株式会社にんべん 執行役員経営企画部長 町田忠男 / 執行役員商品サービス企画部長 外山浩二
売れる仕組みを創り、鰹節の価値を未来へ伝え続ける
株式会社にんべん 執行役員経営企画部長 町田忠男(まちだただお)

製造管理を経て2010年から企画マーケティング担当。2021年より現職、広報宣伝・デジタル施策を管掌。三百年を超える自社の歴史から商いの原点を関係性の構築に見出す。SNSやアンバサダー施策を通してお客様のハピネスと向き合いながらエンゲージメント向上を目指している。開発時代に設計、企画マーケで新パッケージを担当した「つゆの素ゴールド」シリーズが個人的イチ推し。
株式会社にんべん 執行役員商品サービス企画部長 外山浩二(とやまこうじ)

商品企画業務を中心に、市場分析から商品開発、販促提案まで一貫して担当。社内外との連携を大切にし、売れる商品づくりとブランド価値向上に取り組んでいる。
300年以上続く鰹節専門店の株式会社にんべん。時代に合わせて形を変え続け「出汁」という日本食の根幹を守り続けながらベストセラー商品を出し続けている。その背景にある生活者のニーズや出汁文化について経営企画部長の町田さん、商品サービス企画部長の外山さんに伺った。
■学生時代や入社後の経緯について
(町田)
私は研究職採用として入社し、これまで研究開発、製造、商品企画、そして現在の広報宣伝へと、さまざまな部署を経験してきました。もともと鰹節や出汁が好きだったこともあり、会社説明会で「本当に鰹節が好きな人たちが働いている会社だ」と感じたことをよく覚えています。実際に社内には、原料や味づくりに強いこだわりを持つ社員が多く、その姿勢に惹かれて入社を決めました。
現在は、広報宣伝とデジタル領域の二つを担当しています。広報では生活者の方やメディアとのコミュニケーションを行い、デジタルではECサイトやWeb運営管理などを担当しています。商品の魅力をどう伝えるかを考える仕事ですが、広報には正解がありません。同じ商品でも、伝え方によってお客様の受け取り方は大きく変わります。そのため、「何をどう伝えれば興味を持っていただけるか」を考え続けることが、この仕事の面白さだと思っています。
(外山)
私は就職氷河期の時代に就職活動をしていました。当時から「メーカーでモノを作って売る仕事がしたい」という思いが強く、なかでもお客様に近い存在として商品づくりに携われる食品メーカーを中心に企業を見ていました。その中で、鰹節の持つ高級感や、日本食における出汁の重要性に魅力を感じ、この会社を選びました。出汁は和食の土台であり、日本の食文化を支える存在です。その価値を届ける仕事に携わりたいと思ったのが入社のきっかけです。
現在は商品サービス企画部で、商品企画や販促提案を担当しています。単に商品を作るだけではなく、どう売るかまで考えることが私たちの役割です。市場分析を行い、ターゲットを考え、売場でどのように見せるかまで設計します。商品が計画通りに売れた時には、達成感が大きいです。
■時代に合わせて変わる使い方
(町田)
共働き世帯の増加など、生活スタイルは大きく変化しています。昔のように時間をかけて料理をすることが難しい方も増えています。そのため、私たちも時代に合わせて商品の“使いやすさ”を進化させています。一方で、鰹節や出汁そのものの価値は変えてはいけないと考えています。
最近は「タイパ」という言葉もよく聞かれますが、私たちは単純に早く作れることだけを価値にはしていません。同じ調理時間でも、出汁の質が良ければ食事の満足度は大きく変わりQOLの向上だと考えています。
(外山)
近年は共働き世帯の増加やライフスタイルの変化により、調理にかける時間を短縮したいという時短ニーズが高まり、簡単に調理できる商品への需要が増えています。そのため、炊き込みご飯の素やおかず調味料など、手軽に使える商品開発にも力を入れています。一方で、「休日には丁寧に出汁を取りたい」という方も一定数いらっしゃいます。
そのため、タイパだけを追い求めるのではなく、食事を通じて生活の満足度を高める商品も大切にしています。お客様のニーズは一つではありません。アンケートなどを通じて声を集めながら、まだ表面化していない潜在的なニーズも探るようにしています。
■品質を守りながら売れる商品を作る
(町田)
当社は300年以上続く鰹節専門店ですが、価格だけで大手企業と競争するのは難しい部分があります。そのため、私たちはワンランク上の品質を大切にしています。コストの許す範囲でできるだけ良質な原材料を選び、ていねいなモノづくりを心掛けています。
また、鰹節については創業当初からの鰹節問屋という立場を貫き、長年信頼関係を築いてきた国内の職人や生産者の方々から良質な品物を仕入れた鰹節を、私たち自身の手で品質を見極めた上で商品に仕立てています。
近年は原材料費の高騰も続いていますが、品質を下げる選択はしていません。必要であれば値上げを行い、それでも選んでいただける商品づくりを続けています。
(外山)
商品企画の仕事は、ただアイデアを出すだけでは成立しません。営業部門や製造部門など、多くの部署と調整しながら進める必要があります。そのため、コミュニケーション力は非常に重要です。「どうすればお客様に選ばれるのか」を考え続けることが、この仕事の面白さでもあります。
当社は大手企業と正面から価格競争をするのではなく、品質や専門性で勝負しています。例えば、つゆ商品の「ゴールドシリーズ」のように、ワンランク上のおいしさや品質を求めるお客様に向けた商品づくりを行っています。300年以上続く専門店としての歴史や信頼も、私たちの大きな強みです。
■大学生へのメッセージ
(町田)
就職活動では、「自分が何をしたいのか」を考える機会が多いと思います。私は、会社の夢と自分の夢の方向性が重なると、働く中で大きなやりがいにつながると感じています。ぜひ条件だけではなく、「自分はどんな価値を大切にしたいのか」にも目を向けながら、自分に合った会社を探してみてください。
(外山)
仕事では、自分の考えだけではなく、「お客様が何を求めているか」を考えることがとても重要です。商売は相手がいて成り立つものなので、相手の立場で考える姿勢を大切にしてほしいと思います。就職活動でも、自分がどんな人の役に立ちたいのかを意識すると、進みたい方向が見えてくるのではないでしょうか。
学生新聞オンライン2026年4月16日取材 京都芸術大学1年 猪本玲菜

情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥/法政大学4年 島田尚和/京都芸術大学1年 猪本玲菜/津田塾大学4年 山下さくら


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