DAZNJapanInvestment合同会社 日本社長&マネージングディレクター 中村俊
好きなことに全力で、パッションを持ち続ける!
■プロフィール
海外も含め、15年以上の幅広い分野での事業経営経験を持つ。Perform在籍前は、再生可能エネルギー事業を推進する上場会社で社長兼CEOを務めていた。東京で三菱商事株式会社からキャリアを始め、11年後シリコンバレーへ移り、17年間の米国在住期間中にヒューレット・パッカード等さまざまな企業で勤務。
いつでも、どこでもスポーツ中継が観られる動画配信サービスDAZN(ダゾーン)。その日本社長を務めるのが中村俊氏だ。オーストラリアで学生時代を過ごした後、三菱商事などを経て、DAZN日本社長に就任した中村社長に、同サービスが始まった経緯や日本での展開、そしてずっと持ち続ける想いについて伺った。
父親の仕事の関係で、高校1年生のときに家族でオーストラリアのシドニーに引っ越して、現地の学校に通いました。日本に戻ってきたのは、シドニー大学でエンジニアリング学び、卒業した後です。新卒で総合商社の三菱商事に入社しました。当初は、「商社なのだから、海外を飛び回るような仕事ができるだろう」と想像していたのですが、これが全く違っていて、「これでは自分の思い描くような働き方はできないな」と徐々に感じるようになりました。そんな折に、知り合いからヘッドハンティングを受けたことを契機に、年間勤めた会社を辞め、アメリカのシリコンバレーへと拠点を移しました。
その後、17年間に渡って、アメリカでヒューレット・パッカードをはじめとした企業で勤務したり、仲間と一緒に事業を立ち上げたりと、様々なことをやった後、日本へと帰国して、事業再生などを手掛けるようになりました。ある日、広告代理店でスポーツ事業の統括責任者をやっていた弟からDAZNの紹介を受け、スポーツの仕事はやったことがなかったのですが、「未経験のことに挑戦したい」と、引き受けることにしました。
■ファンニーズに合わせてマーケティングを変更
事業そのものの準備は2015年9月にスタートしたのですが、当時はまだ会社の名前も決まっていなければ、会社もできていませんでした。最初は「DAZN」の発音すら認知されていませんでした。
DAZNの最大の強みは、動画配信サービスとしてスポーツに特化していること。そして、ファンが自分で好きな番組を選べるところです。地上波やケーブルテレビでもスポーツ配信は行われていますが、テレビ局が放映する番組を選ぶので視聴者は試合を選べない。でも、われわれのようにネットを使った中継サービスの場合は、開催されている無数の試合の中から、スポーツファンの方が自分で観たい試合を選べます。それが大きな特徴です。
しかし、すでにさまざまな動画配信サービスがあるなかで、認知度を上げるのは簡単ではありませんでした。そこで最初は、移動中でも居酒屋でもスマホなどで映像を見ることができるという利点を知ってもらうため、「いつでもどこでも試合が観られる」という点をアピールしていました。ただ、逆にそのアピールが「スマホやタブレットじゃないと観られない」という誤解を与えてしまい、認知度が高まるにつれて、スポーツ中継を大画面で観たいという人から、「早くテレビでも見られるようにしてほしい」という問い合わせが増えていきました。そこで、「自宅の大画面で好きなスポーツ中継がいつでも見られます!」という方向性へとマーケティングを変えていきました。
■忘れられない「DAZNありがとう!」の声援
いまだに忘れられないのが、約2年前にJリーグアウォーズというそのシーズンに活躍した選手や監督、クラブ、審判などを表彰するイベントのときの出来事です。私たちもフィールドにいて、表彰式に参加していたのですが、その際、観客席からファンの方の1人が「DAZN、ありがとう!」という声援をかけてくれたんですね。そのときは、「ああ、DAZNをやっていて良かったな」と強く感じました。
今後のDAZNの目標は、DAZNを「毎日観てもらえるサービス」に変えることです。現在は試合中継の際にDAZNを利用する人が大半だと思いますが、今後は、スポーツ関連のドキュメンタリーを作ったり、スポーツのニュース番組を作ったりするなどオリジナルのコンテンツを作ることで、より多くの人に、毎日DAZNというサービスに触れてもらえるようにしていきたいですね。
■message
近年の大学生は、就職する企業を選ぶ際に安定した仕事を選ぶ傾向が強まっていると聞きます。しかし、最初から「安定したい」といった考え方だと「、人生それで面白いのかな?」と私などは思ってしまいます。自分の人生の中で仕事に費やす時間は非常に長い。だからこそ、若いうちからリスクや失敗を恐れずに、自分の好きなことや、やりたいことにパッションを持って立ち向かうことを大切にしてほしいですね。そして私自身も、そうしたパッションを持った方とともに働きたいと考えています。
学生新聞2021年4月号別冊 日本大学3年 辻内海成
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