テリー伊藤 コラムVol.90 シニア男性が格好よく生き続けるには
シニア向けの男性ファッション誌から「格好良く居続けるにはどうすればいいのか」のテーマでインタビューの依頼を受けた。50歳を過ぎると仕事もある程度先が見えてくる。だからと言って生活に追われ身の回りを疎かにしては格好良く生きているとは言えない。編集部の思惑は、恐らく私に、身体をどう鍛えて、時代を意識したファッションスタイルをし、お気に入りのレストラン、今乗るべき車はこれ、などお洒落な答えを期待していたと思う。しかし人生格好良く生きるってそんなに簡単なもんじゃない気がする。年齢を重ねれば病気になって通院することも。病院で待たされ隣に座るお喋り好きなおばさんの話を長時間聞かされることだってある。勤めていた会社からAIが普及したのでリストラされる事だって十分考えられる。60歳過ぎれば更に未知のアクシデントに遭遇することになる。実はここなんです。こんな情勢に遭った時こそ格好よく生きられたら。
最近考えているのは「格好良く生きる」って野球の打率と一緒じゃないかと。本塁打や打点は一度打てば数字が減る事はないが、打率は春先3割をキープしていても不振なら容赦なく落ちてゆく。過去が良くても慢心は出来ない。平常時なら格好よく生きられても、試練が降りかかった時にどう行動するか、真価が問われる。
そこで考えてみた。1ヶ月間、格好よく生きる日は何日あるのか。甘い物が好き過ぎて見境もなくケーキや和菓子を食べ続けてしまう。しかし昨日食べた夕食が何だったか全く覚えていない。次に無駄遣い。ドジャースグッズを見るとすぐに購入してしまい、家に帰ってみると既に持っている帽子やTシャツが確認される。ミッキーグッズしかり。寝不足になりながらNetflixで映画を見て、最後になって以前見た事に気づく。そうなんです、男性ファッション誌の読者にアドバイスする立場ではない。
その事を編集者に告げると困惑顔に。沈黙のあとで出た結論は「読者それぞれの状況、環境が違うので自分で考えてみたら」になってしまった。こんなはずでは無かった顔で編集者は帰って行った。どんな誌面ななることやら。取材の後、行きつけの横浜のアメリカアンテークショップでミッキーマウスとスヌーピーの人形を購入。「シニア男性がこれからの人生どう格好よく生きるか」とは真逆な行動をしている。植木等さんのヒット曲『わかっちゃいるけどやめられない』まさにこの言葉通りの行動になっている。これではとても3割バッターにはなれそうもない。

テリー伊藤(演出家)
1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry


No comments yet.