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Archive for 運営スタッフ

北島麗音

株式会社カカオジャパン 代表取締役社長 金 在龍

日々悩みながら乗り越える 頑張った人が報われる会社に 株式会社カカオジャパン 代表取締役社長 金 在龍(キム ジェヨン) 1976年6月生まれ。2006年からNHN Japan株式会社にてHangame, LINE, comicoのサービスを経験。その後、カカオジャパンでの新規事業立ち上げに携わるため、2015年5月より現職。 2016年4月、電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」をリリース。 今や1日200万人が利用する電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」。金社長は学生時代に40ヵ国もの国を旅行し、旅をすることで一人ひとりの違いに気づき、認め合うことの大切さを学んだという。これまで歩んでこられた道のりを伺った。 大学時代は一人でよく旅行に出かけました。40ヵ国ほど行きました。周りからは不思議がられましたが、とにかく楽しかったのです。旅をすることで一人ひとりが違うということを実感しました。世界に出ると文化も違うし感覚も違う。どちらが正しいということではなく、違うということが分かった。旅をすることで違いに気づき、認め合うことの大切さを学びました。アルバイトもよくしましたが、効率の良い仕事は何かということを常に考えていました。悩むのは良いことです。悩み続けていると少しずつ進歩していきます。何かに悩んだり考えたりしていると何かが見つかります。夢を持っている人と持っていない人がいますが、夢を持っていないのもまたいいことです。夢がないのはある意味いろいろな可能性があるとも言えるからです。 ITの広さへの魅力と今の仕事 大学卒業後、スポーツが好きだったのでスポーツ関係の会社に入りました。そこでスポーツマーケティングを学んだのですが、大学1年の時にネットが流行りだし、広告の新しい拡散の仕方に興味を持っていたということもあり、NHN Japan株式会社(現LINE 株式会社)へ転職しました。ITには壁がありません。 50円とか100円で売っているものがたくさん集まれば10億円くらいになる。小さい金額だけど数が集まればものすごい量になる。しかもやすやすと国境を越える広さが 魅力だと思いました。仕事はいつも苦しいものです(笑)。そういう時に思うのは「苦しい時は上り坂」という言葉です。人は成長している時は上り坂を登っているのです。だから苦しいのです。ですので、私は苦しいことに対して嫌だとは思わないのです。もし挙げるとすれば、苦しかったのは、この会社に来てスタートする時でした。NHNにいる時に、カカオの創業者(NHNの創業者でもある)にカカオにこないかと声をかけられたのですが、行くのを迷っていました。環境の変化に対する恐怖があって、ゼロから何かを始めるのが不安でした。ただ、当時、38歳だったのですが、40歳までには何かにチャレンジしたいという思いもありました。何が大事かを改めて問い直したときに、人が大事だと思ってカカオに行くことを決めました。一緒に頑張ってきた仲間がいたのでチャレンジしてみようと思ったのです。 漫画アプリ「ピッコマ」を立ち上げる ゼロからピッコマを始めた。当時、アプリで漫画を出している会社はたくさんあって、周りよりスタートが遅れている中でどうやって挽回すればよいのか悩みました。2015年5月に入社して、翌年の4月に漫画アプリ「ピッコマ」を開始しました。開始当初は、漫画作品は80作品程度でした。1年間準備をして、サービス開始から約2週間後の1日の売上は200円や300円程度でした。そこから作品を1作品増やすごとに少しずつ売上が増えていき、3ヵ月目になって1日利用者は3000人ほどになったのです。 その時に「7月末までに利用者を1日1万人にしたい」と社員の前で公言したのです。その時の社員の顔には無理という言葉が書いてありました。しかし、結果的には7月28日に1万人を達成したのです。この達成することの楽しさを味わった私たちは確実に成長しました。そして、1万人を突破した後、わずか10日で2万人を突破しました。 このように苦労を重ね、達成することの楽しさを知ったのが私たちにとって大きな財産になったと思います。 頑張った人が得する会社に 自分は褒められると伸びるタイプです。認められた時が一番幸せな瞬間です。だから頑張った人が得する会社を作りたい。「勤勉・誠実」の2つは大切にしたいですね。また、人にはそれぞれ強みと弱みがあって、強い部分を組み合わせることでもっと強くなると思うんです。だから弱みを補うより、強みを伸ばしていくことが大切だと思っています。 課題は私たち自身の高齢化です。お客様は10代、20代が中心なのに作っているのは30代。それを承認するのは40代。ユーザーが求めるものをきちんと提供できているかが課題ですね。お客様の当たり前は私たちの当たり前とは違う。だから私たちはその穴を埋めなければならないのです。時代に生き残るのは「力が強いもの」ではなく、「変化に対応できるもの」だと思います。 *message* 人って誰かと比べがちですが、まずは自分を好きになってください。人には必ず良い面がありますので、自分自身に大丈夫と言ってあげてください。自分に自信がある人は大変なことも乗り越えられます。あとは日々悩むことをして欲しいです。悩むことで何かに繋がるからです。 学生新聞2020年4月20日号より(文教大学1年 北島麗音)

安齋英希

国務大臣・衆議院議員 竹本直一

アメリカ留学で見えた世界の中の日本!政治家が見据える日本の未来とは ■プロフィール 1940年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。国家公務員上級職として採用され、のちに政府派遣留学生としてカリフォルニア大学バークレー校大学院、コロンビア大学大学院を修了。建設省に勤務したのち、1996年衆議院議員総選挙に立候補、初当選。2005年財務副大臣。2019年内閣府特命担当大臣(科学技術政策・知的財産戦略・クールジャパン戦略・宇宙政策)、情報通信技術(IT)政策担当大臣。 ■どんな学生時代をすごしていましたか もともと政治家になりたいと思っていました。でも、人前で話すのが苦手だったので、高校時代は弁論部に入り欠点を克服しようと頑張りましたね。一番思い出深いのは、アメリカの留学時代です。6000キロを2週間かけて車で移動したり、英語でスピーチしたりしました。海外では、素直に堂々と話をしなきゃ、きちんと聞いてもらえないということを実感しました。 ■政治家を目指したきっかけ、現在の活動について 社会を動かすことに興味がありました。初めてアメリカ大陸を見たとき、なんで日本はこの国と戦争したのだろうと思いました。当時の日本は、井の中の蛙。外を見ていないと負ける試合をする可能性がある。だからこそ、つねに世界を見て、正しい方向に導かなくてはいけないと思いました。 現在は、2025年開催の大阪万博に、世界中から人を集めて成功させたいと尽力しています。 万博誘致は、最後はロシアとの競争になったんですが、92対62で勝ち取ることができました。人を動かすには、相手のマナーや雰囲気に溶け込み、仲間意識を持っていただくように意識することが大切だと実感しましたね。 また、日本は今世紀に入ってノーベル賞を18個受賞していて、これはアメリカに次いで世界第2位です。 しかし、これからこの数が伸びるかと言われれば伸びないかもしれない。論文を書く人が少なくなっているし、理系に進む学生も少なくっていますよね。だから、大臣賞をつくって表彰したり、ドクターを取った人を企業が積極的に雇用するように働きかけています。 ■どんな学生といっしょに仕事をしたいと思いますか いま、国会でインターンを募集しているのですが、フットワークが軽く、スピードがある学生がいいですね。いまの時代は、時間をかけてやるより、早くできる人を求めています。 今年の成人式で、「若い人は憧れをもってください」と話しました。辛さや厳しい状況になっても憧れがあれば耐え凌げる。頑張れます。 今は、個性の時代。組織の歯車ではなく、個性をいかして活躍する努力を怠らないでください。 学生新聞2020年4月20日号より (駒澤大学3年 安齋英希)

山下充良太

株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下 勝寿

時価総額1000億円企業を 一代で築いたその原点とは 株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下 勝寿(きのした かつひさ) 1968年神戸生まれ。大学在学中に学生起業を経験。卒業後は株式会社リクルートで勤務。その後、コネもツテも無い状況から起業し、17年連続増収。5年で売上18億円→83億円。同業5倍の利益率。と、急成長を遂げ一代で東証一部上場企業にまで押し上げた。Forbesアジア「Asia‘s 200 Best Under A Billion賞」受賞。日本国政府より紺綬褒章受章。 お客様の“悩みを解消する方法を提供する”という考え方に基づき、化粧品・健康食品をインターネット上で販売している北の達人コーポレーション。お客様の悩みが解消されたときの喜びの声が原動力であると語ってくれた木下社長。“自分たちが自信を持って家族や友人にすすめられる商品を販売する”その原点を忘れずに成長し続ける同社。今後は世界を見据え、デジタルから生まれた消費財のグローバルブランドを目指すという。その熱い思いを伺った。 大学生の頃から起業をすることを決めていました。その当時から、遊びの延長線上や社会人の真似事ではなく、本気でビジネスがやりたいと思っていたので、起業意識の高いメンバーが多く在籍している“リョーマ”という関西の学生企業に入りました。 “リョーマ”では、サークル情報や合宿免許情報を紹介する「サークルカタログ」というものを作っていましたが、それはごく一部の仕事で、私は、大手広告代理店から回ってくる案件の企画書や提案書を書いたりしていました。その当時は、ほぼ毎日スーツを着て出社し、そこから授業を受けに行き、終わったらまた会社に帰ってくるというような生活をしていましたが、忙しくも非常に充実した日々でした。私が在籍していたときは“リョーマ“には20〜30人のメンバーがいたのですが、今はそのほとんどが経営者になっていて、半分くらいは上場しています。今も定期的に同窓会があり、その度に良い刺激をもらっています。 いったんは就職しそののちに起業 “リョーマ”出身の人たちは、大学を卒業したら自分で起業するか、もしくはリクルートで修行して起業を目指すかのどちらかの流れがありました。私の場合は、起業をする前に一般企業で修行をしたいと思っていたので、一旦リクルートに入社することを選びました。また、その当時、まだインターネットが普及していなかったのですが、近い将来デジタル化の流れが来て、マルチメディアで世の中が全て繋がっていくと想像をしていました。そうなったときにコンテンツが圧倒的に足りないことと、通販事業が伸びることを分かっていました。将来性の高いコンテンツビジネスと通販事業、どちらの道に進むべきか考えたときに、コンテンツビジネスを選択しました。リクルートに決めたのも、コンテンツビジネスが学べるというのも決め手のひとつでした。そして、営業として入社し5年が経ったころ、インターネットが急激に普及しはじめ、自分の中で起業のタイミングが来たと思い、すぐに退社を決意。当時住んでいた大阪で起業し、カニやメロンなど、北海道の特産品を取り扱う通販事業を始めました。 資金ゼロからのスタートだったので、自分でホームページを作り、注文も自分で受けていました。そして、ある程度軌道に乗ったタイミングで北海道に移り住みました。 北海道で本格的に通販事業を開始 北海道の特産品の一つに「てんさい」という砂糖の原料になる植物があります。これを原料にしたオリゴ糖食品を販売したところ、“便秘が治った”と、多くの声をいただくようになりました。それがまたたく間に口コミで広がり、記録的なヒット商品となりました。カニやメロンなどの美味しい特産品ももちろんお喜びの声はいただけますが、悩みが解消されたときのお客様の喜びの度合いは全く違ったものでした。そこから、おいしい商品だけではなく、「お客様のお悩みを解消できる商品をもっと増やしていこう」と思い、悩み解消型の美容・健康食品に注力するようになりました。 その当時は仕入れた商品を販売していたので、全国各地の様々な悩み解消型商品を探し回りました。そこで気づいたのは、世の中に出回っている商品の多くが「理論上効く」ものであって、「本当に効く」かどうかはわからないものでした。私たちの信条は、“自分たちが自信を持って家族や友人に勧められる商品を販売する”ことです。世の中に、おすすめできる商品がないのであれば「自分たちで作ってしまおう!」というところから、オリジナル商品の開発へと舵を切りました。今は、健康食品、化粧品、一部雑貨含め、約30商品を展開しています。 私たちは、ただ単純に健康食品、化粧品を作って売ろうという考え方は持っておらず、人の悩みを解消する方法を提供しようという考え方をしています。例えば、『アイキララ』というアイクリームを販売していますが、アイクリームを売ろうと思って作ったのではなく、目の下のクマや加齢によるたるみの悩みをなんとかしたいと思ったことが商品開発のスタートでした。解決さえすれば、口から摂取する健康食品、肌に付ける化粧品どちらでも良かったのです。様々な種類のものを色々な方向性から多数試作品を作ってモニターしてみた結果、一番実感度が高かったのが結果的に“クリームタイプのアイクリーム”でした。対外的にはわかりやすく健康食品、化粧品を販売していることにしていますが、お客様に対しては“悩みを解消する方法を提供する”という考え方で向き合っています。 デジタルから生まれたグローバルブランドに 20年前からインターネットが普及してきたことによって、世の中はいったんリセットされたと思っています。メディアに関しては完全にテレビや雑誌からネットに変わってきていますし、流通もほぼネットに変わってきています。しかし、メーカーブランドに関しては、まだリアルの流通の方が強いと思っています。今、徐々にDtoCという流れが出てきていますが、われわれ自身はデジタルネイティブの消費財のグローバルブランドになっていきたいと考えています。今は日本と台湾だけですが、今後、世界に向けて展開して行き、デジタルから生まれた第二の花王だとかP&Gになって行けたらいいなと思っています。 *message* 社会に出てからは学ぶ機会がないようなことを、大学の間でどれだけ学べるかということが重要だと思っています。そのためによく学生の皆さんにおすすめしていることは、アルバイトをするならクレームの多いサービス業を選ぶことです。クレームというものは価値観が違うときに生まれるものです。クレームの多い仕事に携わることで、色んな価値観を持った人と接することができ、なぜそのような考え方をしているのかを知ることができます。立場、年齢、環境の違いによっての多方面の考え方を知ることによって、社会人なって理不尽だと感じることも、「自分の価値観の幅が狭いだけかもしれない」ことに気づけるのです。社会に出てからクレームの多いバイトはできないので、大学のうちに色々な価値観を知る経験をしておくことをおすすめしたいです。 学生新聞2020年4月20日号より(日本大学4年 山下充良太)

小川淑生

株式会社アデランス 代表取締役社長 津村 佳宏

毛髪に悩むすべての人を幸せにしたい そのための社員ファースト 株式会社アデランス 代表取締役社長 津村 佳宏(つむら よしひろ) 1963年生まれ。広島県出身。早稲田大学人間科学部卒業。1982年3月、株式会社アデランス入社。2017年3月、代表取締役社長兼グループCEO就任(現任)。内閣府認定公認社団法人 日本毛髪科学協会 毛髪診断士認定指導講師、早稲田大学マーケティングイノベーション研究会所属、金沢工業大学 客員研究員、看護理工学会 評議員。 技術者に憧れてアデランスに入社した津村社長。毎日、懸命に技術を磨いたその先にたどりついたのは、技術と知識、そして、おもてなしの心、すべてを兼ね備えた「プロフェッショナル」になること。目標を持つことは大事、でも成長するにはもっと大切なことがあるという。それは何かを伺った。 理容師や美容師など、手に職を持った技術者に憧れていたんです。学生時代はあまり勉強しなかったので、社会に出てから頑張ろうと(笑)。そして、アデランスに入社。最初に待っていたのは、通信の理容師学校で学びながら、ヘアカットなどの技術研修。特に、パーマのロットを上手く巻くことができず、ここで自分の不器用さに初めて気がつきました。技術試験では、同期生80人中5人が不合格だったのですが、そのうちの一人が私。それはもう悔しかったですね。街中でカットモデルを探して練習させてもらう、という日々を経て迎えた追試。なんとか合格することができました。  これがきっかけで学習意欲に火がついたんです。「技術大会で優勝するぞ」という目標を立て、毎日、技術練習に明け暮れ、なんと優勝。とにかく技術を磨きました。 本当のプロフェッショナルになる  その後店舗に配属され、お客様の髪の毛と向き合う毎日が続きました。そこで気づいたのは、「まずはお客様のニーズを引き出さなければいけない」ということでした。自分が勧めたいものを無理に勧めてもお客様は満足してくれません。まずはお客様のお話をしっかり聞いて、お客様の悩みを解決する。そのうえでサービスを提供する。  これを実践するためには、自分自身が本当の「プロ」になる必要がありました。お客様に寄り添う気持ち、豊富な知識、確かな技術、そして最高の商品を兼ね備えたプロフェッショナルにならなければなりません。  ここでの気づきが「最高の商品」「最高の技術と知識」「心からのおもてなし」という、現在のアデランスの経営理念に繋がっているんです。  こうやって根本を徹底していかないと、結局、なにごとも遠回りになってしまうんです。たとえば、見せかけだけのテクニックをいくら磨いたとしても、お客様は商品を買ってはくれません。まず技術や知識を磨き上げ、お客様のニーズに合った最高の接客をする。そうして初めて、「この人がお勧めするなら買ってみようかな」となる。 社員の幸せがお客様や社会へ連鎖する  私が一緒に働きたいと思う社員は、前向きで「これがやりたい」ときちんと言葉にできる人です。そして、「これがやりたい」と言われたら、よほどのことがない限り、やらせます。管理職の社員にも「部下をバッターボックスに立たせなさい」と言っています。  私や管理職の人たちが、自分の経験則だけで判断をしてはいけないのです。やってみないと何も新しいことは生まれません。それに、そうすることで社員がやりがいを感じてくれるんです。  アデランスでは社員と社員の家族の幸せを第一に考えています。社員がやりがいを感じてくれたら家族も幸せですし、家族が幸せだと社員も幸せだからです。そして、取引先の方にもいい仕事をしていただき、家族全員で幸せになってもらう。これらが全部揃うとお互いにいい仕事ができてお客様も喜んでくれる。そうすると地域社会にも株主にも貢献できる。このように、足元から固めてみんなが笑顔になるサイクルを作ることが、一番大事なのではないかと思います。 毛髪で悩む世界中の人々を幸せにしたい  アデランスは当初、毛髪に悩む男性向けにオーダーメイド・ウィッグ事業を始めました。しかし、病気やケガなどの理由で脱毛に悩みを抱えているお子様もいらっしゃることを知り、1978年から、オーダーメイド・ウィッグの無償提供(4歳から15歳までのお子様を対象)を始めました。技術者が実際に病室まで行き、頭の形を図り、ウィッグを製作。出来上がったら直接患者さんに届けるんです。すると、ご本人はもちろんのこと、ご家族の方々も大変喜んでくれるんですよ。  あの笑顔を見たときに、「人様のお役に立てているなぁ」としみじみ思いましたね。こういう現場を実際に見たからこそ、「毛髪に悩む世界中の人々を幸せにしたい」とより一層強く思うようになりました。 *messege* 学生のみなさんには、目標を持って頑張ってほしいです。語学や文化を学び、世界で活躍できるグローバル人材になってください。アデランスも売上の51パーセントは海外での売上です。今後、どこの企業でもグローバル化が進んでいくでしょう。年功序列よりも能力主義、そして年齢・国籍・性別に関係なく活躍できる、ダイバーシティがさらに進んでいきます。つまり、誰でも頑張ればチャンスをつかめるようになる。頑張った学生がこれからの日本を支えていくと思います。  頑張るにあたって、目標と同時に欲も持ってほしいです。欲がなければ成長できません。「これが上手くなりたい」とか「あれが欲しい」とか、本当になんでもいいんです。強烈な欲を持って、その欲を充足させることに貪欲になってください。 学生新聞2020年4月20日号より (慶応義塾大学4年 小川淑生)

経営者

株式会社ドトールコーヒー代表取締役社長 星野正則

コーヒーだけを売っているのではない。「ホッとする、幸せだな」という感情を生み出すのが仕事です ■プロフィール  1959年新潟県生まれ。大学卒業後、ドトールコーヒーに入社。一般卸営業職を経て、店舗開発業務に従事。2000年6月に取締役に就任し、2017年4月より現職。2008年5月よりドトール・日レスホールディングスの代表取締役社長も兼務。 セルフコーヒーショップのパイオニアとして業界を牽引し続けるドトールコーヒー。コーヒー豆の生産から卸、ショップ展開まで一貫して行う日本最大級のコーヒーチェーンの星野社長に、仕事の意義や学生に求めるものを伺った。 ■ドトールコーヒーに就職したきっかけを教えてください  大学時代は、褒められた学生ではなかったんですよ(笑)。少林寺拳法の部活や、自立のためのアルバイトばかりに精を出して、なんと5年も通いました。 就職の内定もギリギリまで決まらず、教授から「何か好きなことはないのか」と聞かれ、「そういえば喫茶店に行くことが好きだから、コーヒー業界に就職しよう」と。 ドトールコーヒーに電話して、会社に行ってみたらいきなり社長面接でした。 私の成績表を見た鳥羽社長(当時)が、ひと言「勉強嫌いだったんだね」と(笑)。 「なんで大学に行ったのか」と社長に聞かれたので「、友達をつくろうと思いました」と答えたら、「素晴らしい!一緒に頑張っていこう」と突然握手されました。 私のことをわかってくれた気がして、こういう社長と仕事がしたいと思いましたね。 ■就職した頃の思い出をお聞かせください  新人時代の私の仕事は、ドトールのお店を全国に増やすことでした。フランチャイズのオーナーになってくれる人を探し、事業計画を練り、出店をフォローします。 あるオーナーに出店してもらって店をオープンさせたのですが、業績不振の状況が続きました。 私も何かできることはないかと模索し、人件費を浮かすために土日はそのお店で働いたりして協力しましたが、どうにもなりませんでした。 とうとうオーナーさんから「出店時の6000万円の借金も返せないし、手の打ちようがない」と言われてしまった。 そこで、鳥羽社長に相談したところ、「オーナーから店を買い取って、閉店しよう」と言うのです。 オーナーの借金は無くなりますが、会社の損失につながるわけですから、この回答はとても意外でした。 でも鳥羽社長は「家族、オーナー、お客様…。ドトールコーヒーに関わる人を、不幸にしてはいけない」と言ったんです。 誰かの不幸の上に成り立つ商売は間違いです。そして、もしも間違いを犯してしまったら、謝り、自分たちで正していくこと。そんなことを教えてもらいました。それ以降は、出店もより慎重に、熟考するようになりましたね。 ■どのような点にコーヒー業界で働く意義を感じますか  コーヒーが飲みたければ、家庭でも飲めます。でもお客様はドトールコーヒーのお店に来てくれる。これは、単にコーヒーを飲みに来ているだけではなく、ホッと安心できる場を求めて来られているのだと思います。 外食産業は、「食べる」ことで空腹を満たす時代から、コミュニケーションの場、憩いの場としての要素が大きくなってきています。 ですから、私は「外食産業は幸福創造業」だと思っているんです。「美味しい」だけでなく、「幸せだな」という感情をつくる仕事です。 人が求めているものは幸せです。それを提供できる私たちも幸せ。これが外食産業の醍醐味だと思うんです。 創業者の言葉は、「ドトールコーヒーに関わる人全員を、幸せにしなくてはいけない」と言いかえることができるかもしれませんね。 だからこそ、お客様の目線に立つことができる人と一緒に、会社を育てていきたいと思っています。 礼儀正しく、身だしなみが整い、謙虚で誠実な学生は多いです。でも、これは当たり前のこと。相手(お客様)が何を考えているのか、何を求めているのかを理解できる人。お客様と幸せを共有できる人を求めています。 ■大学生たちへのメッセージをお願いします  学生時代はとにかく勉強してください!勉強といっても、大学の授業や資格の勉強だけではありません。本当の「知」に触れてほしい。 本を読んだり、音楽を聴いたり、英語の勉強もいいですね。人生の幅が広がります。少しでも興味を持ったことにはチャレンジして、自分の好きなことを見つけてほしいです。学ぶ楽しさを知った人は、社会人になっても強いです。 社会にでると、理不尽なことがたくさんあるし、時間の制約もできる。いまある自由な時間を存分に活かして、大学生だからこその楽しみを謳歌してほしい。そうすることで、自分だけの唯一無二の感性が磨かれるのだと思います。 学生新聞2020年4月号 立正大学2年 後藤秀貴

山本アンナ

株式会社プロラボホールディングス代表取締役会長・グループ代表兼CEO 佐...

働くこと、仕事をすることの目的を突き詰めていく ■プロフィール 早稲田大学卒業後、一部上場企業勤務を経て、1998年総合マーケティング会社を設立。ブランディング戦略やPR企画などの企業コンサルティングを手掛ける。その後、2002年に株式会社エステプロ・ラボ(現・株式会社プロラボホールディングス)を設立し、代表取締役に就任。ブランド立ち上げから15年で、国内約13,500店の美容・健康施設と海外9ヵ国に展開するサロン専売ブランドに成長させる。 インナービューティプロダクツを国内外に展開しているのが、プロラボホールディングス。「経営者になりたい」という思いから起業した佐々木社長の身の上に次々に起こったトラブル…。詐欺被害にまで遭って、とことん自分を見つめ直した末に見えてきた経営の本質とは?熱いトークを伺ってきました! ■経営者になりたいと思い続けた学生時代  学生時代から「いつか経営者になろう」と心に決めていました。田中角栄氏、マクドナルドの藤田田氏などに憧れ、彼らの本をよく読んでいましたね。だから「就職」という選択肢は自分にはないと思っていたのですが、友人の就活に付き合って、1社だけ受けたところ、たまたま内定をいただきました。それでも気が進まなかったのですが、社会人の先輩から「とりあえず経験を積んだら」と助言を受け就職しました。 ■30歳で起業したものの、受注ゼロが続く日々…  その後、「自分で何かやりたい!」という思いから、30歳のときに独立しました。起業の資金は川崎市創業支援制度を活用し、1100万円の融資を受けて、フリーペーパーの広告ビジネスを始めました。田園都市線沿線で新聞への折り込み情報誌として20万部のペーパーを発行したのですが、6ヵ月の間、1日120件まわっても1件も受注できず…。 また、紙面も広告がベタベタとただ掲載されているだけだったため「、読みづらい」といったクレームも多くありましたね。何のノウハウも実績もなく、楽観的な見通しで始めたため、今考えればうまくいくはずがないのですが、お金をもらって仕事を取るにはこんなにも「信用」が大事なのか、と痛感しました。 6ヵ月が過ぎたころ、知り合いの社長が広告掲載してくれたことを契機に、少しずつ案件が増えていきました。そして紙面のクオリティを上げるために、デザインや校正などプロの方を募集し採用したところ、ぐっと良い紙面になり、クレームも減ったんです。 素直に助けを求め、学びを請うことの大切さを知りました。 ■やっと成功したと思った矢先の急展開  紙面リニューアルを担い、私を助けてくれたのは、多くの女性でした。「かつてバリバリと働き、スキルと経験を豊富に持った女性」にたくさん出会ったんです。 そこで、主婦の空き時間で得意な仕事をしていただく「ミセス人材バンク」のアイデアを思いつきました「。田園都市ミセス1万人ネット」と銘打ってサービスを始めると、政治家や不動産などの広告が集まり始めました。やがて女性の集客やマーケティングに強い会社のような存在になってきた。ビジネスはどんどん軌道にのり、社員も30名くらいに増えていったんです。 そんな時でしたね。詐欺で7000万円を騙し取られてしまったんです。 銀行の借入金が返せなくなり、自分の給料も2年間ゼロ、社会保険も払えず、保険証も取り上げられてしまいました。子どもが風邪をひいても、(保険が効かなくて)高額だから病院に行けない。働いている人たちも不安に駆られ、続々と退社…。35歳の頃のこの時期が、いちばん苦しかったです。 ■どん底の経験が教えてくれたことは  こんなに一生懸命取り組んでいるのに、なぜ上手くいかないのだろう…と考えました。考えて考えて、どんな結論に至ったと思いますか? それは、受注ゼロやクレームも、そして詐欺被害も「すべての原因は自分にあった」ということでした。環境のせい、タイミングのせい、詐欺のせい…と、いろいろなことに責任を転嫁してきたけれど、それを招いたのはまぎれもなく私自身、自分の「思い」がそうさせていたことに気づいたんです。自分の成功、自分の幸せしか考えていない一生懸命は、偽りなんですよね。 良い思想の種を植えて、人格を造り、良い運命が創られていく。この時の気づきは、今の当社の社員教育内容の大きな根幹をなしています。 ■会社は誰のために存在しているのか  先ほどの自分原因説に加えて、「目的経営」を最重要視しています。会社には目的がないと長続きしません。目標の先にある、目的。つまり何のために、誰のために会社は存在しているのか、ということです。 単なる金儲けを目指す経営をすると、必ず会社は崩れてしまいます。何のために?誰のために?そう自問自答していくと、やがて会社の存在意義──目的が見えてきます。この自分と真摯に向き合う工程は、楽なものではありませんが、欠かせないものであり、「自分に向き合う」姿勢を持つことは、社員にも徹底的に教育しています。 プロラボホールディングスの目的は、仕事を通じて人格を高め、家族が豊かに存在すること、そしてお客様に幸せになってもらうこと、世界中の人を健康にすることです。目的の軸を「他人を幸せにすること」に置くと、ベクトルの合う良い人材が集まってきます。人に喜んでもらいたい、自分だけ良ければいいのではなく、社会を良くしたい。そんな利他の心がある社員とともに、会社を成長させていきたいのです。 ■message  いまは情報がたくさん集まる時代です。でも、情報に振りまわされない力を育ててください。本質を見抜く感性を身につけてください。 興味があることは、レールから逸脱してもいいからチャレンジ精神をもって実際にやってみる。失敗してもやり直しはきく。私みたいにね(笑)。 人生において、その情報は本当に必要なのか。社会に出てからも、もまれながら考えていってほしい。本当の幸せは、目標の先にある目的を自問自答していくことで見えてくるんじゃないかな。 学生新聞2020年4月号 慶應義塾大学4年 山本アンナ

北島麗音

戸田恵梨香 11ヵ月にわたる撮影期間は新しい挑戦。連続テレビ小説への出演...

<プロフィール>戸田 恵梨香(とだえりか) 1988年生まれ。兵庫県出身。ドラマ「エンジン」、「野ブタ。をプロデュース」で注目を浴び、『デスノート』で映画デビュー。「SPEC」「コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―」「大恋愛~僕を忘れる君と」などに出演。NHK連続テレビ小説「スカーレット」ヒロイン好演中。 連続テレビ小説「スカーレット」に出演することが決まったときのお気持ちは?  出演のお話をいただいたのが昨年(2018年)の8月ごろで、内容もどういう役をやるかもわからなかったのですが、ちょうど8月に30歳を迎え、それを機に20代でもやもやしていたことを断捨離すると決めていました。「断捨離」といっても大事なものは持ち続けていますが、余分に持ち過ぎてしまった「物」や「思い」を捨ててみたときに、心のゆとりができて自分の中に空間ができました。そのタイミングで、朝ドラのヒロインのオファーをいただいて、心にすぅっと入ってきました 。 “朝ドラ”への挑戦の恐怖はなかったですか?  恐怖心はあまりなかったです。とにかく自分の興味が一番強かったですね。今までドラマや映画など一つの作品に1ヵ月~3ヵ月半携わっていて、どの作品も濃厚かつ濃密な時間を過ごしてきました。場数をふむことによって、実力や精神は成長すると思っていたけど、このお話をいただいたときに考えが変わりました。11ヵ月同じ役を演じられるってこんなぜいたくなことはないし、演じきったときに自分の成長する幅や質はものすごく大きいんじゃないかと感じて、やるしかないと決意しました。 放送を楽しみにしている方々へのメッセージを。  喜美子は本当に元気で、関わっている人たちすべてを笑顔にする、頼りにされるような存在です。また人に対して懐が深くて、愛情が本当に深い人です。たくさんの壁にぶつかりますが、喜美子がどう自分の中で答えを出していくのかが見どころだと思います。みなさんに元気を与えられる作品になっていると思いますので、ぜひお楽しみに! 学生新聞2019年10月31日号より (文教大学1年 北島麗音)

小川淑生

福原遥 誰かの心を動かすために、後悔をしないために、芝居も歌もダンス...

<プロフィール> 福原遥 (ふくはらはるか) 1998年8月28日生まれ。2016年に「グッドモーニング・コール」で主演を務める。「もしもツアーズ」レギュラー出演。2019年は、ドラマ「3年A組」、『4月の君、スピカ。』、映画『賭ケグルイ』に出演。さらに「コーヒー&バニラ」で主演を務め、「CHEAT」に出演中。 『羊とオオカミの恋と殺人』に主演した感想を。  いつか殺人鬼を演じてみたかったので嬉しかったです。原作の「穴殺人」を読んだとき、一見理解しがたい奇妙な恋愛観や2人がどんどん惹かれ合い愛し合っていく姿がとても美しく衝撃を受けました。撮影現場で創り出された2人だけの独特の世界観にも感銘を受けました。この作品から愛というものの尊さ、美しさを感じ取っていただけたら嬉しいです。 芸能界を走り続けるモチベーションとは。  毎回新しいことに挑戦できますし、自分が想像できない世界を見ることができて楽しいです。お芝居がすごく楽しいけど、その反面、実は悔しいと思うことも多いので、それが続けたいと思う一つの理由になっていると思います。落ち込むことがあっても、「よかったよ」「もっと見たい」と温かい感想をいただくと、こんなんで負けてたまるかって思う。負けず嫌いなのかもしれません。  私、子供の頃からエンタメが好きで、テレビや映画を見るたびに、刺激やパワー、勇気をもらっていました。私が表現したことが少しでも誰かの心に刺されば嬉しいなと思っています。 大学生へのメッセージをお願いします。  諦めないでください。自分がやりたいことに対して、自分にはできないかもって思わずに、めげずに続ける根性、ブレない気持ちを持つことは大事だと思います。  私は安心、満足しないようにしていますね。自分自身に対して「悔しい」と思うことが成長のきっかけになるし、後悔したくないので、前に進もうという、気持ちを絶対に持ち続けていようと思っています。 学生新聞2019年10月31日号より (慶応義塾大学4年 小川淑生) (東洋大学1年 萱沼祐希、文教大学1年 北島麗音、駒沢大学3年 安齋英希、専修大学3年 山崎蓮、日本大学4年 山下充良太、慶応義塾大学4年 小川淑生) 写真撮影:プロカメラマン 広田成太

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ナオト・インティライミ 僕の夢は折れない。 動き続けて必ずキャッチする

<プロフィール> ナオト・インティライミ 三重県生まれ、千葉県育ち。 世界66ヵ国を一人で渡り歩き、各地でLIVEを実施。2010年にメジャーデビュー。2012年にはNHK紅白歌合戦に初出場。2018年末には約3年ぶりのドーム公演をナゴヤドームにて開催。2019年9月から全国31公演のホールツアーを開催。 メジャーデビュー後、単身世界28ヵ国を訪ねる旅にでかけ、その途上でパレスチナのアラファト議長と語り合い、エジプトではプロサッカー選手にスカウトされるなど、様々な経験を重ねて、いまやドームを満員にするアーティストとして知られるナオト・インティライミさんに、どんな学生時代を過ごしたか、そして若い世代へ向けたメッセージを伺った。 充実した大学時代  大学の4年間はめちゃくちゃ充実していました。入学から卒業まで、今と同じくらい忙しかった。音楽、サッカー、勉強、遊びの4つを120%の力でやった4年間だったかもしれない。激しく生き急いでいたというか、現在に至る下地を作っていました。  小学校から高校までは、周りに支えてくれる人もいて、レールが敷かれ、やるべきことが与えられていたと思うんです。だけど大学に入ってからは完全に個人戦だと思いました。  誰に言われたわけではないのですが、自分でそう感じたんでしょうね。頑張って何かが動き出したら自分のおかげだし、何にも起こせなくて充実していなかったら、それも自分のせい。将来は大学時代に決まると思って、入学式から激しく動いていました。音楽の仲間を作ったり、自分の曲を作ったり、曲を入れたテープを売っていました。15曲入り300円のテープを。それを人に聞かせたら、いいじゃんこれ、えー300円? 安い、じゃあ買うって言ってくれて、花見、新歓、コンパで300本売りました。ここからだなと、何かが始まった感覚はありましたね。 夢は折れない。夢は叶える  これはいわゆる根拠のない自信ですが、自分の夢は折れない、必ず実現すると学生時代からずっと思っていました。  ただし、1回心が折れています。大学4年生の時にソニーからデビューして、1枚アルバムを出しましたが、全く売れず事務所が潰れました。8ヵ月間、一人暮らしの家に引きこもっていました。でも、ワールドツアーをしたいという夢があった。今はこんなんだけど10年後に笑っていたらいいんでしょ、と思っていました。その夢があったので、全財産を握りしめて海外に行きました。その経験も、再度メジャーデビューしたときに役立っていると思います。 音楽を作るとき  基本的には24時間365日アンテナが立っていて、この言葉面白いなとか、ふと言葉が浮かんだらメモにして、パッとメロディーが浮かんだ時はボイスメモに入れたりすることを癖のようにしていました。いろいろな経験のおかげでアイデアは飽和するくらいにあふれていて、それをこなす時間がないくらいです。  海外の人と仕事をし始めてからは、ゼロから作ってその場で歌入れしちゃうみたいな海外のやり方を最近は取り入れています。難しい方法なのですが、この歳になっていろいろな経験を積み重ねてきて、逆にそれが自分に向いているんだなと気づきました。今はそっちの方が多いですね。共同アレンジャーと作業場に入って、何もないところから歌入れまでを1日で行います。 大学生に想像してほしいこと  たとえば、大学3年生の秋になってスーツを着て就活を始めて、その時に慌てて自分が何をやりたいかを考え始めていたら、圧倒的に遅いと思うんです。あっという間に大学3年生の秋は来るわけで、その間に動き出している人もいるけど、大半はなかなかそこに気づけず、説明会に行くようになって初めて自分と向き合う。結局、第1志望の会社に受かるのは本当に一握り。なんとなく就職してなんとなく日々をこなしていくっていう人生はもったいないんじゃないかな。自分のために今日からでも動き始めてほしい。  それから、今の若い世代には携帯電話との向き合い方を考えてほしい。これは本当に大きく差が出るところだと思います。1日に6~7時間携帯を触っているという新聞記事がありましたが、計算すると1年のうちの3ヵ月、下を向いて生きていることになる。自分の意思がないと、なんとなくネットサーフィンをしたり、自分のやりたいことと関係ない誰かのインスタの写真を見たり、無駄な情報に時間を費やしてしまう。80年間生きるとして20年間丸々下を向いていたとしたらそれはどうなのか。下を向いていたら誰かが撮った動画の流れ星は見えても、自分のあの流れ星、かけがえのない流れ星には一生たどり着けない。  携帯をいじる時間は半分に減らせます。たとえば、電車待ちの10分や信号待ちの30秒にただ習慣として携帯をポケットから取り出しても、そこには意思がない。それをしなければ、自分の過去と現在と未来に思いを馳せる時間になったり、あいつ何しているかな、ちょっと会いたいなと誰かを思う素敵な時間にもなり得ます。けれど、よく知りもしない誰かがどこかに遊びに行った写真やラーメンの写真をスワイプしていても、自分のやりたいこと、幸せで豊かな自分の人生には一歩も近づかない。携帯に支配されず、自分の意思を持って道具を使いこなせるかどうか、これはすごく大事なことだと思います。 学生新聞2019年10月31日号より (東洋大学1年 萱沼祐希) 写真撮影:プロカメラマン 広田成太 <英文記事> Naoto Inti Raymi  My dream will never break. I’ll keep moving and always catch it.  ■Profile: Born in Mie Prefecture and raised in Chiba Prefecture. He has traveled to 66 countries worldwide and performed LIVE in various locations. In 2010, he...

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株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングス人財開発チームリー...

食を通じてお客様に笑顔を届ける ■プロフィール 学生時代にアルバイトとして飲食業に携わる。新卒でIT企業に入社するも、飲食のやりがいを忘れられず早期退職し、旧アルバイト先で正社員としてリスタート。以後は、飲食業ひとすじ。2005年より人事部に従事。 和食、中華、エスニックなど多岐にわたる店舗を経営するクリエイト・レストランツグループ。1016店舗、263ブランドを展開する飲食業界の雄に、事業の展望と仕事の魅力をうかがった。 ■飲食業界の特徴と将来性についてお聞かせください  飲食業界において、まずは食を通じてお客様に喜んでいただくことが不変の真理としてあります。美味しいお料理を作り、味わってもらい、素敵なおもてなしをする。この点は、飲食業界各社が取り組んでいることだと思います。  例えば、石油や原子力といったエネルギー技術などは、他のものに変わってしまうことがありえます。しかし、「食」は人間生活においてなくなることはありません。つまりこの業界が淘汰されることはないわけです。近年問題となっている少子高齢化による影響も懸念されていますが、人口減に伴って多少規模が小さくなるとしても、消滅することはありません。  ITの分野で技術改革が進んでおり、飲食業界でもこれらとうまく付き合っていくことが大切になるでしょう。世の中の変化に対応していく会社が生き残ります。そのとき要となるのは「開発力」。変化に応じて商品やサービスを開発し、世の中に発信していく必要があります。 ■この業界の魅力を教えてください  まず、働いている従業員にとっての魅力は、消費者から直接フィードバックをいただけること。美味しい料理を作り、お客様をもてなし、喜んでいただいた声が本人に直接届くのはかけがえのない喜びです。  経営の視点から見ると、新規の参入がしやすいことでしょうか。美味しいものを作る技術が身につけば、個人でも起業できる。他の業界に比べて、一旗あげやすいことでしょう。 ■どんな学生を採りたいですか?  外食産業は現場にすべてがつまっています。現場でお客様のニーズがつかめなければ、商品や店舗の開発もできないので、まずはお店で働くことに魅力を感じている人を採りたいと思います。  知識や資格はとくに関係なく、文系理系も問いません。グループミッションに共感してくれる人、仲間を大切にできる人、自ら考えて挑戦ができる人、外食産業で働いていきたいという気持ちと覚悟がある人、お店で料理を作ること、お客様をもてなすことが好きな人を求めています。 ■学生に対して御社をアピールするとしたら?  外食産業で働きたい人にとっては、いろいろなことができる会社です。店舗の様態もチェーンの店から専門店までと幅広く、飲食業でプロになりたいという人にとっても、専門的技術を身につけられるよき学び舎になると思います。分野は和食、中華、イタリアン、またレストランやフードコートなどいろいろあります。それぞれの店で美味しい賄いが食べられ、基本的に2割引でお店が利用できるなど、ちょっとした喜びが積み重なる、いい環境になっていると思います。 ■大学生へのメッセージをお願いします  学生時代の友人は一生の友なので交友関係を広げること、また海外や国内のなかなか行けない場所へ行って自分探しをしたり、何が自分にとって楽しいのかを自分自身と向き合って探してみてください。仮に見つからなくてもいい。向き合うことが大事です。先のことはわからないのですから、今やりたいことに、今ある情報で取り組んでみることです。目標や夢は変わってもいい。世間体を気にしない起業家は、成功する確率が高いと言います。スピードをもって、クリエイティブにチャレンジしていきましょう! 学生新聞2020年4月号 就活大作戦コーナー 専修大学3年 山崎 蓮

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森ビル株式会社 人事部部長 橋本茂一郎

街づくりを通して人と社会の幸せを創造する ■プロフィール 1991年森ビル株式会社入社。営業マーケティング部門、海外事業部門、上海駐在等を経て上海環球金融中心の開業、タウンマネジメントにも携わる。2011年より人事部に従事。 総合ディベロッパーとして、街づくりという規模の大きな事業を手がける森ビル。そこで求められるのはどのような人材か、伺ってきました。 ■まず業界全体の現状や将来の方向性を教えてください  現代は都市の時代です。人も企業も「磁力」ある都市に集まり、都市という舞台が新結合やイノベーションを促し、新しいアイディアやビジネスの源泉となっています。急激なグローバル化の中、国際都市間競争は熾烈化しており、日本経済のエンジンである首都・東京は、その競争に勝ち抜かなければなりません。  また、人工知能、バイオなどの最先端技術の進歩により、都市とライフスタイルが大きく変わりつつあります。未来に向けて、あらゆる可能性を考慮して、あるべき都市の姿を提案していかなければならないと考えています。 ■どのような人材を求めていらっしゃいますか?  まずは熱意をもって粘り強く成し遂げた経験があるかどうか、次にテーマをもって種種のことに取り組んできたかどうか、そして多様性を受容する力があるかどうかです。  2045年には、AIが全人類の知能を超えるとも言われています。もっと早くその時代はくるかもしれませんが、組織としては、どんな世の中になっても柔軟に対応できる力、変化し成長していく力が求められるので、多様な人材が必要になります。  我々は毎年名前後の方を新卒で採用していますが、いろいろな個性を持った人色の方々に入っていただくことで、互いの多様性を尊重しながら森ビルの将来を担ってもらいたいと考えています。 ■森ビルで働くことの魅力はどこにあるとお考えですか  好きなこと、興味があることを仕事にできることです。森ビルといえば六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなどに関わる仕事がまず頭に浮かぶと思います。こういった一つの街をつくるためには、地道な地権者交渉や行政交渉から企画・設計、建築工事、営業というように、一部に関わるのではなくトータルなマネジメントが必要です。また、街ができあがった後も、街の魅力を維持するために、街の魅力や磁力を高めるべく、タウンマネジメントという独自の仕組みを生み出し、ヒルズを舞台に実践してきました。「都市を創り、都市を育む」という仕事を一気通貫で行ってきた森ビルの仕事は、関わる領域が非常に幅広い。だからこそ、森ビルの中には、必ず自分のやりたい仕事があります。視野を広げるため、また自分の可能性を広げるため、いろんな仕事を経験するジョブローテーション制度もあります。  手掛けた街づくりが実際にお客様の人生に関わり、その方の人生の楽しいこと、うれしいことが展開されるのを目の当たりにできる、たまらなく幸せな仕事だと思います。 ■大学生に対するメッセージをお聞かせください  大規模複合再開発、街づくりの仕事は時間がかかります。焦らず粘り強く取り組むことが大切で、かついろいろな分野に関わるので、常にアンテナをはって取り組んでいくことが求められます。また不確実性の高い時代を乗り越えていけるような素養も必要になっていきます。人間の幅、人間力を身につけてほしいですね。人間力=個性かもしれません。個性とは特別なものを植え付けることではなく、何かに一生懸命取り組み、その中で自分を見つめ磨くことで身につくものだと思います。就職活動で必要だからという逆算の発想ではなくて、将来の自分にとって必要なことなんだと考えて取り組んでほしいです。きっとそういう方は社会に出ても活躍するだろうし、輝くと思います。 学生新聞2020年4月号 就活大作戦コーナー 日本大学 3年 向後 柊  

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アクセンチュア株式会社 人事部リクルーティング 髙畑早希

先端テクノロジーの知見を武器に、企業のビジネス変革を支援する ■プロフィール ロンドン大学大学院ビジネススクールを修了後、日系メーカーに新卒入社し、採用・研修業務を経験。アクセンチュアに転職後は、一貫して新卒採用業務に従事。2018年に産休・育休を取得し、2019年に復職。2020年より新卒採用統括。  最先端のITテクノロジーに精通し、それらを活かしながら企業の課題を解決していく会社がアクセンチュア株式会社。1秒ごとに変化していく業界で働くことの面白さ、求められる人材について伺いました。 ■IT業界の特徴と将来性について教えてください  アクセンチュアは創業以来、50年以上に渡り、テクノロジーを活かしてお客様である企業や公的機関のビジネスを変革する支援をしてきました。今でこそビジネスにおけるテクノロジーの重要性は認識されテクノロジーサービスに力を入れる企業も増えていますが、私たちが世界中にアンテナをはって蓄積してきた先端テクノロジーを活かす力は一朝一夕に持てるものではないと自負しています。そして、この最先端のテクノロジーの知見を武器にして、お客様の課題を解決し、成長を支援するのが使命です。テクノロジーの進化のスピードについていくのは並大抵のことではありませんから、世界の市場で戦う企業はこれからもテクノロジーでビジネスを変えるための支援を必要としていくでしょう。 国内大手企業やグローバル企業といったお客様が実現する成果を通して、世の中に大きなインパクトを与えられるという面白さがあります。 ■アクセンチュアで働くことの魅力は何でしょう  入社した年目から、難しい仕事にチャレンジしてもらいます(笑)。これは、〝つねに少し背伸びをして仕事をする環境〞が全員に与えられている、ということです。年目からチームのリーダーを任されることもあります。日々、新しい知識・スキル無くしては太刀打ちできないような仕事に挑戦してもらいたいと思っています。 この、〝つねに背伸びをしなくてはいけない環境〞があるからこそ、成長スピードが速いんです。そんな成長スピードを楽しむことができる人が、アクセンチュアの将来を担う人になると思います。 上司、そしてキャリアカウンセラーという業務上の上司とは別にキャリアについて相談に乗ってくれる先輩とのコミュニケーションの機会も頻繁にあります。自分が興味を持っていることを聞いてくれたり、働きやすい環境作りにも積極的に動いてくれる会社です。ただ、待っていても欲しいものが手に入るわけではないので、自分から主体的に考え行動する姿勢が必要です。 自分のやりたい仕事に耳を傾けてくれる人がいて、成長のチャンスを与えてくれる。そして自分の成長が、アクセンチュアの力につながり、お客様のためにもなり、社会を変革していく種となっていきます。自分らしく、自分のために働きながらも、人や社会への貢献につながっていくというのは、働くうえで理想のスタイルではないでしょうか。 ■どんな学生を採用したいとお考えですか  お客様の変革を支援することが仕事ですが、お客様の置かれた状況や目指す姿などはそれぞれ異なるため、一つとして同じプロジェクトはなく毎回変わります。ですので、そういった変化を受け止めて楽しめる人に来てもらいたいです。それは、自分自身を変えていくことに貪欲であるということも含まれています。 ■大学生へのメッセージをお願いします  自分がやりたいことを自分で選べるということは実はすごいことです。しかし、そのためには自分自身をよく理解する必要があります。どんなことに喜びを感じるのか、どんなときに前向きな気持ちになるのか、直感を大事にしてほしいですね。またいろんな人と接点をもつと自分の世界が広がります。面接官とのコミュニケーションも、自分とどう考え方が違うのかという視点をもって、価値観の違いを楽しむくらいの意気込みで挑んでください。 学生新聞2020年4月号 東洋大学1年 萱沼祐希

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株式会社IDOM 人事チーム チームリーダー 木岡竜一

100年に1度の大変革の時代を、ビジネスチャンスに変える ■プロフィール 2004年に新卒で入社ののち店舗営業にて、店長まで経験。そののち本社へと異動しFC事業推進、海外事業部などを経て、現在は人事チームチームリーダー兼、経営戦略室メンバーとして従事。 ガリバーを始め、全国に約500店舗を展開する自動車販売業最大手のIDOM(いどむ)。2016年に現在の社名に変更して新たなステージを目指す同社に、業界の魅力と学生への期待を伺った。 ■自動車販売業界の特徴と魅力をお聞かせください  現在、自動車業界に「100年に1度の大変革」が起きようとしています。車は購入するという「所有」の時代からカーシェアやサブスクリプションなど、「利用、共有」の時代に広がっていくことが特徴ですね。それは激動の荒波に直面することを意味しますから、そこに対応していくのが業界のこれからの面白さです。 また、この業界は参入企業数がたいへん多く、最大手の当社ですらシェアは一桁です。現状のビジネスにおいてもまだ伸びしろはあるでしょうし、いまはまだ見えていないビジネスの空白領域もあるでしょう。これからは社会、お客様に対して、車にまつわるさまざまな提案をして行きたい。そうすることで選択肢が増え、そこにビジネスチャンスが生まれると思っています。 このように明確な将来像が見えていないということは、つまり自分たちで新しい業界、仕事のあり方を創っていくことができるということです。ですから、働いている人全員が主役になりうるのです。 また販売、小売という仕事はお客様との関係性が深められるのも魅力で、何百万円も支払ったお客様から、逆に「ありがとう」と言われます。お客様に名前を覚えてもらえる、「あなたから買いたい、あなただから買った」と言われる。この嬉しさを知ってしまったらもうやめられません。 ■どのような人材を求めていますか  自主性だけでなく「主体性」を持って、自ら物事に取り組もうとする人材を求めています。それから、自分の可能性を信じている人。 そういった人材になるためにも、大学生の皆さんには今のうちにさまざまなことを経験して欲しいと思います。いろいろなことを経験して、人と人には価値観の違いがあるということを知り、さまざまな価値観を受け止める準備をしておいてほしいと思います。そのことが、お客様への対応やコミュニケーションの質をあげることに繋がります。 当社では、入社時にどんな職種を希望していても、必ず店舗勤務を経験してもらいます。そこでお客様にどのように接したら喜ばれ、どんな提案に興味をもってもらえるか、あるいは何をしたらクレームにつながるのかを知ってもらうなど、まずは実態を捉える機会を提供しています。どんなサービスでも、お客様に受け入れられないものは先がない。店舗勤務を原体験として、次のフェーズに進んでもらいます。 また、社員に対しては「この会社の経営者であるという意識で仕事をしてください」と伝えています。会社は一人ひとりの社員にとって「、自分の場」であるということです。社内の文化として「議論の前では平等」という言葉があります。誰であろうとどんどん提案して、言わなければいけないことは言うといったことを推進するためです。 ■大学生へのメッセージをいただけますか  受験を除けば、就活は初めて社会から諾否を出される難関ですが、就活に成功や失敗といった「結果」はありません。その後の就労あるいは転職など、人生を過ごしていく通過点に過ぎない。就活で何かが決まるとは思わないでください。当社のトップセールスは4年連続女性ですが、たとえば事務志望だった人が営業で大活躍している。自分の可能性を信じ、自分を肯定していただきたいと思います。 学生新聞2020年4月号 文教大学1年 北島麗音

北島麗音

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 代表取締役最高経営責任者(C...

人々の生活に活力と潤いと居心地の良いサードプレイスを ■プロフィール 上智大学卒。イタリア ボッコーニ大学経営学修士課程修了(MBA)。LVJ グループ株式会社 ロエベ ジャパンカンパニー プレジデント& CEO を経て、2014 年、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社入社。最高執行責任者(COO)就任。2016年 6 月より現職に就任し、日本市場をリード。 昨年、全国の店舗数が1500店を超えたスターバックス。人々の暮らしの中に溶 け込み、新しい価値を生み出してきた背景には、人を大切にする文化があった。 グローバル企業のブランド価値を高めることに手腕を発揮してきた水口CEO が、どのような姿勢でスターバックス経営に臨んでいるのか、お話を伺った。  大学の部活は体育会系のゴルフ部に所属していました。就職を間近に控えた時、自分はどんな生き方をしたいのか、といったことを真面目に考えるようになりました。そこで自分を見つめ直すため、アメリカに旅立ったんです。滞在期間は2ヵ月でした。 日本に帰ってきて就職を考えたのですが、日本企業はしがらみがある印象だったので、 外資系のコンサル会社に就職、自分がやりたいことを見つけたくて、夢中になって働きました。そこで思ったのは、「何かを感じたら、一歩踏み出してみる。そこから何かが学べる」ということです。 ■スターバックスの社会性に共感 前の会社に勤めていたとき、そのお客さんだったスターバ ックスの前CEO、関根さんから、「うちの社長にならないか」と誘われたのがスターバックスとの縁の始まりです。 入社を決めた理由は、スターバックスが大事にしている社会性です。 利益はあげていかなければいけないけれど、そこにはステークホルダーがいて、お客様がいて、スタッフがいるという視点がきちんとある。そして、社会貢献が出来ること。各店舗の周辺地域に貢献活動をしていることも魅力だと感じました。 それまでとまったく違う業界に入ることになり、人脈のネットワークがなくて大変でしたが、新しい人脈が次々とできることが楽しかったですね。 ■すばらしいパートナーたちを支えるスキル  この会社はいい人がすごく多いんです。人のために何かをすることに喜びを感じるパートナー(従業員)ばかりなので、とても空間の心地が良いですね。全国1581店舗、約4万人のパートナーが自分のことのように働いてくれています。 1店舗1店舗がそれぞれのビジョンを作っていて、思いを持って仕事をしています。このすばらしい人たちをちゃんとした方向へ導くことに対して責任を感じています。 パートナー全員に伝えている、「スタースキル」と呼んでいるものを紹介しようと思います。①人の話をちゃんと聞く、②自分に自信を持つ、③困ったら助けを求めて聞く。 これはコミュニケーションを円滑にする秘訣で、この3つが揃えば、コミュニケーションはきちんと回ります。 ■自分を持っている人と働きたい  私は、創業者ハワード・シ ュルツの「働く人を大切に、一緒に働いている人たちがどう感じるか?」という考え方に共感しています。パートナーのみんなを引っ張っていく者として、何か意思決定を行わなければならない時は、店舗に行き、パートナーからエネルギーをもらって決めるようにしています。仕事のエネルギーをいちばんもらっているのはパートナーからです。 私は、人間力が高い人と一緒に働きたい。例えば、自分を持っている人、考える力がある人。間違っていてもいいから自分の意見を言える、好奇心旺盛でチャレンジする人に仲間になって欲しい。特に、人として尊敬できる人や、相手のことを考えられる人がいいですね。 商売は一人ではできないし、一人の力は小さい。チームで動いて、その力を大きくすることが大事です。働く人たちが自分の想いをこめながら、どう動けるかという環境作りが必要で、これからはそれを実現するリーダーがもっと必要とされてくるのではないでしょうか。 ■ミッションをどのように実現していくか  私たちのミッションは、毎日全国の店舗に来られる80万人のお客様に寄り添い、出来るだけ多くのお客様に元気になって帰ってもらうことです。ハッピーは人とのつながりで 生まれてくるものだと思います。もちろん、これから OurMission & Values の届け方は変わってきます。デジタルと融合させたサービス展開や、地域に根付いた成長を考えるべきです。また、もっと多様な人に働いて欲しいので、同じ付加価値を提供するにも方法をシンプルにしていかなくてはいけないと思っています。 ■message  今 、自分がやりたいことは何だろうと考えて、分からなかったらそれでもい い。分からない自分を責めないこと。見つからないなら、ちょっとでも自分が興味のあること、やってみたいことに一歩踏み出す。何でもいい、思いっきりやってみて、違ったと思ったら、そこから学んだことを活かしてまた次のことにチャレンジしてみる。何もせずに、踏み出さないことが一番のリスク。立ち止まらずに、やることが大事です。 まだまだこれから何でもできる。自分は何でもできると信じきることができれば、いつでもスタートできる。変化に富んだ面白い時代に生きているのですから、リスクと捉えるのではなく、チャンスだと思って挑戦してみてください。皆さんが無限の可能性を持っていることを感じてほしいと思います。 学生新聞2020年10月号 文教大学2年 北島麗音 / 専修大学4年 石岡慶也

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株式会社オークローンマーケティング 代表取締役会長兼社長 ロバート・W...

仕事を成功させるには 実力と運、そして高い志が必要 株式会社オークローンマーケティング 代表取締役会長兼社長 ロバート・W・ローチ 米国イリノイ州出身。1983年南山大学日本研究センターの交換留学生として来日し、1986年法学部の研究生として再来日。1985年、イリノイ州立大学で経済学、日本学の学士号を取得し、1988年、デンバー大学ロースクールで法学位を取得。1993年、中村規脩と株式会社オークローンマーケティングを共同設立し、現在に至る。 テレビ通販でおなじみの「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティング社。代表取締役会長兼社長のローチ氏は、交換留学生で来日した苦労人だった。しかし、持ち前の柔軟な思考とクリエイティブな発想で会社を大きくしていった。ローチ氏の成功哲学を聞いた。 私はアメリカの州立大学に通い、名古屋にある南山大学の交換留学生として来日しました。そして、州立大学を卒業したのち南山大学に再度来日し、法学の勉強をして、その後、デンバー大学ロースクールを卒業して弁護士になりました。今思えば結構大変な学生生活でした。学費も自分で払っており、大学生になった頃には、自分の力でビジネスを立ち上げることを目指していました。 オークローンマーケティング社は、25年前に創設し、現在は子会社を含め50社以上の企業に携わっています。しかし、ここまで順風満帆にきたわけではなく、初めは失敗も多かったのです。日本でビジネスをスタートしたばかりのころは、口座を持っていないことを理由に取引ができなかったという経験もあります。このようなさまざまな失敗を糧にしながら成長してきました。 私は昔から、日本の良いところとアメリカの良いところを伝える仕事をしたかったので、両者の良いところだけを取り入れ、悪いところは反映させない、ハイブリッド型の会社を築いています。たとえば、社員各自に決まった席はなく、自由にどこに座って仕事をしてもいいというフリーアドレス制を導入したり、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるように、ドメスティックな環境にはしないようにしています。 多様性を受け入れ 共感性を持つことが大切 私が社員として必要とし、一緒に働きたいと思う人は、多様性を認める人です。たとえば、海外への留学経験がある人や外国語が話せる人は、他の国の言葉を勉強することで共感性が高くなり、柔軟な思考の持ち主になります。また、自分の考えを持っており、何故そう思ったのか理由も明確に説明できる人(勘ではなくデータを照らし合わせる人)です。そして、ココぞ! というときに使える実力と運を持っている人が良いですね。成功というのは実力も必要だけれど、ときとして運もなければならない。運を掴むためには、共感性を持つことが大切だと思います。そのためには、日々のいろいろなことを吸収する必要があります。 人生は一度きりだから  自分に合う仕事を探す 若いうちから高い志、目標を持つことをお勧めします。どんな小さなことでも構いません。これは私の息子の話になりますが、彼も大学生の頃、将来の目標が定まっていませんでした。息子には弁護士資格を取れば好きなことをしてもいいと言っていました。それは、アメリカでは弁護士とビジネスが両立するからです。やりたいことが決まっていないのであれば、弁護士資格を持っていると後々ビジネスをする上で有利になると助言しました。 当社の社員には、本人が挑戦したいと思う仕事をできるだけ経験してもらいたいと思っています。当社には、多種多様な部署があり、同じ部署に在籍し続けることもできますが、部署の異動の機会もあります。新入社員の中には、入社後3年で3回部署移動したものもいて、自分に合ったキャリアを探すことができます。このような仕組みにしているのは、人生は一度きりしかないためで、今の仕事に違和感があったり別の仕事に挑戦したいと思ったら次のステージに進んでほしいと思うからです。生活と仕事は一緒ですよ! 今でも私は社内を周り、社員との距離を縮めています。毎年仕事始めに社員と一対一のミーティングをしています。話す内容はさまざまですが、個人のキャリアプランについてアドバイスをすることもあります。たとえば、起業したい人がいれば、私はいつでもアドバイスできる体勢を作っています。これからの時代は、最初に入った会社で生涯働くということ以外に、選択肢がどんどん広がっています。 大学生へのメッセージ 人生100年時代と言われる今、自分の好きなことをした方が良いです。仕事のためのシゴトはしなくていいと思います。そして、第一歩が大事です。これから就職活動をする学生の皆さんには、企業の業務や理念を研究して詳細を知り、入りたいなら全力でアピールをするべきです。人に頼らず、自分の力で自分を売る、ということです。私自身も新たなビジネス展開など、常にチャンレンジしていたいと思っています。 学生新聞2019年10月31日号より(駒沢大学3年 安齋英希/早稲田大学2年 森泉朝陽)

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株式会社日能研関東 代表取締役社長 小嶋 隆

空想、創造、妄想力を鍛えよう! 便利な時代の大切な能力 株式会社日能研関東 代表取締役社長 小嶋 隆(こじま たかし) 1968年横浜市生まれ。中学・高校・大学を成城学園に学ぶ。大学卒業後、富士銀行勤務を経て㈱日能研関東取締役副社長に就任。株式会社三和総合研究所に出向し、コンサルティング業務を担当。2006年6月㈱日能研関東代表取締役社長に就任、現在に至る。その後㈱ガウディア・私立学校奨学支援保険サービス㈱・㈱私学妙案研究所を設立し、いずれも代表を務める。 父親が創業した会社にあえて入らず、他社に就職。自分の好きではない分野に挑戦し、その間、培ったアイデアを持ち帰り、本業に活かすことを考える。教育においてはAI化による受験指導を憂い、生徒と教師のつながりを大切にする人間力による教育を説く、小嶋社長の夢と喜びとは――。 学生時代は、バイトと部活のゴルフに明け暮れていました。ちょうど世の中がバブルの時代だったので、羽振りがよかったですね。キャディーをやるだけで結構なアルバイト代がもらえて、そのまま練習もできて、更にゴルフ券までもらえたんです。いい時代を生きましたね。 「好きじゃない方」を選択し、発見を得る  日能研は父が創業した会社ですが、私はファーストキャリアには選びませんでした。もっとも、いつかは戻れると思っていたので、自分のキャラじゃない分野、好きじゃないものに挑戦してみようと思い、銀行に就職しました。8年ほど銀行・総研など金融機関にいて、いろんな業種の話を聞くことで、日能研という会社が、実にいい資産を持っていることに気がつきました。「やる・やらない」「できる・できない」はさておき、物事を考えることが好きで、日能研でこんなことができるのではないか? と日々アイデアを書き留めていました。それで、時期を見て、父に戻りたいと伝えて日能研に戻らせてもらったのです。  私は、最初から日能研へ就職していたら、新しい発見はなかったと思います。たとえば、サークルの飲み会でも、普段あまり接点がない人と話すようにします。好きなものにはいつでもすぐに戻れるから、あえて好きじゃないものを選ぶという発想を大事にしています。  休日はゴルフや筋トレをしていることが多いのですが、その他にも、いわゆる「流行のもの」を体験することも多いです。食べ物、映画、本、アプリ、ライブ、観光スポットなど。世の中で流行っているということは、そこに何かしらの理由があるわけです。そのヒットの秘訣を見つけ出し、「自分が応用するならこうかな」なんて考えたりする。これって、ビジネス上、そして生きていく上でも大事なことだと思っています。  何より、楽しいですしね。私は、考えることが大好きなんですよ。こんな風に(ネタ帳を出しながら)、面白いと感じたことをメモしたり、写真を撮ったり、スクラップしたりして、その脇に「日能研でこうやって応用できる」ってメモを残しているんです。  日能研の特色は、「中学受験しかやっていない」という点です。中学・高校・大学受験の全てに進出する塾が多い中で、我々はこれまで中学受験しかやってきませんでした。今後もやるつもりはありません。  他社は、万が一生徒が中学受験に失敗しても、高校受験・大学受験コースで教え続けることができるのですが、弊社にはそれができません。中学受験一発勝負。そういう意味では、ビジネス的には大きなリスクをとっているのかもしれません。しかし、裏を返せば、それくらいの覚悟で やっているということです。  ではなぜ、そのような決断をしているのか。それは、リソースを分散させたくないからです。いろいろ展開してしまうと、中途半端になる箇所が出てきてしまう。だからこそ、いつまでもシンプルでいたいと思います。  仕事でも何でも、「何をしないか」を決めることが大切だと思います。その方が楽になります。 中学受験塾のAI化は成功しない  子どもたちが喜んでくれた瞬間、それこそが私たちの生きがいです。大きいことだと「行きたかった中学校に合格した!」とか、小さいことだと「難しい問題が解けた!」とか。そういう喜びって、生徒と面と向かって授業をしていなければ生まれないと思うんですよ。特に小学生などは、面と向かって授業して、時には頭を撫でて、大げさにでもほめてやる──。  そうやって授業をしないとダメだと思うんです。そういう意味で言うと、他の年齢・分野の教育はどうか分かりませんが、中学受験塾はAIに取って代わられることはないんじゃないかな。だって、生徒と教師とのつながりが命の業界ですから。 * message * 空想、想像、妄想。この3つのことを特に意識してほしい。便利な時代だからこそ、こういう能力が大切になってくると思うんです。空想、想像、妄想をして考える習慣がある人は、きっと仕事もできるし、人気者になれると思います。人間の考える力というのは凄いものなんですよ! 学生新聞2019年10月31日号より(慶應義塾大学4年 小川淑生)

学生新聞インターン

株式会社エボラブルアジア 代表取締役社長 吉村 英毅

考えるよりも先に行動する その方が最適な答えをつかめる 株式会社エボラブルアジア 代表取締役社長 吉村 英毅(よしむら ひでき) 1982年生まれ。大阪府箕面市出身。東京大学経済学部経営学科卒業。経営管理と金融工学を専攻。大学在学中に株式会社Valcom(2009年10月株式会社エボラブルアジアに吸収合併)を創業。2007年、株式会社エボラブルアジアを共同創業し、当社代表取締役社長に就任。2016年東証マザーズ、2017年東証1部に上場。2018年株式会社エアトリ(旧称、株式会社DeNAトラベル)代表取締役社長に就任。 ビル・ゲイツに憧れて、学生時代に起業した吉村社長。考えることよりも動くことを選び、次々と挑戦し、旅行業にたどり着く。大手にない工夫によって、格安チケットの販売に参入し、自分を取り巻く環境を変えていった。苦労をいとわないその信念について聞いてみた。 私が中学生の頃に、すでにマイクロソフト創業者のビル・ゲイツは時の人になっていました。私は、ビル・ゲイツに対して強い憧れがあったので、ビル・ゲイツ同様、「大学在学中に起業する」と中学生のときに決めていました。 当時は、「このビジネスがやりたい」というより「とにかく起業がしたい」というモチベーションでしたね。大学1~2年生の頃は、友人の会社でビジネスを学び、大学3年生の20歳で起業しました。最初は、学生の人材派遣やセールスプロモーションをやっていました。後に旅行業を始め、それが現在の「エアトリ」につながります。 三つの基準でビジネスを選ぶ  私はビジネスを選ぶ際に3つの基準を持っています。①今はニッチなビジネス。②今参入するとトップになれる。③外的な要因によって今後市場が拡大する可能性がある、この3つです。  たとえばエアトリの場合、この旅行ビジネスを始めた2007年当初、国内線の選択肢はJALとANAの2社しかありませんでした。だから、国内線の料金を比較する必要性が全くなかったのです。これが①と②。ところが、そこにLCC等の格安航空会社が参入にしたことによって、国内線の選択肢が2社から十数社にまで増えてしまい、料金を比較する必要性が生じたわけです。これが③の部分です。  企業買収をする際も、私は同じ基準で会社を見て買収するかどうか決めています。2ヵ月に1社は買収をしていて、買収した子会社は、1年で利益が3倍くらいまで伸びています。今、現在の子会社の数は、60社ぐらいです。  学生時代に起業した会社で一番苦労したことは、会社の資金繰りでしたね。特に、旅行業を始めてからしばらくは、本当に大変で、業種上「3日間だけ、5000万円足りない」みたいなことがよく起こるんです。4日後に入金があるけど、3日以内に払わないといけない、みたいなことが日常茶飯事でしたね。  この世界は、支払いの遅延が1回でもあると、信頼を失ってしまいます。なので、5500万円分の旅行を掛けで仕入れて、代理店に5000万円の現金払いで売る、みたいなことをよくやっていました。500万円の赤字になるんですけど、そこまでしてでも支払い事故は避けたかったんです。あとは、「朝4時まで、そのまま寝袋を使ってオフィスで寝て、朝8時から働く」という生活をしばらくしていました。これは体力的にはきつかったけれど、自分が好きでやっていたことなので、あまり辛いと思ったことはなかったですね。  弊社の戦略の特徴の一つは、OEM(相手先ブランド製造)です。たとえば、アスクルで「アスクル出張サービス」を始めてもらい、その運営はこちらでやるようなビジネスです。飛行機の価格比較サイトは、サイトごとに差別化が図りにくいので結局のところSEO(検索エンジン施策)勝負になってしまいます。なので、大きい会社に莫大なお金を使ってSEO対策をされると、太刀打ちができなくなってしまいます。そこでOEMを取り入れることにしました。具体的には、Tポイントカードと連携した旅行販売です。これが見事に当たりまして、エアトリの知名度が上がりました。 新しい景色が見たい。だから状況を変える  私は新しい景色が見たいのです。日本でいうと、孫正義さんがすごい景色を見ているんじゃないかな。私も孫さんと同じ景色を見てみたい。私にも過去には何回か景色が変わった瞬間がありまして、特に大きく変わったなぁと思ったときが3回あります。1回めは、資金繰りが楽になって金銭的余裕が出てきたとき。2回めは、2016年に上場して社会的に大きな信頼を得られたと実感したとき。3回めは、DeNAトラベルを買収したときです。その時々で、置かれている状況によって最優先事項が変わってくるんですが、そういう意味で、1回めの資金繰りから解放されたときは気持ちよかったです。2回めと3回めの上場、買収の後には、会える人が変わりましたね。それまで会いたくても会えなかった人が会ってくれるようになり、次第に取引先も広がっていきましたね。だから、今後、もっといい景色を見られるように頑張っていきます。 学生へのメッセージ 私は20歳から会社を経営していたため、就職する気はありませんでした。しかし、今の自分の価値を知りたくて、5社ほど就職試験を受けてみたんです。結果は、全社落ちました。そのとき分かったことは、不採用になってもそれは必ずしも能力や人間性を否定するものではないということです。なので、就活生の皆さんは結果が出なくてもめげずに頑張って欲しいですね。学生に一番伝えたいことは「早くやりたいことを見つけること」です。やりたいことを決めて、すぐに行動する。行動すれば成長します。結果的に回り道になってしまっても、それが最適解だと思います。だから、真っ先にやりたいことを見つけてください。 学生新聞2019年10月31日号より (慶應義塾大学4年 小川淑生)

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株式会社MS-Japan 代表取締役社長 有本 隆浩

考えている暇はない! 行動しなければ成功しない 株式会社MS-Japan 代表取締役社長 有本 隆浩(ありもと たかひろ) 1961年生まれ。大阪府出身。大学卒業後、株式会社リクルートを経て、28歳で株式会社日本MSセンター(現、株式会社MS-Japan)を設立し、代表取締役(現、代表取締役社長)に就任。1995年、業界ではいち早く人材紹介事業の許認可を取得し、管理部門特化型NO.1エージェントとして業界をリード。2016年12月マザーズに上場し、1年後の2017年12月に東証一部上場を果たす。 遊びまくっていた学生時代から一転、モノを売る営業の楽しさを知り、天性の営業力で人生を切り開いてきた有本社長。今の学生に伝えたいことは、まず行動すること。動いて失敗しても得るものがあり、それは必ず財産になるという。積極果敢な人生を送るための生き方の極意を聞いた。 考えている暇はない! 行動しなければ成功しない 私の学生時代は、とにかく遊びまくっていましたね。要領もよかったもので、2年生までにほとんどの単位を取っていましてね。それで、残りの2年間は遊ぶぞ! ということで、夏はサーフィン、冬はスキー、春と秋はテニス、常に麻雀。そんな日々でした。就職活動はほとんどしませんでしたね。説明会に行ったのは1回きりで、それも友人に連れて行かれたもの。某鉄道グループだったのですが、「うちのグループで上場している子会社を5社あげて」という人事に対して、「上場ってなんですか?」と聞き返していました。それくらい知識はなかったですし、就職意欲もありませんでした。 トップ営業マンと勝負 営業の天才誕生  しかしそんな中、とあるサンドイッチ屋に就職することになりましてね。これが人生の転機でした。まず任されたのが、百貨店でのワゴンセール。夕方に、値引きしたサンドイッチを売る仕事。これ、私の天職でして、山積みのサンドイッチを20分足らずで売り切っていました。どこの百貨店でも即完売となりまして、「すごい新人が来たぞ」と社内で話題になりました。そりゃそうなんですよ。だって、実家が商店でしたから。物心もつかないうちから、大人に物を売っていたんです。営業力じゃ他の連中に負けません。  とまぁ、こんな感じで営業の楽しさに目覚めまして、2社目に選んだのがリクルートでした。「社長に営業できる仕事」というキャッチフレーズに心を打たれ、「いろんな社長から経営のノウハウを学ぼう」という理由で転職しました。あ、そうそう、私、入社した日に勝負を挑んだんです。「この会社で一番売上を上げている営業マンは誰ですか?」と上司に聞き、その営業マンに電話をしました。「これから毎月、僕と売上で勝負しましょう」ってね。20代前半の若造が、日本一の営業会社のトップ営業マンに、入社初日に勝負を挑んだんです。そしてこの勝負、しっかりと勝ちました。あらゆる社内記録を塗り替え、日本一の営業会社のトップ営業マンになりました。  私は、本当に社長にしか会わなかったんですよ。20代前半の若造が、「社長じゃないと会いません」と、部長だろうが役員だろうが、社長じゃなきゃ駄目だと突っぱねる。だって、社長から経営を学ぶためにリクルートに入ったんですから。で、社長にアポがとれたら、夢を語らせるんです。2時間くらいかけて、じっくりと。それで最後に、「その夢を実現させましょう」と、商品を出す。その商品によって社長の夢が実現するという未来図を、明確に描かせるんです。で、最後に「経営者なら、今決断してください」とサインを迫る。これで九割は落ちていました。それでね、もう一つ秘訣があって、他の営業マンが180万円で売っている商品を、僕は1,000万円で売っていたんです。そりゃあトップになれますよね。単価が5倍以上違うんですから。 世界中の頭脳を変える 教育財団を作りたい  今後やりたいことですか……。うーん、財団を作りたいかな。実は、そのために上場したんですよ。人間の頭脳に革命を起こす財団を作りたいんです。人間って、脳みその10パーセントしか使えていないらしく、あのアインシュタインでさえ15パーセントしか使えていなかったとか。これって、教育のせいじゃないかなと思っています。世の中に溢れる知識を詰め込む教育によって、人間の脳みそのポテンシャルは死んでしまっているのではないか、と思うんです。だから、幼少期から徹底的に感性を鍛えて、脳みその20パーセントを使える人間が増えていけば、環境問題、核兵器問題、戦争など、世界レベルの問題が解決するんじゃないかと。最終的にはそういう教育機関を作るために財団を作りたい。そうして、僕の子ども、孫、ひ孫の世代が安心してこの地球に住んでいられるようにしたいですね。あとは、会社はまだ世に出ていないITやAIを駆使した、ビッグビジネスに取り掛かっています。 学生へのメッセージ  今の学生に伝えたいのは、「とにかく行動しろ」ということです。考えている時間なんてもったいない。考えて、頭でっかちになって、結局何も得られない。そんな人間には絶対にならないでください。失敗したっていい、結果的に遠回りになってしまってもいい。とにかく行動してください。そこで得られたものは、何にも代え難い財産になります。 学生新聞2019年10月31日号より(慶応義塾大学4年 小川淑生)