■110年の歴史を活かし、ニーズに応える

当社は、花と野菜の品種の研究開発を行なっています。今は「F1(エフワン)」と呼ばれる、遺伝的に異なる形質の固定種を親に持つ子世代の品種を開発しています。新しい品種の開発は、世の中にないものを新たに作り出す仕事なので、非常にチャレンジングです。例えば、トマトひとつにしても、国内で販売する当社品種だけでも20品種以上あります。
当社の種苗販売の約90%が生産者向けです。種苗店に卸して、種苗店からプロの生産者へ販売されます。プロの生産者は、農業のプロです。彼らが使うものはナンバー1のものだけです。選んでもらえる品種になるよう、常にオリジナリティを追求しています。
110年の歴史の中で脈々と受け継がれてきたオリジナリティというDNAが他社との差別化につながっています。一つの品種が完成するまでには10年から15年かかりますが、その上で、流通過程のニーズと消費者のニーズを先取りして、品種を開発していきます。毎年種を蒔き、その中からニーズに合ったものを選んで掛け合わせていく。そして、掛け合わせを続けることで、求める形質を持った親品種を作る。掛け合わせに使う為の親を長い時間をかけて作り、それらをかけ合わせることで雑種強勢の仕組みでよい形質をもった品種を作り出すことができます。それ以外の試交品種は、全部捨ててしまいます。9割は捨てることになりますが、より良いものだけを残し、残りは潔く捨てることが肝心なのです。

■世界へ羽ばたく食料の種を生み出すために

サカタのタネは、世界12か国に研究拠点があります。各国に研究拠点を作った理由は、世界の食文化や園芸文化のニーズに合わせる必要があるからです。海外には14カ所の研究拠点を持っていますが、それぞれの拠点ごとに開発する野菜や花の種類が異なります。
国によって環境が違うので、その拠点の風土に合った品目を選ぶことも肝心です。国や地域によって、土も違うし、栽培方法も違うし、全部違います。たとえば、アメリカの場合は、西海岸か中西部か東海岸かという大まかな場所だけでも気候や土壌が大きく異なります。これは、日本でも同様ですね。こうした気候差や土壌の違いも加味した上で、品種開発は行われています。
また、日本で作った種を海外に持っていくためには、植物防疫のハードルも越える必要があります。
サカタのタネで共に働く従業員には、情熱を持ち、何事も積極的、かつ前向きに取り組んでほしいと伝えています。また、海外の拠点も多いので、グローバルな思考も持っていてほしいと思っています。
国内外で常に新しいことへ挑戦していることから、チャレンジ精神も忘れないでほしいです。野菜と花のカテゴリーの中で、まだ当社がトップシェアを取れていない品目もあるので、そのシェアNO1を目指して国内外で、共に挑戦していきたいです。

■大学生へのメッセージ

学生時代は社会人に比べると、自分の自由にできる時間が多いと思います。その時間を使って、ぜひご自身の見聞を広めてほしいです。また、その中で、自分が集中できることを見つけてほしいです。あと、学生時代にぜひ実践してほしいのが、日本を外から見つめる機会を持つことです。日本だけに居ると、なかなか周囲と自分を客観的に比較することが難しくなってしまいます。だからこそ、ぜひ世界から日本を見てほしいなと思います。また、以前に比べれば、格段に情報を入手しやすい時代になってきています。多種多様かつ膨大な情報の整理ができるように、日頃からトレーニングしていくことも大切ですね。

学生新聞オンライン2023年12月13日取材 國學院大學1年 寺西詩音

武蔵野大学4年 西山流生 / 國學院大學1年 寺西詩音 / 立教大学4年 須藤覚斗 / 明治大学大学院1年 酒井躍

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。