第三十七期竜王戦七番勝負 第一局前夜祭

第37期竜王戦七番勝負の第1局が5日から東京都渋谷区のセルリアンタワー能楽堂で行われるのを前に、セルリアンタワー東急ホテルで4日、前夜祭が開かれた。前夜祭の様子を取材させていただいた。

◆読売新聞東京本社 代表取締役社長 村岡彰敏
 今年は日本将棋連盟100周年、読売新聞も創刊150周年という節目の年に当たります。連盟100周年の記念式典で羽生善治会長がご挨拶され、「新聞などの活字文化が隆盛する中で将棋連盟もその流れに乗って発展をし、組織として大きく進むことが出来た。」と言及をされました。まさに将棋界と新聞社が手を携えてきた軌跡であります。
 今期の七番勝負、藤井竜王は4連覇を懸けた防衛戦、佐々木八段は初のタイトル挑戦です。この二人には因縁があり、デビュー29連勝中だった藤井竜王の連勝を止めたのが佐々木八段でした。日本中の注目を集めたその一局、実はこの竜王戦の決勝トーナメント2回戦でした。あれから7年、ついに両者が将棋界の頂点を懸けて戦います。必ずや歴史に残る七番勝負を繰り広げてくれることでしょう。皆さんと共に期待したいと思います。

日本将棋連盟 会長 羽生善治

 この竜王戦というのは棋士、女流棋士、アマチュア棋士、多くの将棋のプロたちが最高峰のタイトル戦を争う棋戦です。この竜王戦は盛り立てるために様々なことをしていただいているのですが、その中の一つとして毎回ポスターを作成しています。今回のポスターのタイトルは「竜王に挑む勇気」。挑戦者の佐々木さんの名前である“勇気”と絶対王者の藤井さんに挑戦する“勇気”をかけたフレーズがすごく良いなと思っています。この最高の舞台でお二人とも勇気を振り絞った素晴らしい勝負を見せていただけるのではないかと期待しております。また、お二人とも『角換わり』という今の将棋の最先端の形を得意とされる棋士です。現代将棋の最先端の新しい手が数多く生み出されるのではないかとも思っています。

渋谷区副区長 松澤香

 今回、将棋界の頂点とされる竜王戦の第一局目が渋谷で開催されること、大変意義深く思っています。藤井聡太竜王はこれまで次々と最年少記録を塗り替え、昨年は史上初の八冠制覇を成し遂げられました。今回も4連覇の懸かった竜王位王位戦で、鮮やかな戦いを見せていただけることを楽しみにしております。対する佐々木勇気八段は、過去に藤井聡太竜王の公式戦30連勝を阻止されたことで有名です。今回、初のタイトル戦と伺っておりますが、ぜひ挑んでいただければと思います。そして、将棋連盟が創立100周年を迎え、新しい将棋会館が千駄ヶ谷駅前でお披露目されました。引き続き将棋の歴史を一緒に作っていけることを大変うれしく思っております。

野村ホールディングス株式会社 副会長 寺口智之

 将棋連盟創立100周年を迎えた、将棋界の歴史的な節目において最高峰の舞台である竜王戦に関わらせていたいてますことに心から感謝申し上げます。今期は野村ホールディングスもファンの皆様と共に竜王戦を応援する思いから、お二人にファンの方々からの質問に答えていただくインタビュー動画と対局前後に応援メッセージや感想を募集する二つの企画を実施しました。皆様と一緒に竜王戦をさらに盛り上げていきたいと思います。インタビュー動画の中で藤井竜王は印象に残っている対局として、棋士になる前に将棋まつりで佐々木八段と対戦した公開対局に触れられていました。藤井竜王のデビュー前からすでに始まっていたお二人の対戦ですが、いよいよ将棋界の頂点である竜王を懸けた戦いが始まります。どんな名局が繰り広げられるのかワクワクしております。

佐々木勇気 八段 / 藤井聡太 竜王

[挑戦者] 佐々木勇気 八段

挑戦が決まってから本日まであっという間に今日を迎えたなという感じがします。自分自身も少しでも強くなれるように過ごしてきたつもりです。竜王戦は9時に開始、昼食休憩も12時半からということで普段の対局とは違います。9時に盤に向かうようにするなど普段の生活も竜王戦モードにしていました。藤井竜王は、棋譜を見ているだけでは分からない強さ、盤を挟んでみないと分からない強さがあります。出来るだけ終盤まで良い勝負で戦いたいなと思っています。

先ほど見分をしまして能楽堂という神聖な舞台、立派な将棋盤の前に座り気持ちが引き締まりました。藤井竜王と持ち時間8時間、2日制の対局が出来ることを非常にうれしく思っています。明日から最善を尽くしたいと思います。

[保持者] 藤井聡太 竜王

佐々木八段は、特に攻めの鋭さが一番の特徴だと思います。しかし、今期の竜王戦の決勝トーナメントを見ていると攻めの鋭さに加え、受けの手厚さや粘り強さもあり、すごく充実した将棋を指されている印象です。自分自身、竜王戦に向けて特別なことはそれほどしていないのですが、今年の9月は対局が続いた時期もあったので、その中で体調やコンディションを崩さないように意識しながら竜王戦に向けて準備をして過ごしてきました。

セルリアンタワーに来ていよいよ竜王戦が開幕するのだということを実感しています。佐々木八段と持ち時間8時間、2日制の対局をするのは初めてになりますので私自身も緊張感と同時に楽しみな気持ちです。一手一手深く考えて、お互いの読みがぶつかり合うような充実した面白い将棋を指していけるよう全力を尽くしたいと思います。

学生新聞オンライン2024年10月4日取材 東洋大学2年 越山凛乃

東洋大学2年 越山凛乃

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