シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長 濱田義之
「相手の立場で考える」というカルチャーが、最大の価値を生む
シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長 濱田義之(はまだよしゆき)
■プロフィール
2016年にシスコシステムズ合同会社に入社し、最高技術責任者、情報通信産業事業統括などのリーダー職を歴任。直近では、アジアパシフィック ジャパン チャイナ地域のセキュリティセールスを統括するマネージングディレクターを務め、急速に増大する脅威のなか、お客様のビジネスにおけるセキュリティ確保の支援に注力し、安定した業績を達成した。2024年1月より現職。
今や誰もが日常的に使用しているインターネットやWi-Fi機能。そんな馴染みのあるインターネットやネットワーク社会を陰で支えているシスコシステムズ合同会社。「すべての人のためにインクルーシブな未来を実現」することをパーパスに掲げ、社内外で様々な取り組みをしているシスコシステムズ合同会社の濱田義之社長に話を伺った。
学生時代は無難な道を選ぶことが多く、中学からずっと私立の付属校に通っていました。大学に進学する際の内部試験で学内順位によって学部学科を選べるのですが、高校で理系を選択していた私はどの学部学科でも選択可能でした。その頃、医学には興味がなく、その次に偏差値が高かった理工学部の電子工学科を選択し進学しました。
ただ、これまで無難な道を選んできたこともあり、大学では自分の将来像が見えず学業にやる気を見いだせない時期もありました。しかし、3年生の時所属していた研究室の教授の話に感銘を受け、その頃から心を入れ替え、きちんと目標を掲げながら勉強をするようになりました。研究室では、主に光伝送などの通信技術を学んだのですが、中でもシステムエンジニアやテクノロジーイノベーションの必要性、インターネットを含む通信のこれからの革新について深く興味を抱きました。今の職業とも繋がるITとの出会いはここが原点です。研究室で学んだことが今の仕事に繋がり、いわば人生の転機と言っても過言ではないですね。
■その人の立場になることが、最大の価値を出す
シスコでは、企業カルチャーを非常に重んじています。シスコでは、カルチャーをコンシャスカルチャーと呼んでいるのですが、自分だけではなく、チームやお客様、そしてその先のより大きなコミュニティにもたらす影響に目を向けて行動することにより、皆にとって最高の体験を生み出すこと、とシスコでは定義しています。
シスコでは様々な人が働いているので、多様性を重んじています。また、多様性を認識するだけでなく受け入れることで、バックグラウンドが違うメンバー間での気づきや発想、アイディアの面もお互いに取り入れる事ができます。これは、日本だけでなくグローバル全体で重んじられるカルチャーの1つで、創業当時からシスコに根付いています。
■自由と自立の両立で生まれる働きがい
世界150か国で働き方の調査を行う働きがいのある会社研究所(Great Place To Work)が毎年行う「働きがいのある調査ランキング」の日本における従業員数1,000人以上の大規模部門で、シスコは2年連続No.1を獲得しています。これは、従業員のヒアリングと会社が行う取り組みをもとにしたランキングなのですが、弊社の強みは、従業員一人ひとりが働きがいをもって仕事ができる点だと思います。ただ、各人が尊重され、自由に様々な挑戦ができる環境は、当然責任も伴うので、自立した意識も必要です。従業員一人ひとりが、「自由と自立」を意識して働いているからこそ、1位を受賞できたのだと思います。
多くの方が誤解しがちなのですが、「働きがいのある会社」と「働きやすい会社」は大きく違います。まず、大前提として、「働きやすい環境」でないと満足度は上がりません。シスコでは、新型コロナウイルスでのパンデミックになる前から、従業員はどこで働いてもいいという企業文化とシステムを導入していました。パンデミック中はみんな完全リモートワークでしたし、パンデミック後も「週に何回会社に来なければいけない」といったルールはありません。それでも多くの従業員が会社に来たくなる理由は、様々な人とのコラボレーションです。オフィスは様々な部署の人が顔を合わせ、コラボレーションを行うことで、新しいアイディアなどが生まれるマグネットであるとシスコでは考えており、、環境作りにも力を入れています。また、キャリア開発についても上司との定期的な1on1ミーティングを通じて、社内で機会を見つけてキャリアを作ることもできます。このように、シスコは全ての人たちにプラスの影響を与え、従業員一人ひとりが自己実現できる環境を提供しています。
■社員の幸せのため、自律分散型の組織を目指す
私は1月からシスコジャパンの社長に就任しましたが、目指すのは自立分散型の組織です。考え方の違う人たちがお互いを尊重し合い、ビジョンを共有しながら自立して働ける組織を作りたいと考えています。外資系の会社は、外交的な人が重宝されると思われがちですが、実際はそれが全てではありません。コミュニケーションの種類によって、即時回答することが求められるときもあれば、咀嚼し熟考した回答が求められることもあります。
シスコはプロセス重視の会社ではないので、当然規律はありますが、プロセス通りに仕事をすることが絶対ではありません。自分にあったやり方さえ見つけられれば、様々なことにチャレンジできますし、仕事の幅も広がります。型通りではなく、より自由な働き方を実践したい方には、非常に働きやすい職場だと思います。
■学生へのメッセージ
自分のゴールイメージを持ってほしいと思います。これがあるかないかで、パフォーマンスややる気に、大きな差が出てしまいます。「本当にやりたいことがあるかわからない」とおっしゃる方も多いのですが、最初に決めたゴールがすべてではありません。私自身もそうでしたが、最終的なゴールはいつだって更新可能です。漠然としていてもいいので、自分がやりたいことや熱意を持ってできることを、早めに持っておくことが大切です。学生時代は社会人よりも時間に余裕があると思います。その間に何をやれるのかを明確に定めましょう。私の場合は3年生の後期にこの事実に気が付いたので1年半という短い時間しか自由に使う事が出来ませんでした。仮説でもいいので、社会がどう動いているのかを対極的に見極めつつ、自分の目標に向かう経験をぜひ実践してみてください。
学生新聞オンライン2024年3月12日取材 共立女子短期大学2年 猪本玲菜
共立女子短期大学2年 猪本玲菜/埼玉大学3年 岩田彩奈/上智大学短期大学部2年 大野詩織/津田塾大学1年 石松果林
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