一般社団法人ジャパンバレーボールリーグ 代表理事 全日空商事株式会社 顧問 國分裕之

世界最高峰に向けて 地域とともに創るバレーの未来

一般社団法人ジャパンバレーボールリーグ 代表理事 全日空商事株式会社 顧問 國分裕之(くにぶひろゆき)

■プロフィール
「人財育成」と「バレーボール」が自分のキャリアの二本柱となっています。バレーボールは、選手→コーチ→監督→リーグ・協会役員と幅広く経験しています。
この二つの柱を太くするために好奇心→実践を大切にし、できる限り多種多様な経験をすることに努めています。他のスポーツの観戦、各種コンサート、歌舞伎、美術館、博物館にも積極的に足を運んでいます。

「ハイキュー!!」やパリオリンピック、アイドル的選手たちの活躍により、近年人気の高まっているバレーボール。そんなバレーボールに50年以上にわたって関わり続け、現在は一般社団法人ジャパンバレーボールリーグ代表理事として活躍するのが、國分裕之さんです。世界最高峰のリーグ創りに心血を注ぐ、國分さんにお話を伺いました。

■バレーボールと今の仕事への出会い

バレーボールとの出会いは、小学5年生の頃に体育の先生に誘われたことがきっかけでした。中学校に進んでも、バレーボール部があったので活動を続けました。中学2年生の時のミュンヘンオリンピックで、男子チームが優勝したときは興奮しましたね。大学時代も選手としてプレーしたり、高校でコーチをやったりして、ずっとバレーとの関わりを持ち続けました。その後、大学時代のゼミの影響でANAへ入社した後も、配属となった羽田空港には全国大会に出るレベルのバレーボール部があったので、所属して、週3回くらいは練習をしていました。途中で監督も経験させていただきましたが、その後、選手としては55歳の時に引退しました。

■リーグ拡大のため意識したのは「良いことの拡大」

代表理事になってから意識したことは、いかにして57あるチームと、そのチームの所属する3つのリーグをまとめるか、です。世界ランキングでは、男子4位、女子6位とポテンシャルはあるものの、VリーグはJリーグに2周、Bリーグに1周遅れていると言われるぐらい発展途上のリーグです。観客数についても、川合俊一さんたちの頃は4000人~5000人くらいだったものの、現在は2000人ほどと低迷しています。世界最高峰のリーグになるためには、この数字を徐々に引き上げていきたいと考えています。
チーム・組織を作るうえで工夫したのは、チームの意思統一・理念の浸透に特に意識を配ることです。チームの意思統一については、「良いところを生かして悪いところには多少目をつむる・試合ごとの目的意識を必ず一致させること」を徹底してチーム作りを行いました。人にはそれぞれ良いところとそうでないところがあり、6人の組織的なスポーツだからこそ、補い合うことで一人ひとりを生かせるのがバレーの良さでもあります。
同様に、6人いればチームの中で意思が合致しないこともあります。そこで、試合ごとやシーズンごとなど期間を区切って、みんなの考え方の軸となる目的意識をそろえることで、チーム一丸となって試合に臨むことが可能になるのです。
大切なのは、根本的な行動基準になる理念の浸透です。それには、大きく3つのステップがあります。始めに、「共感」してもらうこと。理念を創るときも、共感してもらうことを前提に考え、心から共感してもらえることが必要不可欠です。次に、「理解」してもらうこと。何を意味しているのか、本来の目的は何なのか、どんな背景があるのか。これを理解してもらったうえで、最後のステップ、「自分のアクション」につなげてもらう。この3つによって初めて理念がそれぞれのものに落とし込まれていくのです。
このことは会社組織においても同じです。

■働くことで見えてきた“働く”上で大切なこと

自分の人生について考え決定していく「キャリアパス」について感じたことがあります。キャリアパスは「偶然だ」と言われることも多いのですが、自分で描くのも楽しいし、一方で、与えられたことを突き詰めて100%でやっていくと、「偶然」が「必然」になっていくこともあります。色々なキャリアパスややりたいことがあるかもしれませんが、まずは与えられた仕事、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいくこと。それによって開ける道や世界があります。

■Vリーグを世界最高峰のリーグに育てるのが目標

2030年までに、Vリーグを世界最高峰のリーグにすることが目標です。男子はイタリア・ポーランド、女子はトルコに匹敵するようなレベルに引き上げるのが理想的です。しかし、東北や中国・四国地方には、まだまだリーグ参加クラブがないところも多く、高校や実業団が強い県も、母体企業がないとVリーグクラブができにくいのが実情です。そのため、良い意味で、地域と密着し、クラブ化していくことを視野に入れています。その好例が、岡山シーガールズでしょうか。母体企業はないものの、地域の皆さんに支えられることで、クラブは存続しています。こうして、地域の皆さんに愛され、支えていただけるチームを創りたいと思っています。
最近は髙橋藍選手の日本への帰国の効果もあって、バレー熱が一層高まっており、春の高校バレーのチケットも益々取りにくくなってきています。これを契機に、バレーを取り巻く流れが変わってくれるのではないかと感じています。

■学生へのメッセージ

お金と時間を投資して、直接一流に触れる経験をしてみてほしいと思います。特に現代は、スマートフォンやPCといったデバイスで簡単に情報を得ることができますが、あくまでそれはバーチャルな情報です。「リアル」に触れることが大切なのです。例えば、京都には60分5000円で日本の8つくらいの伝統芸能を学ぶことのできるパッケージがあります。美術館や博物館へ行ったり、ファンクラブに入ったりして見ることもその一つです。一流に触れないと一流になることはできません。ぜひ満遍なく色々な分野の、たくさんの一流に「リアル」で触れてみることを強くお勧めします。

高崎経済大学4年 髙橋邑弥

京都芸術大学1年 猪本玲菜 / 上智大学3年 網江ひなた / 武蔵野大学4年 西山流生 /國學院大學2年 寺西詩音 / 高崎経済大学4年 髙橋邑弥

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