反町隆史 子どもたちの大切な時期に何を伝えるべきか

俳優・歌手 反町 隆史(そりまち たかし)

■プロフィール
1973年12月19日生まれ、埼玉県出身。1997年放送のドラマ『バージンロード』や『ビーチボーイズ』(主題歌はシングル「Forever」)、1998年放送のドラマ『GTO』(主題歌はシングル「POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~」)などの話題作に出演し、人気を集める。歌手として、1998年『第12回日本ゴールド・ディスク大賞』ベスト・ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞。以降、ドラマ『相棒』シリーズなど数々の作品へ出演。

1998年の夏に放送された反町隆史さん主演の連続ドラマ『GTO』が、26年ぶりにカンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ『GTOリバイバル』として放送された。平成を代表する話題作が、26年の時を経て令和の時代に復活。演じるに当たっての意気込みや想い、教師という職業や中高生へのメッセージを伺った。

これまでに何度か『GTO』やりませんか? というお話をいただいたことがあります。ただ、その時はもっと違う役に興味があったり、新しい役を開拓したいという思いや、俳優として過去の作品を復活させることに対して不安もあり、前向きに捉えることができませんでした。
しかし、ある取材をきっかけに「POISON」の歌詞を見直したとき、けっこういいこと言っているなと感じたんです。今の社会に置き換えたらどうだろうか、もしかして今の時代でも通用するのかなと考えることがありました。
そんな中、映画『トップガンマーヴェリック』が35年ぶりに復活したのを見たときに、「なぜ復活させたんだろう?」という気持ちとともに、俳優としてのトム・クルーズさんの生きざまに感動を覚えました。そして、「今ならできる!」と、自分の中でつながったんです。今だからこそ「鬼塚」として伝えられることがあり、このタイミングで復活することに意味があると思い、今回は自分から声をかけさせていただきました。
また、26年間ずっと『GTO』を心の底から愛して、待ってくれていたファンの方々の存在も大きかったです。今の年齢で鬼塚役をやることの意味と責任を感じながら、『GTO』を応援してくださるファンの方々の期待を裏切らないようにと撮影に臨みました。

■「子育て」という経験を経て

僕自身2人の子どもがいますが、子どもたちにも子どもたちなりの世界があることに気が付いたんです。それとともに、子どもが大人から受ける影響の大きさは計り知れないと感じるようになりました。
だからこそ僕自身、親としてだけでなく一人の人間として、子どもに何を伝え、何を語るべきなのかを日々考え続けています。
こうした中で、『GTO』で今の僕と重ねながら改めて鬼塚役を演じられたことは、すごく貴重な機会だったと思います。これからさらに年齢を重ねても、物事の変化に対して柔軟に、考え方や価値観を受容できる人間であり続けたいです。

■自分が感じる理想の教師とは

ドラマの復活にあたり、一番伝えたいと思ったことは、生徒に対しての「愛情」です。今の子どもたちは尊敬している教師がいるのか、教師からの愛情を感じているのかというと、いささか疑問に思うところもあります。生徒の目線にたって、生徒に愛情をかけて全力でぶつかっていく鬼塚をこの令和でも表現したいと思いました。
教師は、生徒に尊敬される存在であってほしいですね。自分が学生の頃より教師と生徒の間に少し距離があるのかなと感じます。時代に関係なく、教師と生徒の関係で大切なことは愛情をもって接することだと思います。大人にもそれぞれ世界があるように、子どもは子どもの世界の中で生きているので、それは尊重してあげないといけない。ただ、変化が早く不安要素が多い時代、この先どうなるのか、どうやって生きていくのか、大人になったらどんな社会になるのかなど、不安を抱えている子どもたちも多いのではないでしょうか。
大人ならお互いを尊重しあい、意見を交わしながら、上手く調整していけるけれど、子どもたちにはハードルが高い。そして子どもの目線に立つことは大事だけれど、間違っていたり、ある一線を超えてしまったときは、大人のサポートが必要になるときが必ずあると思います。それを見て見ぬふりをしてはいけないし、自分の立場を意識して躊躇してしまうことがあったとしたらそれは残念です。この一線を越えて行けるのも鬼塚の魅力ではないでしょうか。

■中高生へのメッセージ

学生生活はやっぱり人生で一番大事な時期だと思います。自分自身を振り返ってみても、部活、勉強、先輩・後輩との関わり方や友達付き合いなど、自分のベースを作ったのは学生時代でした。そんな人間力を養う期間をどう過ごすのか、考えてみてください。
楽しいことばかりではなく、もちろん辛いこともあるでしょう。そんなときは鬼塚のこの台詞を思い出してみてください。
「辛かったら笑うんだよ。無理してでも笑っているうちに、いつかきっと心の底から笑える日がくる」。明るく前向きに感じる習慣がつけば、自然と心がポジティブになり、物事もよい方向へ進んでいくと思いますよ。

中高生新聞2024年4月1日発刊号 慶應義塾大学4年 伊東美優

写真・渞 忠之

『GTO』は、藤沢とおる氏による同名漫画が原
作で、元暴走族の高校教師・鬼塚英吉が、破天
荒な行動で生徒や学校の問題に体当たりでぶつ
かっていく学園ドラマ。立場や損得とは無縁の
教師・鬼塚が、本音をぶつけ合い、命がけで生
徒に向き合うことで、社会の裏側にくすぶって
いる問題を解決していく。1998 年の放送当時、
大きな話題を呼んだ。反町隆史さんが作詞し、歌
いあげた主題歌「POISON ~言いたい事も言え
ないこんな世の中は~」も大ヒットとなった。
GTO リバイバル』は、かつてグレート・ティ
ーチャーと呼ばれた鬼塚が問題だらけの高校に
教師として赴任し、悩みを抱えた令和の高校生
たちに鬼塚流の熱血授業を繰り広げる物語。

■関西テレビ放送株式会社〈インフォメーション〉
・公式サイト: https://www.ktv.jp/gto-revival/
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・TVerで1998年版アーカイブを一挙配信中:https://tver.jp/series/src565pb2j
(配信期間~4月30日(火)23:59)

慶應義塾大学4年 伊東美憂/上智大学2年 白坂日葵

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