株式会社三井住友フィナンシャルグループ 執行役社長 グループCEO 中島 達

商人のDNA魂で新たな商いへの道を切り拓く

株式会社三井住友フィナンシャルグループ 執行役社長 グループCEO 中島 達(なかしま とおる)

■プロフィール
1963年9月14日生まれ、愛知県出身。1986年東京大学工学部卒業。住友銀行(現、三井住友銀行)入行。2014年執行役員就任。2017年常務執行役員就任。2023年執行役副社長就任。2023年12月1日、執行役社長グループCEO就任。

三井住友フィナンシャルグループのトップとして、多岐にわたる改革を推進する中島社長。大学在学中は部活動に打ち込み、リーダーシップを発揮。その経験をもとに住友銀行に入行。留学先で学ぶうちに経営に興味を抱いたという。そんな中島社長に現在に至るまでのお話やビジョンについて伺った。

学生時代は東京大学工学部で学びながらラグビー部の活動に打ち込み、4年間部活動中心の生活でした。部費や遠征費を捻出するため、授業や研究だけでなく、アルバイトにも時間を割いていましたね。
数学が好きで工学部に進み、将来は学者の道を考えていたのですが、ラグビーにのめりこむうちに進路に迷いが生じてきました。そして、大学2、3年生のころに興味を持ったのが理系の知識も活かせる金融業です。当時、理系出身者が金融業界で活躍するのは珍しかったのですが、住友銀行が理系採用に力を入れていることを知り、金融分野でのキャリアを考え始めました。

■住友銀行への入行とともに経営に興味

住友銀行に入行した決め手は早稲田大学ラグビー部のキャプテンであり、日本代表のワールドカップの監督も務めた宿沢広朗さんとの出会いでした。採用面接の際に宿沢さんにお会いしたことに大きな衝撃を受け、そのとき言われた「興味があるなら来たら?」という一言に背中を押され、入行を決めました。
入行3年目にはアメリカのビジネススクールに2年間留学する機会をいただきました。そのときに経済や法律、マーケティング、オペレーションなどのビジネスに必要な知識を習得する一方、起業を目指す仲間と過ごすなかで経営に興味を持つようになったのです。
帰国後は経営企画に配属され、16年間、合計で4人の頭取を間近で見られる機会を得ました。そして、バブル崩壊後の不良債権処理に追われるなか、切磋琢磨する経営陣の姿を見て、会社をリードする仕事に強い興味を抱くようになりました。特に、2023年に急逝された太田純前社長とは長年一緒に仕事をしており、たくさんの影響を受けたと感じます。

■会社の魅力は400年続く商人のDNA

三井住友フィナンシャルグループの魅力は、江戸時代から続く商人のDNAにあります。400年の間、ビジネスが続いた大きな理由は、柔軟な対応力とお客さまからの信頼です。私は「突き抜ける勇気。」というスローガンを掲げ、既存の概念や前例にとらわれず、新しいことにチャレンジする姿勢を強調しています。
デジタル化の取り組みにも注力しており、社員の意見を積極的に取り入れるために、月に1度ミーティングを行い、新しいサービスやアイデアを議論しています。これまでに10以上のデジタル系の会社を設立し、新しいアイデアを実現する仕組みを整えています。

■大学スポーツを応援

また、社会的価値の創出にも力を入れています。事業共創やプロダクト開発には枠組み等が必要だと感じ、取り組みに活用する経費枠として100億円を設定しています。
さらに、新たに開始した大学スポーツ応援プログラムがあります。私自身、大学時代にラグビーを通じて得た経験が今の自分につながっており、部活と学業の両立に苦労する大学生のために支援を行おうと決意しました。部活動が円滑に行えるように数百万円のサポートを行うプログラムを当社のホームページで公募します。
学生はその成長を通じて日本の再成長を支える存在であり、彼らの成長・挑戦の機会を拡大することが重要だと思いますので、積極的に支援を行っていきます。

■仕事を通して自己実現を目指す

私が一緒に働きたいと思う人は、「突き抜けられる人」です。つまり、輝く個性や魅力を持っている人ということです。ビジネスパーソンとしての素養は求められますが、入行後に成長できる環境は会社側が提供します。仕事を通じて自己実現を目指し、※「ワーク・ライフ・ハーモニー」の概念を大切にする人を歓迎します。
私たちは、「最高の信頼を通じてお客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」をビジョンとして掲げています。ビジネスにおいて、信頼が大事なのは当たり前ですが、「お客さま」だけでなく「社会」とともに発展していく。そして金融サービスにとどまらず、幅広い観点からお客さまのニーズや社会課題に対して、グローバルに質の高いソリューションを提供し、世界で戦えるグループになりたいと考えています。
最近は銀行口座やクレジットカード等のサービスを一つのアプリでまとめて管理することができる、「オリーブ」という総合金融サービスを提供しています。今後も多岐にわたるサービスを展開していく予定です。

■message

大学時代は多感な時期であり、自己成長の大きなチャンスです。時間を大切に使い、さまざまな経験を積んでください。大学から社会人への4〜5年間が自己の成長を促し、将来の自分を形成するための極めて大事な時期です。後悔しないように、時間を有効に使ってください。自分が成長できる時期を大切にし、未来の自分をしっかりと見据えて行動してほしいと思います。

(※)Amazonの元CEOであるジェフ・ベゾス氏が提唱している「仕事と生活はバランスを取り合うものではなく、どちらも充実させて互いに融合するものである」という意味の言葉。

学生新聞2024年10月1日号 慶應義塾大学3年 能願結

上智大学3年 吉川みなみ/慶應義塾大学3年 塚紗里依/慶應義塾大学3年 能願結/早稲田大学3年 湯浅克巳

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