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株式会社吉野家ホールディングス 代表取締役社長 成瀨哲也

挑戦が個性を輝かせ、革新が未来を切り拓く

株式会社吉野家ホールディングス 代表取締役社長 成瀨哲也 (なるせてつや)

■プロフィール
1988年に吉野家ディー・アンド・シー(現吉野家ホールディングス)に入社。吉野家店長や新業態企画などを経て、株式会社千吉 代表取締役社長、株式会社はなまる 代表取締役社長、株式会社吉野家ホールディングス 取締役兼アジア統括本部長を歴任。2025年5月より株式会社吉野家ホールディングス 代表取締役社長を務める。

全国に店舗を構え、長年”うまい、はやい、やすい”を提供し続けてきた吉野家。先輩の背中に憧れ、アルバイトから社員となった成瀬社長は、公平なチャンスと実力を重んじる吉野家の環境で、自ら道を切り開いてきた。現場を知る社長が語る、吉野家と吉野家ホールディングスの奥深い魅力に迫る。

■どんな学生でしたか?

小学校3年からずっと剣道をしていました。当時は先輩・後輩の関係性がすごくありました。そのため、新設校の一期生で自由だった高校時代は、先輩がいなくて楽しかったですね。大学進学を機に引っ越した先で出会ったのが、吉野家でした。吉野家で働こうと思ったのは、時給が良かったことに惹かれました。私が働いていた店舗が地区の本部がある店舗だったこともあり、名古屋で一番を期待されていたので、「できるまでとにかくやる」という面では厳しさもありました。しかし、吉野家で働くこと自体は楽しかったですし、働く先輩方がかっこよく見えました。店舗の上にあった本部の方に「社員にならないか」と誘われた時、正社員になろうと決めたのは先輩のかっこよさや憧れの気持ちから「自分もこうなりたい」と自然に思いました。それに加えて、入社するまでの半年間、採用の手伝いをさせてもらったんですよ。そこで本部の仕事内容や働く人の人柄を知ると、みんな吉野家のことが大好きで親しみ深い方が多いのだなと分かりました。今思えば、そんな人柄に惹かれたのも入社した一因だったのでしょうね。職位が上がると共に、紙キャップの色が変わる制度が当時あったんですね。最初の新人時代はオレンジ色ですが、次第に店長と同じ青色や一本線が入ったマネージャーの紙キャップへと変化していきました。この制度は働く上で、非常に良いモチベーションになっていました。そういうことを教えてくれたのも先輩方でしたね。

■吉野家と吉野家ホールディングスの魅力

吉野家を変わらず大好きな理由な一つは、「国籍・性別・年齢・キャリア問わず、チャンスは公平に、評価は非平等に」という方針を取っていることです。挑戦したい人、成長したい人には機会が用意され、会社が応援してくれます。
若いときから意見を言いやすく、成果を上げればその努力を評価するという風土もあります。私自身も、実績次第で評価される点も好きなところですね。
他社にはない吉野家の魅力は、社員が100人いたら80人以上が吉野家でアルバイトをしていたという事実です。社員の8割がアルバイト出身という会社は、世の中にはあまりないと思います。飲食業ならではの大変さもあるなかで、8割もの人が社員になってくれるというのは、みんな吉野家が好きだからなんです。
そして吉野家の強みは育成にあると思います。最近ではアルバイトから社員になる外国籍の方々も増えています。彼らは非常に向上心が強いので、高い目標に対しても真摯に取り組みますし、さらなる高みを目指します。社員として入社したら、自分自身も成長しなければならない中でも、モチベーションを引き出して、徹底的に教えていく。これはアルバイト時代の「一人でも多くのお客様を喜ばせたい」という思いが通じているんだと思います。
原材料費や人件費の高騰の影響で、多くの飲食店が値上げをしている中で、単純値上げはできなくなりました。値段以上の価値がある商品を提供すること、お客様の満足度を上げることを心がけています。吉野家といえば牛丼という、ごはんがほかほかとした感じや、タレが浸みて牛肉に絡んでいるイメージを持ってもらえていると思いますが、今後それを差別化として使っていきたいですね。また、タレや肉は良いものを持っているので、上手く横展開できないか検討しています。さらに最近は吉野家ホールディングスでは、ラーメンの領域に力を入れています。今後牛丼の吉野家、はなまるうどんに次ぐビックネームになってほしいですね。ラーメンは世界で戦えるので、グローバルで活躍したい人に働くチャンスを提供したいです。

■どんな人と働きたいですか?

探求心を持った人と働きたいですね。例えば、カレーを作るとして、ベーシックなカレーを作るだけにとどまらず、このカレーにはどのスパイスが合うのか、鶏が合うのか、豚が合うのかなど、どうやったらより美味しくなるかを追及することが必要になると思うんです。チャンスが公平に与えられる中で、やったことがないことだとしても勉強して、こうやったらどうかと気づける人。一つのものに興味をもって、それに対して真摯に向き合い続けることができる人。得た知識を自分や周りの人のパフォーマンスに活かせる人。このような人が求められると思います。
また、素直な人であってほしいですね。目上の人や立場が上の人に対して、年齢を重ねると忖度するようになってしまうこともあるでしょう。だから自分のままでいること、自分の思っていることをそのまま伝えることは大切だと思います。
当社は最近、マネジメント研修だけでなく、相手の思いを引き出すコミュニケーションの取り方についての研修も行っています。具体例を挙げると、提出物を出さない人に対して、期限までに提出できないどのような要因があるのかを聞いて一緒に課題を紐解いていく姿勢を大切にしています。
こうした取り組みを通じて、働きやすい環境づくりと同時に、立場を越えて互いが学び合い、成長し続けられる関係性を重視しています。

■学生へのメッセージ

旅行でも何がきっかけでもいいので、海外に行ってほしいです。今までとは違う経験をすることで見えてくるものがあります。その土地の習慣、支払い方法すらも日本とは異なっているので、今までの環境の良し悪しが理解できると思います。

学生新聞オンライン2025年11月25日取材 青山学院大学1年 松山絢美

津田塾大学3年 山下さくら/昭和女子大学2年 阿部瑠璃香/青山学院大学1年 松山絢美

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