株式会社ヤマダホームズ 代表取締役兼社長執行役員 清村浩一 

チャンスに恵まれないことがあっても、絶対に心を腐らせてはいけない

株式会社ヤマダホームズ 代表取締役兼社長執行役員 清村浩一 (きよむらこういち)

■プロフィール
1964年福岡県生まれ。1982年ベスト電器入社、執行役員経営企画部長 兼 社長室長を務めたのち、2018年株式会社ヤマダ電機に転籍。経営企画室経営戦略室長を務め、株式会社ヤマダホールディングス執行役員経営企画室長 兼 サステナビリティ推進室長を経て、2023年9月より株式会社ヤマダホームズ代表取締役 兼 社長執行役員に就任。

「くらしまるごと」をコンセプトに掲げ、住まいに関する様々なサービスを展開しているヤマダホールディングス。暮らしの大部分を占める住宅の販売に力を入れ、EV車や家庭用蓄電池、太陽光パネルによるエネルギーの自給自足を実現できるサスティナブルな住宅を生み出し続ける、ヤマダホームズの清村浩一社長に話を伺った。

■入社当初は「偉くなりたい」という想いはなかった

高校時代、身体がとても丈夫でしたので、皆勤で出席していました。毎日休まずに通えたことは、私の唯一の自慢です。
高校卒業後は、「ベスト電器」という家電量販店に入社し、家電製品を販売する販売員として働いていました。当時は新聞配達など中学生も働けた時代でした。家が経済的に苦しかったので自分が生きるために様々なアルバイトを経験したことで、大人の立ち振る舞いが自然と身についていたのでしょう。入社後の対面接客は、すんなりとこなしていました。今思うと私にとって接客業は天職だと感じています。
学生時代の私は、社長になるなんて思ってもいませんでした。将来の展望で「偉くなろう」とか「お金持ちになろう」とはあまり考えておらず、ベスト電器で家電製品を売ることで、家電製品を通じてお客様に喜んでいただき、その成果が給料に反映されることにやりがいを感じていました。「人の上に立ちたい」とか「偉くなりたい」という欲はありませんでしたが、今振り返ってみて、誠実に働いていれば機会が与えられるんだなと、43年間経過したいま実感しています。

■予想していなかった会社人生設計に社長という大役

2015年にベスト電器が経営危機に陥り、ヤマダホールディングス(当時:ヤマダ電機)に助けてもらい、グループ傘下に入りました。会社の歴史は、ヤマダホールディングスのほうが浅いのですが、規模や売上利益、資本は圧倒的にヤマダホールディングスが大きかったですね。
グループ傘下後、5年ほどはベスト電器に残って仕事をしていましたが、6年前に自ら手を上げ、ヤマダに異動が出来ないか交渉しました。ヤマダに入社後は財務部に配属され、その後、経営戦略室長、経営企画室長といった役割を5年半ほど務めました。ちょうど60歳を迎えようとするタイミングで、山田会長より「ヤマダホームズの社長に就いてくれ」とお声がけいただきました。家電量販業界に長く携わっていたので、当然住宅のことなど知らないことが多いのですが、社長という役職に就くことは一生涯にあるかないかの大変貴重なことなので、自分の歴史を刻むためにも引き受けました。当時、山田会長が大勢いる従業員の中から私に声をかけてくださった理由はご本人しか知り得ませんが、山田会長の隣で3年ほど一緒に仕事をしていた経験があるので、「あいつだったら体力もあってヤマダホームズの再建に貢献してくれるのでは」と思ってくださったのではないでしょうか。

■YAMADAスマートハウスで、お客様のニーズにより柔軟に対応

ヤマダホームズの住宅は、他社と比べ付加価値が高い住宅を販売しているという歴史があり、耐震性や気密性、断熱性、快適性、こういった強みを我々は既に持っています。住宅は人生で一番高い買い物です。ご予算やプラン、建物性能などお客様一人ひとりに合わせたニーズに対して真摯に向き合い、ご提案できるかどうかが、お客様満足につながる鍵ですね。
お客様にもひとりひとり違った様々なニーズがあり、将来のプランやご要望、ご事情などは、実際に接してみないとわかりません。それらに応じて、最適な提案ができるように、いつも心がけています。
最近ではEV車(電気自動車)の取り扱いも始め、住宅とワンセットにしたYAMADAスマートハウスを販売開始しました。太陽光パネルにより創られた電気を家で使い、余った電気はEV車に貯めていただけます。そうすることで昼夜問わず常に再生可能エネルギーでまかなうことができるため、環境にも優しく、かつ、災害時に停電した際にもEV車に貯めた電力を使用できるため、2~3日は生活ができます。また、家具などのインテリア製品を含めてセットで販売することで、お客様のニーズに合わせてより柔軟な提案ができるようになりました。

■今後目指すのは、1年間で5000棟の住宅を建てること

現在、ヤマダホームズは年間3000棟ほどの住宅を建てていますが、今後は1年間で5000棟の住宅を建てられるように会社を成長させていきたいです。ヤマダホームズはそのポテンシャルを持ち合わせています。1年で5000棟の住宅を建てることができれば、ようやくハウスメーカーとして一人前の会社になれると思いますので、今後の目標としてぜひ邁進していきたいですね。

■どんな苦境におかれても、絶対に心を腐らせるな

私は2023年9月16日に「ヤマダホームズ」の社長に就任しましたが、現在1800人の部下がいます。就任して部下の皆に伝えていることがあります。「仕事をするうえで辛いこともあるし、誰にも認められなくて自分を卑下してしまうことや、あるいは自分の置かれた立場を嘆くこともあるだろう。立ち止まる時があるかもしれないが、そういった時に絶対心を腐らせるな」と。
確かにチャンスに恵まれない時もあるかもしれませんが、決して自分の心を腐らせずに、今、目の前にあることを確実にこなしていけば、必ず誰かがあなたの実力を見つけてくれます。あなたを見つけてもらうチャンスは訪れるので、絶対に腐ってはいけません。そのことを念頭において毎日仕事をしてください、と伝えています。
このことは全て私の経験から得た言葉です。

■学生へのメッセージ

未来の日本をつくるのは皆さんです。それを忘れずに、これから社会人になって、人として道を外さずに、毎日頑張って生きてください。それを実践すれば、自ずと結果がついてきます。社会に出れば困難なことや異なる考え方を持つ人にも出会いますが、それに怯むことなく自信をもって取り組んでください。未来の礎を作ってきたのが僕たちや先輩の世代なので、これからは皆さんの時代です。明るく元気に頑張ってください。

学生新聞オンライン2024年5月23日取材 京都芸術大学1年 猪本玲菜

高崎経済大学4年 髙橋邑弥 / 京都芸術大学1年 猪本玲菜 / 慶應義塾大学3年 塚紗里依 / 津田塾大学2年 石松果林 / 武蔵野大学4年 西山流生

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