セルビア共和国 イヴァナ・ゴルボヴィッチ・ドゥボカ在京セルビア大使館臨時代理大使
プロフィール
イヴァナ・ゴルボヴィッチ・ドゥボカ
在京セルビア大使館臨時代理大使
1970年9月1日生まれ。
ベオグラード出身。ベオグラード大学法学部卒業。
英語、フランス語、ロシア語を操る。
経歴
1998年 ユーゴスラビア連邦外務省三等書記官
2004年~2007年 在クロアチア・セルビア大使館一等書記官
2008年~2010年 セルビア外務省分析課参事官
2010年~2014年 在キプロス・セルビア大使館参事官
2014年~2018年 セルビア外務省儀典局特権免除課長公使参事官
2018年9月 在京セルビア大使館公使参事官
2020年7月 在京セルビア大使館臨時代理大使(現職)
バルカン半島の中心に位置する国、セルビア共和国。今回は、品川にある大使館にお邪魔して、イヴァナ・ゴルボヴィッチ・ドゥボカ在京セルビア大使館臨時代理大使にお話しをお伺いいたしました。
■セルビアについて
一般情報
セルビア共和国は民主主義国家です。長い歴史と偉業によって近代国家が築かれました。セルビアには、ヴォイヴォディナとコソヴォ・メトヒヤという2つの自治州があります。人口は約900万人、首都はベオグラード。ベオグラードは行政、経済、文化の中心地で、人口は約160万人です。
地理・面積・気候
セルビアはバルカン半島の中心に位置しており、ヨーロッパとアジアを結ぶ交通の要衝地となっています。面積は約8万8361平方キロメートルで、北海道より少し広いくらいです。標準時は中央ヨーロッパ時間(CET)です(日本との時差はマイナス8時間。サマータイム時はマイナス7時間)。気候は穏やかな大陸性気候で、日本と同様に四季があります。
民族
激動の歴史を辿ってきたセルビアの民族構成は多様性に富んでいます。住民の大部分はセルビア人ですが、他にも37の民族が存在します。すべての民族に自由と平等の権利が保証されています。
スポーツ
セルビア出身の有名スポーツ選手は、なんといっても、男子プロテニス選手のノバク・ジョコビッチ選手です。他にも、サッカー、バレー、バスケット、水球など、世界で活躍する選手を次々と輩出しております。リオ五輪では8個のメダルを獲得しました。
参考:セルビア共和国大使館HP
■臨時代理大使のこれまで
臨時代理大使は、ベオグラード大学法学部に入学しました。当時、特にヨーロッパは情勢が不安定で、先行きの見えない時代でした。そして在学中の1989年、ベルリンの壁が崩壊しました。この出来事が世界に与えた衝撃は大きく、自身の「平和主義」「コミュニケーションを大切にしたい」という価値観の形成にも大きな影響を与えました。卒業後、始めは裁判官として働いていました。しかし、「社会を変えたい」「社会に貢献したい」「国をよくしたい」という強い気持ちを実現するには外交が一番の近道だと考え、外務省に入省。現在、外交官としてのキャリアは25年目で、これまで政治、経済、文化などの分野をご担当されてきました。来日したのは2年前で、日本が初のアジア赴任地。日本の印象は「とても美しい国。特に自然の美しさは世界に類を見ないほど」とのことでした。
■国民性ーセルビア人と日本人の違いについて教えてください
セルビア人は日本人と比べるととても陽気です。それに大らかですね。熱心で、目標に向かって行動する場合、全力で取り組む傾向があります。共通するのは、家族や伝統をとても大切にしていることですね。
―セルビアと日本の関係について教えてください
セルビアと日本は固い友情で結ばれています。セルビア人は日本が好きで、親日家がとても多くいます。今から139年前にセルビアのミラン・オブレノヴィッチ国王と明治天皇が親書を交わし、両国の友好関係が始まりました。長きにわたる友情をとても誇らしく思います。
■職務
ー大使館でのお仕事について教えてください。
大使館業務はとても幅広く、多忙を極めます。セルビアと日本の関係強化のために、日本の外務省を中心に各省庁との連携を深めています。ほかには在日セルビア人の保護、セルビアの文化や観光の宣伝活動なども重要な公務です。セルビアの外務省との情報交換も大切な仕事ですが、時差は8時間(夏季は7時間)もあるので、やり取りをうまく調整する必要があります。ユーゴスラヴィアの時代から過去の大使が育んできた日本との友情を維持するべく、全身全霊で公務を全うしたいと思っています。
■パンとラキア
ー「フランス人ならチーズとワイン」、「ドイツ人ならソーセージとビール」といったように、セルビアにも、「これを食べてこれを飲めば仲良くなれる」といったものはありますか?
セルビアは美しい自然、温かくおもてなしの精神を持つ人々、そして東洋と西洋の特徴を併せ持つおいしい料理を味わうことができる国です。また、古代ローマ時代から生産が続く高品質のワインも楽しめます。中でも果物の蒸留酒「ラキヤ」は特産のプラム、アプリコット、ぶどう、洋ナシなどを原料としており、セルビアの国民酒と言えます。アルコール度数は、製法にもよりますが、40度~60度と非常に高いです。「ラキヤ」は健康に良い影響を与え、気分を高揚させてくれます。 主食はパンで、日常的に食べられます。一方で友情の証でもあります。大切な行事では円形のパンを用意し、友人らと引きちぎるという古い習慣が今でも残っています。また、来客の際は歓迎の表れとして玄関先でパンと塩を提供する習慣もあります。
■読者に向けてメッセージをいただけますか
いつかセルビアを訪れていただき、私たちの国土、人々の魅力を肌で感じてほしいです。セルビアの地形は変化に富み、自然美を堪能できます。セルビア人はとても友好的で温かな人たちが多いです。セルビアに到着したら、まずは首都のベオグラードをお楽しみください。古い歴史を持ち、至る所に公園があります。中でもドナウ川とサヴァ川の合流地点にあるカレメグダン要塞公園はおすすめです。
セルビア中部のシュマディヤ地方、西部のタラ山脈国立公園と保養地のズラボティボル地方も外せません。この地域には「ドゥルヴェングラード」と呼ばれる有名な観光スポットがあり、毎年多くの人たちが押し寄せます。ここはセルビア人映画監督のエミール・クストリッツァ氏が手掛けた観光地としても知られており、大自然に囲まれながらゆったりとした時間を過ごしたり、セルビアの伝統文化を学んだりして、丸一日楽しむことができます。
ほかにも、13~14世紀の中世セルビア時代に建てられた教会や修道院が今でも残っており、ユネスコの世界遺産に登録されています。皆さんのご訪問を心よりお待ちしております。
学生新聞WEB2020年11月16日取材
慶應義塾大学4年 小川淑生
津田塾大学2年 宮田紋子/慶應義塾大学4年 小川淑生/東洋大学1年 濱穂乃香/津田塾大学3年 川浪亜紀/慶應義塾大学1年 伊東美優
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