舞台『ポルノ』 合同取材
衝撃の舞台が24年ぶりに復活 舞台『ポルノ』が問いかける人間の本質
舞台『ポルノ』
演出家 松居大悟 (まついだいご)
俳優 玉置玲央 (たまおきれお)
女優 前田敦子 (まえだあつこ)
2002年初演、観客に強烈な衝撃を与えた長塚圭史さんの戯曲『ポルノ』が24年ぶりに上演されます。
当時観客だった松居大悟さんと玉置玲央さん、そして出演者の前田敦子さんは、この作品のどこに惹かれ、今の時代に上演する意味をどのように感じているのか、作品の魅力と上演への思いを伺いました。
Q.舞台『ポルノ』に出会ったきっかけを教えてください。
松居:僕の高校時代は家から出ないタイプだったのですが、母が演劇やミニシアターの映画が好きで、阿佐ヶ谷スパイダースの『ポルノ』を観に行こうと誘ってくれて観に行きました。『ポルノ』を観て、テレビや映画、小説や漫画でも表現しないような、言ってはいけないことを言っていて、それを劇場の暗闇の中でみんなで共有して笑ったりしているという、いけないことをしている感がとても気持ちよかったんです。その後、観劇以来憧れていた『ポルノ』を制作したゴーチ・ブラザーズという事務所に入りました。僕たち(松居さん・玉置さん)は2010年に事務所に一緒に同期として入って、2016年に『イヌの日』という舞台を上演したのですが、そのときくらいに『ポルノ』の話になったと思います。
玉置:僕も高校一年生のときに大人に「おもしろい芝居があるから観に行こう」と連れて行ってもらったことがきっかけです。『ポルノ』を観るまでは王道な芝居ばかり観ていたので、「舞台ってこういうことやっちゃっていいんだ」「こういう作品もあっていいんだ」と思えるような”新しい価値観をぶち込まれる”という体験をしました。
実は僕たち(松居さん・玉置さん)の事務所はバーベキューをやっていた時期があるのですが(笑)そのときに「高校生の時に観ていたんだ」という話をしました。
松居:バーベキューで「『ポルノ』やってみたいの?」という話になり「やれるならやってみたいです」と言ってはいたものの、僕たちがまだ20代であることや『ポルノ』は坂の多い町という設定があり、中劇場でやらなければいけないので「まだ経験値が足りないな」と言っていました。
玉置:具体的な内容よりも「すごい衝撃的な作品だったよね」という話をしていた気がします。もう一つは、主人公の国旗耕二の顔がプリントされたビラが客席に降ってくるという象徴的な演出があるのですが、当時観劇した僕はそれを持って帰って大切に取っておいていたという話をしたら松居大悟も同じことをしていたと聞きました。それを聞いたときに「この人と『ポルノ』をやれる日が来るかもしれない」と思いました。
Q.長塚圭史さんの作品の魅力を教えてください
松居:圭史さんの作品の特徴は、寂しさと、そこに対して抗っている中での矛盾めいたものや、人間が人間であることの叫びのようなものがあることです。社会の規範から外れていてもその人が正しいと思っていたら、それはそれでいいんだということを舞台を通して二時間かけて納得させられるような説得力がとても好きです。
玉置:圭史さんの作品は不謹慎さなど、はばかられるような表現が当たり前のように出てくることが多かったんです。
やはりどこか歪んだ登場人物や歪んだ世界観が必ずあって、歪んでいるけど、彼らが抱えている思いや感情は非常に真っ直ぐで、彼らにとっては正義であり、正しいことに取り組んでいるんです。
松居:不謹慎だけど品があるんですよね。
前田:長塚さんは役者さんとしても演出家さんとしてもご一緒したことがあるのですが、阿佐ヶ谷スパイダースの戯曲に参加させていただくのは今回が初めてです。二人が十代のときにこの作品を観て、衝撃で何が何だかわからなかったけどずっと残っているというお話を聞いて、そういう作品に出会えることは中々ないと思うので「そんな体験いいな」「覗きたいな」と思ったことがこの作品に参加したいと思ったきっかけです。最初は『ポルノ』というタイトルに気が取られてしまった部分もあるのですが、本読みをしてみて感じたことは癖のある人たちがたくさん出てきて、登場人物はみんな必死に生きているんです。真っ直ぐだから、母性がくすぐられます。
「あれってこういう意味だったのかな」「意外とこういう人っているよね」「自分かもしれない」と考えさせられるものがたくさん散りばめられているので、今の自分を測ることのできる深い作品だなと思っています。
Q.台本を読んで24年ぶりに上演する意味はどのように感じましたか?
松居:やはりこの作品は普遍的な人間の本質を描いているので、古くないものだと思います。先ほど前田さんが仰っていましたが、人の普通が自分の普通なのかという考えや、人間が人間であるために、自分の感覚やその気持ちを言語化して、いくつかの愛の形をそれぞれの登場人物が心をさらけ出して喋ったりします。今はSNSなどを通じて文字だけでコミュニケーションをしたり、AIで台本が書けてしまったりして、AIでも物語が紡ぎ出せる時代なのかもしれません。でも、人間が集まって舞台上で作品を創って、劇場でそれを体験するという芸術だけは絶対に人間しか創ることができないと感じています。
玉置:この作品ははっきり言って価値観などがこの令和の時代にそぐわない内容なんです。
この作品をやることの意味は、僕と大悟にとって思い出深い作品だからという理由もありますが、人が考え続けなくてはいけない普遍的なテーマということもあります。
登場人物たちには歪んだ表現や世界の中にそれぞれの正義と正しさと愛情があります。それを俳優として突き詰め、劇世界を立ち上げることが生身の人間としてできれば、この時代において不謹慎かもしれないことがしっかり意味を持って観てくださるお客様に伝わると信じています。
前田:今回若い人たちにも観てほしいということで、東京公演と福岡公演にU25シートがたくさん用意されています。まずは観てほしいです。その内容を知って、いろいろ思ってくれて少しでも明るい未来が見えたら嬉しいです。
当時の(松居さん・玉置さんの)お二人のように「こういうこともしていいんだ」という創作意欲が若い人たちの中で掻き立てられるような舞台になったら本当に素敵なことだと思います。みんな同じ空間で不謹慎な言葉を浴びた時にクスッと笑ってしまうのは演劇ならではの現象で、それがすごく楽しいんですよね。何にも縛られてない自由な場所が演劇にはあってほしいというのは今回の作品を通して改めて思いました。
【公演概要】

舞台『ポルノ』
作: 長塚圭史
演出: 松居大悟
出演: 玉置玲央、前田敦子、鳥越裕貴、藤谷理子、小野寺ずる、岩本晟夢、うぇるとん東
東京公演:2026年4月2日(木)~12日(日) 下北沢・本多劇場
チケット料金:S席(税込・全席指定)
4/2(木)〜4/3(金) 8,300円
4/4(土)〜4/5(日) 8,800円
4/6(月)〜4/10(金) 8,500円
4/11(土)〜4/12(日) 9,000円
U25シート 3,000円(税込)
※U25シートは観劇時25歳以下が対象、当日劇場にて身分証をご提示のうえ、座席指定券と交換が必要です。
福岡公演:2026年4月15日(水)・16日(木) 西鉄ホール
チケット料金:S席(税込・全席指定)
8,500円
U25シート 3,000円(税込)
※U25シートは観劇時25歳以下が対象、当日劇場にて身分証をご提示のうえ、座席指定券と交換が必要です。
大阪公演:2026年4月25日(土)・26日(日) サンケイホールブリーゼ
チケット料金:9,000円(全席指定・税込)
公式サイト: https://www.prn-stage.jp
公式X: @gorch_stage #舞台ポルノ
主催・企画製作: ゴーチ・ブラザーズ

学生新聞オンライン2026年3月5日取材 城西国際大学2年 渡部優理絵


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