ムロツヨシ 成功の裏には必ず挫折がある

俳優 ムロツヨシ
■プロフィール
1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。大学在学中に役者を志し、自身が作・演出・出演を行った独り舞台で活動を開始。映画『サマータイムマシン・ブルース』(05)をきっかけに映像作品にも活動を広げる。近年の主な出演作には、映画「新解釈・幕末伝」(25)、Netflixシリーズ「九条の大罪」(26)など。
コミカルからシリアスな役柄まで、幅広く演じることのできる、唯一無二の俳優がムロツヨシさんだ。好きで選んだ職業だからこそ辛さや無念さまでもがやりがいだという。野球漫画『ドラフトキング』を原作としたドラマの続編の制作にあたり、主演を務めるムロツヨシさんに、作品の魅力や見どころ、自身の俳優観などを語っていただいた。
■喜びだけでなく辛さや無念さもやりがい
大学に入学したばかりのころ、ある舞台に出会いました。当時、大学で学ぶことが本当に自分のやりたいことなのかどうか悩んでいました。そのときに観た舞台に強く感銘を受け、自分も挑戦したいと思いました。この出会いがきっかけとなり、偏差値を20上げて頑張って入った大学を中退し、演技の世界に飛び込むことにしたのです。
こうして選んだ職業だからこそ、喜びだけでなく辛さや無念さもやりがいの一部だと感じています。さまざまな感情と向き合い、人前に立って仕事をする中で、隠し事ができない恐怖感もあります。しかし、舞台やカメラの前で多くの人に向けて表現したり、言葉を伝えられる喜びはその恐怖に勝るものであり、強い魅力を感じています。
また、作品の世界観の中に入ることができるのも俳優の魅力の一つです。犯罪者役やおもちゃの役など、一般的には経験することがないような非日常的な役を演じることがあります。このような多様な役や世界に向き合うことでしか味わえない楽しさを感じています。役と向き合い、思考を巡らせて準備をしていく中で、大変なこともありますが、その時間があるからこそ観客に楽しんでもらえる大切な時間だと思っています。
■その時々の役に真摯に向き合う
俳優の仕事は年齢とともに演じる役も変わるため、その時々の役に真摯に向き合うことが目標です。
テレビを見ていて「あの俳優さん変わったな」と感じることがあると思います。年齢による変化に対してマイナスな印象を持たれることもありますが、私は年齢とともに役者も変わるものだと思っていますし、そう思われたいとも考えています。しかも観る人の想像通りに変わっていくのではなく、AIにも予測できないような姿になることを目指して、自分自身と役に向き合っています。
今回の作品で特に面白いと感じているのは、タイトルにもある「ドラフト」という視点です。野球漫画がたくさんある中で、ドラフトに焦点を当てて選手やスカウトマン、元選手の人生を描く作品はあまりないと思います。
野球の世界においては、プロを目指したからといって、全員がプロになれるわけではありません。だからこそ本作品では、野球の華やかな部分と同時に、厳しさや残酷さも描かれているところが魅力だと感じています。
私は主人公の郷原眼力役を演じています。役作りでは郷原という人物の芯をぶらさないことを意識して取り組みました。余計な芝居をしないようにと自分に言い聞かせ、郷原という人間を表現するためにしっかりと向き合いました。
郷原の魅力の一つは選手たちにかける言葉です。労いの言葉や鼓舞する言葉など、選手の人生に何かきっかけを与える言葉が今作ではより多く詰まっています。スカウトマン郷原だからこそかけられる言葉や想いが視聴者に伝わるように、説得力を持って準備しました。
また、若い世代の俳優たちと共に作品を作っていく中で、私自身も作品を通じて〝自分の経験や想い〞を伝えられるように心がけてきました。多様な価値観がある時代の中で、若い世代の考えを否定するのではなく、自分の良い経験を言葉を選びながらも伝えていきたいと思っています。
今作は野球のプレーシーンに力が入っており、野球経験のある役者も多く参加しています。プレーのリアリティや迫力は見どころの一つだと思います。また、前作で描ききれなかった選手の人生やプロを目指す者の人生、プロとしての期間に区切りをつける選手の人生など、さまざまな立場の人が共感できる作品になっています。夢を追いかける若い世代だけでなく、子どもを持つ親世代など、いろいろな視点で楽しんでいただける作品だと感じています。
■夢や目標の大切さを感じてほしい
この作品を通じて私が感じているのは「成功の裏には必ず挫折がある」ということです。挫折があるからこそ成功があり、実現できるのだと思います。振り子のように、小さな挫折には小さな成功、大きな挫折には大きな成功というように、挫折と成功は比例しています。このドラマはその振り子のような成功と挫折を残酷なまでに丁寧に描いており、そこに注目して見てほしいと思います。だからこそ、この作品を通して夢や目標を持つことの大切さも感じてもらえたら嬉しいです。本作が誰かの目標や前進のきっかけになればと思っています。
中高生の皆さんも日々の生活で挫折や失敗を経験することもあると思いますが、その先には必ず成功が待っています。好きなことや目標を自分で選び、それに向かって進んでいってほしいと思います。
皆さんが好きなことに挑戦できる環境を私たち世代が作れるように、私も頑張っていきたいです。
皆さんは安心して今の時間を思い切り楽しみ、興味のあることに積極的に挑戦してください。
中高生新聞2026年4月号 国際基督教大学3年 渡邊和花
連続ドラマW-30「ドラフトキング -BORDER LINE-」

2026年5月15日(金)午後11時から全10話で放送・配信
原作:『ドラフトキング』クロマツテツロウ(集英社「グランドジャンプ」連載)
出演:ムロツヨシ 宮沢氷魚 三浦貴大_平山祐介 藤間爽子 川久保拓司 阪田マサノブ/上地雄輔 伊武雅刀/でんでん
制作プロダクション:ツインズジャパン
製作著作:WOWOW

津田塾大学3年 山下さくら/青山学院大学1年 松山絢美/城西国際大学2年 渡部優理絵/東京都立大学3年 坂倉彩月/東京家政大学2年 篠田陽菜乃


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